※ この記事は2022年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
なので、しっかりと文章にしておきます。
去年の5月、私は生配信のゲーム実況で『東方天空璋』を初めてプレイしました。大人気弾幕シューティングゲームのシリーズですね。初回プレイの様子はこんなカンジ。2面のボスにすら勝てませんでした。
その後、コンティニューをしまくっても全クリできなくて、後日なんとかコンティニューを使い切って全クリしたものの「コンティニューを使わずにラスボスまで倒さないとクリア扱いにはならないよ」と言われてヒザから崩れ落ちました。こんな難しいゲーム、クリアできるワケがないと挑戦を断念したんですね。
しかし、すぐにギブアップするのもアレかなぁと思い、生配信とは関係ないところで、毎日10分でイイから起動して練習することにしました。このゲームは好きなステージを選んで練習するモードもあったので、時間がなくても後半のステージだけプレイするって練習の仕方が可能だったのです。
そこから3ヶ月間、毎日10分くらいずつ練習して(全6ステージなので、毎日1ステージずつ練習して、週末の1日は通してプレイするみたいなカンジでした)、8月には見事にノーコンでラスボス撃破してクリア扱いになるまで成長したのです! もちろん一番下の難易度だけどな!
そこで私、ようやく気がついたのです。
ゲームには「クリアまで進み続ける」タイプのゲームと、「毎日同じところを練習してちょっとずつちょっとずつ上手くなっていく」タイプのゲームがあるんだ―――と。
「クリアまで進み続ける」タイプのゲームとは、例えば『ドラゴンクエスト』のようなRPGです。一度スタートしたら、(原則として)クリアする前に最初からやり直すことはなく、次の日は「前回プレイした最後の地点」からデータをロードするなりして「続き」から始めます。
そうしたゲームはプレイするごとにゲームが「進み」、今日は昨日よりもクリアに向かって前進したぞと実感しやすいです。一度読み始めた本を、次はしおりの箇所から読み始めるのに近いですね。アドベンチャーゲームやシミュレーション、ステージ数が多くなって途中セーブが出来るようになったアクションゲーム(スーファミの『スーパーマリオワールド』とか)もこれに該当すると思います。
「毎日同じところを練習してちょっとずつちょっとずつ上手くなっていく」タイプのゲームとは、先ほど例に出したシューティングゲームだったり、格闘ゲームだったり、リズムゲームだったり、落ちものパズルゲームだったり、途中セーブが出来なかった頃のアクションゲーム(ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』など)なんかが該当すると思います。
これらのゲームは、ステージ数自体は多くないのだけど初見で全ステージクリアすることなんて不可能で、毎日1ステージ目から始めて「昨日より先に進めるようになった」と自分の上達を楽しむものだと思うんですね。それこそ3ヶ月間毎日くらいのペースで。
んで、私は―――
前者の『ドラクエ』タイプのRPGや、SRPG、アドベンチャーゲームなどを中心にゲームを遊んできたので。後者のシューティングゲームもリズムゲームもブームを通過していなくて、格闘ゲームや落ちものパズルゲームはブームの最初期のゲーム(『ストII』や『テトリス』)は遊んだけどそれくらいで。
生配信のゲーム実況で『東方天空璋』をクリアしようとしたことが分かるように……後者タイプのシューティングゲームを、前者タイプの『ドラクエ』を「この週末にぶっ通しでプレイして一気にクリアするぞー」と遊ぶみたいなノリでクリアしようとしちゃったんですね。
でも、やっと分かりました。
シューティングゲームってそういうゲームじゃないんですよ!
そりゃ確かに「シューティングゲームが超上手い人」なら、新作のゲームでも初見でクリアしてしまうのかも知れませんが、シューティングゲームを初見でクリアできちゃったら1時間くらいで終了してしまうのでコストパフォーマンスがクソ悪いんですよ。ステージ数は多くないけど、「1時間でクリアできる」ようになるために、毎日ちょっとずつ練習して何ヶ月もかけて上達していくゲームなんですよ。
私はこれまでにも、このブログのコメント欄でオススメされた「後者タイプのゲーム」を遊んでみて、こんな難しいゲームがクリアできるワケねえだろ!と絶望してきたことが何度もありました。それで落ちこんで「俺はひょっとして世界一ゲームが下手なんじゃないだろうか」とか言い出していたんですが……
それって遊び方を間違えていただけだと思うんですね。
オススメした方は、3ヶ月間毎日プレイして上達する楽しみを味わってほしくてオススメしたかも知れないのに、私は数回プレイしただけで「こんな難しいゲームはクリアできませーん」と匙を投げてきたのです。それは本当に申し訳ないですし(オススメしてくれた人や、ゲームそのものにも)、みなさんにはそういう間違いはして欲しくなくて記事に書いているのです。
◇ 「毎日プレイしていれば上手くなる」と気付かせてくれたゲーム
さてさて。
生配信での挑戦を断念した『東方天空璋』をどうして1日10分ずつ練習しようと思えたかというと……実は、私にとって「継続は力なり」を教えてくれたゲームがそれ以前にあったんですね。

<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>
それが『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』―――スマホ用のリズムゲームです。
実はこのゲームも最初は私、自分の下手さ加減にすごく自信をなくすゲームだったんですね。他の人が「EXPERT」をがんがんフルコン取っているのに、自分は「EASY」から始めて「HARD」でフルコンが取れなくて落ち込んでいました。始めて1ヶ月のところで「俺、きっともう上手くならない……」という記事を書いていましたからね。
今思えば、この頃の私は「クリアまで一気に進めていく」タイプのゲームのようにリズムゲームを遊んでしまっていたのでしょう。
そこから他の原因(体調不良)によってこのゲームを続けられなくなって、離れていったのが2017年の5月でした。そこから約2年後の2019年にアニメ2期が始まり、アニメが終わって寂しかったからゲーム版を再開したのが2019年4月。そこから先はフルコンを取ることには執着せず、ストーリー目当てにゲームを続け、ストーリーを解放するためにリズムゲームもプレイするというカンジでした。
それこそ1日10分くらい、スタミナを使いきったらそこで今日はやめるという遊び方を毎日続けていて―――そこから4ヶ月後、初めて楽曲レベル20の「夏祭り」でフルコンを取って「俺でも20の曲をフルコン獲れるのか!」と驚き、その8ヶ月後には楽曲レベル25の「ときめきエクスペリエンス!」のフルコンが獲れるようになりました。
判定強化のスキル付けまくったおかげだけど、初めて楽曲レベル25でフルコン獲った!出来るもんだなあ。 pic.twitter.com/8QJuOZerEc
— やまなしレイ(ワクチン2回摂取、ルドー地上最強) (@yamanashirei) April 20, 2020
そこから楽曲レベル26の曲でフルコンを獲るのは、1年半後の2021年の10月でした。1つレベルを上げるのに年単位の時間がかかっていますが、1日10分でも年単位で遊び続ければ上手くなる―――それを教えてくれたのが、私にとってこのゲームだったんですね。

<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>
ちなみに、最近私は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』を始めたんですが、『バンドリ』とほぼ同じゲームシステムなのにこちらもまた「HARDですらフルコンが獲れる気がしない……俺、世界一リズムゲームが下手なんじゃないだろうか」と思いながらプレイしています(笑)。
あと3年くらい続けたらきっとフルコンが獲れると信じて続けていきましょう!
一応言っておきますが、この記事は別に『バンドリ』は素晴らしいんだ、みんなも『バンドリ』をやれ!って言いたいワケじゃありませんからね。
「遊び続けていればゲームは上手くなる」という経験を、人によってはそれが初代の『スーパーマリオブラザーズ』だったり、人によっては『ストリートファイターII』だったり、人によっては『Splatoon2』だったりするんでしょうけど、何かのゲームでそれを経験したことがあるとゲームに対するスタンスの幅も広がるって思うのです。
私にとってそれが『バンドリ』だったって話ですね。
実際「リズムゲーム」と「弾幕シューティング」は反復練習で上手くなりやすいジャンルのゲームだと思います。『Splatoon』の対人戦なんかは何百時間遊んでも上手くなった気がしないし……

<画像はWii Uバーチャルコンソール版『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』より引用>
んで、更に自分のゲーム遍歴を思い出してみると……
この「毎日ちょっとずつプレイする」を意図的にゲームデザインに落とし込んでいた作品が『脳トレ』というゲームでした。時計機能を内蔵したニンテンドーDS用のソフトで、毎日起動してハンコを押さないとトレーニングは増えず、各トレーニングも1日ごとに最初の1回しか記録として残らないシステムでした。1日10時間プレイして一気にクリアする、みたいなことは出来なかったんですね。
全トレーニング解放には確か20~30日くらいかかったと記憶しているんですが、当時はそれを批判する声もありました。一気に遊ばせないとはどういうことだ的な。
でも、リズムゲームを毎日10分を数年、シューティングゲームを毎日10分を8ヶ月続けて思うのは……筋トレとかと同じで、自分自身が上手くなっていくゲームって一度に何時間も一気にやるんじゃなくて、短い時間でも毎日継続して続けることの方が大事だと思うんですね。日によって「今日は調子いい」とか「今日は何やってもダメだ」とかありますしね。
その辺の感覚が、『ドラクエ』みたいなRPGをメインに遊んできただけだと分からなかったし、全てのゲームを『ドラクエ』みたいな感覚で遊んじゃダメなんだなとようやく分かったのです。
◇ 「ファミコンのゲームは誰もがクリアできるようには出来てない」の意味
今日の記事で一番言いたいことは、実はここからだったりします。
昔のアーケードゲームやファミコン時代のゲームに対して、「誰もがクリアできるようには出来てない」と表現されることがあります。それを、「今のゲームは誰でもクリアできるようになっているのに(←ほんとぉ? 『SEKIRO』とかも?)、昔のゲームクリエイターはユーザーのことを考えない酷い連中だったんだ」的に受け取る人がいるんですが……

<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online『アトランチスの謎』より引用>
そもそも、昔のゲームって「クリア」を重視して作られていないんですよ。
エンディングなんてものもあってないようなもので、「ピーチ姫が出てきてすぐに2周目が始まる」なんてものはまだマシな方で、1行の文字が出てきてすぐに終わりとか、何の説明もなく2周目が始まるとか、それが普通だったと思います。
だって、当時のゲームって「毎日同じところを練習してちょっとずつちょっとずつ上手くなっていく」タイプのゲームばかりですから、クリア=それ以上何もない状況になったらダメなんですよ。「今日は昨日よりも先に進めるように頑張ろう」と思わせるためには、際限なく先がなければならないのです。そのため、昔のゲームってエンディングもなく「難しくなった2周目」が始まるし、それもやりこんじゃった人のために「前作をクリアした人のための高難度になっている続編」が発売されたりしました。
限られた容量の中で、ゲームとは関係のない「エンディング」なんてものを用意するくらいなら、1ステージでも多く作れよって思われた時代だったんじゃないかと思います。
その辺の価値観が変わったのは、それこそ『ドラゴンクエスト』ブーム(1986年~88年)辺りじゃないかなぁ。
もちろんそれ以前から「エンディングのあるゲーム」はありましたが、初代『ドラクエ』のエンディングってわざわざここでしか出てこない兵士のグラフィックまであって、プレイヤーが操作してきた「それまでの冒険」が終わることの演出がしっかりあって、これを見ずにこのゲームを語ることは出来ないというエンディングになっているんですね。『ドラクエIII』のエンディングなんかも当時は語り草でしたもんね。遊んだことがなくても最後どうなるのかだけはみんな知っていたほどに。
そうして、RPGやアドベンチャーで「ストーリーを語るゲーム」が人気になり、パスワードやセーブ機能で「前回の続き」から遊べるようになり、容量も増えて大ボリュームのゲームが作れるようになり―――1980年代終盤あたりからいろんなことが変わって、RPGやアドベンチャー以外のゲームも「クリアしてエンディングを見ること」が重要視されるようになり、そこから「誰でもクリアできる=エンディングが見られるゲームが良いゲーム」みたいな価値観が生まれてくると思うんで。
ファミコン初期のゲームなんてクリアできなくて当たり前なんですよ。
当時のキッズからしても、5000円とかするゲームを買ってもらったら、そのゲーム1本で半年とか遊ばなくちゃならなかったワケで……半年遊び続けて上手くなっても、まだ先が見えないくらいじゃないといけなかったと思うんです。
例えば、1979年の『機動戦士ガンダム』のテレビアニメ版を観る際、「ガンプラ以前の超合金の合体玩具がスポンサーだったんだ」と知っていれば「Gメカ」などの玩具的な仕様の意味も分かるように。
昔のゲームを遊ぶんだったら、「当時の時代背景」や「当時の遊ばれ方」を知って初めて意味が分かることがあるんだろうし……ゲーム好きとしてはすっかり古株となってしまった自分は、その辺もしっかり文章に残していかないとなと思いました。
(関連記事:テレビ版『ガンダム』は玩具を売るためのアニメでした)
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