男性はエロ作品を求めて、女性は恋愛作品を求める


<画像はiOS版『学園アイドルマスター』より引用>


 新年の実質1発目の記事は「どうせお正月は誰もブログなんて読んでないんだから普段書いたら炎上しそうなことを書いちゃうぜえええ!」という記事にしています。
 これを始めてからは「ゲームハードの話題」を多く書いていて、今年も「ニンテンドー3DSの後継機」は果たして出るのだろうか?という記事を書いていたのですが「たぶん出ない」という面白くもなんともならない結論になっちゃったので、そちらは没にしてこっちを書きます!


 女性向けバイブが売れない理由オナホ売りOLの平日さんより)

 こちらは昨年10月の記事です。去年読んだ文章の中で一番「今までうまく説明できなかったモヤモヤがしっかりと組み合わさった感覚」を覚えた記事でした。シモの話ですが、大真面目な話です。

 本題に入る前に、まず大前提として……
 例えば今日の記事タイトルを「男性はエロ作品を求めて、女性は恋愛作品を求める」としたことで、「私は男性だがエロには興味がない!オマエと一緒の男性と一くくりにするな!」とか「私は女性だがエロが大好きだ!女性は全員エロに興味がないとか勝手に決めつけるな!」とお怒りになる人もいると思うんですが―――
 この話は「男性向けにこういう商品を作ったら売れるかな」「女性向けにこういう商品を作っても売れなかった」といった需要と供給の話なので、なんとなくの“全体の傾向”を考える話なんですね。例外な人が存在するのは分かっています。でも、それをイチイチ言っても話にならないので今日の記事では考えないことにします。

 元の記事も、「女性向けのバイブが売れない」という話をスタート地点にしていますが、それも「1本も売れない」ということではなくて「男性向けのオナホに比べて売れない」みたいな話だと思います。そこに男性と女性の求めているものの差があるのではないか?という話ね。



・(もの言わぬ多数派の女性は)性に興味がなく、性欲がないからアダルトグッズを買わず、セックスをしない。
・女性はセックスにはお金を払いませんが、疑似恋愛にはお金を払います。


 上の記事からの引用です。
 一つ目だけを読んだときには「え?」と思いました。「女性は性に興味がなくて性欲がない」というのは、ヲタク文化の端っこに生きている自分にとってはにわかに信じがたかったです。
 ティーン向けの少女漫画雑誌がどんどん過激になっているという話は聞くし、「男女」だろうが「男男」だろうが「女女」だろうが女性向けの同人文化は男性向けに負けないくらい活発なものがあるでしょうし、ガラケー時代から「携帯電話で観られるエロコンテンツ」は女性向けが引っ張っていったと言われていますし(男性とちがって実店舗などで買うことに抵抗がある女性が多かったから)。冬アニメのリストを作ったときに知った文化なのですが、『25歳の女子高生』みたいに「地上波で流れる通常版アニメ」と「ネット会員にならないと見られない過激な完全版アニメ」でキャストが変わるみたいなこともありますし(男性向けならせいぜい円盤で湯気が薄くなる程度)。

 女性向けのエロ作品って、むしろ男性向けのエロ作品よりも進んでいるイメージが私にはあったのです。

 だから、「えー、女性に性欲がないってのはどうかなぁ」と思いながら読んでいたのですが。二つ目の「疑似恋愛にはお金を払います。」で膝を打つことになるのです。そういうことか!と。



 「女性向けと男性向けのエロ本の違い」が分かるイラストtogetterより)

 これは8月に話題になったもの。
 これを見かけたときは「男性は即物的なエロしか求めない下等な生物だ」と言われているみたいで、一男性の私としては「何をー!」「でも、俺はカツ丼の方が好きだな!」と思ったものなのですが……女性はエログッズにはお金を払わなくて疑似恋愛(の先のエロ)にはお金を払うという話を読んだ後には、そういうことかーと思い直しました。


 女性はエロを買っているのではない、恋愛を買っているのだ。
 そして、男性は恋愛はどうでもよくて、エロがあればイイのだ。


 だから、女性向けのエロ作品は「そこに至るまでの過程」をじっくり描くし。
 男性向けのエロ作品は「そこに至るまでの過程」は重視しない。

 男性目線で考えると、「すっきり気持ちよくなりたいエロ作品」に「切なくなる恋愛描写」なんかが入ってしまうとむしろ抜けなくなってしまう人がいるから敬遠されるのだけど。女性目線からすれば、そっちの方が重要なので……女性向けの作品はもちろん、女性漫画家が描く男性向けエロ漫画なんかも、限られたページ数の中に「切なくなる恋愛描写」をねじ込んできたりしますもんね。

 私にとって歴代エロ漫画の中でも最上位に入るくらいすごい大好きな作品に、関谷あさみさんの『山』という作品があるんですけど……「エロい!抜ける!」というんじゃなくて、主人公の気持ちになって切なくてもどかしくて行き場のない感情があふれてくるんですね。それは、作品としてはすさまじいことなんだけど、実用性としてはどうなんだろうと。




 先のtogetterのコメント欄に、「男性向けのエロ作品でもノベル系のエロゲーはそこに至るまでの過程をじっくりと描いているじゃないか」という反論がありましたが。ちょっと前の記事に書いたように、それ故に「ノベルゲーでオナニーするの難しくない?」と私は思っています。ストーリーにのめりこんでいると、どうもエロな気分になれないというか……


 あと、「主人公」と「ヒロイン」の恋愛モノとして楽しんでいると、「俺」はどこにもいないからエロイ目で見ることが出来ないという話も以前書いたことがありますね。だから、漫画でもアニメでも「恋愛モノ」を読まない・観ないワケではないのですが、そうした作品のエロ同人誌は読みたくないのです。

 「男女カップル」のキャラを見るとき、アナタの目線はどこにありますか

 あ、でも、紗霧ちゃんが一人でオナニーしているエロ同人誌なら読みたいです。




 女性向けと男性向けのちがいは「エロ」に限った話ではなくて、「女性向けの百合作品」と「男性向けの日常系作品」ってどちらも「女のコ×女のコ」を描いているのに、前者は「恋愛という過程」をじっくり描いていくのに対して、後者は「ハイ!仲良くなった!イチャイチャしてる!可愛い!」とただただイチャイチャしている様を描いているだけだったりして。
 二次創作とかだと特に「百合」という同じカテゴリーにぶちこみがちなのですが、ごっちゃにしてはならない文化なんじゃないのかと思わなくもないです。『ゆるゆり』がその境界線にいるから、ややこしい話なのですが……

 それこそ、「女性向けエロ作品」と「男性向けエロ作品」を同じ「R-18」というタグにぶちこむくらいの暴挙……というか、Pixivはどうして頑なに「女性向けエロ作品」と「男性向けエロ作品」を分けないんですかね?BOOTHもそれを継続しているから企業ポリシーなんですかね。

 


 話がズレてきたので、そろそろまとめます。
 私は「男性は~」とか「女性は~」みたいに分けることがあまり好きじゃないんですけど、「肉体的な特徴の差」が男性と女性の間にあることはどうしようもなくて、性のちがいはそれが顕著に出るところだと思うんです。

 腐女子の方々の中には時々「心にちんこが生えている」と自称する人もいるんですが、申し訳ないですがそれは本物のちんこじゃないんですね。だから、恐らく本物のちんことはギャップがあると思います。本物のちんこはちんこのない人間にはなかなかイメージ出来ないというか……

 私は、男性にとっての「ちんこ」って「蛇口」みたいなもので、「オナニー」は定期的に水を入れ替えないとならない「メンテナンス」みたいなものだと思っています。
 人によってメンテナンスをしなければならない周期はちがいますけど、その期間が来たら「あー、そろそろ入れ替えなきゃなー」という作業をしなくちゃいけなくて、エロ本とかエロ動画とかはそのメンテナンスに使う道具なんです。だから、そこに「情緒」とか「じっくり恋愛の過程が描かれているか」なんかは重要じゃなくて、「素早く」「きっちり入れ替えられるか」が重要なんですね。男性がエロに“実用性”という言葉を使うのはそういう理由で。


 私は女性になったことがないから分かりませんが、恐らく女性のオナニーはそういうものではないのでしょう。
 もうちょっと嗜好的というか、大人の嗜みというか、娯楽性の高いものというか。だから、エロそのものよりもエロまでの過程を楽しむなどの余裕があるというか……だから、「男性向けのエロ作品」と「女性向けのエロ作品」が全然別物なのは当然なことだと思うんです。

 むしろ、「男性向けのエロ作品」と「女性向けのエロ作品」が全然別物というところから、男性と女性が別の文化圏に生きていることが分かって、その差こそが面白いと思うのです。男性にとっての女性も、女性にとっての男性も、近いようで遠い存在なんだなぁと。




――2026年追記――
 この記事を書いたのももう8年前……
 つい最近のように思っていたのですが、読み返してみるとやっぱり「8年前の自分の思考だな」と思いますね。

 この8年で私にも、色々ありました。
 まず、この記事の中でも紹介した「私が大好きなエロ漫画家さん」、関谷あさみ先生……アニメファン的には2021年に放送された『ゲキドル』のキャラクター原案をしていた方と言えば分かると思うのですが。

 その関谷あさみ先生が「女性向けエロ同人誌(オリジナル)」を描くようになりました。これはこの8年間で最大のトピック!
 恐らくは「女性作家でありながら男性向けエロ漫画を描いていた」作家さんで、男性向けエロ漫画の中に切ない恋愛の心理なんかを組みこむことに特徴があったのですが……どうやら出してみた同人誌を読んだお友達から「これ、女性向けじゃない?」と言われたことで、その作品を女性向けの「TL(ティーンズラブ)漫画」のストアに移したんですね。そしたら、ずっと関谷あさみ先生を応援していた男性ファン+今まで関谷あさみ先生を知らなかった女性読者の両方に支持されるようになりました。

 要は「女性向けみたいな男性向け作品」を描いていた作家さんが「男性向けの要素もかなり強い女性向け作品」を描くようになって、両方のファンを獲得した―――というか。

 そして、ファン層が倍になった状態で発売した男性向けエロ漫画『放課後化学クラブ』(電子書籍版はDL Site専売です)が大バズリ、2026年1月2日現在の販売数が36万冊を超える大ヒットとなりました。36万冊って!!? レビューを見ても、女性読者もかなり多い印象はありますね。


 んで、大好きな作家さんが「TL漫画」に進出したこともあって、私もDL Siteの「TL漫画」のストアを見るようになって……

 あれ? 男からしても、女性向けエロ作品全然イケるな……

 と、気付いたのです。


 流石に「BL漫画=男性同士の恋愛を描いた作品」は私には合わなかったのですが、「TL漫画=男女の恋愛を描いた女性向け作品」は男性でも楽しめる作品が多いと思います。
 男性向け作品(notエロ)の現在の主流となっている「美少女イラスト」の、目が大きくて鼻が小さくて……という造形の源流は「女性向け少女漫画」にあると言われているので、現在の感覚だと「女性向け少女漫画のヒロイン」も「女性向けTL漫画のヒロイン」も男性から見てもむちゃくちゃかわいく描かれているんですね。

 加えて、男性向け作品(notエロ)のラブコメにおいても、実は一番重要なのは「好感の持てる男性主人公かどうか」と言われているので……男も「応援したくなる男性主人公」が好きなんですね。
 んで、「女性向けTL漫画の男キャラ」って、基本的に「ヒロインのことが超好き」で「ヒロインに一途」で「ヒロインのために何でもしてやれる」イケメンが多いので―――うぉぉおおおおお! オマエらさっさと結婚して一生幸せになりやがれーーーー! となるという。

 「男女の恋愛が地雷」と思われている私ですが、「1対1で三角関係になったりしないTL漫画は大好物」です。これは多分、長編と短編のちがいなんですが……話すと長くなるからまた別の機会で。


 この「TL漫画の定番」って、男性向け作品にもかなーーーーり通じるものがあって。例えば『学園アイドルマスター』のストーリーって、「むちゃくちゃかわいいのに自己肯定感が低いヒロイン」を、「ヒロインのことが超好き」で「ヒロインに一途」で「ヒロインのために何でもしてやれる」プロデューサー=プレイヤーが導いてあげるものが多いので、当初から「TL漫画じゃん!」と思いながら読んでいます。過程もむちゃくちゃ重視するしね。


 「男性向け」「女性向け」の垣根はかなり取っ払われていて、男性でも「女性向けエロ作品」が楽しめるし、女性でも「男性向けエロ作品」が楽しめる時代なんだと思うんですね。紙の本の時代はそうはいかなかったろうけど、電子書籍の時代なら気楽に向こうのストアを覗きにいけますからね。


 そう言えば……私は裏アカで男性向けエロ小説を書いているのですが、「男性向けエロ小説」って言ってるのに女性読者から結構感想をいただくんですね。ぶっちゃけ「やまなしレイ」名義で活動しているこっちより女性読者は多いかも知れない……(分母がちがいすぎるのはあるが)
 物理的な区分けがされなくなったインターネットでは、「男性向け」「女性向け」の区分けはもうあまり意味をなさないんじゃないかなぁ……というのが、2026年時点の私の見解です(少なくとも「男女」の絡みを描くものは)。



 あ、あとそう。
 「女性向けバイブは売れない」ってのがこの話のスタートだったのですが、この8年の間にウーマナイザーという女性向けのアダルトグッズが世界的に大ヒットして、現在はもう第一人者になりました。
 「男性器を模したバイブ」とちがって「おしゃれで可愛いデザイン」も人気の要因で、TENGA社が出している「iroha」にも通じるものがあります。

 女性向けアダルトグッズも「持ち歩いてて当たり前」くらいの時代が来るのかもと思っています。

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