※ この記事は2014年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
ようやっと観られました。
『たまこまーけっと』とは、2013年1月~3月に放送された京都アニメーション制作のテレビアニメで、『けいおん!』のメインスタッフが再集結して作られたアニメとして話題になりました。私は知らなかったんですけど、京都アニメーションが元請制作を開始してから10周年記念の作品だったんですってね。
『たまこラブストーリー』は、その後日譚を描いた劇場版アニメで2014年のゴールデンウィークに公開されました。私は当時両親の入院などで大変な状態だったので映画館まで観に行くことは出来ず、今回のブルーレイ&DVD発売でようやく観ることが出来ました。
正直なことを言うと……あんまり期待していなかったんですね。
『たまこラブストーリー』公開当時に「『たまこまーけっと』がイマイチだった人は楽しいと思うけど、『たまこまーけっと』が好きだった人は「コレジャナイ」って思うかもなー」という感想ツイートがRTされていて、『たまこまーけっと』が大好きだった自分としては楽しめないかも……って不安でした。
ゲームの続編なんかでも、「俺の好きだった要素がなくなってて!これじゃ全然別物じゃねえか!」ってガッカリすることは多いですもんね。実際、『たまこまーけっと』の最終回ではたまこが「恋愛よりも大事なもの」を選んだのに、続編が『たまこラブストーリー』って何だよって思ったところもあります。
で、観てみたところ……
まぁ、号泣しましたよ!
どこで泣いたかって言うと、みどりちゃんの「サンキュ、かんな」なんですけど。
それはつまり『たまこまーけっと』から続いてきた物語の結末だったからであって、この『たまこラブストーリー』は『たまこまーけっと』から地続きの話だったし、『たまこラブストーリー』を観て初めて『たまこまーけっと』が何を描きたかったアニメだったのかが分かった気がしました。
そもそもの話なんですけど……この『たまこラブストーリー』という企画がいつから始まっていたのか、『たまこまーけっと』を作っている時点で『たまこラブストーリー』で完結するという計画だったのかが疑問だったんですね。
1.『たまこまーけっと』で完結する予定だったが、好評だったので『たまこラブストーリー』を作った
2.最初からテレビアニメ『たまこまーけっと』と劇場版『たまこラブストーリー』のワンセットで企画されていた
3.元々はテレビアニメ2作を作る予定だったが、1作目(『たまこまーけっと』)の売上が不調だったために2作目は劇場版『たまこラブストーリー』に変更された
私は最初「3」だと思っていました。
「2」の可能性も、『中二恋』や『境界の彼方』のように「テレビ版→劇場版」の流れが続いていることから考えられるのですが……テレビ版のラストで商店街に残ったデラが、劇場版では「その後に帰った」と不自然な形で繋がっていないことから、「3」かなーと思っていました。
しかし、実際に『たまこラブストーリー』を観てみると「1」のような気がするんですね。
『たまこまーけっと』は『たまこまーけっと』だけで完結していました。デラが商店街に残ったことも、チョイちゃんの消化されていない伏線も、「あの世界ではコレから先もドタバタした日常が続くんだ」という終わり方だと考えれば納得出来ますし。
ただ、テレビアニメ12話には収まりきらなかった話があったのも確かです。
テレビアニメでは描ききれなかった「たまこ」と「もち蔵」と「みどり」の三角関係の結末を、もう一度『たまこまーけっと』が描いてきたもので描き直そうというのがこの『たまこラブストーリー』だったのだと思うのです。
分かるんですよ?分かってはいるんですよ?
「たまこ」と「もち蔵」が主人公の映画なんだってプッシュの仕方は分かるんですよ。そういう宣伝をしていったからこそ、私は「やられた!」と思ったのですし。
でも、言わせてくれ!この映画の真の主人公は「みどりちゃん」だろ!!
北白川たまこは特別な存在だし、特別な存在と描かなければならなかった
『たまこまーけっと』が何を描いていたのか―――
私は「恋愛」か「恋愛よりも大事なもの」かを選ぶ話だと思って、テレビアニメ全12話が終わった後に上の記事を書きました。しかし、その説明はちょっと足りていませんでした。もうちょっとシンプルに考えれば良かったと思います。
『たまこまーけっと』というのは、「あなたが一番大切なものは何か」を描いていたストーリーだったのだと今なら思います。
たまこは最後、「お妃になること」よりも「この商店街で生きていくこと」を大切だと選んだ。
デラも最後、「本来の使命」よりも「たまこの一番大切なもの」を守ろうと走った。
さゆりさんの幸せを願った清水屋さんもそうでしたよね。
「一番大切なものは、さゆりさんが幸せになること―――」
テレビ版の『たまこまーけっと』は、そういう話だったのです。
だから、
「でも……たまこが悩んでるのは、あんまし嬉しくない」
自分が、もう選ばれないことは分かっている。
もち蔵と違って、告白をすることも出来ない。
でも、一番大切なものは「たまこの幸せ」だから、みどりちゃんは嘘をついてでもたまこの背中を押すんですよ。「二人の幸せのために……」じゃないな、「たまこの幸せのために……」。
「誰が誰を好きになってもイイんだよ」
かんなちゃんのこの台詞で始まったと言ってもイイ『たまこまーけっと』の物語。
みどりちゃんがたまこを好きになってもイイんだよ。
でも、みんながみんな選ばれるワケではない。選ばれなかったみどりちゃんが、それでも一番好きな人のために出来ることをする―――その姿を尊く描き、「みどちゃん……今、ちょっと良い顔してますよ」と締めくくる。
「あんこは変わるの怖い?」
「急に今までと違う世界になっちゃう、みたいなカンジ……」
告白をする、告白をされる、好きな人が自分以外の人とくっつく……
今までとは違う世界になってしまう瞬間。「誰かを好きになっても」辛いことばっかりだ。
でも、新しい世界でのみ見られる景色もある――――


<映画『たまこラブストーリー』より引用>
それを、かんなちゃんの木登りで表現するという!
つらいことも、大変なことも、怖いこともあるけど、その新しい世界には見たこともないような景色がある―――それをこのシーンの、かんなちゃんの表情で見事に描いたこのシーンが無茶苦茶美しかったです。かんなちゃんは、このシーンのために存在していたと言っても過言ではない。
単に……私がかんなちゃん大好きだから、「今度はかんなちゃんに見せ場があって良かった!」と絶賛しているみたいになってしまった……
あと、やはり……京都アニメーションの技術力で「何を描くか」、劇場版というリッチな環境で「どんな凄いことをやるのか」という焦点で考えると。例えば『けいおん!』の劇場版だったらロンドンまで行ってしまったのだけど。
自分の部屋の窓から見える、向かいの家のあのコの部屋までの距離―――
という、あくまでこの狭い世界をひたすら描くことに全力を注ぎ。だからこそ、たった一つのことで「自分の世界」がこんなに変わってしまったんだということに説得力を持たせられる使い方も見事でした。何も考えていなかったら、より「豪華に」、より「派手に」、より「壮大に」という方向に進んでしまいそうなものなんですが、そうはしなかった。
この作品、例えばみどりちゃんがたまこに話しかけている時に、遠くに映るかんなちゃんの表情とかを丁寧に描いていて――――すっごく地味かも知れないけど、すっごく大切なことを描こうとしているんだなと改めて思いました。私はどんだけかんなちゃん好きなの。
それを、かんなちゃんの木登りで表現するという!
つらいことも、大変なことも、怖いこともあるけど、その新しい世界には見たこともないような景色がある―――それをこのシーンの、かんなちゃんの表情で見事に描いたこのシーンが無茶苦茶美しかったです。かんなちゃんは、このシーンのために存在していたと言っても過言ではない。
単に……私がかんなちゃん大好きだから、「今度はかんなちゃんに見せ場があって良かった!」と絶賛しているみたいになってしまった……
あと、やはり……京都アニメーションの技術力で「何を描くか」、劇場版というリッチな環境で「どんな凄いことをやるのか」という焦点で考えると。例えば『けいおん!』の劇場版だったらロンドンまで行ってしまったのだけど。
自分の部屋の窓から見える、向かいの家のあのコの部屋までの距離―――
という、あくまでこの狭い世界をひたすら描くことに全力を注ぎ。だからこそ、たった一つのことで「自分の世界」がこんなに変わってしまったんだということに説得力を持たせられる使い方も見事でした。何も考えていなかったら、より「豪華に」、より「派手に」、より「壮大に」という方向に進んでしまいそうなものなんですが、そうはしなかった。
この作品、例えばみどりちゃんがたまこに話しかけている時に、遠くに映るかんなちゃんの表情とかを丁寧に描いていて――――すっごく地味かも知れないけど、すっごく大切なことを描こうとしているんだなと改めて思いました。私はどんだけかんなちゃん好きなの。
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