「ベスト8」に届かなかった日本サッカー史上最強世代の記憶を、せめてこの記事に書き残そう


  この記事がアップされる予定の7月20日には、2026年のサッカーW杯・北中米大会は決勝戦を終えて「優勝」チームが決まっていることでしょう。
 「優勝」を目標にしていた日本代表は、決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れて「ベスト32」で大会を去りました。


 旧ブログの頃から私は、「4年に1度サッカーW杯の時期にだけサッカーの記事を書く」こち亀の日暮さんみたいなことを続けていて、結果的に「4年に1度サッカー日本代表の定点観測記事を書き残してきた」ので……今回もまた、書き残しておこうと思います。

-過去の記事- 

-今回の目次-




↓2026-1↓


◇ 今回のW杯を、みんなは覚えていられるのだろうか?

 このブログを読んでいる人は、サッカーにあまり詳しくない人も少なくないでしょうから基本的なことから説明します。

 日本代表は1998年のサッカーW杯に初出場してから、8大会連続でW杯に出場していて、最高成績は「ベスト16」でした。


・1998年フランス大会
 …グループリーグ敗退(0勝3敗)
・2002年日韓大会 ベスト16
 …グループリーグ突破(2勝1分)→ トーナメント1回戦でトルコに0-1で敗れる
・2006年ドイツ大会
 …グループリーグ敗退(0勝1分2敗)
・2010年南アフリカ大会 ベスト16
 …グループリーグ突破(2勝1敗)→ トーナメント1回戦でパラグアイにPK戦で敗れる
・2014年ブラジル大会
 …グループリーグ敗退(0勝1分2敗)
・2018年ロシア大会 ベスト16
 …グループリーグ突破(1勝1敗1分)→ トーナメント1回戦でベルギーに2-3で敗れる
・2022年カタール大会 ベスト16
 …グループリーグ突破(2勝1敗)→ トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦で敗れる


 経緯を見ていると軽々しくそう言うのは憚られますが、結果だけなら「アジア予選を突破してW杯に出場するのは簡単」「グループリーグ突破も安定してできている」「決勝トーナメントでは勝てずにベスト16止まり」と見ることが出来ます。

 1998年にW杯初出場→ 2002年にグループリーグ突破と順調に成長してきた日本代表が、その後は4度に渡ってベスト8の壁を越えられなかったことを揶揄する声もありますが……それは他の国に対してムチャクチャ失礼だと思います。
 例えば、メキシコはサッカーが「国民的競技」な国ですが、直近W杯の成績を見ると1994年大会~2018年大会まで7大会連続「ベスト16」、2022年大会は1勝1分1敗でグループリーグ敗退、今大会は開催国の1つとして決勝トーナメントで1勝して「ベスト16」と……メキシコはもっと長く、日本と同じ「ベスト8の壁」に阻まれ続けているんですね(メキシコは第1回大会から出場している国なので、長い歴史の中では1970年と1986年にベスト8になっていますが)

 そのくらい、競技人口の多いサッカーで「ベスト8」になるのは大変なんです。



 ということで……
 日本代表のとりあえずの目標は「ベスト8」です。
 現場ではもちろん「優勝」を目指していたのでしょうし、それを言っても良いチームだったとは思いますが……柔道や野球とちがって、「優勝以外は2位も最下位もいっしょ」とされる競技ではありません。「ベスト8」に到達したら十分に快挙な競技です。

 では、実際の今大会での成績はどうだったかというと……




・2026年北中米大会 ベスト32
 …グループリーグ突破(1勝2分)→ トーナメント1回戦でブラジルに1-2で敗れる


 「ベスト32」……!?
 詳しくは後述しますが、サッカーW杯は1998年大会~2022年大会までの「32チーム」制から、今大会は「48チーム」制の大会へと拡大されました。

 そのため、同じようにグループリーグを突破しても、前回大会までの「ベスト16」ではなく「ベスト32」になったんですね。体感では今までと変わらない成績だったような気がするのに、記録的には今までより悪い成績になっている……!!




 さて、この「ベスト32」という成績に終わった日本代表に対して、私がどう思ったのか―――感想を書いておきます。


 率直に言って、「残念な結果だった」と思います。

 「日本は健闘した」とか「感動をありがとう」といったポジティブな評価をする人の気持ちも分かりますが、4月までの段階では私は長い「日本サッカーの歴史」の中で最も「今回はベスト8を狙える」と思えたチームだったし、「今回のメンバーでベスト8になれなければまた20年はチャンスがないだろう」と思っていました。

 20年後だと、割とマジメに私が生きていられるか分からないので……私の人生において「日本サッカーがベスト8に入るところを見られるラストチャンスかも」くらいに思っていたので。


 「ベスト32かぁ……」が率直な感想です。




 まだ、今は「敗退」から時間が経っていないから……みなさんも「ブラジルに勝てるかも知れない」と思ったあの前半45分を覚えていられてるのでしょうが、「感動をありがとう」と言った何人が何十年後までそのことを覚えていられるのだろうと思うのです。

 「記録」や「快挙」は、何十年経っても残ります。
 人々がそれを忘れたとしても残るのです。

 日本サッカーは長らく、1968年のメキシコ五輪での「銅メダル」を唯一の快挙として語り継いでいた時期がありました。
 1996年のアトランタ五輪では、スター軍団のブラジル代表を1-0で破る「マイアミの奇跡」を起こして、試合内容はともかく「ブラジルに勝ったという結果」はずっとずっと残っています。


 しかし、今回の2026年W杯北中米大会の日本は、そうした何十年後まで残る「記録」や「快挙」を残せたでしょうか? 
 結果だけ見れば、今回の日本代表はグループリーグを2位で突破して、決勝トーナメントでブラジルに敗れただけです。そのブラジルも次戦ノルウェーにやられて、そのノルウェーもその次にイングランドにやられて………


 だから、だからせめて……4年に1度しかサッカーの話題を書かないこのブログに、ちゃんと書き残しておこうと思うのです。

 何一つ「快挙」を残せなかった、でも史上最強だった日本代表についてを―――

↓2026-2↓


◇ 日本サッカー史上最強の「東京五輪」世代

 繰り返しになりますが、このブログはサッカーにあまり詳しくない人も読んでいるので、基本的なことから説明しますね。

 サッカーの場合、代表チームにとって最も権威ある大会としてW杯が4年に1度行われます。注目度も高いし、各国の代表チームは本気でタイトルを狙いにくるので、メッシだろうがクリスティアーノ・ロナウドだろうが、世界のトップスターが参加します。「私は普段ヨーロッパのクラブで何十億と稼いでいるので、W杯は出なくてイイです」って人はほとんどいないくらいすごい大会なんですね。

 そのW杯と差別化を図るため、同じく4年に1度開催されるオリンピック(=五輪)では、男子サッカーに限って「23歳以下の選手しか出られない」という年齢制限が設けられるようになりました(※1)

(※1:これは1992年のバルセロナ五輪からで、それ以前はプロは参加出来ないとか、W杯に出場したことのある選手は参加できないといった規則がありました。)


 そのため、男子サッカーの選手は生まれた年によって「4年ごと」に区切られて代表チームを作るし、「○○五輪世代」と呼ばれるんですね。

 例えば、中田英寿選手(1977年1月22日生)や中村俊輔選手(1978年6月24日生ま)はシドニー五輪世代(1977年~1980年生まれの選手達)だし、本田圭佑選手(1986年6月13日生)や長友佑都選手(1986年9月12日生)は北京五輪世代(1985年~1988年生まれの選手達)になるんですね(※2)

 「アンダー○○」という年齢制限のある大会は色んな競技でやっていると思いますし、男子サッカーも「U-20」や「U-17」などがあるんですが、注目度の高いオリンピックでそれをやっているので認知度が段違いに高いのです。

(※2:稀にむちゃくちゃ飛びぬけた能力を持っている選手が、飛び級で上の世代の大会に出場することはあります。中田英寿選手はアトランタ五輪にも出場していたし、香川真司選手や久保建英選手も19歳で五輪代表に選出されていました)


 そして、サッカー選手の場合「肉体的ピークとなる年齢」が大体25~29歳くらいになることが多いため、23歳以下だった選手が29歳以下になる「五輪から6年後のW杯」がその選手達の集大成になるんですね。

 当時黄金世代と言われていたシドニー五輪(2000年)世代の集大成は、2006年のドイツW杯だったし。本田圭佑選手や長友佑都選手ら北京五輪(2008年)世代の集大成は、2014年のブラジルW杯だったのです。どっちも、惨敗に終わりましたが……
 



 ということで、今回の2026年北中米W杯のサッカー日本代表メンバーを「○○五輪世代」ごとに並べてみましょう。

※ このリストは世代で分けているだけなので、実際に五輪代表に選出されたかどうかは考慮していません。例えば、久保建英選手は「世代としてはパリ五輪世代」ですが「実際に出場したのは、飛び級で東京五輪」に出場しています

※ 怪我さえなければ選出されていたのは間違いない、遠藤航・南野拓実・三苫薫の三選手も記載しました


-北京五輪世代(1985年~1988年生まれ)-
長友 佑都(1986年9月12日生)

-ロンドン五輪世代(1989年~1992年生まれ)-
谷口 彰悟(1991年7月15日生)

-リオ五輪世代(1993年~1996年生まれ)-
 遠藤 航(1993年2月9日生)
伊東 純也(1993年3月9日生)
 ・南野 拓実(1995年1月16日生)
鎌田 大地(1996年8月5日生)

-東京五輪世代(1997年~2000年生まれ)-
板倉 滉(1997年1月27日生)
渡辺 剛(1997年2月5日生)
 ・三苫 薫(1997年5月20日生)
小川 航基(1997年8月8日生)
前田 大然(1997年10月20日生)
堂安 律(1998年6月16日生)
上田 綺世(1998年8月28日生)
田中 碧(1998年9月10日生)
冨安 健洋(1998年11月5日生)
早川 友基 (1999年3月3日生)
伊藤 洋輝(1999年5月12日生)
大迫 敬介(1999年7月28日生)
町野 修斗(1999年9月30日生)
瀬古 歩夢(2000年6月7日生)
菅原 由勢(2000年6月28日生)
中村 敬斗(2000年7月28日生)
佐野 海舟(2000年12月30日生)


-パリ五輪世代(2001年~2004年生まれ)-
久保 建英(2001年6月4日生)
鈴木 唯人(2001年10月25日生)
鈴木 彩艶(2002年8月21日生)
鈴木 淳之介(2003年7月12日生)


-ロス五輪世代(2005年~2008年生まれ)-
塩貝 健人(2005年3月26日生)
後藤 啓介(2005年6月3日生)


 見ての通り、現在29~25歳の「東京五輪世代」が大多数を占めています。これにはもう一つの理由があるのですがそれは後述するとして、今回の日本代表は「年齢的に今大会がピークとなる選手」が多くて、このメンバーのまま4年後のW杯に挑むことはありえないんですね。



 この「東京五輪世代」は、日本サッカーの歴史とも密接に絡んでいて。
 彼らが生まれた時期の1997年は日本代表が初めてW杯出場を決めた年ですし、1998年は初めてW杯に出場した年です。
 その後、2002年には自国開催となるサッカーW杯日韓大会があり、2006年までのジーコ監督による「黄金世代」の日本代表はものすごい人気がありました。何かのスポーツを始めるきっかけとなる幼稚園児くらいの時期に、サッカーが国民的スポーツだったんですね。

 彼らが中学生くらいになる2010年辺りになると、本田圭佑選手らが日本代表として活躍する時代になります。香川真司選手や長友佑都選手、内田篤人選手や岡崎慎司選手など、海外のトップリーグでバリバリレギュラーとして活躍する選手も増えました。
 サッカーを続けていれば、海外に移籍して、海外のトップチームでチャンピオンズリーグに出場する―――みたいなビジョンが、夢物語じゃなくなった時期に中学生だった世代なんですね。

 そして、2013年に2020年のオリンピック開催都市が「東京」に決まりました。
 自国開催のオリンピックでは不甲斐ない試合を見せるワケにはいかないし、ホームアドバンテージも活かせるのでメキシコ五輪を越える色のメダルが狙えるかも知れないと強化に力をかけられたのです。

 2017年―――
 サンフレッチェ広島の監督として3度のJリーグ優勝を果たした森保一監督が、東京五輪の監督に就任しました。どうやらこの時点で、2018年以降のフル代表の監督も兼任ですることが打診させられていたようで……「2020年の東京五輪」世代を、そのまま「2022年のカタールW杯」の代表に持っていくビジョンがあったみたいなんですね。


 実際、この「東京五輪世代」って(飛び級の久保建英選手も含めて)異常なほどにタレントが揃っていて、各ポジションに若い内から海外クラブで通用している世界基準の選手がいたんですね。
 長らく日本代表を見ていると、「この世代はセンターバックがいない」とか「この世代はサイドバックがいない」とか「この世代はセンターフォワードがいない」みたいな選手層の偏りがどうしても出てきてしまうと感じてきたのですが……この「東京五輪世代」だけは、本当に各ポジションにタレントが揃っていたんですね。弱点がない上に、「三苫薫」や「久保建英」のような飛びぬけた武器もある凄い世代だったんです。


 しかも、そうした選手達を「東京五輪代表監督の就任」から数えれば9年間、同じ監督に指揮をさせて戦術を浸透させることが出来ました。
 今までの日本代表ではしてこなかった「2大会連続同じ監督でW杯を戦った」のは、東京五輪世代がピークを迎える今大会に照準を合わせたからですし、今大会の「ブラジルすら苦しめた中盤の組織的な守備」はその真骨頂でしょう。

 1998年以降のトルシエ監督以降、日本代表は外国人監督を招聘して「監督のやりたいことに選手がフィットするのか」ガチャを繰り返していたのですが……2018年のハリルホジッチ解任でその路線はもうやめて、「原石のような東京五輪世代」を輝かせるために日本人監督による一貫した指揮を目指すようになったのだと思います。

 



 それ故に、私は「今回でベスト8に入らなければ向こう20年はムリ」と思うくらいのチャンスだと思っていたのですが。
 前後の世代の選手も含めて、ヨーロッパのクラブチームでレギュラー級で出場する選手も多くなったからこそ、W杯直前に怪我をしてしまう選手も多くなった……と。

 世代的には「リオ五輪」世代ですが、南野拓実選手が2025年12月に左膝前十字靭帯損傷の大怪我を負って、大会までの回復も間に合わずに出場できず。
 続いて、キャプテンだった遠藤航選手も2026年2月の試合で大怪我を負い、W杯までの早期復帰を目指すために人工靭帯を入れたのですが……思ったような回復とはならずに、日本の初戦直前に離脱となりました。

 そして、「東京五輪世代」の絶対的エース:三苫薫選手も、5月に左太もも裏(ハムストリング)の肉離れで大会までに回復できずに代表漏れ。
 Wエースのもう一人:久保建英選手は、初戦のオランダ戦に先発するも相手選手のチャージによって左膝を負傷。そのままピッチを去り、大会中に戻ってくることは出来ませんでした。



 「怪我人は言い訳にできない」とか「どのチームにも怪我人は出ている」と言う人もいますが、世界的にも名前が知られているであろう上から4人の主力選手が抜けて……しかも、Wエースを両方とも欠いて、W杯の上位に来られるチームがどれだけあるでしょうか?

 アルゼンチンで言えば「メッシとマック・アリスターがいない」とか。
 イングランドで言えば「ハリー・ケインとベリンガムがいない」とか。
 ノルウェーで言えば「ハーランドとウーデゴールがいない」とか、そういうレベルの怪我人ですよ!?

 「Wエースの片方がいない」なら、そういう状態で優勝したチームはありますが……「Wエースの両方がいない」チームでW杯を優勝したとこなんて、少なくとも近年ではないんじゃないかなぁ。



 そういう意味では、森保監督には同情をするし。
 何より、「この史上最強の日本代表が、ベストメンバーでどのくらい世界に通用するのかが見たかった」と残念で仕方ありません。通用しなかったならしなかったで諦めがつくのだけど、通用するかどうも確かめられずに彼らの「サッカー選手としてのピーク」が過ぎてしまうのがとても哀しい……


↓2026-3↓


◇ 32チーム→ 48チームに出場チームが増えたことによる変化

 ちょっと日本代表の話から逸れて、大会自体の話をしようと思います。

 サッカーW杯は今大会から、本戦の出場チームを48チームに拡大しました。

 これまでの32チーム制だとどうしても出場できない国があるため、サッカーの裾野を広げるために出場国を増やしたことは私は悪いことではないと思っています。
 かくいう日本代表も、24チーム制の頃には予選突破できず、32チーム制に拡大された1998年大会から出場できるようになりましたからね。そして、W杯に出場できるようになったからこそしっかりと世界基準の強化ができるようになったと言うことも出来ます。

 今大会のアジア枠や(開催国以外の)北中米枠はW杯の経験が少ない国も多く、かなーーーーり厳しい結果となりましたが……日本だって初出場したフランス大会は3戦全敗で、むちゃくちゃ叩かれていましたからね。そこから28年で「台風の目」と言われるくらいになったのは、本当にすごいですよ……


 しかし、32チームを4チームずつ8グループに分け、その中の1~2位がベスト16となって決勝トーナメントに進む従来の形式から変わり。
 48チームを4チームずつ12グループに分け、その中の1~2位+3位になった12チーム中「勝ち点などが高いチーム」上位8つがベスト32となって決勝トーナメントに進む今回の形式は、すごく分かりづらい+不公平感の強いレギュレーションだったと言わざるを得ない!!!



 さて、このレギュレーションになって……
 「日本代表にとって有利かどうか」を考えるなら―――

 まず、「アジア予選で敗退してW杯出場を逃す」可能性は限りなく低くなったと思います。日本代表は1998年以降連続でW杯に出場していますが、ぶっちゃけ運が良かっただけで、予選敗退していてもおかしくない大会は今までにもたくさんありました。
 五輪出場を逃したことで人気が一気に低迷した女子サッカーの例もありますし、「W杯に出ることすらできない」「そのせいで一気に人気が落ちる」最悪のケースはあまり考えなくて良くなったとは思います。

 次に「3位でも決勝トーナメントに進出できる」ように変わったことですが……実際の3位チーム同士のランキングはこうなりました。


-各グループ3位の順位-
1位:コンゴ民主共和国(グループK) 勝ち点4 得失点差+1
2位:スウェーデン(グループF) 勝ち点4 得失点差0
3位:ガーナ(グループL) 勝ち点4 得失点差0 総得点2 フェアプレーポイント-3
4位:エクアドル(グループE) 勝ち点4 得失点差0 総得点2 フェアプレーポイント-5
5位:ボスニアヘルツェゴビナ(グループB) 勝ち点4 得失点差-1
6位:アルジェリア(グループJ) 勝ち点4 得失点差-2 総得点5
7位:パラグアイ(グループD) 勝ち点4 得失点差-2 総得点2
8位:セネガル(グループI) 勝ち点3 得失点差+2

9位:イラン(グループG) 勝ち点3 得失点差0
10位:韓国(グループA) 勝ち点3 得失点差-1
11位:スコットランド(グループC) 勝ち点3 得失点差-3
12位:ウルグアイ(グループH) 勝ち点2


 大会前までは「3位の中でランキングを作る」ことがピンと来なかったので、大会がどう変わるのかなと思っていたのですが……結果を観ると割とシンプルで、「1勝1敗1分の勝ち点4」を獲れたチームは3位であっても決勝トーナメントに進めた―――それだけのことだったんですね。セネガルはまぁ、ボーナスで……


 「4チームごとに分かれてのグループリーグ」は時にして思わぬことを引き起こすことがあって……日本人にとって印象的だったのは、1996年のアトランタ五輪です。この大会の日本は「2勝1敗の勝ち点6」なのに、グループリーグ3位で決勝トーナメントに進めなかったんですね。

 1戦目はブラジルに1-0で勝利、2戦目はナイジェリアに0-2で負け、3戦目はハンガリーに3-2で勝利……普通だったらグループリーグ2位になれそうなものの、このリーグは「ハンガリーの一人負け」「ブラジル・日本・ナイジェリアがじゃんけんのように三つ巴の結果になった」ため、得失点差で3位敗退となったのです。


 今大会のW杯のレギュレーションなら、勝ち点さえ稼いでいれば3位突破できるので、事故のようなグループリーグ敗退はなくなると思いますし……日本のような「シード国にはなれない」「グループリーグ最弱でもなさそう」な、2位・3位争いをする国にとっては、安定して決勝トーナメントに進めそうなレギュレーションになったかなと思います。

 ただ、個人的にはこのレギュレーション……「談合」が出来てしまうので、2位と3位のチームが引き分けで勝ち点4に収めるみたいなグループが増えそうだなと思いました。それこそ日本とスウェーデンの試合はそんなカンジでしたし。
 いや、日本はこのレギュレーションになる前の2018年大会でももっと露骨にやっていたから、今更なんですけど!



 それはそうと……
 今回日本がベスト32で散ったからそう思っちゃうのかも知れませんが……
 この「8チームだけ3位のチームが上がれる」レギュレーションだと、決勝トーナメントの組み合わせが不平等じゃないですか?

 従来の、32チーム中16チームが決勝トーナメントに上がれるレギュレーションだと、ベスト16の顔ぶれはこんなカンジになるんですよ。

・グループリーグを1位突破した8チーム
・グループリーグを2位突破した8チーム

 なので、決勝トーナメント1回戦はすべて「グループリーグを1位突破したチーム×グループリーグを2位突破したチーム」の組み合わせになっていました。シード国に勝てずに2位突破しても、決勝トーナメント1回戦で(高確率で)1位突破してきたシード国と戦うハメになっていたんですね。


 しかし、今大会の48チーム中32チームが決勝トーナメントに上がれるレギュレーションだと、ベスト32の顔ぶれはこんなカンジになるんですよ。

・グループリーグを1位突破した12チーム
・グループリーグを2位突破した12チーム
・グループリーグを3位突破した8チーム

 そのため、決勝トーナメント1回戦は―――
 「1位突破したチーム×3位突破したチーム」8試合
 「1位突破したチーム×2位突破したチーム」4試合
 「2位突破したチーム×2位突破したチーム」4試合

 いやいやいやいやいやいや!ズルくない!!?
 「グループリーグを1位突破してくるチーム」は基本的に世界ランキング上位のシード国なんだから、同じように「グループリーグを2位突破したチーム」なのに、中堅国同士で対決する8チームと、シード国と戦わせられる4チームだと、天と地ほどの差があるでしょ!

 ちなみに、今大会だとこんなカンジ。

<1位突破したチーム×2位突破したチーム>
・オランダ×モロッコ
・スペイン×オーストリア
・ブラジル×日本
・アルゼンチン×カーボベルデ

<2位突破したチーム×2位突破したチーム>
・南アフリカ×カナダ
・ポルトガル×クロアチア
・コートジボワール×ノルウェー
・オーストラリア×エジプト

 オーストリア、日本、カーボベルデはは怒ってイイやろ……!
 モロッコはそもそも「なんでウチがシード国じゃないんですか?」ってところから怒らなくちゃいけないけど……


 日本の入った「オランダ」「チュニジア」「スウェーデン」のグループFは、正直「日本にとって与しやすい」グループだなと思いました。
 オランダ相手に日本は勝ったことはありませんが、日本は昔からヨーロッパのチーム相手に苦手意識がありませんし、「チュニジア」はアフリカの国ですがヨーロッパに近いサッカーをしてくるチームです。日本が苦手な中南米の国が入っていないグループで、これは「当たりだ」と思いました。

 しかし、このグループF―――決勝トーナメントに上がったら、1位だとモロッコ、2位だとブラジル、3位だとフランスに当たるという地獄みたいなグループだったとさ。

 この3チームだとブラジルが一番弱かったのでは?と言う人も多いですけど、タイプ相性的にやはり日本は中南米のチームに弱いと思いますわ……ワンチャン可能性があったのはヨーロッパナイズされたサッカーをするモロッコかなぁと思うけど、実際のモロッコの試合を観ると「久保と三苫抜きでコイツらに勝てると思いましたか????」と自問自答したくなったしなぁ。

 やっぱり、このグループに入ってしまった時点で積んでいた気がする……


 「3位だとフランスに当たる」もよく分からなくて、3位で決勝トーナメントに進出した場合にどこの山に入るかは、「3位の中の順位」ではなく「どのグループが決勝トーナメントに進出したか」によって決まったらしいです。

 Wikipediaにすべてのパターンが載っているので、興味ある人は見てみて……マジで意味分かんないから。こう見ると、高確率でフランス、次いでドイツ、その次がアメリカってカンジだったのか……アメリカもまぁまぁイヤだけど、ドイツだったら行けた感あるなぁ。



 ということで、今回の新しいレギュレーション……すごく運ゲーになったような気がするんですが、実際に上位に上がってきたチームを見ると「ベスト4は世界ランキング1~4位」「決勝戦は世界ランキング1位と2位の対決」になっていて……強いチームがちゃんと上位に来たんですね。

 「ラッキーでは勝ち上がれない」「強いチームを選別する」点ではよく出来たレギュレーションになっていた……のか?

↓2026-4↓



◇ ブラジル戦には何が足りなかったのか

 さて、ということで……
 結局のところ「シード国に勝てないようではベスト8にはなれない」のは変わらないと思うので、日本はブラジルに勝たなければなりませんでした。ブラジルに勝ったとしても次がノルウェーだった、というのはここでは考えないようにしますが……


 このブラジル戦、
 前半だけなら「ブラジルに何もさせなかった」すごい日本代表を見せてくれたと思います。

 2014年のW杯で惨敗をした際、「日本は組織的な守備が何かも分かっていない」「人が人につくマンツーマンディフェンスしか知らない」と評されました。世界と戦うための「守備の決まり事」がまるで出来ていないんだと言われたんですね。

 そこから12年―――
 9年かけてチームを作り上げた森保監督の「中盤の守備」は、ブラジルに何もさせず、そして現代サッカーでは「最高の攻撃は最高の守備から生まれる」ため佐野海舟のパスカットからのカウンターを決めて見事に1-0でリードして折り返しました。

 ブラジルも、スター軍団だったかつての強さは感じられず……「日本は強い!」「ブラジルも怖くないぞ」と、世界中に見せつけたと思います。少なくとも、ピッチ上の11人対11人の戦いでは日本はブラジルを圧倒していました。



 しかし、ラスボスがいました。


 名将アンチェロッティ。

 中田英寿選手がセリエAで活躍していて、地上波のテレビでもセリエAの試合が放送された2000年前後にユヴェントスの監督をしていた人なので、日本のサッカーファンにも昔からよく知っている人がかなり多い監督だと思うのですが。

 その後ACミランでセリエA優勝、チャンピオンズリーグを優勝。
 チェルシーでプレミアリーグ優勝。
 パリ・サンジェルマンでリーグ・アンを優勝。
 バイエルン・ミュンヘンでブンデスリーガを優勝。
 レアル・マドリードでラ・リーガとチャンピオンズリーグを優勝と―――

 イタリア、イングランド、フランス、ドイツ、スペインでビッグクラブを指揮して優勝している名監督です。「それだけの巨大戦力があるなら誰が監督をやっても優勝できるのでは?」と思われるかも知れませんが、逆に言えば巨大戦力を扱う経験に長けた監督とも言えて。

 低迷しているとは言え、「世界一選手層がぶ厚い」とも言えるブラジル代表を建て直すために白羽の矢が立った人物です。



 今大会のブラジル代表のキーマンと言える「ヴィニシウス ジュニオール」に、前半の日本代表は組織的な守備で何もさせなかったのだけど……アンチェロッティ監督は、後半ヴィニシウス ジュニオールを左サイドに張らせるようにポジション変更させました。

 その結果、彼自身の突破も脅威になっただけでなく、彼を抑えるために中央の人員をサイドに割かざるを得なくなった日本は、中央を制圧できなくなります。
 解説をしていた本田圭佑選手が、「このヴィニシウス ジュニオール……バックパスするだけでもウザイですね」と言っていたのはまさに。サイドに張った彼にボールが入って、後ろに戻す、それだけで日本の守備は翻弄されてしまいました。そして、そのまま1失点―――スコアは振り出しに戻ってしまいました。

 両サイドは防戦一方になり、このままでは2失点目どころか、3点、4点と袋叩きにされかねない―――
 仕方なく、日本は両サイドの堂安律選手と中村敬斗選手を外します。2人とも非常に攻撃力の高い選手でしたが、スタミナのこともあって、ここでサイドバックタイプの菅原由勢選手とセンターバックタイプの鈴木淳之介選手に替えます。

 その結果、守備は何とか持ちこたえられる形にはなりましたが……
 両サイドが守備型の選手であるだけでなく、ディフェンスラインがかなり下がった状態での守備が続いていたため、カウンターの際にオーバーラップできない状況が続いていました。

 ハッキリ言って、「得点できるビジョンがない」状態でしたし。
 何より「攻撃の時間」がまるで作れていないので、「ずっと守備をさせられている」ことで選手達が疲弊しきっていました。

 しかし、両サイドの選手は替えられない。
 日本は攻撃の切り札として、スリートップの一角の伊東純也に代えて町野修斗選手を投入します。

 結果的に、この町野選手の投入がまるでハマらなかったのだけど、それを町野選手のせいには出来ません。遠藤航選手の直前の離脱で緊急招集された選手な上に、大会序盤は体調不良だったらしい町野選手が、いきなりこの大一番で投入されても……チームにフィットしていないどころか、試合に入り切れていない印象までありました。

 そもそも、中盤も両サイドも防戦一方で攻撃に人数を割けない状況で、「個」でブラジル代表を打破してこいだなんて選手…………日本にはいるワケもない……


 ワケもなかったんです、


 本当なら……


 本当ならば……


 そう!
 4年前の大会では、こういう「試合終盤で投入される切り札」として三苫薫選手がいたんです。


 もし、ブラジル戦もこの状況で三苫選手を投入できていたなら……
 もし、久保選手や南野選手がいたのなら、このタイミングで伊東純也選手をジョーカーとして投入できていたのかも知れません。

 しかし、いない。誰もいない。
 三苫選手も久保選手も南野選手もいないし、伊東純也選手はもうピッチを去りました。投入できるジョーカーはもういないのです。強いて言うなら「ここは塩貝選手では?」と思ったけど、なんかね……炎上しちゃったしで、ブラジル戦では出しづらかったのかな……


 その結果、日本代表はもう「手詰まり」になりました。
 得点を獲れる可能性はほとんどなく、日本が勝てるビジョンはもう90分を守り切って、延長戦の30分も守り切って、PK戦でなんとかする……くらいしかありませんでした。

 が、終了間際に、Wボランチの一角に途中から入った田中碧選手がボールを失い、そこから決勝点を奪われました。これもあまり攻める気にならないというか、日本の敗戦を象徴するシーンだったというか……


 夏に行われるW杯では、選手達の疲労も大きくなってしまうため……2チーム作れるくらいの選手層を用意して、フレッシュな選手に入れ替えながら戦う「ターンオーバー」が必要だったと思われます。実際、今回の日本代表はセンターバックとかも毎試合ちがう組み合わせの選手を出していましたからね。
 しかし、運動量がかなり必要なWボランチなのに、遠藤航選手が直前に離脱したこともあって、鎌田大地選手、佐野海舟選手、田中碧選手の3人で回すしかなくなったんですね。そこに疲労が蓄積され続けていたのです。


 もし、遠藤選手がいたのなら……
 いや、そもそも「遠藤航選手の直前離脱」で、代わりの選手にボランチじゃなくてフォワードを招集したことから分かるように、「5人目のボランチ」を用意できなかったのが問題だったのか。




 ということで、私は……
 ブラジル戦は「完敗だった」と思いました。

 チーム戦術の引き出しだったり、それに対応できる選手層だったりが足りておらず、ラッキーで1回勝てたとしても10回やったら8回は負けるくらいに力の差は感じました。もちろん、南野、遠藤、三苫、久保の4人がいれば話はちがうと思いましたが……それを確かめることも出来なかったのが、今大会ですからね。




 これからサッカーW杯が「出場国の数を減らす」可能性は低いでしょうし、このままのレギュレーションで進むのなら、「ベスト8」までに少なくとも5試合は戦わなくてはならないことになります。
 夏に、過密日程で、5試合戦うことを考えると……1人や2人のスター選手がいることだけでなく、選手を入れ替えながら戦える分厚い選手層こそが大事なんですね。今大会が「世界ランキング通りの上位陣」になったのも、勢いと運でグループリーグ突破はできても、それ以降は安定感と選手層がないと力尽きるってことなのかなと。

 日本も、それこそ怪我人が出てもビクともしないような選手層がないとダメだったのか。いや、流石に主力4人がいないのは、どうしようもなかったよなぁ……


↓2026-5↓



◇ これから

 サッカー日本代表のスケジュールは、来年1月にサウジアラビアで行われるアジアカップを経て、4年後の2030年6月に開催されるスペイン・ポルトガル・モロッコにウルグアイ・アルゼンチン・パラグアイでも試合が行われるサッカーW杯100周年記念大会を目指すことになります。

 「次の日本代表の監督は誰になるのか?」で言うと、今報道されている情報によると「アジアカップまでは森保監督が続投」「来年3月からパリ五輪・ロス五輪代表の大岩剛監督が就任」と言われています。


 東京五輪の監督を任せた森保監督に、そのままフル代表の監督をしてもらって「日本史上最強世代」をそのままフル代表でも活躍してもらった反面―――前後の世代は割と冷遇されていたところがあって、特に「パリ五輪」出場選手は今回一人も選ばれなかったんですよね(久保建英選手や鈴木彩艶選手はパリ五輪時点で既にフル代表で主力でしたが、所属クラブが五輪に出してくれなかった)

 4年後のW杯で主力となるのは「パリ五輪」世代だし、一気に若手に切り替えるためには「パリ五輪」「ロス五輪」世代をよく知る監督に任せるのは必然だし、そもそもそれを見越して大岩監督にロス五輪代表監督を要請していたんじゃないかと思われます。

 しかし、この「ロス五輪」が相当に厳しくて……
 どうやらアメリカで男子サッカーが不人気で女子サッカーが人気だからか、「男子サッカーの出場国数が12」「女子サッカーの出場国数が16」となりました。アジアの枠は2。前回のパリ五輪は男子は3.5枠あったのに!  出場すら今回は危ういですよ!

 ということで、大岩監督はまずは「ロス五輪」代表の強化に専念してもらって、そこまでの繋ぎにとりあえず森保監督を続投させるらしいんですね。



 正直、アジアカップはどういう位置づけで捉えればイイんでしょうね……
 「W杯の翌年」に行われることが多いアジアカップは、今までは新監督が新体制で迎える最初の国際大会として重要な大会だったと思います。要は、「アジアカップ優勝」が目標ではなく、「チームの土台を作る」場として活用されてきたと。

 しかし、次回は「新監督」ではなく「やめることが決まっている監督が迎える最後の大会」ですから、「若手に切り替える」のか「W杯のメンバーをベースにする」のかどっちにするんでしょう。それこそ南野選手や三苫選手を呼んで「本当に見たかった日本代表」でアジアを制しに行くのも手ですが、4年後には多分、彼らは主力じゃなくなっているのでしょうからね。

 だから、本田圭佑選手が「そんな中途半端な大会なら、俺に監督やらせてくれよ!」と言い出すのも分からんでもない。それなら、今までとちがう日本代表の味を見せる大会になるでしょうし。



 ということもあって、「今後の日本代表」に注目したい人は、とりあえず現状21歳以下代表の「ロス五輪世代」に注目していくのがイイと思います。この世代が、狭くなった五輪出場を獲れるかどうかでかなり運命が変わってきそうだなと。

コメント

  1. 選手の質の差は全然感じなかったけど監督の質の差はあまりにもまざまざと見せつけられましたね…
    守備というのは相手の攻撃に対応するものなので相手の攻撃の型が変化すれば守備の型も変える必要がありますが、森保さんはそういう発想すらない…
    その結果が最高に上手くいった前半からのサンドバッグにされ続けただけの後半という落差に繋がりました
    そしてこの修正力の無さは森保さんの就任当初から散々批判されていたことだったんですが、9年間本当に全く変わらなかった
    同じ失敗を見続けるだけのこの9年間、本当に苦しかったし代表サッカーが嫌いになりました
    正直大岩さんにも似たところを感じていますが、大岩さんはせめて失敗から学べる、成長出来る人であって欲しいと切に願います
    大岩さんも2大会くらいやりそうな感じありますし

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