2025年の埼玉西武ライオンズは、少しはマシになっていたのか



  毎年プロ野球のシーズンが終わるたびに、西武ライオンズの1年間を総括する記事を記録として書いておこうと考えているのですが……
 今年もずっと忙しくて、「時間が出来たら書こう」と後回しにして、後回しにして、忙しいピークは一向に収まらずに、気付いたら2026年のシーズンが始まりそうな時期になってしまいました。

 まだ忙しいのは変わりませんが、なんとか書きます!
 書かないと、新しい気持ちで2026年シーズンを迎えられないので!(ほぼ去年のコピペ)



 まず、2025年シーズンに入る前の話からです。
 その前年、2024年シーズンの埼玉西武ライオンズは歴史的な弱さでの大惨敗でした。辻政権を引き継ぐ形で始まった松井稼頭央政権は終わりを迎え、尻ぬぐいする形で監督代行を行っていた渡辺久信GMも去り、現場もフロントも大きく変わることとなりました。



 一軍監督は、二軍監督だった西口文也さんが順当に昇格しましたが……
 ヘッドコーチに鳥越裕介さん、野手チーフ兼打撃コーチに仁志敏久さん、内野守備・走塁コーチに大引啓次さんと、それまでライオンズに縁のなかったコーチを招聘&立花義家さんや田辺徳雄さんなどのかつての名コーチを呼び戻したりするなど、抜本的な改革に取り組んでいたのが分かりました。




 その結果は、5位―――

 前年の6位よりかは上がりましたが……その内訳を見ていきましょう。



<2025年の埼玉西武ライオンズの成績>
・対ソフトバンク 8勝17敗
・対日本ハム 9勝15敗1分
・対オリックス 11勝14敗
・対楽天 12勝13敗
・対ロッテ 13勝10敗2分
・交流戦 10勝8敗

―――63勝77敗3分(借金14)


<2024年の埼玉西武ライオンズの成績>
・対ソフトバンク 8勝17敗
・対日本ハム 10勝13敗1分
・対オリックス 13勝12敗
・対楽天 10勝14敗
・対ロッテ 4勝21敗
・交流戦 4勝14敗

―――49勝91敗3分(借金42)


 2024年はロッテ戦だけで「借金17」作っていたのを、2025年は「貯金3」まで回復したのでこれで「+20」。
 2024年は交流戦だけで「借金10」作っていたのを、2025年は「貯金2」まで回復したのでこれで「+12」。

 2024年の借金42-2024年の借金14=28ですから、「ロッテ戦」と「交流戦」を除いた成績は実は悪くなっているんです。


 2025年の千葉ロッテマリーンズは世代交代に失敗→ 若手の育成と切り替えたシーズンだったため、ライオンズ以外のチームにも更に大きく負け越しています。要は、ライオンズ以上にボロボロな状態のチームがあったからライオンズの成績が「マシに見えた」だけなんです。

 ファンの体感としては、楽しみな若手選手が台頭してきたり、悲惨な逆転負けが少なかったりしたんで、そこまで悪いシーズンだったように感じなかったのですが……数字だけ見ると、思ったより「勝てていない」んです。





◇ 埋まらなかった「三塁手」の穴

 2024年シーズン→ 2025年シーズンのチームの変革の一つに、「2019年からずっと二塁手のレギュラーだった外崎修汰選手の、三塁手へのコンバート」があったと思います。
 
 外崎修汰-源田壮亮の二遊間コンビは、12球団屈指の守備力を誇ったものの……年齢的なものがあるのか、体を痛めているのか、近年では外崎選手の守備のミスや打撃の不調がファンの間でも議論になることが多かったです。

 「2017~2018年シーズンのように、外野に戻した方がイイのでは??」と―――


 そんな中、2024年の秋季キャンプで外崎選手が「三塁手」の練習をしている姿が目撃されます。「二塁手」の守備では体への負担が大きいため、「三塁手」へのコンバートが検討されたのでしょうが……どうしてよりによって「三塁手」?と思ったファンも少なくなかったでしょう。

 何故なら、「三塁手」には2024年シーズンで最も頼りになった打者:佐藤龍世選手がいたからです。外崎選手が三塁手で出場したら、佐藤龍世選手は試合に出られなくなる―――そのため、佐藤龍世選手が「外野手」の練習を始めます。


 西武・佐藤龍世 チームのために「ポジション争いをしたくない」/契約更改、覚悟の誓い

<以下、引用>
「トノさん(外崎修汰)とはポジション争いをしたくないので、来年は外野で勝負しようかなと思っています」

 49勝91敗3分けで最下位という成績を受け、来季は首脳陣が刷新。西口文也新監督が指揮を執ることとなったが、まず出てきた大きな“色”が、二塁手で2度のゴールデン・グラブを受賞している外崎の三塁へのコンバートだ。秋季キャンプで徹底的に三塁の特訓をしたことで、その方針が明らかになったが、ケガのため不参加となった佐藤龍は報道でその情報を把握。今季三塁手として最多出場の立場としては静観できるはずもない。それでも冷静に状況を把握した上での現時点での考えを口にした。

「トノさんが三塁で出るから『龍世はベンチ』とは今のチーム状況では正直、考えられない。なら、自分が外野も守れるようにしておけばいいのかなと」
</ここまで>

 これが、どうも「首脳陣の怒りを買っていた」らしいという報道がいくつかあって。


 そして、シーズン開幕前の3月7日に事件が起こります。

【西武】佐藤龍世が3軍へ 寝坊による遅刻で移動便に間に合わず 西口監督「危機感がない」と語気強める

 寝坊して飛行機に乗れず、オープン戦に出場できないという大失態を犯してしまい……3軍に落とされます。
 ただ、この時点では「ペナルティー期間は2週間くらい」って言っていたんですよね。3月7日の2週間後なら、まだ開幕には間に合います。事実、後の報道では「ペナルティー期間は早めに終わっていた」「3月下旬には西口監督が3軍戦を視察に行って佐藤龍世選手と話していた」という情報もありました。


 しかし、シーズンが開幕しても、佐藤龍世選手は1軍に上がってきませんでした。
 1軍の「二塁手」が揃って絶不調だった時期も、佐藤選手の代わりに1軍で「三塁手」のレギュラーを掴んだ外崎選手が絶不調だった時期も、佐藤龍世選手は1軍に上がってきませんでした。2軍戦では3割4分も打っていたらしいのに。

 ファンの間では「佐藤龍世を1軍に上げるべき」と「寝坊で試合を出なかったんだからペナルティーは妥当」と意見は真っ二つでしたが、結局1軍に上がることなく交流戦での直接対決が終わった6月中旬に中日ドラゴンズへ金銭トレードで移籍しました。


 その後、佐藤龍世選手がどうなったかというと……
 移籍直後には出番を与えられたものの、ミスもあったりで7月末に2軍落ち、そのまま1軍に戻ることなくシーズン終了後の10月に戦力外通告→ 引退することとなりました。ライオンズの4番を打っていた2024年シーズンからたった1年での現役引退でした。


 では、佐藤龍世選手が移籍したライオンズの方はどうなったかというと……
 代わりに「三塁手」のレギュラーを掴んでいた外崎選手は、三塁手の守備に大苦戦、エラーを連発して打撃でも精彩を欠く時期が長かったです。それなのに佐藤龍世選手を1軍に上げずにトレードで出すのかとファンのイライラは募っていたのですが……

 フロントも「三塁手」外崎選手でイイとは思っていなかったようで、佐藤龍世選手をトレードで放出した約1ヶ月後、アメリカからJ.D.デービスを獲得して「三塁手」として起用しました。

 正直、この一連のくだり……「何それ」って感想です。
 「首脳陣が佐藤龍世を嫌っていた」のか「佐藤龍世が首脳陣を嫌っていた」のか分かりませんが、不自然なまでに「佐藤龍世を1軍の試合に出場させない」ことが徹底されていたんですね。
 そのために不振の外崎選手を使い続け、あまり望まれていなさそうだった中日にトレードして4ヶ月後に戦力外になり、彼がいなくなった途端に新たな助っ人外国人を獲得するもそのJ.D.デービスもあまり打たない……結局、誰も幸せになっていないのが凄い。


 だが、ここで予想外なことが起こります。
 2025年のライオンズの顔となった1番「中堅手」西川愛也選手が、8月7日に「右肩の違和感」を感じてしばらく戦線を離脱します。不動の「中堅手」がいなくなったため、それまで「右翼手」を守っていた長谷川信哉選手を「中堅手」に移し、ベンチを温めていた外崎選手を「右翼手」で使う緊急事態となりました。

 そうしたら、なんか外崎選手が突然打ち出したんですね。
 ミスを連発した「三塁手」の守備から解放されたからなのか、西川愛也選手が復帰してからも「右翼手」のポジションを守って、打撃も絶好調でクリーンナップに戻ったほどでした。

 じゃあ、「三塁手」にコンバートするんじゃなくて、最初から外野手で起用しておけばよかったのでは??

 そうすれば、佐藤龍世選手が首脳陣と険悪になることもなかったかも知れないし、寝坊もしなかったかも知れないし、今も引退せずにライオンズのレギュラーを張っていたかも知れません。結果論ですが、誰も得しないコンバートになっちゃったんですね。



 ちなみに、2026年シーズンはどうなりそうかというと。
 外崎選手は再び「二塁手」に戻ることを直訴、FA移籍でやってきた石井一成選手とのポジション争いを受けて立ち。
 J.D.デービス選手は3ヶ月でいなくなったために空いた「三塁手」の穴は、昨年「左翼手」として活躍した渡辺聖弥選手をコンバート(学生時代は三塁手だったそうなので戻ったというべきか)させるそうです。

 うぉー! 結局「外崎選手の三塁手コンバート」は何だったんだー!
 結果的に、佐藤龍世選手を引退に追い込むために外崎選手を三塁手にコンバートさせた……みたいになっている!





◇ 西口新監督が目指した「1点を守り勝つ野球」

 前年の2024年の埼玉西武ライオンズは、とにかく「打てない」「点が取れない」チームでした。チーム打率の「.212」はパ・リーグワースト&ドラフト制以降ワーストで、総得点の「350点」はドラフト制以降ワーストでした。

 そこで、新監督に就任した西口さんが最初に掲げたのは「1点を守り勝つ」野球でした。
 まず最初に着手したのが「中継ぎ・抑え投手」の確保で、本人は先発投手をやりたがっている平良海馬投手を説得の末に抑え投手に配置転換、外国人投手もラミレス投手・ウィンゲンター投手を獲得しました。
 また、野手の起用も(前項の「三塁手」を除いては)「守備力の高い選手」を積極的に起用していました。長谷川信哉選手や滝澤夏央選手は「打率」や「OPS」を見れば物足りない選手だったかも知れませんが、守備で何度もチームの危機を救ってくれました。



 「打てない」から「守備を重視」というのは一見すると矛盾しているように思えるかも知れませんが、私は非常に「合理的」だと思いました。

 2025年シーズンの西武ライオンズの武器は、間違いなく「先発投手」陣だったからです。
 今井達也投手、隅田知一郎投手、武内夏暉投手、渡邉勇太朗投手らに加え、高橋光成投手や與座海人投手もまだまだ老け込む年ではないし、菅井信也投手のように若手の有望株もいました。平良海馬投手を「抑え」に回しても余裕があるくらい、前評判も「先発投手だけなら12球団屈指」だったと思います。

 しかし、これだけの先発投手を揃えていても、2024年シーズンは「エラーで負けたり」「中継ぎ・抑えが打たれて負けたり」という逆転負けが非常に多かったのです。せっかく先発投手はいいのに、他の全員が足を引っ張ってる状況でした。


 なので、「エラーをしない野手」「逆転されない中継ぎ・抑え」を整備したのです。


 実際、6月の交流戦終了まではかなり頑張っていて……4位ではあったものの37勝31敗で「貯金6」、リーグ戦再開直後の「上位陣との直接対決」次第では1位・2位まで狙える位置ではあったんですね。

 そう、夏が始まる前までは……


 【西武】今井達也が熱中症 27日の日本ハム戦で4回途中降板

 上位を叩く大一番になる予定だった6月27日、エースの今井達也投手が熱中症で崩れ落ちるようにマウンドを去るという出来事が起こりました。
 ここからチームは大失速、今井達也投手はその後も体調が戻っていないのが明らかな投球が続き、隅田知一郎投手も7月以降は本来の投球ができなくなります。野手陣も、そこまでずっと出ずっぱりだった若手に疲れが見えて打てなくなり……

 7月は5勝15敗1分と、一気に「借金10」を作ってそれまでの貯金を吐き出してしまいました。



 世界中の夏が温暖化によってどんどん暑くなっている現状、ドームと言いつつ屋根が付いているだけだからエアコンもない本拠地:西武ドームは、夏になるとサウナ状態になります。他チームの選手も「夏場の西武ドームで試合したくねー」と思っているかも知れませんが、ライオンズの選手は全試合中の半分くらいは西武ドームで試合をしなくちゃならないのです。疲労が他チームの選手の比ではないでしょう。

 また、本来チームを支えるべき「ベテラン選手」がFA移籍などで抜けているライオンズは、選手層が「若手」に極端に偏っています。
 勢いのある若手の台頭で4~6月までは戦えていましたが、そうした選手達が疲れてきたり、スランプに陥ったりしたとき、「代わりになる選手」がいなかったんですね。


 身も蓋もない言い方をすれば、「選手層が薄すぎて夏場を乗り切れなかった」んです。





 今井達也投手がメジャーリーグに移籍して、平良海馬投手が再び先発投手に戻った2026年シーズンは……恐らく「1点を守り勝つ野球」は出来ないでしょう。昨年の勝ちパターン投手から、平良投手と山田投手がいなくなり、ウィンゲンター投手も離脱しましたからね……

 どうせ「1点を守り勝つ野球」では夏を乗り切れないので、2026年の西武ライオンズは「打ち勝つ野球」を目指して「打破」をスローガンにしました。FA宣言した選手や、助っ人外国人も多数獲得して、「選手層を厚く」している印象です。

 一見すると「西川愛也がいるのに同じポジションの桑原将志を獲るの?」とか「石井一成を獲ったのに外崎を二塁手に戻すの?」みたいに思うのですが、今のプロ野球は「レギュラー9人を固定して1年戦う」競技ではないので、1つのポジションに複数人置いて入れ替えながら戦っていくしかないと思います。去年の7月の惨状を見たら、そうするしかないでしょう。


 そう考えると、全体的には「前年で足りなかったもの」をちゃんと補うようにチーム編成しているんですよね。結果はどうなるかは分かりませんが、そこはちゃんと評価したいですね。



◇ まとめ

 数字だけ見ると、「5位だったな~~」ってシーズンでしたが。
 「良かった時期」と「悪かった時期」がハッキリしているため、「夢も希望もなかった2024年シーズン」よりかはマシだったと思います。2024年はレギュラーも固定できなかったのに対して、2025年は固定したレギュラーが疲れてきた途端に失速したのだから、一歩くらいは前身しているはず……


 しかし、佐藤龍世選手のくだりは未だによく分かりません。
 3月末の「3軍戦の視察」の時点で何か決定的な決裂があったのだろうと推察できるのですが、それならさっさとトレードで出しちゃって、代わりの外国人選手を補強すればよかったでしょう。
 交流戦前にトレードするとサインの問題とかあるから……と言っても、その3試合のために3ヶ月間も「佐藤龍世をどうするのか」を先送りにして負けがかさんだら本末転倒です。

 4~6月は割と勝っていたから補強に走らなかったというならもっと悪い。勝ってたと言っても、あの時点のライオンズは3~4位でしたからね。1位を目指すなら、「三塁手」を補強するべきだったでしょう。


 こういう真相、10年くらい経ったら誰かが答え合わせをしてくれないかな……


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