宇宙飛行士タイプの行き着くところ


 ※ この記事は2020年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2026年に移行した記事です


 お久しぶりです。

 この1ヶ月くらい、ほぼ『バンドリ』アニメの感想しか更新していませんでした。『バンドリ』に興味のない人からすれば「更新していないのも一緒」だったろうし、『バンドリ』アニメが終わったらどうなるの?このブログなくなるの?と思われたかもですが……

 別にこのブログにやる気がなくなったワケでも、体調を崩していたワケでもありません。ただ単に死ぬほど時間がなくて、ブログを更新できなかっただけです。とりあえず落ち着いてきたので、書きたいことが思いついたらぼちぼちブログ更新も復活させていこうと思います。


 さて、ほぼ更新していなかったこの1ヶ月間に私が何をやっていたかというと……



 ひたすらずっと


 エロ小説を書いていました。



 1月の末に「裏アカでエロ小説を書いたらブログの100倍以上のアクセス数になった」という記事を書いたのですが、その際にとある人から「今すぐ創作活動の全リソースをエロ小説にかけるべきでは」とアドバイスをされました。
 とは言え、当時は「ブログの毎日更新」と「週イチでTwitterに漫画をアップロード」していたのでそれは出来なかったのですが、それが一段落した3月後半から全リソースを注ぎ込んでエロ小説を書いていたんです。


 相変わらずものすげーアクセス数で、ブクマ数も更新ボタンを押すたびに増えていって、その投稿サイト内のランキングとかにも載っちゃったりしたのですが……その中でも一番やる気になったのが、エロ小説好きな人達は私にものすごく温かい感想を送ってくださるんですよ!

 「ものすごい作品です」
 「私も小説を書いているのですが、この作品には遠く及びません」
 「これを書くのは大変でしょうし、無理のない範囲で更新してください」等々……


 もちろんね、このブログだって、漫画を描いてキンドル本で出した時だって、ゲーム実況してる時だって、温かい感想を送ってくださる人はたくさんいます。それがなかったらこんなに続けてこられなかったし、それは忘れちゃいかんと思うのですが……
 温かい感想と8:2くらいの比率で、「死ね」「あほ」「ゲームが下手だなんてウソじゃないですか」みたいな罵倒の言葉もどうしても浴びせられてくるものなんです。100人中100人に喜んでもらうことなんて出来るワケがないから、インターネットってそういうものなんだと心を殺して受け入れてきたのですが……

 エロ小説のアカウントの方だと、10:0でみんな褒めてくれるんですよ!
 アクセス数は100倍とかなのに!

 こんなユートピアみたいな世界が、インターネットの中にあったのかと驚きました!
 誰も傷つかないし、誰にも傷つかれない、優しい世界……それがエロ小説界隈だ!


 罵り合うインターネットに疲れた人達は、みんな、エロ小説の世界に行こう!



 「いつも罵倒されてばっかのやまなしさんが、裏アカで書いているエロ小説ではどうして温かい言葉ばかりかけてもらっているのか」とか、「何をやっても目が出ない人間のクズなやまなしさんが、どうしてエロ小説だけはそんな絶賛されているのか」とかの理由は、自分の中では分かっているつもりなんですけど……それはまた、いつかどこか別の記事で書くことにしましょう。


-2026年追記-
 この話、私の記憶が確かならば結局どこにも書いていなかったと思うので、追記で書こうとしたのですが……ものすごーーーく長くなっちゃったので、後日別記事にしてアップします。




 エロ小説は今後もライフワークとして書き続けますけど、それはあくまで裏アカの話なんで……ブログや漫画もそろそろ再開せねば。ということで、ずっと書きたかったのに書く時間がなかった話題を書きます!



 そうだ、任天堂・宮本茂さんに聞いてみよう──ビデオゲームのこの40年、マリオと任天堂の“らしさ”と今後【インタビュー】

 これは確か、元々はNintendo Switch3周年の際にファミ通に掲載された宮本茂さんのインタビューで、WEBには2週間遅れで掲載されました。

 このインタビュー記事がWEBに掲載されたころ、私はものすごく落ち込んでいました。
 「小説家になろう」にアップした『だれもカノジョのカオをしらない』が、まぁビックリするくらい読まれなくて……
 元々同じ作品をLINEノベルでアップロードした際も思ったほど読まれなかったのですが、「でもまぁ、LINEノベルなんて利用者が少ないからな」と自分に言い聞かせて、もっと利用者の多い場所にアップすれば読まれるはずさと思っていたんです。そしたら、「なろう」では「LINEノベル」以上に読まれなくて。読まれない以上に、ブクマ数とか評価とかも散々だったんですね。

 流石にちょっと「自分には才能がない」と落ち込みましたし、もっとたくさんの人に読まれるためには「人気のジャンル」とかにも手を出さないといけないかなぁと考えるようになりました。読まれるために「異世界転生モノでも書いてみようか」とか考えたりして、でもそれを考えること自体が楽しくなくて。


 んで、この宮本さんのインタビューを読んだ際に、忘れていたものを思い出したんです。

<以下、引用>
宮本「でもホントによくわかる話で。“売れるもの”を作ろうとすると、いろいろな失敗がありますよね。
 売れるものを作るより、自分がおもしろいと思うものを信じて作るということがいちばん大事で。売れるものを作ろうとすると、どうしてもどこかにあるものになってくるんですよね。競争の中で作るととくに。

──世間にはホントかウソか、「こういうものが売れるんだ」という情報も多いですね。

宮本「僕はCEDECでも何度か講演をしているんですけど、そういうことを言って、のびのびとした現場のクリエイティブを抑え込んでいるのは経営者や営業だという話をしています。現場ののびのびとした発想に任せず、「こういうものにしたら売れる」なんて言うから、出来上がったものが世間にありそうなものになってしまうと。
 でも、ありそうなものって売れませんよね(笑)。だから、見たことがないものを作るのが任天堂なんです。

――中略――

宮本「さきほど言ったように、近所のおじさんおばさんや、自分の孫といっしょに『ポケモンGO』を遊んでいるのが、いまはすごく快適ですね。なんでしょうね? 人の作ったゲームをこんなに遊ぶのは久しぶりだと思います。」

──きっかけはお孫さんとのことですが、それほどまでに入れ込んでいる理由はなんでしょう?

宮本「ずっと昔から、おもしろいと思うものを作り、それが「おもしろくない」と言われたら、「なぜおもしろさが伝わっていないのか」を考えるということをけっこう大事にしています。それはお客さんの声を聞くのともまた違い、「お客さんがなぜ理解してくれないか」ということに対していろいろなアプローチをするんです。それはもう、わりと作りかたの基本にしていますので。」

──原因は、伝えかたにあると。

宮本「はい。ですから人の作ったものを楽しんでいると、“自分自身がものを理解していく過程”というのがわかりますし、そこからお客さんの立場で「こういうことを喜び、こういう手順で理解していく」ということをみずから経験すると、「まだまだ未熟だな。自分で今度この技をどこかで使ってみようかな」と思うんですね。」

──そういう風に思われるんですね。

宮本「だってね、うちのヨメはゲームをほとんどしません。「『テトリス』くらいなら遊ぶかな」とウチに置いておきましたけど、それすら遊ばなくて。だから僕の作ったゲームなんか、もう歯牙にもかけずにいる。でもそういう人が『ポケモンGO』を一所懸命やっている姿を見ると、「ああ、人ってこういうもんだよな」とあらためて思いますよね。」

</ここまで>
※ 改行や強調など、一部引用者が手を加えました


 「中略」をはさんだ前後は全然別の話なので、まずは前半から。
 「自分がおもしろいと思うものを信じて作る」こと、そして「売れるものを作ろうとすると、どうしてもどこかにあるものになってくる」こと。

 自分の作品がちっとも読んでもらえなくて、「じゃあ、小説は異世界転生モノを書いてみようか」とか「じゃあ、Twitterにラブコメ漫画を描いてみようか」と考えてしまったりもしたのですが――――「今あれが人気だから」という表象的な理由で、そこに飛び込んで作っても「それに似たもの」にしかならないんですね。


 んで、私は思い出したんです。
 どうして漫画を描いているのか、どうして小説を書き始めたのか―――――


 それは、「自分が生み出さなくては誰も生み出してくれない作品」を生み出すためだったんじゃないかと。「人気の作品」に似たものを作るくらいなら、それは別に自分が作らなくてもイイんですね。

 これはきっと、この記事に書いた……世の中には「一つの作品を骨の髄までしゃぶり尽くす天文学者タイプ」と「いろんな作品を全部網羅しようとする宇宙飛行士タイプ」がいるという話に通じるんです。
 私は典型的な「宇宙飛行士タイプ」で、私には「誰よりもこの作品を知っているし愛している」みたいな作品がないし、私には「誰にも負けないくらい遊んでいるゲーム」とかもありません。その代わり、色んな作品を知っていたいし、なるべく食わず嫌いはしたくないんです。

 例えば……この町にラーメン屋さんが7軒あったとします。
 私は「全部のラーメン屋さんに行ってみたい」と思うんですよ。2軒目あたりで「ここがもう1番でしょ! 俺もうここのラーメンさえ食べられれば他のラーメン屋は要らない」と思うところに出会えたとしても、残りの5軒も一応行ってみたいのです。「あそこクソまずいらしいよ」という評判であっても、本当にクソまずいのかを確認したいし、実際に行ってみたら俺には美味いかもと思うのです(※1)

(※1:これは分かりやすくするための例え話であって、実際のやまなしさんはスーパー味音痴なのでここまで食にこだわりはありません)


 だから私、「変な漫画」とか「変なゲーム」も大好きですし、『プチコン』みたいに「ユーザーが作ってアップロードしたゲームを自由に遊べるソフト」だったらアップロードされたゲームを全部遊びたいって思っちゃうんですね。

 んで、その果てにたどりつく究極的なとこが「もう自分で作っちゃえ」なんですよ。世の中の作品を片っ端から網羅していって、でも「こういう作品があったらイイのに、ないんだよなぁ」と思ったら、自分で作っちゃえばイイんです。

 ラーメン屋の例えで言うなら、7軒全部食べた上で「その7軒ともちがう味が食べたいから自分で店を出すわ!」というのが私にとっての創作活動だったんです。
 「エロ本を買いに行く漫画」とか「トイレに並ぶだけの小説」とかだって(少なくとも私の知る限り)他にはないから私が書かなくちゃと思った作品ですし、『マンガは描ける』だって世の中の漫画入門書とはちがうアプローチのものがあればイイのにと思って書いた本です。

 見たことのないものを作りたいから、創作活動なんかやっているんだ―――


 だから、「じゃあ、小説は異世界転生モノを書いてみようか」とか「じゃあ、Twitterにラブコメ漫画を描いてみようか」みたいなことではモチベーションが上がらないんですね。そういう作品が既にたくさんあることを「レッドオーシャン」と言いますけど、競争に勝てないからやる気が起こらないとかではなくて、「別に私が書かなくても既にあるならそれ読めばイイじゃん」ってなっちゃうんですね。



 ただ、それは別に「異世界転生モノの小説」や「Twitterのラブコメ漫画」を描いている人達をdisっているワケじゃなくて……
 「異世界転生モノの小説」をたくさん読んでいる人だったら、「異世界転生モノの小説」の中でも「何故かこういうアプローチの作品ってないんだよなぁ」と思って新しい異世界転生モノの作品を生み出すことは出来ると思います。「Twitterのラブコメ漫画」もそうです。そのジャンルに詳しい人ほど、そのジャンルの他作品にないものを見つけて新しい作品を生み出すことが出来ると思います。

 世の中のゲームに恐ろしく精通している桜井政博さんが、『カービィ』や『スマブラ』を作れたみたいな話です。

 でも、私は「異世界転生モノの小説」や「Twitterのラブコメ漫画」に全然詳しくないので、私がそれらを描いても「今人気のそれに似たもの」にしかならなくなっちゃうということです。その点、私エロ小説には詳しくて、そのジャンルの小説を検索して片っ端から読んでいたので、「どうしてこういうアプローチの作品ってないんだろう」と思って書いてみたら「よくぞこんな作品を書いてくれました!」と言われるようになったという。


 つまり、「見たことがないものを作る」のは大事だけど、「何も見ていない人が見たことがないもの」じゃ意味がなくて、「ある程度たくさんのものを見てきた人の見たことがないもの」だからこそ価値があるのかな―――と思うのです。





 でも、そうして生み出した作品が全然読まれないのは落ち込みますよね。
 『だれもカノジョのカオをしらない』だって、「美少女しかヒロインになれないライトノベルへのアンチテーゼ作品」として私は「見たことがないもの」だと思うし「自分がおもしろいと思うもの」だと信じているのですが―――なのに読まれませんでした。「自分には才能がない」と落ち込みました。

 その答えが、宮本さんのインタビューの「中略」の後半です。

 「それが「おもしろくない」と言われたら、「なぜおもしろさが伝わっていないのか」を考える」ことと、「「お客さんがなぜ理解してくれないか」ということに対していろいろなアプローチをする」こと。
 俺の作品はこんなに面白いのに、どうして読んでもらえないんだろうという時に……「実は面白くなかったのでは?」と考えるのではなく、「どうして面白さが伝わらなかったのか」と考えると良いんだと思ったのです。


 実はですね、『だれもカノジョのカオをしらない』は最後まで読んでくださった人には「面白かったです」と言ってもらえたのですが(そりゃ面白かったから最後まで読んでくれたんでしょうけど)。LINEノベルの各話ごとの閲覧数を見ると、1話か2話で読むのをやめている人がほとんどだったんですね。

 つまり、「先が気になるから続きも読もう」と思わせるだけの“つかみ”がなかったんです。せっかく面白い作品なのに、“つかみ”が弱いから面白さが分かる前に読むのをやめられてしまう―――――私が気にするべき反省点は「異世界転生モノを書こう」とかじゃなくて、その“つかみ”の部分だと思うんです。


 次回作は、「どうしたら続きも読んでもらえるのか」から考えていこうと思います。

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