※ この記事は2018年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
3ヶ月に1回、「その季で一番気に入っていた作品」の一本だけに絞って書いているアニメ感想まとめです!
2018年の冬アニメは大豊作のシーズンで、その中から一本を選ぶというのは心がつらかったですし、これを書き始めている日曜夜の段階ではまだ最終話を迎えていない作品も多いのですが……ブログの更新スケジュール的な問題もあって、全作品の最終話を待たずに書いてしまいます!<ルール>
・1話から最終話までの感想ツイートを貼り付け
・“最終話まで観終わっている”現在の自分のコメントを補足
・なので、基本的に最終話までのネタバレを含みます
・「まとめ」という記事タイトルですけど、まとめるのは「私の感想」だけです。「みんなの感想」をまとめるのが目的の記事ではありません
・私はまだ原作を読んでいないので、コメント欄などに原作のネタバレを書き込むのはやめてください
・思うがままに書いた感想なので、ところどころに間違いがあったりするでしょうが優しく許して下さいな
【第1話】ふじさんとカレーめん
『ゆるキャン△』第1話視聴。面白かったー!絵も曲もオシャレなOPに始まり、徹底して静かに淡々と進むAパートも良かったし、そのタメがあったからこそのBパートの「夜だからこそ見られたあの景色」の破壊力も増した。次回予告パート(?)の漫才も面白かった。関西弁キャラは豊崎さんか。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月4日
他の記事にも書いたんですけど、『ゆるキャン△』の第1話って「第1話学」として考えるとすごいと思うんですよ。『ゆるキャン△』第1話その2。なでしこは、きらら伝統の「アホのこ主人公」ってカンジで可愛かった。花守さんの声はやっぱこういうキャラが合うな。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月4日
第1話はほぼ2人しか出てこないと割り切っていたけど、その2人が魅力的なキャラだったのでこれで良かったと思う。今季の安心して観られる枠になりそう。
普通アニメの第1話って、メインキャラをかたっぱしから出して、そのキャラ達を説明して、設定を説明して、これからの展開を感じさせて……と、伝えなきゃいけないことがたくさんあるのですが。このアニメの第1話Aパートって、リンちゃんが一人でテント立てて、本読んで、寒いから薪を拾ってきて、火を起こして……と、情報量がめっちゃ少ないんですよ!
これは後の監督のインタビューでも触れられていて、「すごく悩んだ」けど「特に喋らなくてもキャンプしているだけで楽しいということを観ている方にも感じて欲しくって。あえて、原作よりもキャンプ描写を少し膨らませて入れています。」とのこと。
私みたいにアニメの第1話を14作品とか観る身からすると、「情報量の多い第1話」ばかりの中、この作品の第1話が逆に目立ったんですね。安心して観られる1作だなーと。だからこれは、大成功だったと思いますね。
【第2話】ようこそ野クルへ!
『ゆるキャン△』第2話視聴。すっかりハマってしまった。その後も日常系アニメはたくさん観ているはずなんだけど、ここまでの多幸感を味わうのは『けいおん』以来かも知れない。それもきっと、このなでしこという「何をしてても楽しそうにしている主人公」のおかげだよなー、花守さんの声にも合ってる
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月12日
第1話で「ソロキャンプをしているリン」に出会って、自分もキャンプしてみたいとなでしこが野クルを訪れる回です。主人公が部室を訪れてメインキャラが出揃う―――ということで、普通の部活アニメで言えば第1話にあたる回です。『ゆるキャン△』第2話その2。第1話で出会ったなでしことリンがどう再会するのか―――というのが2話のポイントなんだけど、その過程で他3人のキャラも描けて盤石。テンポとか色使いとか、視聴者の情報を上手くコントロールする構成とか、何もかもが自分好みでヤバイ。あと、犬も超かわいい。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月12日
が、この回もBパートはリンちゃんがひたすらソロキャンプをするという(笑)。
でも、「騒がしい野クルのAパート」と「リンちゃんが一人でまったりキャンプするBパート」を続けて描くことで、「みんなで集まってキャンプするのって楽しいね!」と価値観を一つに限定するのではなく、「みんなでやるキャンプも一人でやるキャンプも、それぞれ別の魅力がある」と、この作品の根底にあるものが視聴者にも伝わったんじゃないかと思います。リンちゃん、一人でも超充実した時間を過ごしていますもの!
……なんだけど、そのソロキャンプになでしこがやってきて第3話へ。
【第3話】ふじさんとまったりお鍋キャンプ
『ゆるキャン△』第3話視聴。2人で囲む鍋、その後に静まるキャンプ場の夜、朝露を照らす日の出の光、そっと忍び込むテント――特別にドラマチックな出来事があるワケでもない。でも、日常にあるちょっとした「特別」感に、確かに人の心が動く瞬間があって、そうしたものを丁寧に描く。いや~、凄い。圧巻
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月18日
『ゆるキャン△』第3話その2。なでしこは「崩れる物置」に象徴されるように「後先考えない」コで、だからあんだけの情報でリンに会えると思ってキャンプ場に来ちゃうんだけど―――リンが嫌がることに踏み込みはしないんだよね。「視聴者が不快なことはしない」昨今のトレンドに合わせた進化型アホのこだ
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月18日
この回も大好きな回です。『ゆるキャン△』第3話その3。リンの眺める写真が、一人で撮ったときのものから少しずつなでしこと一緒に撮ったものになっていくことで、少しずつリンの中のなでしこの存在が大きくなっていることが分かって…からの最後のシーンなのもイイなぁ。全部のシーンが好きすぎて語り尽くせない。良いアニメだ
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月18日
あと、繰り返しになっちゃいますけど、なでしこの他人との距離のとり方が絶妙だなーと思うんですね。同じ「アホな子」主人公でも、『けいおん!』の唯とか、『ごちうさ』のココアとか、『がっこうぐらし!』のゆきちゃんとかは、もうちょっと図々しく相手のパーソナルスペースに入ってきちゃうんですよ。なので、相手になるキャラが「ツンデレ(クーデレ)っぽい後輩」が定番になるんですけど。
なでしこもリンも、そういうキャラの定型からはちょっとズレていて……「アホな子」であっても、なでしこは他人に気が遣えるし。「クーデレ」であっても、リンは頬を赤らめてデレデレしたりはしないし。漫画のキャラ・アニメのキャラであっても、生々しく「実際に生きていそうな人間」として描かれているんですよね。
そこが、「またこのパターンか」と思わせないこの作品の魅力だったのかなぁと。
【第4話】野クルとソロキャンガール
『ゆるキャン△』第4話視聴。あれだけ時間かけて「夏用シュラフで寒さを乗りきれる方法」を模索しておいて、最終的な結論が「冬用シュラフを買う」だったのかw しかし、そこらからいろんなものもらってこれるって、体力もそうだけどコミュ力がすさまじいよな、なでしこって。今週も天使でした。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月25日
『ゆるキャン△』第4話その2。ベタな展開だったら、「野クルとリンちゃんがたまたま同じキャンプ場で鉢合わせ」みたいなことにしかねないんだけど。この作品は「それぞれが別の場所でキャンプしている」「LINEでそれを報告し合っている」という緩いつながりなのがイイよね。みんな好きなことをやる青春
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月25日
今季のアニメは、同じきらら系の『スロウスタート』の「自分の思った道に進めなくても楽しいことがあるんだ」とか、『宇宙よりも遠い場所』の「性格が悪くても、世間からはみだされても、そこに青春はあるんだ」とか―――「こうしなければいけない」という重圧からの解放を描いた作品が目立ったと思うんですね。多種多様な生き方があるというか。「きみは○○が得意なフレンズなんだね!」もそうですが、昨今のトレンドなのかなぁと。『ゆるキャン△』第4話その3。『宇宙よりも遠い場所』もそうなんだけど、「私達は親友だからいつも一緒にいようね!」みたいなのではない「それぞれがやりたいことをやって」「でもSNSでつながってるよね」という関係性がトレンドなんだね。それがすごく心地よい。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年1月25日
『ゆるキャン△』も「友達同士は常に一緒にいなければならない」みたいな価値観から脱却して、「別に一緒にいなくてもLINEでいつでも連絡とれるからイイよね」と描いているという。これ、『けいおん!』の終盤で「離れ離れになりたくないから一緒の大学に進んだ」のから考えると、随分と変わったと思うんですよ。
リンちゃんは「大垣……苦手なんだよなー」とアキちゃんのことを最後まで苦手に思っていて、最終話のなでしこの妄想の中でも「アキちゃんの話を無視するリンちゃん」が描かれていて(笑)。でも、それでイイんだって描いているんです。
【第5話】二つのキャンプ、二人の景色
『ゆるキャン△』第5話視聴。1週間『ゆるキャン△』を楽しみに生きているほどなのに、そんな風に上がったハードルを軽々と越えてくる圧倒的な尊さ…
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月1日
特別なことが起こっているワケではないし、なでしことりんちゃんは別の場所にいる。でも、離れている2人がお互いのおかげで成長していく様が美しすぎる
『ゆるキャン△』第5話その2。「暗い森が怖い」と言っていて、実際に第1話ではそれで帰れなかったなでしこが、りんちゃんのために暗い森を一人で抜ける!りんちゃんも自分が観た風景をなでしこに届けようとする!
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月1日
いる場所はちがう、見てる景色もちがう、でも2人は今おなじ気持ちでいるんだ―――
第1話からこの作品のことを「面白い!」と推していたのだけど、それはやっぱり「キャラが好き」とか「この作品にしかない魅力がある」みたいなところが大きくて。真の意味で、「この作品……トンでもなくない?」と思ったのはこの第5話です。『ゆるキャン△』第5話その3。とまぁ、クライマックス→EDと最高だったのだけど……そこだけじゃなくて、全編にわたってテンポよく展開されるギャグと旅情とキャンプ知識と、風景と音楽と。圧倒的なクオリティだった。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月1日
C-Stationなんて会社、申し訳ないけど完全ノーマークでしたよ……恐るべし。
第5話って割と息切れが始まるタイミングだと思うんですよ。
どの作品も第1話はもちろん気合入れて全力で作る。「3話切り」をされないためにも第3話も力を入れたエピソードを入れてくる作品も多い(『ゆるキャン△』も3話すごかったと思います)。最近では「4話一区切り」にしてくる作品も多くて、第4話に最初の山場が来ることもある。
圧倒的なクオリティを全話通して維持するのなんてそうそう出来るワケじゃないので、5話目くらいに「作画のクオリティが若干落ちる回」とか「他の制作会社が作る回(グロス回)」が来てもしょうがないのだけど……第5話にこのクオリティのものを持ってくるとは!グロス回の8話は若干作画が怪しかったですけど、全体的にずっとクオリティ高かったですねー。
京アニとかA-1とかじゃないんですよ。
申し訳ないんですけど、C-Stationなんて制作会社は聞いたことがなくて、監督も初監督作品ですし、アニメが始まる前は「そこそこ楽しめたらイイなー」くらいの気持ちでしたよ。そこにきて、この第5話で「この会社も、この監督も、今後ずっと注目していこう!」と記憶に刻み込まれました。
【第6話】お肉と紅葉と謎の湖
『ゆるキャン△』第6話視聴。斉藤さんは何故こうまで、なでリンをくっつけようとしてくれるのだろう。ありがたいけど!実際、買い出しのシーンなんかを見るに、この二人は互いに足りないものを補い合えるので良いコンビだと思うんだよね。百合とか抜きでも。その辺を考えてるのか、何も考えてないのか
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月8日
「離れててもつながっている」は、なでしことリンが一番分かりやすく描かれますけど……この回で、斎藤さんに背中を押されたり、あおいちゃんとスーパーで遭遇したり、お姉ちゃんに車で送ってもらったり。アキちゃんはリンおじいちゃんに肉をもらったり。作品全体を通して、いろんなキャラで描かれているんですよね。『ゆるキャン△』第6話その2。何をしてても楽しそうで、何を食べてても楽しそうななでしこが、唯一苦手なのが「夜の闇」だということを考えると……次週は「互いに補い合える」の更に向こうを描いてくれそう。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月8日
しかし、第1話のアバン以降、頑なに5人が揃わないんだなぁw これがハイライトになるのか。
キャンプに行く前のなでしこがあおいちゃんに会って「写真いっぱい撮ってくるね!」と言うのって、この作品らしいなって思うんですよ。「イイなぁ、私も行きたかった」とかじゃないんですよね。「楽しんできてねー、写真見せてねー」なんですよ。楽しいことはシェア出来る、というかね。これがSNS時代の人間関係なのかーと。
【第7話】湖畔の夜とキャンプの人々
『ゆるキャン△』第7話視聴。二つのテント、別行動、ちがう帰りルート……これらが象徴するように、なでしことリンちゃんは常に一緒な仲間というよりかは「別方向を向いている」関係性なんだよね。でも、ボートの上からなでしこがリンちゃんを呼ぶように、それでもつながってるよねと徹底して描く。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月15日
この辺りから、すっかりなでリンが夫婦っぽくなって……『ゆるキャン△』第7話その2。先週のスネークがまさかのチョイ役じゃないとか、今週の二人(姉妹?)の片方が先生として再登場するっぽいとか。世間は狭いというか、特定地域で冬キャンプやっている人は限られてるってことなのかな。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月15日
しかし、なでしこのコミュ力はすごいし、いいお嫁さんになりそう。
食費がかさむことに目をつむれば、料理上手で、気配りができて、コミュ力も高くて、いつだって前向き思考と―――ホント、いいお嫁さんになると思いますよ、なでしこは!どうですか、リンちゃん!
という百合ヲタの戯言は置いといて、この「互いに足りないものを補い合える関係」ってイイよなーと思うんですね。アニメの1クールを通して、なでしこはリンちゃんのおかげでいろんな楽しいものに出会えたし、リンちゃんもなでしこのおかげで救われた場面が何度もあった。こういうのを見越して、斎藤さんはなでしこをけしかけていたのかな。
【第8話】テスト、カリブー、まんじゅううまい
この作品の中では「作画が厳しかった」と言われるグロス回。『ゆるキャン△』第8話視聴。OPのヒゲ回収。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年2月22日
高校生でアウトドアやろうって言ったら、やっぱりお金が一番のネックだよね……このアニメ、その辺のこともしっかり描いているから、一つ一つの道具も大事に見えてくる。しかし、今からなでしこバイト始めてもバイト代入るとこまでアニメやりそうにないなw
しかし、背景はすさまじいんですよね、この回……アウトドアショップに行くので。
この辺の時期に話題になっていたことで、自分も近いことを感想でつぶやいていたので、ここでもちょっと触れておこうと思います。『けいおん!』の頃とか、ラノベとかギャルゲーとかだと、メインキャラの中にすごいお金持ちの家の子がいて、その子の別荘に行くみたいな話がよくあります。それが別に悪いワケじゃなくて、そうした作品の「キャンプ回」は特別なイベントだからそういう御都合設定を使うのもイイと思うんですけど。
でも、『ゆるキャン△』は言っちゃえば「キャンプ回」が日常の作品だから、そこにはなるべく御都合設定を使わずに、バイトでお金を貯めたり、安いテントでしのいだり、節約して買った食器の手入れに苦戦したりという「現実に出来そうな方法」でキャンプをしているんですね。
別にどっちが優れているとかじゃなくて、作品の方向性としての話。
この回でなでしこが「欲しい」と思って買えなかったガスランプを、(アニメの中では描かれなかったバイトを一生懸命やって)最終話で買っていたことが「成長」を象徴しているんですね。そうしたものを大事に描く作品なんだよと。
【第9話】なでしこナビと湯けむりの夜
『ゆるキャン△』第9話視聴。しっぺい太郎!『うしおととら』で読んで知っている話だ……アニメではカットされたんだっけ。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月1日
しかし、こちらのアニメはこういう地味な話もしっかりアニメになってて、ちゃんとムチャクチャ面白いんだから幸せなアニメよなー。あおいちゃんの妹がしれっと出てた。かわいい
クライマックスの「クリスマスキャンプ」の前に、リンちゃんのソロキャンプをなでしこ達がサポートする回です。この二局面を並行して描くのが楽しかったですねぇ。リンちゃんパートは旅のドキドキとワクワクがあって、なでしことアキちゃんパートはコメディとしてキャッキャと笑えて、その2つが緩くつながっているのが良かったです。『ゆるキャン△』第9話その2。ノープランで進んだら通行止めになってて、そこに登山予定のお姉さんがいて他愛もない話をしてほうじ茶をもらう―――なんて真っ先にカットされそうなシーンなのに、このアニメはそれを大切に描くんだよな。予定にないところに面白さがある。アキちゃんのほうとう作りとかも
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月1日
原作付きのアニメはどうしても「この話数でここまで描かなきゃ」という尺との戦いになりがちで、原作の「なくても構わないシーン」「削ってもギリギリ話が分かるシーン」をカットするしかなくて……『うしおととら』のしっぺい太郎の話は、まさにアニメでカットされちゃった話なんですよね。
今季のアニメで言えば、『りゅうおうのおしごと!』なんかも原作からカットされた場面が多くて原作ファンからの怒りの声をよく目にしたのですが……
芳文社原作のアニメって、毎季のように何かしらが放送されていると思うんですけど、「このタイミングで原作のここまでアニメ化すればちょうど一区切りになるぞ」って過不足ないアニメ化になることが多くて、そういう不満を聞くことがあんまりないなーと思います。そういうのも全部計算してアニメ化するタイミングを決めているのでしょうか。
【第10話】旅下手さんとキャンプ会議
『ゆるキャン△』第10話視聴。とうとう第1話のアバンにつながった!「アキにしてはいい買い物を」のくだり。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月8日
ということで、リンちゃんが野クルのキャンプに参加するのは分かっていたけど、ソロキャンパーの彼女がそうする理由を1クールかけて丁寧に描いたなぁ。リンちゃんを落とすまでの3ヶ月だった。
「LINEのようなメッセージアプリを使うアニメ」はちょっと前からあった(2014年の『結城友奈は勇者である』とか)のですが、2017年は『月がきれい』とか『Just Because!』とか「LINEでの会話シーンがストーリーの中核をなしている」アニメが立て続けに出てきました。『ゆるキャン△』第10話その2。この1年、LINEを使うアニメを立て続けに見てきたのだけど…単に「現代の高校生ならLINE使うよね」ってだけじゃなくて、LINEでつながれているから常に一緒にいなくてもイイと、別の場所で好きなことをしながら仲良くなっていくという…ならではの人間関係が描けていたなぁ
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月8日
作品を作る側からすると「その時代にしかないもの」をストーリーに組み込むと、それが廃れた後の時代には意味が通じなくなるから二の足を踏むところがあるんです。例えば、今ガラケーを使っているアニメに「今更wwwガラケーかよwwww」みたいにバカにする人がいたり、ポケベルとか公衆電話が出てくる昔の歌詞をバカにする人がいたりしますし。
なので、私は「今の中高生はLINEを使っているから」と言って無理に作品内でもLINEを使う必要はないと思っています。別に、作品の中の時代が、常に現在である必要はありませんしね。
というのが私の基本スタンスなんですけど……『ゆるキャン△』は、電話ともメールともTwitterともちがう、LINEでしかありえない人と人の距離感をうまく描いていて。それがこの作品の「一人キャンプも、みんなでやるキャンプも、それぞれ別の楽しさがあるよね」というメッセージにすごくマッチしていたと思うんです。
LINE時代だからありえる話というか。
みんなで部室に集合していなくてもつながっていられる時代の作品というか。
【第11話】クリキャン!
『ゆるキャン△』第11話視聴。高原で、子犬と、居合わせた子どもたちと一緒に、フリスビーで遊ぶ、とか……何この、この世界の幸せを全部ギュッと集めたような展開は。そして、すき焼き!ゆったりとした幸せと、美味しそうなゴハンと、テンポの良いギャグと……このアニメの魅力が詰まった回だった。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月15日
自分で自分の書いた文章を取り上げるのはナルチシズムが過ぎるとは思うのだけど、この作品を“この世界の幸せを全部ギュッと集めたような”と表現したのは自分でもお気に入りです。この表現以上に、この作品を的確に表現できるものがあるのだろうか!『ゆるキャン△』第11話その2。もう来週が最終回なんだよね……へやキャンもなかった。寂しい。3ヶ月間このアニメを観ることが生きがいだった。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月15日
この作品、人と人とのつながり方を「こういうのでイイんだよ」と新しい形で見せてくれたのが良かったなぁ。なでしことリンちゃんの会話はなごむなぁ。
すっごい短い止め絵だったんですけど、子ども達とフリスビーで遊ぶシーンで、あおいちゃんが子どもを肩車しているのがすごい好きです。あの1枚だけで、どのくらい子ども達と仲良くなったかとか、どうやって遊んだのかとかが分かるし。あおいちゃんは妹いるお姉ちゃんだから、小さい子の扱いが上手いのかなーとか想像できるし。
なでしこがちくわと走り回っている間に子どもが一緒に走ってたというのもイイなぁ。幸せの極み。
【第12話】ふじさんとゆるキャンガール
『ゆるキャン△』最終話視聴。最後の最後のワンシーンまで多幸感につつまれたすさまじいアニメだった……観ている人が不快だったりつらかったりするシーンがほとんどないのに、しっかりずっと面白さが持続するのがすごい。『けいおん!』ですらギスギスしたり別れの寂しさがあったりしたのに。
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月22日
『ゆるキャン△』最終話その2。原作の展開をすっ飛ばして、いきなり春の姿を描いたCパート―――第1話のシチュエーションで、なでしこがあの時とはちがってて、ランプも買ってて、ただ姿が描かれるだけで「彼女の変化」が分かる見事な構成だった。そして、でも「あの時とつながってる」台詞も良かったなぁ
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月22日
「ポストけいおん」なんて言葉を使いましたけど、2018年の現在アニメを作っている人にそんな意識はないだろうと思います。『けいおん!』のアニメって2009~2011年ですからね。『ゆるキャン△』最終話その3。あとやっぱり「本当の意味でのポストけいおん」にようやくたどり着いたんだという感慨があった。あの緩くて幸せだった世界の後、いろんな作品がそこから変化させたものを描いたんだけど……同じ球筋で、それ以上の「緩くて幸せな世界」を見せてもらえるとは…!
— やまなしレイ(そせい1巻・12/17発売) (@yamanashirei) 2018年3月22日
でも、私の中では「これでようやく止まっていた時計が動き出した」感覚があったんです。
「人生ベスト1が書き換わった瞬間」というか……
『ゆるキャン△』のアニメですごいなーと思ったのは、最終回に「未来の姿」を妄想したなでしこのシーン。「未来に進むこと」も「別々の道に向かうこと」も、彼女はまったく悲観していないんですよ。「私達はずっと一緒だよね!」と言いがちな日常系アニメにおいて、「別に離れててもイイよね。たまにこうして集まってキャンプできれば」と最終回に描けるのがこの作品のパワーですよ!
だから、『けいおん!』(1期)の最終回は寂しくて仕方なかったんですけど……
『ゆるキャン△』の最終回は寂しくはありませんでした。
Cパートで描かれた「ちょっと未来の姿」。
バイトをして、ガスランプを買って、ソロキャンプをしようとするなでしこが―――同じくソロキャンプをしようとしていたリンちゃんとたまたま会うという。離れていてもこうして会える、だから寂しくないんだという未来を見せてもらった気がします。
きっと彼女達は、アニメが終わっても、これから先に原作が完結しても、どこかでキャンプをしていてその写真を送り合っているんだろうと思えるラストでした。
「晴れて、良かったね――――」
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