
<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
※ この記事は2017年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
・「誰が嘘をついているのか分からない」“人狼”風ゲーム
・愛すべき仲間たちと、主人公へのシンクロ率の高さ
・「一人称の物語」が「群像劇」に変わる極上の2周目
『トガビトノセンリツ』
・ケムコ
携帯電話用アプリ:2011年10月12日発売
Android版:2012年6月27日発売
iOS版:2012年11月7日発売
私がプレイしたのはWii U版で。
Wii Uダウンロード用ソフト:2013年10月2日発売
・サスペンスアドベンチャー
私がプレイしたのはWii U版で。
エンディング到達までにかかった時間は6.5時間でした
全エンディングをコンプリート、追加シナリオも全て読むのにかかった時間は約19時間
でした。
※ ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください
【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
※ 苦手な人もいそうなNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。
・シリアス展開:◎◎◎(容赦なくキャラが死ぬし、どのキャラも過去&家庭環境が壮絶) ・恥をかく&嘲笑シーン:△(仲間内での笑い合いみたいなのだけど)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:△(蔑視ではないけど、生理の話題は批判されることも)
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:○(文字だけだけどバラバラ死体になったりする)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:△(文字だけ&ギャグシーンだけど)
・百合要素:△(文字だけだけど女のコ同士の人工呼吸にドキドキするシーンはある)
・BL要素:△(BL要素はないけど、BL妄想するキャラは出てくる)
・ラッキースケベ:△(文字だけだし、エロさの欠片もないけど)
・セックスシーン:△(直接的な描写はないけど、……)
↓ここから1つめ↓
◇ 「誰が嘘をついているのか分からない」“人狼”風ゲーム
このゲームは、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』や『レイジングループ』で知られるケムコのノベルアドベンチャーゲームです。各地で話題沸騰中&大絶賛されている『レイジングループ』を私もNintendo Switch版の配信開始日に購入しているのですが、「最新作の前に積んでいる過去作をやらなければ!」と随分前に買っていたこちらを起動することにしました。
ケムコの近年のアドベンチャーゲームはそれぞれの作品で展開されている機種がちがうので、分かりやすくなるようまとめてみました。年は一番最初の機種で発売された年、「ガラケー」はスマートフォンではない携帯電話のことでフィーチャーフォンとも言いますね、「スマホ」はどれもAndroidOS・iOS向けのアプリで正確にはタブレット端末などでも遊べます。
・『鈍色のバタフライ』(2010年)
<ガラケー、スマホ>
・『トガビトノセンリツ』(2011年)
<ガラケー、スマホ、Wii U>
・『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』(2013年)
<スマホ、Wii U>
・『黒のコマンドメント』(2014年)
<スマホ>
・『レイジングループ』(2015年)
<スマホ、PS Vita&PS4、Nintendo Switch、PC>
この中で、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』は以前ウチのブログでも紹介記事を書いていますね。
(関連記事:『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』レビュー/ストーリーが面白いんだから、それでイイじゃないか!)
今日の記事で紹介する『トガビトノセンリツ』は言ってしまえばその前作です。ストーリーに繋がりなどは一切ありませんが、システムやUIはほぼ一緒です。私がプレイしたのはWii U版で、ガラケー版やスマホ版に比べて定価1028円と高価ですが、ガラケー版で有料追加コンテンツとして販売された3編と、スマホ版で新たに追加された有料追加コンテンツ2編が全て収録されています。
逆に言えば、「有料追加コンテンツが最初から入っているかどうか」以外には差はなくて内容は一緒みたいなんで、お好きな機種でどうぞ。ガラケー版は画質・音質が若干落ちるのと、追加コンテンツ2編買えないっぽいので、他の選択肢があるならそっちの方がイイかもですが。Wii U坂は「テレビ画面」「ゲームパッドの画面」両方に同じ画面が表示されます。
さて、ようやくゲーム内容の説明に入れます。
このゲームは、高校の管弦部(ただし楽器は弾かない)全員がキャンプに向かう道中で何者かに拉致されてしまい、閉鎖空間に監禁されて「プリズナー・ゲーム」という殺人ゲームへの参加を余儀なくされるというストーリーです。言ってしまえば“デスゲームもの”というジャンルですね。
「プリズナー・ゲーム」のルールを、なるべく簡単に説明するとこんなカンジです。
・10人の参加者を、くじ引きで5人の「看守」と5人の「囚人」に分ける
・5人の「囚人」には一人一人に別の“罪種”という能力や制限が与えられ、これは他人に明かしてはならない
・唯一全員に判明している罪種“殺人鬼”が誰なのかを探し出すのがゲームの目的
・“殺人鬼”が死亡すると、残った全員が勝利&脱出可能に
・「看守」が全員死亡しても、残った全員が勝利&脱出可能に(残るのは「囚人」だけだけど)
・“殺人鬼”は毎晩一人、同室になった「看守」を殺すことができる
・「看守」は看守全員の同意の元で、一日一人「囚人」を処刑もしくは釈放できる
・誤って“殺人鬼”を釈放してしまうと、残った全員が敗北→ 処刑される
『人狼』というゲームを知っている人ならば、『人狼』における「人狼」の役割が、こちらでは「殺人鬼」となっていると言えば分かりやすいですかね。
『人狼』とちょっとちがうところを言うと、『人狼』における「占い師」とか「狩人」といった特殊な役職が、こちらではどんな能力を持った何という“罪種”なのか分からないというのがポイントです。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
そこで重要なのは「夜間」の個室タイム。
「22時~7時」は必ず一人ずつ個室に入って朝まで過ごさなくてはならず、そこでは「看守」と「囚人」が壁を隔てた同室になり、機械音声での会話が可能です。ここでのみ「囚人」は自分の“罪種”を明かしてもイイので、「看守」はここで「囚人」から出来るだけ情報を聞き出して「誰が何という“罪種”なのか」「誰が“殺人鬼”なのか」の判断材料にしていくという仕組みなのですが。
一プレイヤーである主人公には、「誰と誰が同室になったのか」「みんなが本当のことを言っているのか」「みんなの目的が少しずつズレてきているんじゃないのか」が分からず、少しずつ少しずつ仲の良かった管弦部が歪んでいくのです。
『人狼』というゲームは、基本的には「人狼が誰か」を当てるゲームですが。
『トガビトノセンリツ』は、「殺人鬼が誰か」「他の囚人の“罪種”は何か」「昨晩は誰と誰が同室だったのか」「自分から見えているこのキャラは本当に真の姿なのか」……そして何より「どうしてこの主人公達はこのプリズナー・ゲームに巻き込まれているのか」と、推理すべきことが山ほどあるのです。
「なんだか難しそう……自分にはクリア出来ないんじゃないかな」と思った人もいるかも知れませんが、この「プリズナー・ゲーム」を攻略するのはアナタではなく主人公達です。アナタが出来ることは、たまに出てくる二択に答えることくらいです。
この二択も複雑な分岐をするところはほとんどなく、「間違った選択肢を選ぶとバッドエンド」「正しい選択肢を選び続ければTRUEエンド」というだけなので、選択肢が出てきたらセーブしておけばイイでしょう。バッドエンドを引いてもそこからやり直しできます。セーブは6つまでしか残せませんが、選択肢が出るポイントはさほど多くないし、「1日目」「2日目」と日にちの区切りから始めることも出来ますし、6つで事足りると思います(※1)。
(※1:余談ですが、「バッドエンド」収集を目指すなら1周目でなく2周目にやった方がイイです。後述しますが、2周目なら「他のキャラの行動やモノローグ」が追加されるので、主人公が何故死ななければならなかったが分かるので)
逆に言うと、『かまいたちの夜』みたいに「自分のプレイによって、これから起こる惨劇を未然に防ごう!」といったことは出来ません。ケムコのデス・ゲームものアドベンチャーゲームは「非マルチエンディング」―――つまりは「TRUEエンドは一つ」「それ以外はバッドエンド」というポリシーだそうで、惨劇は防げないんですね。
だから、アナタに求められるのは「ゲームの腕」ではないのです。
どんな惨劇があっても目を背けない「覚悟」です。管弦部の仲間たちが、少しずつ少しずつおかしくなっていって、犠牲者が出て、その犯人が誰なのか仲間を疑って、そうした惨劇の向こうにあるTRUEエンドまで挫けずに進む「覚悟」が必要なのです。
その「覚悟」がある人にはとてもとてもオススメな作品です。
私は『レイジングループ』の前に遊んで良かったと思いますし、あれだけ絶賛した『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』以上にこちらの作品が好きかも知れません。
↓ここから2つめ↓
◇ 愛すべき仲間たちと、主人公へのシンクロ率の高さ
それではこの作品に登場するキャラクター達を紹介します。
画像は全てWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用しています。

雪村 みこと。主人公と同学年の高2。
Wヒロインの一人で、くるみ曰く「きれいな人」。容姿端麗で「学園のマドンナ」「高嶺の花」とも呼ばれる正統派美少女です。看護師志望で、人が傷つくのがイヤで、そしてどうやら主人公(和馬)のことが好きらしく蓮に張り合ってくるという、何ともまぁヒロインらしいヒロインです。

雄ヶ原 蓮。主人公の一つ下の高1。
Wヒロインの一人で、くるみ曰く「悠のお姉さん」。管弦部の集まりに弟を連れてくる後輩キャラ&お姉ちゃんキャラです。母子家庭で育ったために家事全般をこなすけれど、モノを失くしたり忘れたりが日常茶飯事なドジっこヒロインでもあります。こちらのコも主人公(和馬)のことが好きらしく、ことあるごとに好き好きアピールしてきます。

城本 征史郎。主人公と同学年の高2。
主人公(和馬)とは中学生の頃からの付き合いで、親友であり悪友です。くるみ曰く「メガネの人」。管弦部の部長は主人公(和馬)だけれど、状況を整理したり分析したりという参謀の役割は彼が担います。冷静すぎるがゆえに無神経なところもあるのが玉にキズですが。

井之上 亮也。主人公と同学年の高2。
雪村みことが「学園のマドンナ」なら、こちらは「学園の神秘」です。くるみ曰く「かっこいい人」。学校中の女子から絶大な支持を受ける美男子で、スポーツ勉学ともに優秀なだけでなく、性格も温厚な完璧超人です。面倒見も良く、彩音先輩を介助したり悠の虫捕りに付き合ったりなんて一面も。

西城 彩音。主人公の一つ上の高3。
管弦部の中で唯一の3年生で、唯一楽器を弾く人……というか、管弦部はこの人の居場所を作るために用意された部だったりします。くるみ曰く「変なお姉さん」。絶対的な記憶能力と、天才的な演奏技術を持つが、それ以外の能力が壊滅的に欠けています。一日の活動時間が極端に短かったり、マトモな発言をほとんどしなかったり。

萩尾 恵澪奈。主人公と同学年の高2。
ギャル山の頂点に立つボスギャルで、くるみ曰く「けばい人」。軽薄な態度と、何言ってんだか分からない発言で、ステレオタイプなギャルキャラに見えるのだけど……意外に堅実で、周りのこともよく見ているコです。真面目なみことや蓮とは波長が合うみたいだけど、嘘つきのくるみとは合わないというのが分かりやすいですね。

向島 七緒。主人公の一つ下の高1。
上級生の女子から何気に人気がある1年生のホープ。ですが、くるみ曰く「怖い方のメガネ」とのことで、クソ真面目で他人に対してトゲのある言い方をすることも多いです。そのため、主人公(和馬)や征史郎からイジられることも多く、管弦部一のイジられ役とも言えるかも。

雄ヶ原 悠。蓮の弟で、小4。
雄ヶ原家は母子家庭のため、キャンプのような課外活動の際には蓮は弟を同行させます。人見知りではあるけれど、ドジっこの姉と比較するとしっかりしていて、管弦部のみんなに可愛がられています。主人公(和馬)のことを「お兄ちゃん」と呼ぶのは、蓮にそう言わされているからという説があるそうな。

並坂 千鶴。管弦部の顧問。
教師でありながら“悪い子”が大好きで、彩音のための管弦部に“悪い子”を集めた張本人でもあります。専門は歴史なのだが、授業がいつの間にか保健体育に変わっていることもあるくらい生徒との距離が近い先生です。しかし、意外なことに護身術の使い手で、部の中で一番格闘能力が高いとか。

鳩田 くるみ。主人公達が山の中で出会った少女。小5。
両親とはぐれて遭難しかけていたところを、たまたま主人公達に見つけられて行動を共にする少女です。生意気で、嘘つきで、世の中から一歩引いたような性格をしているのだけど、頭の回転は非常に早くて順応性が高いです。和馬と悠以外の管弦部の名前を覚える気がないので、いつもみんなのことは特徴で読んでいます。

竹井 和馬。主人公。
管弦部の部長だけれど、中学時代はそこそこ有名な非行少年で、顔の怖さと腕っぷしに定評があります。管弦部の中では七緒の次にイジられ役だけど、なんだかんだみんなに一目を置かれている中心人物です。『トガビトノセンリツ』はノベルアドベンチャーなので、基本的には彼の一人称でストーリーが語られます。
という11人が、このゲームのキャラクターです。
「あれ?プリズナー・ゲームは10人で行うんじゃ……?」と思った鋭い人もいるかも知れませんが、それはゲーム本編でお確かめください。
11人もキャラがいると「覚えきれない」と思うかも知れませんが、非常に個性の強いメンバーなのでプロローグが終わった頃には大体は覚えられているし、愛着も生まれているんじゃないかと思います。
プロローグの辺りだと「このまま何事も起こらず平和なまま終わればイイのに」と思ってしまうくらい、管弦部のわちゃわちゃしたカンジが楽しいんですね。このノリは『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』に通じるものがあります。
しかし、それは「プリズナー・ゲーム」においては非常にマズイのです。
登場人物がみんなイヤなヤツだったら、「さっさと殺人鬼を見つけてソイツ一人を殺して外に出るベー」ってゲームを遊んでいる私達も思うのでしょうが……登場人物みんな愛したくなるようなキャラなので、「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」って思っちゃうんですね。
主人公の竹井和馬はまさにそういうスタンスで、誰のことも死なせず誰のことも疑わずにいようとするので……それがゲームを遊んでいる私達の気持ちと見事にシンクロしてくるのです。ただストーリーを読むだけのノベルアドベンチャーなんですが、プレイヤー=主人公の一体感がちゃんとあるんですね。
ですが、「プリズナー・ゲーム」が進んでいくたびに状況は変わっていきます。
非常に仲良しで、とても気のイイ管弦部の仲間たちですが……極限状態の中で少しずつ歪んでいき、みんな「今までは見せなかった一面」が見えてくるようになります。先ほどのキャラ紹介は敢えて表面的な部分だけを書きましたが、この作品のストーリーの肝は「こうなりたいと思った自分」と「こうではいたくなかった自分」という二面性を誰もが抱えているというものだと思うんですね。それは主人公も例外ではありません。
その「キャラクターの二面性」と「誰が嘘をついているのか分からない人狼風ゲーム」の相性が抜群で、むちゃくちゃ面白いのです。
↓ここから3つめ↓
◇ 「一人称の物語」が「群像劇」に変わる極上の2周目
先ほど私は“『トガビトノセンリツ』は、基本的には竹井和馬の一人称でストーリーが語られる”と書きました。が、それは1周目の話で、2周目をプレイするとガラリと変わります。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
具体的に言うと、TRUEエンドに到達すると「オプション」にて「隠しモードのON/OFFの切り替え」ができるようになり、隠しモードをONにして最初からプレイすると「主人公:竹井和馬以外のモノローグや行動が追加される」のです。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
赤いウインドウで表示されているのは、隠しモードでなければ表示されないシーンです。
これにより1周目では分からなかった各キャラの本当の気持ち、それぞれのキャラの“罪種”、夜間で「誰と誰が同じ部屋だったのか」、誰が何を知っていたのか、どうしてあの時こんな行動をとったのか―――などが分かるようになります。1周目では何気なく主人公と廊下ですれちがっただけのキャラが、実はこんなことをしていたんだよ、みたいなね。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
そういうシリアスなところだけでなく、ラブコメシーンにおいても「主人公視点」と「主人公を好きなヒロイン視点」が同時に見られるのはニヤニヤポイントが高いですね。
1周目は主人公:竹井和馬が「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」と行動していた話ですが、その他の9人はその他の9人でそれぞれちゃんと考えて「プリズナー・ゲームを攻略しようとしたり」「それぞれの目的を達成しようとしたり」していたというのが2周目では分かりますし、それらの思惑が複雑に交差した結果「ああいう結末になった」ことが分かっていくのが面白いのです。
言ってしまえば、1周目は「一人称視点の物語」で。
2周目は、全く同じ話を「群像劇」として読み直すってカンジなんですね。
「群像劇」好きで、「推理小説」好きな自分には堪らない2周目でしたよ。
また、「ノベルアドベンチャー」というジャンルとは言え、1周目は「たまに出てくる二択を選ぶ」だけで「不正解な方を選んだらバッドエンド」という単純な分岐しかしないため“これは果たしてゲームでやる必要があるのか?”と思うのですが。
2周目でこのように「主人公以外のモノローグや行動が追加されて全く別の物語になる」というのは漫画でも小説でも映画でも難しい試みなので、2周目こそが“ゲームならではの体験”になっているとも思うんですね。
1周目だけだとこのゲームの真価はまず分からないので、是非2周プレイすることをオススメします!
ガラケー版・スマホ版では追加コンテンツとして発売されたEXTRAは(Wii U版は最初から全部収録されています)、各キャラの過去編が4つ―――こちらは本編で断片的に語られたことを整理して語りなおしたもので、まあファンサービスといったカンジの追加コンテンツだと思うのですが。
5つ目の「彼らがプリズナー・ゲームに巻き込まれずに無事にキャンプ場に付いたお話」は、ものすごく面白かったです。ケムコのデス・ゲームものは「非マルチエンディング」というポリシーらしいのですが、追加コンテンツは例外だそうで、本編のTRUEエンドが「○○ルート」ならばこちらは「××ルート」といったカンジの別ルートになっています。追加コンテンツの中でも、これだけはマストで読んでほしいくらいにオススメです。
◇ 総括
ということで、ものすごく楽しませてもらいました。
「今まで遊んだWii Uダウンロードソフトの中で一番」とか「今まで遊んだケムコのゲームの中で一番」とかのレベルじゃなくて、「私が今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番面白かった」と思います。
まぁ……題材が題材なんで、遊ぶのに「覚悟」は必要ですけどね。
あまりに面白かったんで、『レイジングループ』の前に未プレイのあと2本(『鈍色のバタフライ』と『黒のコマンドメント』)も遊ぼうと思ったほどです。
流石にデスゲームものを連続で遊ぶと精神がズタズタになりそうなんで、プレイするのは数ヶ月後になると思いますが……そうすると、既に積んでいる『レイジングループ』をプレイするのがどんどん後回しになっていきますね(笑)。
※ ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください
【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
※ 苦手な人もいそうなNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。
・シリアス展開:◎◎◎(容赦なくキャラが死ぬし、どのキャラも過去&家庭環境が壮絶) ・恥をかく&嘲笑シーン:△(仲間内での笑い合いみたいなのだけど)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:△(蔑視ではないけど、生理の話題は批判されることも)
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:○(文字だけだけどバラバラ死体になったりする)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:△(文字だけ&ギャグシーンだけど)
・百合要素:△(文字だけだけど女のコ同士の人工呼吸にドキドキするシーンはある)
・BL要素:△(BL要素はないけど、BL妄想するキャラは出てくる)
・ラッキースケベ:△(文字だけだし、エロさの欠片もないけど)
・セックスシーン:△(直接的な描写はないけど、……)
↓ここから1つめ↓
◇ 「誰が嘘をついているのか分からない」“人狼”風ゲーム
このゲームは、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』や『レイジングループ』で知られるケムコのノベルアドベンチャーゲームです。各地で話題沸騰中&大絶賛されている『レイジングループ』を私もNintendo Switch版の配信開始日に購入しているのですが、「最新作の前に積んでいる過去作をやらなければ!」と随分前に買っていたこちらを起動することにしました。
ケムコの近年のアドベンチャーゲームはそれぞれの作品で展開されている機種がちがうので、分かりやすくなるようまとめてみました。年は一番最初の機種で発売された年、「ガラケー」はスマートフォンではない携帯電話のことでフィーチャーフォンとも言いますね、「スマホ」はどれもAndroidOS・iOS向けのアプリで正確にはタブレット端末などでも遊べます。
・『鈍色のバタフライ』(2010年)
<ガラケー、スマホ>
・『トガビトノセンリツ』(2011年)
<ガラケー、スマホ、Wii U>
・『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』(2013年)
<スマホ、Wii U>
・『黒のコマンドメント』(2014年)
<スマホ>
・『レイジングループ』(2015年)
<スマホ、PS Vita&PS4、Nintendo Switch、PC>
この中で、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』は以前ウチのブログでも紹介記事を書いていますね。
(関連記事:『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』レビュー/ストーリーが面白いんだから、それでイイじゃないか!)
今日の記事で紹介する『トガビトノセンリツ』は言ってしまえばその前作です。ストーリーに繋がりなどは一切ありませんが、システムやUIはほぼ一緒です。私がプレイしたのはWii U版で、ガラケー版やスマホ版に比べて定価1028円と高価ですが、ガラケー版で有料追加コンテンツとして販売された3編と、スマホ版で新たに追加された有料追加コンテンツ2編が全て収録されています。
逆に言えば、「有料追加コンテンツが最初から入っているかどうか」以外には差はなくて内容は一緒みたいなんで、お好きな機種でどうぞ。ガラケー版は画質・音質が若干落ちるのと、追加コンテンツ2編買えないっぽいので、他の選択肢があるならそっちの方がイイかもですが。Wii U坂は「テレビ画面」「ゲームパッドの画面」両方に同じ画面が表示されます。
さて、ようやくゲーム内容の説明に入れます。
このゲームは、高校の管弦部(ただし楽器は弾かない)全員がキャンプに向かう道中で何者かに拉致されてしまい、閉鎖空間に監禁されて「プリズナー・ゲーム」という殺人ゲームへの参加を余儀なくされるというストーリーです。言ってしまえば“デスゲームもの”というジャンルですね。
「プリズナー・ゲーム」のルールを、なるべく簡単に説明するとこんなカンジです。
・10人の参加者を、くじ引きで5人の「看守」と5人の「囚人」に分ける
・5人の「囚人」には一人一人に別の“罪種”という能力や制限が与えられ、これは他人に明かしてはならない
・唯一全員に判明している罪種“殺人鬼”が誰なのかを探し出すのがゲームの目的
・“殺人鬼”が死亡すると、残った全員が勝利&脱出可能に
・「看守」が全員死亡しても、残った全員が勝利&脱出可能に(残るのは「囚人」だけだけど)
・“殺人鬼”は毎晩一人、同室になった「看守」を殺すことができる
・「看守」は看守全員の同意の元で、一日一人「囚人」を処刑もしくは釈放できる
・誤って“殺人鬼”を釈放してしまうと、残った全員が敗北→ 処刑される
『人狼』というゲームを知っている人ならば、『人狼』における「人狼」の役割が、こちらでは「殺人鬼」となっていると言えば分かりやすいですかね。
『人狼』とちょっとちがうところを言うと、『人狼』における「占い師」とか「狩人」といった特殊な役職が、こちらではどんな能力を持った何という“罪種”なのか分からないというのがポイントです。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
そこで重要なのは「夜間」の個室タイム。
「22時~7時」は必ず一人ずつ個室に入って朝まで過ごさなくてはならず、そこでは「看守」と「囚人」が壁を隔てた同室になり、機械音声での会話が可能です。ここでのみ「囚人」は自分の“罪種”を明かしてもイイので、「看守」はここで「囚人」から出来るだけ情報を聞き出して「誰が何という“罪種”なのか」「誰が“殺人鬼”なのか」の判断材料にしていくという仕組みなのですが。
一プレイヤーである主人公には、「誰と誰が同室になったのか」「みんなが本当のことを言っているのか」「みんなの目的が少しずつズレてきているんじゃないのか」が分からず、少しずつ少しずつ仲の良かった管弦部が歪んでいくのです。
『人狼』というゲームは、基本的には「人狼が誰か」を当てるゲームですが。
『トガビトノセンリツ』は、「殺人鬼が誰か」「他の囚人の“罪種”は何か」「昨晩は誰と誰が同室だったのか」「自分から見えているこのキャラは本当に真の姿なのか」……そして何より「どうしてこの主人公達はこのプリズナー・ゲームに巻き込まれているのか」と、推理すべきことが山ほどあるのです。
「なんだか難しそう……自分にはクリア出来ないんじゃないかな」と思った人もいるかも知れませんが、この「プリズナー・ゲーム」を攻略するのはアナタではなく主人公達です。アナタが出来ることは、たまに出てくる二択に答えることくらいです。
この二択も複雑な分岐をするところはほとんどなく、「間違った選択肢を選ぶとバッドエンド」「正しい選択肢を選び続ければTRUEエンド」というだけなので、選択肢が出てきたらセーブしておけばイイでしょう。バッドエンドを引いてもそこからやり直しできます。セーブは6つまでしか残せませんが、選択肢が出るポイントはさほど多くないし、「1日目」「2日目」と日にちの区切りから始めることも出来ますし、6つで事足りると思います(※1)。
(※1:余談ですが、「バッドエンド」収集を目指すなら1周目でなく2周目にやった方がイイです。後述しますが、2周目なら「他のキャラの行動やモノローグ」が追加されるので、主人公が何故死ななければならなかったが分かるので)
逆に言うと、『かまいたちの夜』みたいに「自分のプレイによって、これから起こる惨劇を未然に防ごう!」といったことは出来ません。ケムコのデス・ゲームものアドベンチャーゲームは「非マルチエンディング」―――つまりは「TRUEエンドは一つ」「それ以外はバッドエンド」というポリシーだそうで、惨劇は防げないんですね。
だから、アナタに求められるのは「ゲームの腕」ではないのです。
どんな惨劇があっても目を背けない「覚悟」です。管弦部の仲間たちが、少しずつ少しずつおかしくなっていって、犠牲者が出て、その犯人が誰なのか仲間を疑って、そうした惨劇の向こうにあるTRUEエンドまで挫けずに進む「覚悟」が必要なのです。
その「覚悟」がある人にはとてもとてもオススメな作品です。
私は『レイジングループ』の前に遊んで良かったと思いますし、あれだけ絶賛した『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』以上にこちらの作品が好きかも知れません。
↓ここから2つめ↓
◇ 愛すべき仲間たちと、主人公へのシンクロ率の高さ
それではこの作品に登場するキャラクター達を紹介します。
画像は全てWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用しています。

雪村 みこと。主人公と同学年の高2。
Wヒロインの一人で、くるみ曰く「きれいな人」。容姿端麗で「学園のマドンナ」「高嶺の花」とも呼ばれる正統派美少女です。看護師志望で、人が傷つくのがイヤで、そしてどうやら主人公(和馬)のことが好きらしく蓮に張り合ってくるという、何ともまぁヒロインらしいヒロインです。

雄ヶ原 蓮。主人公の一つ下の高1。
Wヒロインの一人で、くるみ曰く「悠のお姉さん」。管弦部の集まりに弟を連れてくる後輩キャラ&お姉ちゃんキャラです。母子家庭で育ったために家事全般をこなすけれど、モノを失くしたり忘れたりが日常茶飯事なドジっこヒロインでもあります。こちらのコも主人公(和馬)のことが好きらしく、ことあるごとに好き好きアピールしてきます。

城本 征史郎。主人公と同学年の高2。
主人公(和馬)とは中学生の頃からの付き合いで、親友であり悪友です。くるみ曰く「メガネの人」。管弦部の部長は主人公(和馬)だけれど、状況を整理したり分析したりという参謀の役割は彼が担います。冷静すぎるがゆえに無神経なところもあるのが玉にキズですが。

井之上 亮也。主人公と同学年の高2。
雪村みことが「学園のマドンナ」なら、こちらは「学園の神秘」です。くるみ曰く「かっこいい人」。学校中の女子から絶大な支持を受ける美男子で、スポーツ勉学ともに優秀なだけでなく、性格も温厚な完璧超人です。面倒見も良く、彩音先輩を介助したり悠の虫捕りに付き合ったりなんて一面も。

西城 彩音。主人公の一つ上の高3。
管弦部の中で唯一の3年生で、唯一楽器を弾く人……というか、管弦部はこの人の居場所を作るために用意された部だったりします。くるみ曰く「変なお姉さん」。絶対的な記憶能力と、天才的な演奏技術を持つが、それ以外の能力が壊滅的に欠けています。一日の活動時間が極端に短かったり、マトモな発言をほとんどしなかったり。

萩尾 恵澪奈。主人公と同学年の高2。
ギャル山の頂点に立つボスギャルで、くるみ曰く「けばい人」。軽薄な態度と、何言ってんだか分からない発言で、ステレオタイプなギャルキャラに見えるのだけど……意外に堅実で、周りのこともよく見ているコです。真面目なみことや蓮とは波長が合うみたいだけど、嘘つきのくるみとは合わないというのが分かりやすいですね。

向島 七緒。主人公の一つ下の高1。
上級生の女子から何気に人気がある1年生のホープ。ですが、くるみ曰く「怖い方のメガネ」とのことで、クソ真面目で他人に対してトゲのある言い方をすることも多いです。そのため、主人公(和馬)や征史郎からイジられることも多く、管弦部一のイジられ役とも言えるかも。

雄ヶ原 悠。蓮の弟で、小4。
雄ヶ原家は母子家庭のため、キャンプのような課外活動の際には蓮は弟を同行させます。人見知りではあるけれど、ドジっこの姉と比較するとしっかりしていて、管弦部のみんなに可愛がられています。主人公(和馬)のことを「お兄ちゃん」と呼ぶのは、蓮にそう言わされているからという説があるそうな。

並坂 千鶴。管弦部の顧問。
教師でありながら“悪い子”が大好きで、彩音のための管弦部に“悪い子”を集めた張本人でもあります。専門は歴史なのだが、授業がいつの間にか保健体育に変わっていることもあるくらい生徒との距離が近い先生です。しかし、意外なことに護身術の使い手で、部の中で一番格闘能力が高いとか。

鳩田 くるみ。主人公達が山の中で出会った少女。小5。
両親とはぐれて遭難しかけていたところを、たまたま主人公達に見つけられて行動を共にする少女です。生意気で、嘘つきで、世の中から一歩引いたような性格をしているのだけど、頭の回転は非常に早くて順応性が高いです。和馬と悠以外の管弦部の名前を覚える気がないので、いつもみんなのことは特徴で読んでいます。

竹井 和馬。主人公。
管弦部の部長だけれど、中学時代はそこそこ有名な非行少年で、顔の怖さと腕っぷしに定評があります。管弦部の中では七緒の次にイジられ役だけど、なんだかんだみんなに一目を置かれている中心人物です。『トガビトノセンリツ』はノベルアドベンチャーなので、基本的には彼の一人称でストーリーが語られます。
という11人が、このゲームのキャラクターです。
「あれ?プリズナー・ゲームは10人で行うんじゃ……?」と思った鋭い人もいるかも知れませんが、それはゲーム本編でお確かめください。
11人もキャラがいると「覚えきれない」と思うかも知れませんが、非常に個性の強いメンバーなのでプロローグが終わった頃には大体は覚えられているし、愛着も生まれているんじゃないかと思います。
プロローグの辺りだと「このまま何事も起こらず平和なまま終わればイイのに」と思ってしまうくらい、管弦部のわちゃわちゃしたカンジが楽しいんですね。このノリは『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』に通じるものがあります。
しかし、それは「プリズナー・ゲーム」においては非常にマズイのです。
登場人物がみんなイヤなヤツだったら、「さっさと殺人鬼を見つけてソイツ一人を殺して外に出るベー」ってゲームを遊んでいる私達も思うのでしょうが……登場人物みんな愛したくなるようなキャラなので、「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」って思っちゃうんですね。
主人公の竹井和馬はまさにそういうスタンスで、誰のことも死なせず誰のことも疑わずにいようとするので……それがゲームを遊んでいる私達の気持ちと見事にシンクロしてくるのです。ただストーリーを読むだけのノベルアドベンチャーなんですが、プレイヤー=主人公の一体感がちゃんとあるんですね。
ですが、「プリズナー・ゲーム」が進んでいくたびに状況は変わっていきます。
非常に仲良しで、とても気のイイ管弦部の仲間たちですが……極限状態の中で少しずつ歪んでいき、みんな「今までは見せなかった一面」が見えてくるようになります。先ほどのキャラ紹介は敢えて表面的な部分だけを書きましたが、この作品のストーリーの肝は「こうなりたいと思った自分」と「こうではいたくなかった自分」という二面性を誰もが抱えているというものだと思うんですね。それは主人公も例外ではありません。
その「キャラクターの二面性」と「誰が嘘をついているのか分からない人狼風ゲーム」の相性が抜群で、むちゃくちゃ面白いのです。
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◇ 「一人称の物語」が「群像劇」に変わる極上の2周目
先ほど私は“『トガビトノセンリツ』は、基本的には竹井和馬の一人称でストーリーが語られる”と書きました。が、それは1周目の話で、2周目をプレイするとガラリと変わります。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
具体的に言うと、TRUEエンドに到達すると「オプション」にて「隠しモードのON/OFFの切り替え」ができるようになり、隠しモードをONにして最初からプレイすると「主人公:竹井和馬以外のモノローグや行動が追加される」のです。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
赤いウインドウで表示されているのは、隠しモードでなければ表示されないシーンです。
これにより1周目では分からなかった各キャラの本当の気持ち、それぞれのキャラの“罪種”、夜間で「誰と誰が同じ部屋だったのか」、誰が何を知っていたのか、どうしてあの時こんな行動をとったのか―――などが分かるようになります。1周目では何気なく主人公と廊下ですれちがっただけのキャラが、実はこんなことをしていたんだよ、みたいなね。

<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>
そういうシリアスなところだけでなく、ラブコメシーンにおいても「主人公視点」と「主人公を好きなヒロイン視点」が同時に見られるのはニヤニヤポイントが高いですね。
1周目は主人公:竹井和馬が「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」と行動していた話ですが、その他の9人はその他の9人でそれぞれちゃんと考えて「プリズナー・ゲームを攻略しようとしたり」「それぞれの目的を達成しようとしたり」していたというのが2周目では分かりますし、それらの思惑が複雑に交差した結果「ああいう結末になった」ことが分かっていくのが面白いのです。
言ってしまえば、1周目は「一人称視点の物語」で。
2周目は、全く同じ話を「群像劇」として読み直すってカンジなんですね。
「群像劇」好きで、「推理小説」好きな自分には堪らない2周目でしたよ。
また、「ノベルアドベンチャー」というジャンルとは言え、1周目は「たまに出てくる二択を選ぶ」だけで「不正解な方を選んだらバッドエンド」という単純な分岐しかしないため“これは果たしてゲームでやる必要があるのか?”と思うのですが。
2周目でこのように「主人公以外のモノローグや行動が追加されて全く別の物語になる」というのは漫画でも小説でも映画でも難しい試みなので、2周目こそが“ゲームならではの体験”になっているとも思うんですね。
1周目だけだとこのゲームの真価はまず分からないので、是非2周プレイすることをオススメします!
ガラケー版・スマホ版では追加コンテンツとして発売されたEXTRAは(Wii U版は最初から全部収録されています)、各キャラの過去編が4つ―――こちらは本編で断片的に語られたことを整理して語りなおしたもので、まあファンサービスといったカンジの追加コンテンツだと思うのですが。
5つ目の「彼らがプリズナー・ゲームに巻き込まれずに無事にキャンプ場に付いたお話」は、ものすごく面白かったです。ケムコのデス・ゲームものは「非マルチエンディング」というポリシーらしいのですが、追加コンテンツは例外だそうで、本編のTRUEエンドが「○○ルート」ならばこちらは「××ルート」といったカンジの別ルートになっています。追加コンテンツの中でも、これだけはマストで読んでほしいくらいにオススメです。
◇ 総括
ということで、ものすごく楽しませてもらいました。
「今まで遊んだWii Uダウンロードソフトの中で一番」とか「今まで遊んだケムコのゲームの中で一番」とかのレベルじゃなくて、「私が今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番面白かった」と思います。
まぁ……題材が題材なんで、遊ぶのに「覚悟」は必要ですけどね。
あまりに面白かったんで、『レイジングループ』の前に未プレイのあと2本(『鈍色のバタフライ』と『黒のコマンドメント』)も遊ぼうと思ったほどです。
流石にデスゲームものを連続で遊ぶと精神がズタズタになりそうなんで、プレイするのは数ヶ月後になると思いますが……そうすると、既に積んでいる『レイジングループ』をプレイするのがどんどん後回しになっていきますね(笑)。
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