※ この記事は2017年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
この記事を書き始めたのはまだ冬アニメが始まる前の1月3日夜ですが、多分書き終わって公開できた頃には冬アニメはとっくに始まっているんでしょうね。それくらい時間がかかることは覚悟しています!
アニメ『響け!ユーフォニアム』各話感想メモまとめ(1話~最終話)
『響け!ユーフォニアム』アニメが描いていたものを原作小説から読み解く
↑こちらはアニメ1期の頃の感想と、「アニメ1期分の原作」の感想記事です。
<ルール>
・1話から最終話までの感想ツイートを貼り付け
・“最終話まで観終っている”現在の自分のコメントを補足
・なので、基本的に最終話までのネタバレを含みます
・「まとめ」という記事タイトルですけど、まとめるのは「私の感想」だけです。「みんなの感想」をまとめるのが目的の記事ではありません
・私はまだ原作を読んでいないので、コメント欄などに原作のネタバレを書き込むのはやめてください
・思うがままに書いた感想なので、ところどころに間違いがあったりするでしょうが優しく許して下さいな
【第一回 まなつのファンファーレ】
『響け!ユーフォニアム2』第1話視聴。なる、まずは2年生メインで話が進行していくのか。1年生は久美子と麗奈が完全に百合夫婦化しているので伸びしろがなくてどうするんだろうと思っていたけど、そういや1期の頃に「2年が一番ドラマがありそうなのにあまり掘り下げられなかった」とか書いてたわ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月5日
『響け!ユーフォニアム2』第1話その2。2期の本丸は「あすか先輩」を描くことだと思うので、描かれるのは2年の話でも、それに対するあすか先輩の態度から本心が垣間見えるかどうかが鍵かなあ……てゆうか、久美子はホント秀一や麗奈以上にあすか先輩をずーーっと意識してるよなあと思うw
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月5日
『鉄血のオルフェンズ』の時にも書きましたけど、私は「2期」とか「分割クールの後半」の序盤は上手く作品に乗れないので感想のテンションも低いですね。「新番組」の序盤は「新しい作品が始まった!」とテンション高く入っていけて、そこから先の感想も上がったテンションを積み重ねていけるのですが……「2期」になると、そのテンションを忘れてしまっているので、どう入ってイイか分からないというか。
今回のこの記事を書く前に、1期の頃の感想を読み返したら「俺ってこんなにこの作品のことが好きだったのか!」と驚きましたもの(笑)。
【第二回 とまどいフルート】
『響け!ユーフォニアム2』第2話視聴。希美先輩の話から推測するに、滝先生が来る前は「学年順」でコンクールメンバーが決まっていて、希美先輩はマジメにやっていたのにメンバーに入れなくて、鎧塚先輩はオーボエ一人だったからメンバーに入ったってとこかなぁ。だから、希美先輩がやめちゃったと。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月12日
『響け!ユーフォニアム2』第2話その2。鎧塚先輩が「コンクール嫌い」というのもその辺が原因か、あすか先輩がコンクールに執着していないことに話が繋がるのか……どっちにしろ、こう引っ張るということはあすか先輩の真意は「部をかき乱されたくない」みたいなシンプルな理由じゃなさそうだなぁ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月12日
『響け!ユーフォニアム2』第2話その3。2期の中心はあすか先輩だとは思うんだけど、そういや滝先生も伏線あったしここから掘り下げてくんだろうなぁ。久美子視点のあすか先輩話と、麗奈視点の滝先生話という二つが軸になるのかなと。しかし、1話あたりの情報量の多い作品でクッタクタになるな……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月12日
私はまだ原作小説2~3巻は読んでいないんですけど、恐らくストーリーは「原作小説1巻=アニメ1期、高坂麗奈編」、「原作小説2巻=アニメ2期前半、鎧塚みぞれ編」、「原作小説3巻=アニメ2期後半、田中あすか編」となっているんじゃないかと思います。
アニメ1期と原作小説1巻では「結局あすか先輩の真意は何だったんだ!?」と分からなくて、推測するしかなくて、だからあの頃に記事を書いていたのですが……ようやくその答えが分かると思ったアニメ2期が始まったら「全然関係ないコの話やってるーーーー!」と拍子抜けしたのを覚えています(笑)。
正直なところ「鎧塚みぞれ編」はあまり好きじゃないというか、結末にしっくり来ないところがあったのですが……この話は「鎧塚みぞれ」一人を描いているワケではなくて、2年生中心の話を描いていたと考えると、優子先輩や夏紀先輩の新たな一面が見えたのはよかったと思います。
最終回で「次期部長・次期副部長」が発表されましたけど、ここら辺の展開があったからこそ納得だったというか、なんだかんだあすか先輩はこの頃の夏紀先輩の行動をしっかり評価していたんですよね。
【第三回 なやめるノクターン】
『響け!ユーフォニアム2』第3話視聴。あすか先輩が意外に部のことを考えていてビックリした。彼女だったら「府大会がメチャクチャになってもどうでもイイ」とか言いそうだったから……でも、そうか。愚直に演奏だけに集中している鎧塚先輩は、あすか先輩としては共感対象な気もするな。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月19日
『響け!ユーフォニアム2』第3話その2。優子先輩のターンすごかった!山岡さんはやっぱこういうキャラが抜群に上手いよねぇ。お風呂上りの特別な髪型なところも、低いトーンでマジメな話を続けることも、合宿ならではの「先輩から秘密の話を聞いちゃった」感があってドキドキした。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月19日
さてさて、いよいよ持ってあすか先輩の話です。
私が2期の序盤に上手く乗れなかった理由の一つに、「あすか先輩への違和感」がありました。1期の感想や原作小説1巻の感想に書いた「あすか先輩像」と、アニメ2期で描かれている「あすか先輩」が別人のように思えたからです。詳しくはそちらの記事を読んで欲しいんですけど、あすか先輩は「周りに流されない特別な人間」として描かれていたのに、それがずいぶんとフツーな人になっちゃったなぁと思っていました。
もちろんそれには理由があって、9話で明かされたようにあすか先輩は「全国大会まで進めば父親に自分の演奏を聴いてもらえる」と知ったことで、それまでの「自分さえ真剣に演奏できればそれでイイ」というスタンスから「全国大会を目指す」というスタンスに変わった―――つまり、彼女もまた「特別な人間」なんかではない「私欲で動くフツーの人間」だったんだと描かれたんですね。
それが後半に明らかになってからは、アニメ2期の評価も私の中でガラリと変わりました。今までの違和感が全部氷解して「そういうことだったのか!」と。
【第四回 めざめるオーボエ】
『響け!ユーフォニアム2』第4話視聴。え……なんでこれ美談になってんの。希美先輩が鎧塚先輩を蔑ろにしたのは事実だし、鎧塚先輩が優子先輩をキープに使っていたのも酷いだろと思っていたら。ちゃんとあすか先輩が言ってくれた。というか、あすか先輩のコレを引き出すためのエピソードだったなぁ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月26日
『響け!ユーフォニアム2』第4話その2。しかし、相変わらず報われなさ全開100%だったけど、優子先輩マジ天使だった。鎧塚先輩を起き上がらせて光があたる演出が美しかった。1期の序盤は山岡さんをこういう役に使うのはもったいないなーと思ったが、まさかこんな見せ場が連発することになるとは
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年10月26日
ここ、もう1回観返してみたんですけど……やっぱり希美先輩はヒドイと思います。
鎧塚先輩に友達がいないことが分かってて、自分で吹奏楽部に誘っておいて、「あの子はマジメに練習しているから黙って辞めよう」って、それを仲間外れと言わずに何を仲間外れと言うんですか。今はまだ部が全体で「マジメに練習している」空気だから鎧塚先輩も報われているけど、当時は「マジメに練習している人」が少数でコンクールも全然一生懸命じゃない時期だったんですもの。そこに「マジメに練習している人」を置いてったんだからヒドイですよ。
んで、書いてて思ったんですけど……これって多分、原作だとまた違う印象なのかもですね。原作はもっとこの「周りの空気に合わせること」を主軸に描いているので、「周りの空気に溶け込めずに部をやめることすら置いていかれた鎧塚みぞれ」は葵ちゃん以上に重要なキャラになっているような気がします。これから原作2~3巻は読むんで、ネタバレはしないでほしいですけど(笑)。
【第五回 きせきのハーモニー】
『響け!ユーフォニアム2』第5話視聴。鎧塚先輩編、この最後の「まだコンクールは嫌いですか?」で締めくくるのは見事だ。「○○のために吹く」って話は、百合ごちそうさまです!ってだけじゃなくて深読みしたくなる描写だなぁ……麗奈とかあすか先輩とか、本来なら大嫌いそうじゃんそういうの。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月2日
『響け!ユーフォニアム2』第5話その2。でも、わざわざあすか先輩は挙手してまで滝先生への感謝をみんなに煽っているんだよね……1期ラストの府大会で「今日で終わりかー」とか言っていた人とは思えない。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月2日
彼女も変わったのか、それとも敢えてそういう立ち回りをするだけの理由が別にあるのか……
鎧塚先輩編のラストなんだけど、自分の感想を読み返して思ったのは「これってあすか先輩や麗奈の話につながるのか」ということでした。
演奏前に鎧塚先輩が希美先輩に言った「希美のために吹く」という話、それを聞いていた麗奈が「じゃあ私は久美子のために吹く」と茶化してイチャイチャしていたのだけど(そして、それを遠目に見ている秀一!)……多分、この頃の麗奈と久美子はまだ「誰かのために演奏をする」ってことが分かっていなかったんだと思うんですね。4話で久美子は「こんな理由で楽器を続けている人がいるだなんて考えたこともなかった」と言っていたし、麗奈は「自分のために吹いている」と言っていたし。
しかし、2期の後半はこの「誰かのために演奏をする」が主題になっていきます。
あすか先輩は父親に自分の演奏を聴いてもらいたかった、麗奈は滝先生と滝先生の奥さんの夢を叶えたかった、久美子は姉に自分の気持ちを伝えたかった―――2期前半の1~5話は「誰かのために演奏をする人がいる」を描いておくことで、2期後半の展開に説得力を持たせる前フリとして機能していたのだと思うのです。
【第六回 あめふりコンダクター】
『響け!ユーフォニアム2』第6話視聴。久美子の「歩いているだけでどんどん情報が入ってくる」能力凄いな。RPGの主人公かよ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月9日
鎧塚先輩編が終わって、ここからあすか先輩のターンか。あすか先輩の話と、滝先生の話と、久美子のお姉ちゃんの話が並行しているのだけど、共通するのは進路の話かな。
『響け!ユーフォニアム2』第6話その2。あすか先輩の親らしき人が出てきたのと、滝先生が高校時代「親に反発していた」という話と、久美子のお姉ちゃんが何かに反発しているのも、「親子」という点で繋がっているのでこの辺どう使ってくるかなぁ。1期から謎を振りまいてきたあすか先輩の話が楽しみ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月9日
京アニ名物の文化祭回です!
Aパートは箸休めみたいな話でしたが、Bパートになってから後半のシリアス展開に入りましたよ。自分の予想を振り返ると「滝先生と父親の話」はあまり物語には絡まなくて、滝先生の話はあくまで「高坂麗奈が何のために吹くのか」という話に留まっていたかなと思います。
滝先生の考えはあまり描かれなくて、例えば1期1話で久美子や麗奈の中学時代の演奏を聴いていたように思える描写も理由は特に明かされませんでした。今思うと、アレは単にアニメ的な演出だったのかも……
その反面、「あすか先輩の話」と「お姉ちゃんの話」はバッチリシンクロしていました――――というのは↓に書きましょう。
【第七回 えきびるコンサート】
『響け!ユーフォニアム2』第7話視聴。久々に「なんですかこれ」いただきましたー。ストーリーとしては、完璧超人だったあすか先輩が「特別」ではないことに気付いた部長が奮起する熱い回だったのだけど……あすか先輩の問題は何も解決していないし、あすか先輩の行動は残酷なように思える……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月16日
『響け!ユーフォニアム2』第7話その2。1期から見てきたあすか先輩の行動って、「人の気持ちが分からない」というので一貫しているように思えてきた。自分がいないことで走る動揺は考えず、どうも夏紀先輩に後を託して「迷惑はかけない」とだけ言って去るっていうのは…“らしい”と思ってしまった
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月16日
『響け!ユーフォニアム2』第7話その3。この話と、久美子のお姉ちゃんの話がどう繋がるのか、そして主人公たる久美子に何が出来るか……というか久美子っていつも「大事なことが起きている」ところにエンカウントするけど、それで彼女が何かをして解決させるみたいなことしないんだよな。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月16日
「そして主人公たる久美子に何が出来るか……というか久美子っていつも「大事なことが起きている」ところにエンカウントするけど、それで彼女が何かをして解決させるみたいなことしないんだよな。」の部分、自分で自分の感想を読んでいてゾクッとしてしまいました。まさに同じようなことをあすか先輩は10話で久美子に言うんですよね。「傷つくのも傷つけるのもイヤだから、安全なところで見守るだけ」。
んで、もう一つ。
あの10話のあすか先輩→ 久美子へのセリフって、実は「あすか先輩自身にも跳ね返ってきていること」なんじゃないのかって思うのです。仮面をかぶって本心を見せない、いいこちゃんのフリをする、誰のことにも踏み込まずに安全圏から見ているだけ――――
「周りに流される久美子」と「誰にも流されずに孤高に生きられるあすか先輩」は対照的な存在なんだと1期の頃は思っていたんですが、あすか先輩が久美子を評したセリフは例えば「1期の再オーディションの際のあすか先輩の行動」を表しているようにも思えるのです。
そして、あすか先輩が久美子に放った「そんな人にみんなが本音を言うと思う?」という言葉も、あすか先輩自身に跳ね返ってきます。あすか先輩は自覚しているのです。「誰にも本心を見せない自分には、誰も本心を見せてはくれない」――――のだと。
ここも多分、原作とアニメでちょっと違いそうですけどね(笑)。アニメは晴香先輩や香織先輩の描写が増えていて、彼女らはあすか先輩に「心を開いている」ように見えてしまっているのだけど。
とにかく……だから、久美子が「本心を見せる」ことに大きな意味があったのですが。そこはまた10話のところで。
【第八回 かぜひきラプソディー】
『響け!ユーフォニアム2』第8話視聴。姉妹の描写ヤバイな……妹は姉に憧れ、でも姉はそんなこと知らず、年を経て疎遠になって、だからこそ互いにイラつく。切れ端のような回想シーンが、一つ一つグッと来てしまう。そして、やはり小学生を演じるの上手いな、黒沢ともよ様は……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月23日
『響け!ユーフォニアム2』第8話その2。あすか先輩、久美子の姉ちゃん、葵ちゃん、んでもって多分滝先生に共通するのは「今しか出来ないことを放り出して良いのか」ってところか。物語の鍵としては、やっぱり滝先生の父親との話が重要そうではあるんだけど……残り話数からするとまだ何かあるか……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月23日
この作品は毎話放送終了後に、各話作画監督による「イラストコメント」が公開されているのですが……8話の「イラストコメント」はやっばい。もうこれ見ただけで泣いちゃうくらい、この作品は姉妹の描写がすごかったなぁと思います。
京アニ作品の「姉妹」と言えば、『けいおん!』とか『たまこ』みたいなイチャイチャラブラブ姉妹が定番でしたが……こちらは「子どもの頃は仲良しだったけど徐々に疎遠になって口もきかなくなる」というリアルな姉妹関係で、それを見事に描き切ったなぁと思います。
この回、久美子が思い出す「カッコ良かった姉」と、お姉ちゃんが思い出す「自分に憧れてた妹」の回想が、現在とのギャップで切なくて―――それでいて、これはリアルタイムでは大して気にしていなかったんですがお姉ちゃんにそれを思い出させたのは秀一なんですよね。
お姉ちゃんルートは秀一ルートというべきか。
12話で久美子がお姉ちゃんを追いかけるシーンで、秀一が微笑むカットがあって、私は百合原理主義者なんで秀一のことなんかどうでもイイのですが(笑)、あのカットは「秀一ーーーーー!」と叫びたくなるくらい大好きです。
【第九回 ひびけ!ユーフォニアム】
『響け!ユーフォニアム2』第9話視聴。最終回でもないのにサブタイトルが「ひびけユーフォニアム」かと思ったら、こういうことか…この展開だと、あすか先輩はここで脱落なのかな。しかし、香織先輩に靴紐を結ばれている時の意味深なカットは何だったのだろう。「シャフトっぽい」と思ってしまったw
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月30日
『響け!ユーフォニアム2』第9話その2。そういや2期1話の雪のシーン(恐らく3年が抜けた後)久美子が持ってたノートは、あすか先輩の父親のだったか。ということはまだ出番あるか。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月30日
麗奈は麗奈で滝先生の過去を知ってしまって、言ってしまえば“特別”な二人から部が崩れつつあるのが面白いな。
『響け!ユーフォニアム2』第9話その3。気になったので確認したのだけど、OP映像の終盤の合奏シーンにはあすか先輩は映っていないんだね。中盤にはいるのだけど(2期の序盤で白黒だったとこ)。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年11月30日
徹底して久美子一人のカットになっていて、「久美子がユーフォを背負う」と見せているようだった…
この時点では「あすか先輩、抜けるのかー」と私は思っていました。
川原のショットだったり、「ひびけ!ユーフォニアム」というサブタイトルだったり、あすか先輩が抜ける展開だと予想させる要素がたくさんあって……実際、久美子が自分からアクションを起こさなければ「そうなっていた」と思われるので、そういう展開(=あすか先輩が抜ける展開)が来るだろうと視聴者に思わせようとしていたんじゃないかと思います。
だから!予想は外れていたけど、それでイイんですよ!
そうに決まっています!
あすか先輩→ 香織先輩の視線の意味、この記事を書いている時ですら「よく分からないなぁ、原作を読めば明らかになるのかなぁ」と思っていたのですが……この記事を推敲しながら読み返していて思ったのは、シンプルに「ひょっとしてあすか先輩は香織先輩のことが好きだったのかな」ということでした。
百合原理主義だとか、そういうことではなくて……あすか先輩は久美子と同様に「誰にも本心を見せない代わりに誰からも本心を見せてはもらえない」ので、誰とでも気軽に話せるわりに壁があるような人でした。ということは、「誰にも明かしていない本心=誰にも明かせない本心」が彼女にもあったんじゃないかと思うのです。
7話のところに私が書いた「晴香先輩や香織先輩はあすか先輩に心を開いているように見えますけど」というのも、「ひょっとしてあすか先輩は香織先輩のことが好きだったのかな」という前提に立つと、だからこそあすか先輩は香織先輩の間に溝を作っていたとも思います。
1期の再オーディションの際に「心の底からどーでもいいよ」と香織先輩を突き放していたのも、「ひょっとしてあすか先輩は香織先輩のことが好きだったのかな」と考えると一連の言動の意味が分かるような気がします。
この回の靴紐のシーンの後、「香織って可愛いよね」と久美子に言っているし、川原のシーンでももう1回「香織の血は美味しそう」と言っているし。あすか先輩は割と“他の人には言えないこと”を久美子には言っているので、実はそこが本心だったのかなーと思いました。
【第十回 ほうかごオブリガード】
『響け!ユーフォニアム2』第10話視聴。もうこれが最終回でも納得の渾身の回だった。アニメの第1話からずっと、原作小説版ではもっと、この作品はずっと「周りに歩調を合わせること」を描いてきて久美子はその最たる存在だった。周りに合わせ、周りが望むことをして、本心を見せない―――
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月7日
『響け!ユーフォニアム2』第10話その2。お姉ちゃんが「親の望むように生きて自分のしたいことをしてこなかった」というのは、あすか先輩にかかってくるだけじゃなく、周りに合わせて生きてきた久美子だってそうだ。直接あすか先輩に直談判しに言ってもなお「みんな」って言葉を使っちゃう。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月7日
『響け!ユーフォニアム2』第10話その3。それが、あのシーン、初めて久美子が本心を叫んだんだ。「わたしが――」って。みんなじゃなくて私が、と。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月7日
ここにたどり着くまでの長い長いストーリーと、それを見事に表現した演技と作画と。最高の最終回だった!……でも、まだ麗奈の話が残ってるのなw
来ました、私が2期で一番好きな回です!
1期からずーーーーーーーーーっと積み上げてきたものがようやくようやく報われました。
久美子と、あすか先輩の対峙。
9話でも二人で喋るシーンが続いていましたけど、あちらは久美子が「誘われたから」行っただけで本心では避けたかった対峙でした。しかし、この回の久美子はAパートの「お姉ちゃんとの別れ」を経て、自分からあすか先輩に会いに行きます。本心を見せず、自分からは踏み込まないように、安全なところから見守るだけだった久美子が、自分からあすか先輩に踏み込むんです。
しかし、あすか先輩を説得する材料がありません。
久美子はこの期に及んで「みんながあすか先輩に吹いて欲しいと言っています」なんて言ってしまうのです。周りに流されて、周りに合わせる生き方しか出来なかった彼女だからそんな言葉しか出てこないのです。それでは、あすか先輩の心には届きません。
だから、ようやく彼女は自分の言葉で自分の感情を話すのです。
「私があすか先輩と吹きたいんです」と。
「親の言う通りに自分を抑えて生きてきた」というお姉ちゃんの言葉は、お姉ちゃん自身にも、あすか先輩にも、「周りに合わせて本心を見せないように生きてきた」久美子にも言えることです。グチャグチャになりながら、「言わなきゃイイのに」と言われながら、久美子は自分の感情を爆発させてそこから解放されます。
2クール溜め込んだものが解放されるカタルシスもさることながら、そこに至るまでの過程もちゃんと納得いくように描かれていました。お姉ちゃんとの会話と別れ、電車の中でそれを思い出すシーン……全てが、あの久美子の叫びに集約されていて見事でした。
しかし、ただ会話をしているだけのシーンなんて「退屈」になってもおかしくないのに。演出に作画に、そして黒沢ともよさんの渾身の熱演で引き込まされる見事な回でした。
【第十一回 はつこいトランペット】
『響け!ユーフォニアム2』第11話視聴。1期8話と同じ藤田さんのコンテ回。久美子と麗奈の距離感の描き方が絶妙だなー。大吉山のシーンも昇降口のシーンも、段による高さのズレをうまく使っていた。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月14日
待ち伏せのシーンは1期を思い出させられたけど、こうでもやらないと葉月ちゃんの出番がないのが
おぉ……感想短い……まぁ、これが普通なんですが。
この作品をギャルゲー原作アニメだと見るなら(主人公は久美子だけど)、
11話は高坂麗奈ルートのエンディング。
12話はお姉ちゃん(&塚本秀一)ルートのエンディング。
13話は田中あすかルートのエンディングなんですね。
アイキャッチで楽器を吹いている人もまさにそうなっていますし。
んで、2期後半でガッツリ描かれたお姉ちゃんやあすか先輩に比べて麗奈の話はそれほど思い入れがなかったために、感想も淡泊なものになっているんですけど……2期の麗奈の話がどんなものだったかを考えると、あすか先輩が散々言われたように「特別な人間なんだと思っていたけど実際には普通の人だった」ってことなのかなぁと思います。
1期で「特別でありたい」と語った大吉山で、2期では「自分の弱さにビックリした」と語る麗奈。
自分で、自分が「普通な人」なんだと気づいてしまった物語なんです。言ってしまえばこれも「10話で初めて本心を語った久美子」と同様に、「“特別”という仮面を剥がされた麗奈」という描写だったのでしょう。
【第十二回 さいごのコンクール】
『響け!ユーフォニアム2』第12話視聴。最後の「大好きだよ!」の破壊力と言ったら……今週は割とほのぼのと、あっさりめに全国大会が終わったと思ってたから、最後の最後に涙腺が崩壊してもうた。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月21日
あすか先輩の物語でも、麗奈の物語でもない、久美子自身の物語の決着だった。あとは、葵ちゃんかー
『響け!ユーフォニアム2』第12話その2。この作品、「周りに歩調を合わせること」と「自分の想いを見せること」が重要な鍵だったので、今週最後の久美子なんかは特に象徴的に「部の中から一人飛び出して姉を追った」くらいで。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月21日
そう考えると、葵ちゃんの物語を軟着陸させたりはしないと思いたいが
最後の姉妹のシーン、何度観ても号泣してしまう……
お姉ちゃんの話ばかりすると可哀想なので秀一の話もします。
秀一が久美子にあげたヘアピン、私全然秀一に興味ないんだなーと当時の感想でも全く触れていないことにビックリしたんですけど(笑)、滝先生が奥さんの墓前に飾った花なんですね。花言葉が「あなたをずっと想い続けます」みたいなヤツ。滝先生が買ったのを久美子が見て、その花を久美子が見ているところを緑ちゃんが見てて、緑ちゃんがそれを秀一に伝えて、花言葉のことなんか知らずに秀一はそのヘアピンを買って渡して、久美子は全国大会の演奏時にそれを譜面台に置いて演奏していたという。
なので、11話はお姉ちゃんルートのエンディングでありながら、秀一ルートのエンディングでもあるのだろうと思います。
あと、当時の感想に書いた葵ちゃんの話。
私は「ここから描かれる」のかなーと最終回に期待していたのですが、この記事を書くにあたってザッと2期全話を観返したところ、「葵ちゃんの物語」は実は8話で決着がついていたんですね。久美子が風邪をひいて練習を途中で切り上げて帰る際に、途中で葵ちゃんに会うシーン。
あそこで葵ちゃんは、あすか先輩のことを「特別」だと言ってて「もめ事を抱えているのは愚かな人くらいに思っているのかと思ってた」と言うのだけど、久美子が珍しく「そんなことないでしょ」と否定するのです。本心を言わないで、相手に必要以上に踏み込まない久美子にしては珍しい場面でした。
多分、「葵ちゃんの物語」はここで決着がついていて、その結果として全国大会に観に来たのかなと思います。私は1期の感想で「周りに流されない道を選んだ葵ちゃんが府大会を観に来なかったのは正しい」と書いたのですが、あのシーンをきっかけに葵ちゃんも何かを思い、それで全国大会を観に来たのなら……これもまた1期では果たされなかった決着の一つなのかなと。
最終回で葵ちゃんとあすか先輩が一緒に歩いていたことが象徴するように、久美子とのあのシーンをきっかけにかつては別の道を進んだ二人がまた同じ道を進むようになったとも思えますしね。
【最終回 はるさきエピローグ】
『響け!ユーフォニアム2』最終話視聴。終わってしまった……青春が終わってしまった。2期は1期ほどノれないと思っていたんだけど、終盤のあすか先輩の話になってからは夢中になって観ていた。そして最後の「大好き」。思えばこの作品、久美子が「好き」と言えるものを増やしていく話だったんだなぁ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月28日
『響け!ユーフォニアム2』最終話その2。まだまだ彼女らの物語の続きを観たいような気もするのだけど、「3年経ったら卒業しなくてはならない」高校生という存在を考えると、ここで幕を引くのが最も美しい形なんだろうなーと思う。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2016年12月28日
そういう意味ではホント過不足のない2クールだったよ、幸せだった
2006年に『涼宮ハルヒの憂鬱』で社会現象を起こして以降、京アニは日本の深夜アニメで「最も注目される存在」だったと思います。もちろん京アニ作品よりもヒットした作品はたくさんあるし、売上だけを見たら京アニ作品もかつてのようなすさまじいものではなくなったと思うのですが……『涼宮ハルヒ』から10年が経った2015~2016年にこんなものが出せるのだから、やはり京アニはトンデモないと思います。
私、京アニ作品の中で一番この『響け!ユーフォニアム』が好きです。
優劣をつけるのはあまり好きじゃないんですけど、でも京アニは日々進化し続けて、新しいことに挑戦し続けて、「最も注目される存在」であった10年間の作品の中でも最新作が一番好きになってしまうくらい現在進行形ですごいのが京アニだと思います。
アニメはこれで恐らく完結かなーと思うのですが、原作者さんのTwitterによると原作小説はまだ続きを書きたいという話があるみたいですね。来年、再来年と続いていって彼女たちがどうなるのか……本当にあすか先輩が毎日見にきていたらどうしましょう(笑)。
努力は報われる、ただしそれは本人が望む形とは限らない。というのがユーフォシリーズを書く上で一貫して決めているルールです。北宇治高校以外の学校にもドラマがあり、全ての部員たちが努力している。その結果がどんな形であれ、きっと一生大切にできる何かを得られるんじゃないかなと思います。
— 武田綾乃 (@ayanotakeda) 2016年12月28日
久美子たちが二年生、三年生になり、北宇治はどうなるのか……。続きを読みたいと言ってくださる方に良い報告ができるよう、執筆活動を頑張りたいと思います。これからもユーフォニアムシリーズを応援して頂ければ嬉しいです。
— 武田綾乃 (@ayanotakeda) 2016年12月28日
2期はちらっとしか出番がありませんでしたが、梓ちゃんが進んだ立華高校を主役にした小説も出ているんですよねー。アニメが終わって寂しいと思っていたけど、「読まなきゃいけない本がたくさんだ!」という気分になってきました(笑)。アニメも1話から観返したいけど、その前に原作小説かなー。
これから原作シリーズを読む方もいると思うので宣伝しておくと、ユーフォシリーズは1巻→2巻→3巻→ヒミツの話(短編集)→吹奏楽部日誌(ファンブック)の時系列順でストーリーが進んでいます。短編集は色々なエピソードが入っているので1巻~3巻中に起きた出来事のお話も入っています。
— 武田綾乃 (@ayanotakeda) 2017年1月4日
それと並行して、佐々木梓を主人公にした立華高校編が、前編・後編の二冊出ています。吹奏楽部日誌(ファンブック)には180ページほどの書下ろし短編が入っているのですが、立華高校編の面々も登場します。立華高校編はマーチングをメインに書きました、こちらの方もぜひよろしくお願いします。
— 武田綾乃 (@ayanotakeda) 2017年1月4日
補足すると、吹奏楽部日誌(ファンブック)に収録されているお話は、北宇治高校の定期演奏会・北宇治高校&立華高校の合同演奏会の二編です。北宇治編だけを追って読んでも楽しんでもらえると思うのですが、個人的にはファンブック前に立華編を読むことをお勧めします。よろしくお願いします。 https://t.co/kwmkGsnY1k
— 武田綾乃 (@ayanotakeda) 2017年1月4日
ということは……↓こういう順かな。
まだまだ『ユーフォ』の世界を楽しめるじゃないですか!
・響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏
・響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機
・響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
・響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編
・響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編
・響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌
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