最後の最後にとてつもないのが来てしまいました!果たして夏アニメが始まる前に書き終わっているのでしょうか、この記事は!
<ルール>
・1話から最終話までの感想ツイートを貼り付け
・“最終話まで観終っている”現在の自分のコメントを補足
・なので、基本的に最終話までのネタバレを含みます
・「まとめ」という記事タイトルですけど、まとめるのは「私の感想」だけです。「みんなの感想」をまとめるのが目的の記事ではありません
・私はまだ原作を読んでいないので、コメント欄などに原作のネタバレを書き込むのはやめてください
・思うがままに書いた感想なので、ところどころに間違いがあったりするでしょうが優しく許して下さいな
【第一回 ようこそハイスクール】
『響け!ユーフォニアム』第1話視聴。第1話から山田さんコンテ回キタ―――!EDも山田さんのコンテなんで『たまこ』っぽい画面。やっぱりこう「青春の切ない部分」みたいのを感じさせる絵作りが上手いなぁ。
本編も「新入生同士」の距離感が素晴らしかったなぁ。緑ちゃんのアイコンタクトとか。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 7
『響け!ユーフォニアム』第1話その2。葉月は行動力のある律っちゃんタイプだけど一人初心者だから違う物語になりそうだし、緑ちゃんは第一印象と違ってしっかりしてた。久美子は「ともよちゃんのこういうキャラ見るの初めてだなー」と思ってたけど、細かい感情の出し入れが見事。「うん」が良かった
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 7
『響け!ユーフォニアム』第1話その3。第1話でメイン3人の魅力は十分に伝わったし、これから物語が始まる高揚感が素晴らしかった!演奏シーンはまだまだコレからよね。
久美子が葉月を見て幼い頃の自分を思い出すとこがすごく良くてね……今季の柱になりそうな一本。姉妹の描写も最高でした。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 7
このアニメが1クール13話かけて何を描いていたかと言えば、まず表のメインストーリーとしては「吹奏楽もユーフォも何となくで続けていた久美子が、心の底からユーフォを大好きと言えるようになる話」だったと思います。この作品のほぼ全てはそれを描くために用意されていたと言っても過言ではないほどに。麗奈との確執も、夏紀先輩との距離も、葵ちゃんの退部も、久美子が12話で「上手くなりたい」「私、ユーフォ好きだもん」と言えるようになるためにあったのだと思います。
そう考えると、最初と最後は『けいおん!』と一緒とも言えますね……(笑)。
何にも夢中になることが出来なかった平沢唯が「夢中になれるものが見つかるから!」というモノローグに繋がる話。
第1話で入学式に向かう久美子と、最終話でコンクールに向かう久美子のカット……第1話ではスカートを上げて、最終話ではスカートを下げているんですよね。絵コンテ描いている人が同じなので敢えてそう対比させているのだと思います。恐らく、ここで久美子の心の変化を描いているのでしょう。ポニテもそうなんですけど、「何かを変えたい」と思った久美子が、「もう変える必要はない」というところまでたどり着いたのが最終話だろうと。
ということで、表のストーリーとしては「久美子の成長物語」という超王道な青春賛歌なアニメだったのですが……最終回で度肝抜かれちゃって、「うわ……これ、どうやって感想まとめ書いたら良いんだ……」と途方に暮れてしまった裏ストーリーがありました。あすか先輩は、この1クール13話通して何を考えていたのだろうか?
【第二回 よろしくユーフォニアム】
『響け!ユーフォニアム』第2話視聴。これだけたくさんの楽器とパートを、Aパートだけで何となく把握させるのは凄いなぁ。葉月の「買うマウスピースを間違えた」とか久美子の「ユーフォやめたい」という描写のおかげで、それぞれの楽器の立ち位置と違いが分かるもんで。先輩達のキャラも見えてきた。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 15
『響け!ユーフォニアム』第2話その2。ユーフォを辞めたがっている久美子にユーフォをやらせるには、それなりの理由付けが必要かなーと思ったけどその辺はないまま進んじゃったので、今後「久美子がユーフォをやる意義」みたいな話が出てくるのかな。それ次第でこの作品の評価が変わってしまいそうな
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 15
『響け!ユーフォニアム』第2話その3。まだなんとも言えないところは多いけど、現時点では群を抜いて面白いなぁ。滝先生の多数決もものすごく残酷なことをやっているし、あの「みんながこっち挙げているからこっち挙げにくい」みたいな雰囲気が絶妙に良く出来てる。葵ちゃんの発言も上手く気になる。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 15
という……表のストーリーは置いといて。
この回の私の感想ツイート間違っていますね。滝先生は「多数決」など提案していません。滝先生はあくまで「生徒の自主性を尊重する」と言って生徒達に任せたのです。「多数決」を提案したのは、実はあすか先輩なのです。
晴香先輩は「多数決で決めること」をすごく嫌がっていたのに、それを押しきるなんてあすか先輩は流石天才肌なだけあって何も考えていない―――とずっと思っていたのですが、最終話の彼女の表情を見るに彼女は「何も考えていない」のではなく「自分の考えを見せていない」だけなんだと思います。
例えば、最終話でコンクールに向かう前の晴香先輩の挨拶を聞いている時のあすか先輩の表情は悲しげで、でもその後にふっと笑顔に変わってみんなを鼓舞しているのです。“副部長”という仮面を被っているかのように―――
そう言えば、第2話での「多数決」にはあすか先輩は参加していませんし、彼女は徹底して「自分の意見を言うこと」を拒否しているんですよね。基本的には茶化して答えていて、唯一チラッと見せた相手は久美子だったので、それが最終話のコンクール直前の台詞に繋がるのかなと思うのですが……その辺は、また後で。
【第三回 はじめてアンサンブル】
『響け!ユーフォニアム』第3話視聴。放送開始前は「よくある部活モノかー」くらいに思っていたのだけど、これは吹奏楽部でしか出来ない物語で、そのためのキャラ配置がしっかりしている。運動部だったら「レギュラーだけやる気ある人を集めて残りは補欠」が出来るけど、吹奏楽部はそれ出来ないもんね
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 21
『響け!ユーフォニアム』第3話その2。葉月はともかく、久美子・緑ちゃん・高坂さんが1年にして即戦力なのも、一人一人の技量の成長よりも、“この吹奏楽部が”どう全体で変われるのかという物語なので当然なんだな。やる気ある人達が抜けて、やる気ない人達が中心に残ったというのもなるほど。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 21
『響け!ユーフォニアム』第3話その3。そこまで露骨ではなかったかも知れないけど、久美子は中学時代「本気で全国に行けると思ってたの?」と言ってしまったくらいなので…やる気ある人・ない人の対比は、高坂さんと久美子の中学時代にも重なる話ではあるんだよね。久美子にやる気がないかはさておき
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 21
『響け!ユーフォニアム』第3話その4。もしこれが運動部のアニメだったら、高坂さん一人「エース」がいるだけで強いチームになったかも知れない。でも、吹奏楽部のアニメではそうはいかない。
だから、あそこの『新世界より』が久美子達に届いて、それで彼女達が前に進むシーンが美しく尊かったんだ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 21
『響け!ユーフォニアム』第3話その5。自分が今まで観てきたどんな部活モノとも違う構造の話で、全く新しい感覚で楽しめている作品なんだけど……
やっぱりこれを「キラキラした青春を描き続けてきた京アニ」が作っているのが新鮮で、これは京アニにしか出せない魅力を持った京アニの新境地だなぁと
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 21
この回は自分だけじゃなくて、放送後のTwitterrタイムラインも凄かったですね。
はてさて。第3話の時点でボロボロだった吹奏楽部がここからどうやって持ち直すのか、ですが……実は第4話から滝先生が熱血指導を始めるからなんですね。んで、第3話の時点では突き放していた彼がどうしてそう変わったのかというと、この回のラストで高坂さんが吹いた『新世界より』を聴いたからなんじゃないかと私は思っています。
というのも……高坂さんは「滝先生は私の気持ちなんて知らない」と言っていましたが、1クール通して観ると滝先生の方も割と高坂さんを意識しているシーンがあるのです。第1話では久美子や高坂さんの中学時代の演奏をスマホに入れて聴いていましたし、最終話ではコンクールに行く前に幼少期の高坂さんらしい写真を眺めていましたし、この第3話でも高坂さんの演奏を聴いてハッとする様子が描かれているのです。
まぁ……中学の演奏って久美子や高坂さんだけじゃなくて秀一もそこにいたはずですし、滝先生はやたら秀一に絡むので、ひょっとしたら秀一目当ての可能性もありますが(笑)。
それはそうと、あすか先輩チェック。
この回はかなり顕著なんですが……あすか先輩って「文句を言わない」んですよね。夏紀先輩がやる気がなくても文句は言わない、むしろ理子先輩と後藤先輩がケンカしそうなのも止めるし、部員みんなが滝先生への不平を言っているのもまとめているのです。
すっごい完璧超人な人格者っぷりを見せていますが、これは恐らく「表の顔」。みんなの不平をまとめた後、ムシャクシャしたから一人で夜まで吹いていた―――という話を聞くに、誰にも見せてないけどあすか先輩はあすか先輩で思うところはあったのだと思います。
【第四回 うたうよソルフェージュ】
『響け!ユーフォニアム』第4話視聴。このアニメ、ストーリーの筋立てだけ見たらすげえ地味な話だと思うんだけど、こんなに面白いのは久美子と高坂さんの距離感ゆえだと思うな。ずっと謝れなかった久美子と違って、高坂さんは謝った。それが久美子を変えて、中川先輩に話しかけることが出来た。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 28
『響け!ユーフォニアム』第4話その2。『SHIROBAKO』の宮森さんもそうだったけど、大人数の組織を描く作品で“一個人”に出来ることは限られている。でも、そんな中でもちゃんと“一個人”の頑張りでみんなの意識が変わっていくところが熱いんだ。高坂さんは、まず久美子を変えたんだ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 28
『響け!ユーフォニアム』第4話その3。久美子はまだ中川先輩に話しかけただけだけど……高坂さんが部内で孤立していきそうな雰囲気なので、ここから先、久美子の力でどれだけ高坂さんを救えるのかがポイントになりそうかな。
今回は演奏させてもらえなかった葉月の展開も気になるところだけど……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 28
『響け!ユーフォニアム』第4話その4。滝先生が第1話で聴いていた音楽が、久美子や修一、高坂さんがいた中学の合奏だったことと。高坂さんが上手いのに北宇治に来たことと―――って考えると、やっぱこの二人は何か関係があるのだろう。でも、高坂さんを孤立させる展開に使われるんだろうなこれw
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 4月 28
私、さっきから「あすか先輩は誰にも自分の考えを見せない」と書いてきましたけど、それって実は久美子もそうなんですよね。いや、あすか先輩や久美子だけじゃない。人間ってみんなそうだよね―――ということを、2話の葵ちゃんも言っていました。そうしなければ集団の中ではいられないのだから。
この『響け!ユーフォニアム』というアニメが1クール通して描いてきた「久美子の成長」の中に、「(サボテン以外には)本音を言えない」久美子が徐々にみんなに本音を言えるようになっていく……というポイントがあると思います。その第一歩がこの回。本音をガシガシ言いまくる高坂麗奈を見て、久美子もちゃんと高坂さんに「ありがとう」と言えたし、夏紀先輩に声をかけられました。ここから久美子は変わっていくんです。
というか、高坂さんが久美子に惹かれていったのはきっとここなんですよね。彼女は本音を隠して集団の中で馴れ合う人間が嫌いで、久美子はポロッと本音を言っちゃうので、そこが「久美子って性格悪いよね(だから信じられる)」という発言に繋がるのだろうと。
さて、恒例のあすか先輩チェック。
晴香先輩と香織先輩は第3話で「あすかはパーリー会議で味方してくれるはず」と言っていたのに、ここでは「どっちの考えも分かる」と味方をしてくれません。彼女はどっちにも与さないんですね。自分の意見を言わないし、誰の味方もしない―――音楽に一生懸命になっている葉月をアドバイスはするけど、練習しない夏紀先輩を注意したりはしません。
そもそも彼女、ものすごい実力者でありながら、部がムチャクチャ下手くそだった第1話や第2話の頃から楽しそうだったですもんね。逆に、部が上手くなっていっても特に嬉しそうでもなんでもない。彼女にとっては音楽そのものが目的であって、「誰かと競うこと」とか「全国を目指すこと」とかを目的に音楽をすることには興味がないのかもなと思います。
【第五回 ただいまフェスティバル】
『響け!ユーフォニアム』第5話視聴。今週は山場のない地味な回かなーと思いながら観ていたのだけど、久美子とあずさちゃんの会話シーンが演出も演技もすごく良かった……シナリオとしても、ここで「そうだ。久美子はちゃんとここに居場所を作れたんだ」と思えたもんな。夏紀先輩の件があったから。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 5
『響け!ユーフォニアム』第5話その2。5話までは「久美子が北宇治に居場所を作る話」って考えると一区切りなのか。ここから先がどうなっていくか、高坂さんの件もそうだけど、今週わざわざ「居残って練習する生徒」と「塾とかあるから帰る生徒」の様子を描いている辺りもポイントなんだろうなぁ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 5
『響け!ユーフォニアム』第5話その3。部全体がやる気に満ちて「全国行ったるぞ!」という雰囲気になった時こそ、そこについていけない葵ちゃんみたいな派閥が爆弾になりそうな気もする。
部長と副部長の話もそうだったけど、こういう「大人数の部ゆえの思惑の交錯」を描いてくれるのを期待している
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 5
『響け!ユーフォニアム』第5話その4。カリスマあすか先輩が部長をやらず、メンタル弱い晴香先輩が部長をやらされて。3話で晴香先輩は「あすかは自分達の味方をしてくれるはず」と言っていたのに、4話のパーリー会議であすか先輩は全然味方してくれなかったのよねw ここの溝も面白く描けそうよね
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 5
分かりやすいのは、この回の久美子は目覚まし時計が鳴っていてもしばらく起きないんです。最終話の久美子はパッと起きてタッと目覚ましを止めていたのに。ここは久美子の成長を分かりやすく見せているところかなぁと思います。京アニ、目覚まし時計、成長とは、『けいおん!』を思い出す演出です。
それと、梓ちゃんのシーン。
すっげえたたみかけるように喋って、みんなに会いに行こうと久美子を誘ってくるシーン……これまで「何となく」生きてきた久美子だったら付いていったと思うんですね。だから、付いてこない久美子に梓ちゃんもビックリしたワケで。
でも、久美子はもう「何となく」ではいられないのです。高坂さんとのやり取りで彼女は「一歩を踏み出す」ことが出来るようになりました。だから、夏紀先輩のことも誘ったし、梓ちゃんにも付いていかなかった―――最終話の彼女に比べるとまだまだ成長途中の久美子ですけど、この時点でもう彼女は変わりつつあったんですね。
さて、恒例のあすか先輩チェック。
夏紀先輩から部長と副部長の関係が語られます。あすか先輩はリーダーに「向いている」けど、「好き」ではないという話。この回のあすか先輩はドラムメジャーをやっているので葉月のことも厳しく指導していたけど、本来なら彼女はそういう仕事はしたくはないんだろうなと思います。夏紀先輩のことも放っておいたくらいですもんね。
それはそうと、香織先輩は本当にあすか先輩のことばっか気にしているんだなぁとこの頃から分かりますね。
【第六回 きらきらチューバ】
『響け!ユーフォニアム』第6話視聴。今週は日常コメディでイマイチかなーと思っていたら、「単調でつまらなかった個人練」が「みんな合わさると音楽になる」という、すっごく当たり前なことだけど初心者の葉月の目線で語るべきことを描いてくれた。下手くそだったけど、合奏シーンはグッときたよ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 12
『響け!ユーフォニアム』第6話その2。んで、5話から立っていた葉月→修一のフラグが本格的に。修一に相手が出来て、これで何の問題なく久美子は高坂さんとくっ付けるということか!え、違うの!?
オーディションの話といい、修一のことといい、持つ者と持たざる者という話になるのかな。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 12
『響け!ユーフォニアム』第6話その3。久美子と夏紀先輩とか、高坂さんとトランペットの先輩とか、オーディションは「後輩の方が先輩より上手い」ケースを浮き彫りにしちゃうんだよね。久美子は特にユーフォにこだわりなかったけど、それだけ続けていられるのは恵まれているとも言えて。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 12
『響け!ユーフォニアム』第6話その4。「初心者の葉月」や「アリバイを作りたかった葵ちゃん」や「みんなが部長になって欲しかった副部長と、仕方なくなった部長」なんかがこれまで描かれてきたワケで、キャラ配置的にも「持つ者と持たざる者」はポイントになりそう。緑ちゃんのガチャも伏線か?(え
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 12
そう言えば……序盤からちょいちょいそれっぽい描写はありましたが、4話の久美子との会話以降、5話~6話と高坂さんの久美子への視線が熱っぽくなってまいりました。こう見るとやっぱり4話で「久美子が勇気を出して一歩を踏み出した」ことが、高坂さんにとって久美子が特別な人になったっぽいんだなと思いました。
さて、恒例のあすか先輩チェック。
この回は、悩める葉月への熱血指導で暴れまくる回でした。4話のところで“彼女にとっては音楽そのものが目的であって、「誰かと競うこと」とか「全国を目指すこと」とかを目的に音楽をすることには興味がないのかもな”と書いたのですが、この回は葉月に対して「オーディションなんだから上手くならないと」と熱く語るシーンがありました。
この辺の真意はよく分からんのですよね……
高坂さんと香織先輩の再オーディションには「心の底からどうでもいい」と言っていた彼女なので、葉月がオーディションに受かるかどうかもどうでもいいと思っているんじゃないかと思うのですが。最初から諦めて上手くなろうとしない考えには厳しいことを言うってカンジですかね。
【第七回 なきむしサクソフォン】
『響け!ユーフォニアム』第7話視聴。葵ちゃんの離脱、部長と副部長の確執、3年生組の話は自分がこの作品に一番期待していたところなので割とあっさり終わってしまったのは残念。でも、久美子達からすればメインの話じゃないもんね。香織先輩が部長の家に行くシーンはとても良かった。とても……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 19
『響け!ユーフォニアム』第7話その2。後は、この「かつてあったゴタゴタ話」が「これから吹奏楽部に起こる話」にどれくらい関係しているかってところかなぁ。2年の大量離脱を食い止められなかった葵ちゃんも、その葵ちゃんを止められなかった久美子達も、このまま終わると報われないからなぁ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 19
『響け!ユーフォニアム』第7話その3。葵ちゃんが辞めるのは自分のためではなく、かつて辞めていった部員のためで。この「負の連鎖」を作品内で食い止めない限りはカタルシスが生まれない。
なので、今の段階だと何ともやるせない話のまま終わってしまって……オイ、葉月。オマエちょっと空気読めよ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 19
まず、この『響け!ユーフォニアム』というアニメが1クール通して「久美子がユーフォを大好きと言えるようになる話」だという視点で見ると、この回は「葵ちゃん」と「晴香先輩=部長」の対比だということが分かります。色んなものを犠牲にしてまで吹奏楽を好きだとは言えなかった葵ちゃんは部を去り、それでもやっぱり吹奏楽が好きだから戻ってきた晴香先輩―――この作品自体、「色んな人の好き」を描くことで「久美子が好きを見つける」話なんですね。
んで、こうして3年生2人の動向を描くことで「3年生の立ち位置」が見えてくるという。
これまで「マドンナ」「エンジェル」として描かれてきた香織先輩の等身大の魅力を描くことで、今後高坂さんと対決していく彼女をこの時点で掘り下げてあったんですね。香織先輩も応援したくなるように描かれていたのです。
そして、いよいよ持ってあすか先輩の本性に気付き始める久美子―――
この回は、夏紀先輩や、秀一や、晴香先輩と香織先輩など、たくさんの人が「あすか先輩について」語ることになります。「どこまでも中立」で「真意が見えず」「演奏以外のことはストイックに切り捨てる」存在。2話の多数決の際も、高坂さんと香織先輩の再オーディションの際にも、彼女は何も言わなかったのだけど……それは1年前もそうだったという。
高坂さんはそうなりたいと思って「特別な人間」になろうと努力しているけれど、あすか先輩はその努力すら周りに感じさせない真の意味での「特別な人間」なのかもって思います。だから、久美子はその両方から好かれているのか……?「特別な人間」に好かれるオーラでも出ているのでは……?
さて、そんな高坂さん。
は、置いといて――――久美子はこの回の葵ちゃんの退部以降、スランプにハマります。葉月が「何でも相談してよー」と言った割に、この次の回で葉月は葉月で久美子に不義理を果たすワケで、ますます久美子を追い詰めていくことになります。それを救うのが高坂さんで、久美子は高坂さんという「何でも相談できる特別な相手」を得ることでスランプを脱出することになるのです。
加藤葉月と高坂麗奈、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。
という懐かしいテンプレはともかく、初見では「高坂さんと久美子、いきなり距離詰めすぎだろ!」と思っていたのですが、こう振り返ってみると4話以降の高坂さんはかなり久美子を意識していたことが分かりますし、唐突感はそれほどありませんでした。何より、久美子が一番苦しい時期に支えてくれたのが高坂さんなんですよね。
【第八回 おまつりトライアングル】
『響け!ユーフォニアム』第8話視聴。なんか……!なんか、トンでもないものを観ちゃった気がするぞ!映像の美しさ、惜しみなく展開を見せてくれる贅沢さ、自然な演技と、シチュエーションの儚さと、久美子の台詞じゃないけど「夢みたいな時間」を観ていたような1話だった。8話にこんな回をやるのか
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 26
『響け!ユーフォニアム』第8話その2。「特別な存在になりたい」という高坂さんは、「自分を変えたい」と願った第1話の久美子にシンクロしていて。脱ぎ捨てられた靴と、演奏する二人の裸足とで、どう考えても「そう」連想させられるシーンだった。そこで演奏される曲が「愛を見つけた場所」だし。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 26
『響け!ユーフォニアム』第8話その3。一方の葉月は、久美子と高坂さんの足のカットに挟まれるように、しっかり靴と靴下を履いて歩いて帰っている絵が入るという。流石京アニ!足の描き方で心理状態を演出する!というか、足を描くことの情熱が半端なさ過ぎるだろ!性描写ではないギリギリの描写凄い
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 26
『響け!ユーフォニアム』第8話その4。葉月の、涙を流すことで想いが爆発していく様もすごく良かったし。後藤先輩のこととか夏紀先輩のこととかも言いたかったけど……ああいう青春を全部「普通の人」扱いする高坂麗奈という超越した存在に全部持ってかれた。でも、この危うさ……一悶着ありそうだな
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 5月 26
この回の放送終了後、Twitterのタイムラインは「何が……何が起こったんだ!」と騒然としていました。単純に映像の美しさ、演出の巧みさだけでも大満足な回なのですが、こうして1クール振り返っている自分がどうしても語りたいのは「カタルシス」について。
この回、これまで不思議な存在でしかなかった高坂麗奈が初めて自分の気持ちを吐露する回なんですね。久美子としても、視聴者としても、この回で初めて高坂麗奈という人物を知ることが出来たのです。まず、ここに「カタルシス」があるのです。
そして、ここで語られる高坂さんの台詞―――ザックリ要約すると、「普通の人は誰かと同じだからって安心したり出来る」「久美子は性格が悪いからイイコちゃんのフリしているけど本当は冷めていて、そういうところが気になっていた」「私は特別になりたい」。
まとめると「元々の意味での中二病」感が凄いのだけど(笑)、でもここで重要なのは「久美子の二面性」だと思います。つまり、高坂さんは久美子のことを「普通の人ではないのに普通の人の中にムリヤリ溶け込もうとしている」と見ているんですね。
先週の『ユーフォ』のニコ生をようやく観たのだけど、ともよちゃんの「久美子は8話で初めて笑った。それまではずっと愛想笑いしかしていなかった」という話がすごくしっくりきたし。何故8話があんなに心に響いたかというと「楽しそうな久美子」を初めて観たからなんだ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 3
さて、恒例のあすか先輩チェック。
他人の恋路には興味津々なあすか先輩、しかしオーディションのことを神頼みする香織先輩には「そんなの自分次第でどうにでもなるのに」と厳しいことを言います。こう見ると、6話で葉月に怒っていたのは「オーディションに消極的だから」ではなく「自分の力で上手くなろうとしないから」だったみたいですね。この次の9話も「恋愛がどうこう」というより、「それが原因で演奏に身が入らない」ことに怒っていたように思いますし。
【第九回 おねがいオーディション】
『響け!ユーフォニアム』第9話視聴。キャラ配置的には、まぁそうなるよね!夏紀先輩が落ちて、高坂さんがソロに抜擢。久美子が抱えていた爆弾にも、高坂さんが抱えていた爆弾にも火が付いて、本来こういう事態に助けてくれそうな3年生もそれぞれ思うところがある状況で、また部がバラバラになりそう
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 2
『響け!ユーフォニアム』第9話その2。逆に言うと、久美子が過去を乗りこえるためにはこれしかない展開だし。葵ちゃんを引きとめられなかった伏線はここに活きるためだったんだろうと思う。
しかし、これ「高坂さんEND」以外では納得できない構成だなぁw ここはどう着地させるんだろう。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 2
久美子が第1話ぶりに「サボテンに本音を言うシーン」が来ます。しかし、その後に緑ちゃんから電話があって、緑ちゃんに「久美子ちゃんは大人っぽくなりましたね」と言われます。そのカットでサボテンが映るんですね……これまではサボテンにしか本音を喋れなかった久美子が、本音を喋ることが出来るようになって、もうサボテンを必要としなくなった。そう感じられるシーンでした。
それ故に、夏紀先輩の想いが分かってしまい。
だからこそ苦しんでしまう久美子のところに麗奈が駆けつけ、それが最後の最後に久美子の支えになる――――1クール通して考えると、「久美子の成長」と「成長したからこその葛藤」が見事に描かれた回だったと思います。オーディションの結果だけ見ると「まぁ、予想通りだったな」というものなんですけど。
恒例のあすか先輩チェック。
葉月の失恋の原因になってしまった緑ちゃんに怒り、原因を知って本気で怒る―――8話を見るに「恋愛を下らないと思っている」ワケではないと思いますし、序盤の夏紀先輩を放っておいたくらいなので「練習に本気にならない人を許せない」ワケでもないと思うんですけど。久美子や葉月や緑ちゃん達1年生が気を抜いていると、結構本気で怒るんですよね……
オーディションについては緊張している様子もなく、むしろ楽しそう。
それは単に「受かる自信があるから」というだけではなくて、彼女にとって「演奏は他人に評価されるものじゃないから」と思いました。オーディションもコンクールも彼女にとっては、「楽しい楽しい演奏の場」でしかないというか。
【第十回 まっすぐトランペット】
『響け!ユーフォニアム』第10話視聴。なるほど!葵ちゃんの話はここに繋がるのか。あの時は何も出来なかった部長、何もしなかった副部長、部長を支えてあげれた香織先輩だったけれど……今度は香織先輩が当事者で、あの時と違って3年生組はどう動くのか、久美子はキーマンになれるのかって話か。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 9
『響け!ユーフォニアム』第10話その2。久美子があすか先輩について“仮面”という言葉を使ったのはキーになりそうだなぁ。それこそ久美子だって麗奈の前以外では仮面を付けているし、麗奈だってそう。誰だって表の顔と裏の顔がある。そんな裏表を抱えて、集団としてどうしていくのかなんだよね。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 9
『響け!ユーフォニアム』第10話その3。んで、今度のオーディションは「挙手による多数決」!2話で分かったように「多数決」は建前による少数派の抹殺に過ぎないので、このままじゃ麗奈に挙げる部員は多くない。一見公平のようで、最も不公平な手段で…2話で「多数決」を嫌がった部長はどうするか
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 9
『響け!ユーフォニアム』第10話その4。序盤の細かい描写がここに無駄なく活きているのは非常に自分好み。特に「多数決」に関しては「アレでいいのか?」と思っていたのでここでもう一度やってくれるのには唸った。
後は、あすか先輩の使い方かなー。久美子と秀一の話はもうどっちでもイイやw
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 9
中1の頃のオーディションで先輩を蹴落としてしまったトラウマ回想で、彼女は落ちたユーフォに「痛っ」って叫ぶんです。楽器=自分の体の一部になっていて、これは9話にも同じようなシーンがありました。わざわざ9話と10話に同じようなシーンを中1の久美子と現在の久美子で描いているんですね。
恐らくなんですけど……久美子が「何となく」生きて、「誰にも本音を言わず」「何にも一生懸命にならず」という冷めた人間になったのは中1のこの出来事があったからなんじゃないかと思います。そうして、高校生になって、色んな出来事があって、またユーフォに一生懸命になれるようになって、中1の頃と同じように今の久美子も“楽器=自分の体の一部”と考えられるようになったんじゃないかと思われます。
だから、夏紀先輩とのシーン、夏紀先輩の台詞も感動なんですけど……それに涙を流せるようになった久美子の変化も感動でした。「何となく」生きていた頃の彼女には出来なかったことです。
それと、この回……松本先生が優しいんですよね。
二者面談で久美子を励ますような言葉をかけているし、滝先生を導くような言葉もかけています。公式サイトを見ると、松本先生も音楽の先生で滝先生のお父さんのことも知っているみたいですし……松本先生も吹奏楽部出身なんだろうなと推測します。
「音楽の前で嘘はつけない―――」
松本先生のその言葉を受けて、滝先生は再オーディションを提案します。
ここまで本音と建前で「何となく」進んでいたこの部活の仮面を剥がし、本音を白日の下に晒そうということなんだと思います。そう考えると再オーディションの結果というのは、2話の多数決とは対照的な結果なんですよね。
さて、恒例のあすか先輩チェック。
とうとう久美子はあすか先輩の「闇」を見ます。「正直言って、心の底からどうでもいいよ」
久美子の「あすか先輩の仮面は剥がせない」という台詞は、麗奈が久美子に言った「イイコちゃんの仮面をぺりぺり剥がしたい」という文言から繋がっているんだと思います。また、夏紀先輩があすか先輩のことを「あの人は“特別”だから」と評するシーンもあります。“特別”というのは、この作品においては麗奈と久美子が目指している特別なワード。それをわざわざ使うということは、あすか先輩はある意味ではもう既に「麗奈と久美子がなりたいもの」になっているのだろうと思います。
この回のラスト、香織先輩が再オーディションを希望すると宣言した時に、あすか先輩が微笑むカットが入ります。「心の底からどうでもいいよ」と言っていた彼女が、このシーンは微笑むんです。ここだけは彼女の真意じゃないかと私は思っています。
【第十一回 おかえりオーディション】
『響け!ユーフォニアム』第11話視聴。結局、麗奈と久美子がイチャイチャするためのオーディションだったように思えるw でも、久美子が拍手をして麗奈がハッとするシーンは良かったなぁ。「あの状況で麗奈に拍手をする」ってことの重みがちゃんと出ていたし、「両想いです!」ってカンジだった。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 16
『響け!ユーフォニアム』第11話その2。それとやはり、一番ドラマを抱えているのは2年生だとも思うんだよね。去年、同級生が大量離脱しているワケだし。そういう意味でも、ここで夏紀先輩と優子先輩の絡みがあったのは嬉しかったし、この2人の関係は今後もずっと見たいなぁ。1クールじゃ勿体ない
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 16
麗奈に関して大事なキーワードは、彼女はまだ「特別な存在」ではないんですね。だから、香織先輩がいい人なことにやりづらさを感じるし、優子先輩の言葉にも動揺してしまうし、久美子という支えがあって初めて「特別な存在」に近づけるんです。「特別な存在」ではない彼女が一生懸命「特別な存在」になろうとしているのが分かる回でした。
で、実はそこと比較されているあすか先輩。
麗奈の演奏シーンで、あすか先輩のアップが長々と映るというのには何か意味があるんだと思います。あすか先輩は人に遠慮しないし、動揺もしないし、誰かの支えがなくても「特別な存在」でいられる―――それはやっぱりブレない「音楽が好き」という気持ちを持っているからで、それ以外は全て切り捨てて考えられているからなのかなぁと思います。
つまり、「特別な存在」になろうとしている麗奈の演奏を、「特別な存在」であるあすか先輩が見ているという構図だったのだろうと。
それはそうと「粘着鬼畜イケメン悪魔」こと滝先生の提案したこの再オーディションですけど、拍手の量に関係なく、始めから滝先生は香織先輩に決めさせるつもりだったんじゃないかなと私は解釈しました。松本先生の「音楽の前で嘘はつけない―――」という言葉を受けての再オーディションなのだから、香織先輩は嘘をつけないだろうし、香織先輩自身に決めさせるつもりだったんじゃないかなと。まー、それでも鬼畜なのは変わりませんが。
【第十二回 わたしのユーフォニアム】
『響け!ユーフォニアム』第12話視聴。すっ…げえ……8話とはまた違う方向性の話だけど、作画もストーリーも演出も演技もとてつもなかった。走り出す久美子の動き、やっと分かった麗奈の気持ち、光と影の使い方に、覚醒した黒沢ともよ様の熱演。こんだけ凄いもんを最終話の1コ前にやるとは……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 23
『響け!ユーフォニアム』第12話その2。でも「久美子の物語」としては最終話以上にこの回が力入っているんだよね、きっと。初めて本気になって、初めて悔しい想いをして、ようやく麗奈の気持ちが分かって、そして初めて「ユーフォが好きだ」と分かった。やめたがってたのに、ムリヤリやらされたのに
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 23
『響け!ユーフォニアム』第12話その3。1クールのアニメとしてこの作品が何を描いてきたかと言えば、これだったんだと思う。誰も知らない場所に逃げて、吹奏楽もやめようとした久美子が、やっと本気になれるものを見つけたんだ。葵ちゃんの存在も、香織先輩と高坂さんの対決も、このためだったんだ
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 23
『響け!ユーフォニアム』第12話その4。ここまでは多くのキャラを見事に使いこなしたストーリーだったけど……唯一あすか先輩だけは「謎」のままここまで来ちゃったと思うので、最終話にとってあるのかなぁ。
そう言えば、今週は夏紀先輩と優子先輩のイチャイチャが最高でした。あと、最後の麗奈。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 23
1クール13話全部すごい回だったけど、その中でもこの回が一番好きな回でした。
このアニメが何を描いてきたのか……第1話で描かれた麗奈の涙の意味を、ここで久美子が分かるというのが「カタルシス」なのですが。それを例えば麗奈の口から台詞で説明するとかじゃなくて、12週かけて「久美子の成長」を描いて、何にも本気になれなかった彼女が本気になっている姿を描いて、それでいて挫折して―――というドラマを見せられたからこそ、視聴者にも「あの涙の意味」が分かるというのがとてもとても好きでした。これがアニメーションの力なんだ――――!
とまぁ、当時の感想ツイートでも今の感想まとめでも同じことを言ってどうするって話なので、恒例のあすか先輩チェック。あすか先輩はやっぱり「一生懸命がんばっている人」は好きなんでしょう、久美子にも特訓をつけてあげようとしていました。しかし、その直後に滝先生の指示で久美子はそこを諦めることに……この滝先生からの指示のシーンで、流石のあすか先輩も戸惑って返事が遅れるんですね。
何が本心だか分からないあすか先輩ですけど、香織先輩が再オーディションを申請した際の微笑み、ここでの戸惑い、関西大会出場が決まった時の憂いの3つは確実に本心だと思います。“誰かに見せる仮面の姿”ではありませんから。
……と、すると。
2つは分かりやすいんですよね。「音楽に一生懸命な人は好き」なんだと思いますし、だから音楽に集中していない時の葉月や緑ちゃんには厳しかったんだろうって思います。でも、最後のはよく分かりませんし、そもそもやる気のなかった頃の夏紀先輩や、「何となく」でユーフォを続けていた頃の久美子のこともあすか先輩は責めなかったんですね。
いや、もっと言うと……夏紀先輩の話では、部が分裂してた1年前も「やる気のなかった上級生」のことも批判していなかったし、滝先生と麗奈のことで部がバラバラになっていた時もまとめようともしていなかったワケで。「あすか先輩は中立を貫く」という夏紀先輩の言葉があったように、誰かに加担はしないし、自分の意志を押し付けることもしないんですね。
そう考えると……夏紀先輩が「やる気のなかった上級生」を語った時に言っていた、「ハッキリしない評価に振り回されるコンクールなんかは本来の音楽の楽しさとは違うんじゃないか」という言葉がヒントのような気がしてきました。アレはキツイ練習をしたくない言い訳でしかなかったけど、練習も好きだし実力もあるあすか先輩も根っこの部分ではそう思っていたんじゃないのかって。
【最終回 さよならコンクール】
『響け!ユーフォニアム』最終話視聴。久美子と麗奈の物語としてはもうこれ以上ないくらいに完璧に締めくくったのに、あすかパイセンのシーンやあずさちゃんのシーンをわざわざ入れるという辺りに京アニの闇を感じるわ!こりゃ「続きは2期で」というより「このシーンの意味を考えろよ」ってことかな。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 30
『響け!ユーフォニアム』最終話その2。今確認してきたけど、2話の多数決のシーン……あすかパイセンは「多数決を提案」しておきながら自分は数を数えるだけなので「どちらにも手を挙げていない」んだな。当然、麗奈と香織の再オーディションの際もどっちにも味方していない。なるほど……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 30
『響け!ユーフォニアム』最終話その3。久美子の物語に焦点をあてると、このアニメは「頑張るってイイよね!」「部活イイよね!」「滝先生もイイ先生だったよね!」で締めくくれそうな話だった。
でも、その輪の中にあすかパイセンは入っていない。単純な青春賛歌な物語にはしてくれないんだ……
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 30
『響け!ユーフォニアム』最終話その4。久美子と違って名門高校に入ったあずさちゃんが、誰に声をかけられることもなく一人で不安そうな姿で描かれるように……この作品は「久美子や麗奈になれなかった人」もしっかり描いている。そう考えると、あすかパイセンの闇は狙ってそう描いていたんだろうなと
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 30
『響け!ユーフォニアム』最終話その5。もちろん久美子の物語としては「青春ってイイね!」で締めくくられる話だし、感動している人もたくさんいて当然だと思うんだけど。
最後の最後に闇をぶち込んでくる辺りが、この作品らしい。あすかパイセンの視点で見返すと全く別の物語になるんだろうなあ。
— やまなしレイ(電子書籍発売中) (@yamanashirei) 2015, 6月 30
その前に久美子の話から。
お姉ちゃんとも、夏紀先輩とも、秀一とも、あすか先輩とも、麗奈とも、しっかりと絡んでそれぞれの話に決着をつけました。秀一のことは全然好きじゃない私ですけど、グータッチのシーンはグッと来ました。でも、ラストシーンで麗奈とは恋人つなぎをしていたので、流石だなと思いました(笑)。
久美子自身の物語は12話で決着がついているとも言えるのですが、色んな人とのやり取りの中で成長してきた久美子ですから、最終回でしっかりとそうしたものに区切りを付けたのは良かったと思います。
さて、あすか先輩の言動。
コンクールで吹くことがイヤだったワケじゃないし、もちろん金賞を獲って関西大会に進むのがイヤだったワケじゃないでしょう。でも、彼女は演奏前に「これで終わりなんて寂しい」と言い、関西大会への出場が発表された時は俯いて終わります。それは何故か?
……
………これが「実は家庭の事情でアメリカに引っ越さなくちゃならないので、あすか先輩が出られる大会はこの予選が最後だったのです」みたいな理由だったら「ベッタベタだな!」としか言いようがないのですが(笑)、それはないとすると。彼女にとって「コンクールで評価される」ことは必ずしも音楽の目的ではなかったのかなと思うのです。
私はまだ原作は読んでいないので、原作のあすか先輩がこうなのかは分かりませんし(今から読むつもりなのでネタバレはしないで下さいね!!)、もし原作からこうなのだとしたら「原作の2巻・3巻・4巻」と続きで描かれる話でしょうし、アニメでは「アニメの2期や劇場版」で描かれるのかも知れませんが……
私は、アニメ単体としてこの作品を観ても「視聴者にはあすか先輩の真意は分からない」ラストはそれほど悪くはないと思いますし、続きで正解を明らかにして欲しいとは思いません。だって、久美子にだってあすか先輩の真意は分かっていないんですから。
視聴者は推測することが出来る、でも確実な正解なんて分からない―――久美子と麗奈のような関係とか、晴香先輩と香織先輩のような関係でもなければ、人間は他人の考えていることなんて分からないワケです。ましてや、あんな「特別な」あすか先輩が考えていることなんて分かるワケがありません。
私がこの作品の最終話で思ったのは、「それで良かったんだ」ということでした。
青春に全てをぶつけて、みんなが一丸となって、コンクールで評価されて、やったー!みんなハッピーだー!!というまとめ方だって全然ありだと思うし、久美子や麗奈に感情移入して観ればそういうラストだったと思えると思うんです。
でも、私はそこにちょっと怖さを感じてしまうんです。
60人も人間がいれば、色んな考えの人がいて当然だと思います。それこそ8話で高坂麗奈が言っていた「周りに流されるだけの普通な人にはなりたくない」のように、その輪の中に入れない人間もいると思うんです。
それが、誰でもない。
「周りに流されない」「特別な存在」である、あすか先輩だったのでは―――
麗奈がなりたかった「周りに流されない」「特別な存在」は、ちっとも嬉しそうではなかった。誰にも心を許さないあすか先輩は、麗奈と打ち解ける前の久美子のようでもあるし、久美子と打ち解ける前の麗奈のようでもあります。ラストシーンで俯いた彼女は、そうした彼女の孤独を表現していたんじゃないかなと私は思いました。
もちろんこれは私の解釈ってだけです。
「視聴者にはあすか先輩の真意は分からない」のだから、確実な正解なんてないと思いますし、それでイイんだと思います。その正解を明らかにするだなんて無粋だと思いますもの。そういうラストで締めくくったこの作品は、「分かりやすいエンターテイメント」ではなかったかも知れないけど、「そういう分からないものがあってこそ集団だよね」と思うので個人的には最終話のこのシーンで一層この作品のことを好きになりました。
これで原作読み始めて思いっきり書いてあったらどうしましょう(笑)。
ということで、最高に大好きな作品でした。
もっと前向きで、もっともっと分かりやすく、もっともっともっとエンタメに徹するという方法もあったとは思うんですが……私はこうやって考えさせるあすか先輩のシーンでこの作品を更に好きになったし、「色んな人間がいる」という深みを最後の最後に加えられたと思っています。
今季のアニメの中というだけでなく、これまで見てきたアニメの中でもトップクラスに心に残る作品でした。京アニ、流石である。
2期があるのか、劇場版があるのか分かりませんが、アニメシリーズもここで終わりではなくて続きそうな気配があるので……とりあえず原作小説は1巻だけ読んでみようかなと思います。
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