アニメの後に原作を読むススメ



※ この記事は2013年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です


 長くブログを続けていると、読んでくださる人も変わるし、人は同じであっても何年も経つことで考えが変わるものですし―――同じことを書いても反応が変わることがあるんだなぁ、と思うことがあります。例えば、とある記事の中で書いた


 自分は「原作→アニメ」の順ではなく、「アニメ→原作」の順で観ることにしている。
 好きな原作がアニメ化(映画化)しても観ない


って話。昔このブログで書いた時には「信じられない」「そんな考え方の人がいるのか」「私は逆に原作を読んでいるアニメしか観ません」という反応が多くて、自分は「自分のような人間は少数派なんだ」と思った記憶があるのです。
 少数派ってのが悪いワケじゃないですよ?ただ、ブログを書く時に「みんなもそうだよね?」というスタンスで書かないようにしようって思ったのです。



 ―――んで、今回の反応なんですけど。
 「いや、むしろアニメだけ観りゃ十分で、原作を読む気なんて起きないよ」って意見をもらって、自分は結構ハッとして、こういう素直な意見って意外にネット上では見かけないよなと思ったんです。

 やっぱりさ、ネット上でアニメとか漫画の話をする人は「ものすごく熱量が高い人」が多いから、「アニメを観るからには原作を先に読まなきゃダメだ」とか「事前にしっかりと公式サイトを読んで次回予告まで全部観てスタッフが作るものの全てを享受しなければダメだ」って言う人が多いんですよ。
 というか、私のように「アニメの前に原作読んだらアニメ観ない」「次回予告観るとつまんなくなるから観ない」と言っていると、散々言われてきましたよ。「オマエのようなヤツがアニメ好きを名乗るな」的な。

 でも、そうじゃない人もたくさんアニメを観ているんですよね。
 Twitterを始めてから、割とそういう「熱量が高くない人」の存在を見ることが出来て―――自分みたいな人が他にいないワケじゃないんだなと思ったのです。





 ということで、今日は「いや、むしろアニメだけ観りゃ十分で、原作を読む気なんて起きないよ」という人に向けて、何故アニメの後に原作を読むと面白いのか―――という話を書こうと思います。

 その前に……「何故アニメの前に原作を読まないのか?」って話をするとね。
 恐らく大多数の人は「面白いかどうか分からないものに“時間”と“お金”をかけたくはない」ってことだと思うのです。例えば漫画だったら―――漫画雑誌を片っ端から読んでいるような漫画好きの人でなければ、世の中にごまんとある漫画の中から「自分に合うもの」を探すのは困難です。

 無料で観られるテレビアニメから入って「あ、面白いじゃん」と知って、そこから原作を買って読んでみる―――すごく言葉は悪いと思うんですが、「テレビアニメを無料体験版のように活用する」ことが出来るんです。
 本屋さんにも「今季始まったアニメの原作コーナー」が置いてあるところがありますけど、アレは「アニメが面白かったら原作も読みたくなるでしょ?」ということでしょうし。漫画家さんも自分の著作がアニメ化された際に、「これで原作も買ってもらえるとイイんですけどねー」ってコメントする人もいますし。



 「何故アニメの後に原作を読むと面白いのか―――」の回答の一つとして、
 原作に手を出したいと思うアニメって、その時点で「自分に合うもの」として厳選されているんです。

 『けいおん!』のアニメが大好きな自分は、その時点であのキャラクター達が大好きなんだから、原作読んでもそりゃ楽しいんです。唯がいる!ってだけで私は幸せだったんです。





 しかし、自分の場合はもう一つ理由があって―――「原作至上主義」すぎるところがあるんですよ。
 特に漫画の場合は、自分は漫画という表現媒体が好きで漫画を描いているくらいですから。漫画で発表されたものは漫画の時点で完成されているって思っちゃうんで。アニメとか映画とかで表現されると、原作との違いが気になって「なんであのシーンをカットするんだ!」とか「余計なオリジナルキャラとか足すんじゃねえ!」とか「間が悪い!ここはもっとポンポン進まないと」「何だこのキャスティングは!バカか!」とウダウダ言ってしまうんです。


 もちろん「漫画」と「アニメや映画などの映像媒体」では出来ることも得意なことも違うから、「同じもの」を描くことは出来ないし出来たとしても「映像としては面白くない」ものになるに決まっている―――というのは分かるんですけどね。分かっているけど、つい文句を言ってしまう。
 なので、私は「好きな原作がアニメ化(映画化)しても観ない」んです。


 でも、こういう人は私だけじゃないと思いますよ。
 Twitter見ててもグダグダと「ここが原作が違う…」とか「原作で好きで期待していたシーンが期待外れだった…」とか呟いている人がいるじゃないですか。私もきっとそうなるから、「じゃあその時間で別のことをやろうっと」と思うのです。




 なので、裏を返すと――――
 「原作至上主義」なので、「アニメ→原作」の順で観ると「元々はこういう話だったのか!」と“原典”というか“正解”を知る喜びを感じられるのです。ゲームをクリアした後に攻略本とか攻略サイトを読む感覚。


 例えば『けいおん!』1期の時は「アニメ→原作」の順で観たので、アニメの各ポイントでキーワードになっていたような台詞とかシーンが全部「原作にはないアニメオリジナルの描写」なことに驚いて。アニメスタッフがどういう意図でこの物語を再構築したのかが分かりました。

 「日常ギャグ4コマ漫画」だった『けいおん!』を「少女達の成長物語」に大胆にアレンジしたってのは、アニメがヒットした要因の一つだと思うんですけど。あんまり注目されませんよね、こういうところ。




 自分は『けいおん!』1期の頃は「アニメ→原作」の順で観たので、「どっちも好きだ」と思えたのですが。
 『けいおん!』2期の時は「原作3巻→アニメ→原作4巻」の順で観たため、前半は「ここが原作と変わっているじゃないか!」「どうしてあのシーンをカットするんだ!」と散々文句を言っていたという(笑)。自分が2期をそれほど楽しめなかったのは、ここらの理由も大きいんだろうなーと後悔しています(※ 1)

 原作は一貫して安定して面白いんですけどね。
 だから、『けいおん!highschool』は大大大好きな漫画だけど、これがもしアニメ化されたら複雑な気分になるんでしょう……それでも文句を言いながら観るのか、大切な思い出のままにしてしまっておくのか。



(※ 1 原作3巻が発売されたタイミングでは、まだアニメ2期が発表されていなかった)


【三行まとめ】
・「好きなアニメの原作」ならば、それだけで「自分に合う」可能性が高い
・「原作→アニメ」の順だと、「なんで原作から変えるんだよ!」と文句を言う
・「アニメ→原作」の順だと、「この原作をああアレンジしたのかー」と楽しめる


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