※ この記事は2023年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
『MyGO!!!!!』のアニメ、すごい作品でした……
2023年に『バンドリ』全盛期がまたやってくるだなんて思いもしませんでしたよ。
続いてテレビアニメ『Bang Dream! Ave Mujica』の制作が発表されたので、「続編につなげようとするラスト」だったのは間違いないと思うのですが……「最大の謎」だった「豊川祥子は何故CRYCHICを解散させたのか」の答えを見せて終わったので、『MyGO!!!!!』のアニメとしての決着もしっかりつけて終わったと私は思っています。
まだ『MyGO!!!!!』のアニメを観ていない人に向けて「どこが面白かったのか」を説明するのは、夏アニメ振り返りの記事でやろうと思うので……今日は、『MyGO!!!!!』のアニメを既に観た人に向けて、「豊川祥子」とは何だったのかを今の内に語っておきたいと思います。
そのため、
テレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』全話のネタバレを含みますし。
過去作との関連に触れるため、「BanG Dream!アニメ1期」もしくは「ゲーム版のPoppin'Partyバンドストーリー0章」と、「ゲーム版のRoseliaバンドストーリー1章」あたりの軽いネタバレを含みます。それらを観る予定のある人は、そっちを先に観た方がイイと思います。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第1話より引用>
MyGO!!!!!のアニメは、豊川祥子が「自分が立ちあげたCRYCHICを辞める」ところから始まります。
この物語は「豊川祥子によって人生を狂わされた者達」の物語だと言えるのに、その理由が終盤まで明かされないことで、「豊川祥子がすべての元凶」とばかりにヘイトを買っているのをよく見ました。
しかし、「豊川祥子は何故CRYCHICを解散させたのか」(※1)のヒントは序盤から随所に散りばめられていたんですね。
(※1:正確に言うと、豊川祥子は「(自分は)辞めさせていただきます」と言っただけ。若葉睦がそれに追い打ちをかけて、高松燈が練習に来なくなったことでCRYCHICは活動を終了してしまった―――そのため、長崎そよはみんなで話し合えば、またCRYCHICをやり直せると思ってしまった)
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第1話より引用>
まず、ここ。
「CRYCHICを辞める」と言っている豊川祥子に、長崎そよが「何かあった? それとも、私達が原因?」と聞いているタイミングで、若葉睦が視線を逸らす(顔の向いている方向を変える)カットが入ります。このカット、高松燈視点の第3話では「燈ちゃんは睦ちゃんの表情を見ていない」ため描かれないんですね。
若葉睦は「豊川祥子がCRYCHICを辞める理由」を、この時点で知っていた=2人は幼馴染なので、若葉睦がそれを知っていたのは「その理由が家庭の事情だから」じゃないか―――そう推測することが出来ました。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第1話より引用>
そして、CRYCHICを終わらせた「私はバンド、楽しいって思ったこと……一度もない」です。
このセリフの真意はまだちょっとよく分からなくて……「このままでは祥子一人が責められる」「祥子をみんなで説得してCRYCHICを続けさせようという流れになっている」ことから、私は初見では「睦ちゃんが祥子ちゃんのためにウソをついてCRYCHICを終わらせた」のかなと思っていました。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第3話より引用>
しかし、ストーリーが進むにつれて……「このコ、そんな器用なマネができるコじゃないよな」と思ってきました。無口・無表情キャラのように見えて、実は結構感情が外に出てくるし、悪気ゼロで思ったことをそのまま言ってしまってそれが祥子やそよの怒りを買ったことも多かったし。
実際、CRYCHICの1stライブの後、みんなが泣きながら喜んでいるのに、若葉睦一人だけむちゃくちゃつまらなさそうに俯いているんですよね。
もし仮に「私はバンド、楽しいって思ったこと……一度もない」が本音じゃなかったとしたら、この時点で若葉睦は「この後に豊川祥子に起こるトラブル」と「CRYCHICが今後活動できなくなるであろうこと」を知っていた……とかかなぁ。
この辺の真実は『Bang Dream! Ave Mujica』で明かされるのを待ちましょう。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第3話より引用>
このCRYCHICの1stライブ直後、豊川祥子の行動が一変します。
CRYCHICの練習に来なくなり、CRYCHICを辞めて、月ノ森女子学園からもいなくなります。
そのシーンの直前に、SNSで「(CRYCHICの)ボーカルが必死過ぎ」と書かれていたことに他のみんなが憤っていたことから、「高松燈がSNSで叩かれていたから」豊川祥子はショックでCRYCHICを辞めた―――と、高松燈(と一部の視聴者)は勘違いしてしまったのですが、当然それはミスリードです。もしそれだけが理由だとしたら、わざわざ学校を移る必要はないですからね。
◇ ピアノの謎
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第1話より引用>
最初に大きな違和感を抱いたのは、ピアノのシーンです。
羽丘でバンドメンバーを探していた千早愛音が、音楽室でピアノを弾いていた豊川祥子に出会うシーンで……第1話を観ている時点では「おかしい」と思うワケがないのですが。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第3話より引用>
第3話の過去回想で、豊川祥子が自宅に高松燈を招いてピアノを演奏するシーンがあるんです。
(3話の時点では)自宅にピアノがあるのに、(1話では)わざわざ吹奏楽部が活動を開始する前の音楽室に来てピアノを弾いている……?
この違和感こそが、「豊川祥子がCRYCHICを辞めた理由」のヒントだと思うんですね。中学3年生(第3話)と、高校1年生(第1話)では、豊川祥子を取り巻く環境が大きく変わっているという。
この時点で、私は「3つくらいの可能性」を推察していました。
1.経済的事情で、あの自宅にいられなくなった(自宅からピアノがなくなった)
親の会社が潰れたとか、親が何か大きな不祥事を起こしたとかで、収入がなくなるレベルの話ではなくて、大きな借金を背負うレベルの経済的事情です。結果的に言えば、これが正解だったのですが……「正解とは思わせないミスリード」もあったので、それは後述します。
2.親から、「バンド活動」および「音楽活動」を禁止された
家族に黙ってCRYCHICの活動を始めたのだけど、1stライブでその姿が大勢の目に留まったことで家族にバレて、それを禁止さた―――月ノ森女子学園は、音楽を始めとする芸術部門に秀でたお嬢様学校なので、音楽活動を禁止するために学校も月ノ森→ 羽丘へと移されたという可能性です。
「家族ではなく学校(月ノ森)からバンド活動を注意された」可能性も考えましたが、流石にそれだと長崎そよの耳にその話が入ると思うので……圧力がかかるなら家族かなと。
3.自宅にピアノはあるが、自宅でピアノを弾けなくなった
例えば、寝たきりで介護を受けている家族ができたため、大音量でピアノを弾くワケにはいかなくなった―――とか。赤ん坊ができた(祥子ちゃんに、じゃなくて弟か妹って意味ね)ので、寝かしつけるためにもピアノが弾けなくなったとか。経済的事情以外の、家族の理由という推察です。
あの豪邸でそんな音なんか気にするだろうかとか、介護や育児は金の力で何とか代替できそうだとか、のもありますが。
メタ的な読みをしてしまうと、そのパターンはテレビアニメ1期の時に山吹沙綾で既にやっているんですね。同じことを二度やらんよなーと思い、個人的には1>>2>>>>>>>3くらいの順で可能性が高いかなと思っていました。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第2話より引用>
「1.経済的事情」だと思わせるシーン……というか、「1.経済的事情」だと確定した今なら合点が行くシーンが幾つかあって。2話で、若葉睦と話すために羽沢珈琲店に入るシーンはその1つです。紅茶を飲んで、ビックリしたように「美味しい……」って言うんですね。初めて入った店でもないのに。
これは、豊川祥子の現在の生活が「喫茶店に行く余裕もない」ことを示唆しているように思えます。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第2話より引用>
そして、ここ。
伝票を豊川祥子が持って行った(=支払いは祥子が持つ)ことで、睦が戸惑うカットが入ります。
「1.経済的事情」だと確定した今だと、ここの睦の表情は「経済的に余裕がないはずの祥子に支払いをさせてしまった」ことと、「だからと言って、それを止めようとすると祥子のプライドを傷つける」ことを考えてしまい、身動きが取れなくなったカットだと分かるんですね。
◇ 「月ノ森に行けない」理由
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
CRYCHICを辞めてから初めて長崎そよに会ってしまった(見つかってしまった)際、豊川祥子の表情が変わったのは「なんで転校しちゃったの?」と聞かれたところでした。「CRYCHICを辞めた」こと以上に「月ノ森に通えなくなった」ことが、祥子にとっては“聞かれたくない話”だったことが察せられます。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
その後も度々長崎そよに待ち伏せをされ続けたことで、そよと話し合うために睦が「月ノ森に来る?」と祥子に尋ねるシーンで―――祥子は、激昂して「行けるワケ……」と叫ぼうとします。ここも結構な違和感=ヒントと感じたシーンでした。
「月ノ森に通えなくなった」だけでなく、「月ノ森の生徒や教員にすら、その姿を見られたくない」と祥子が思っていることが伺えます。
「お嬢様学校である月ノ森」から「一般庶民が通う学校」に移ったことで、月ノ森の人々が見下してくる―――という見方も出来ますが、テレビアニメ2期の戸山明日香の話によると、「(祥子が現在通っている)羽丘はかなりの進学校」らしい(※2)んですね。羽丘が底辺というワケでもありませんし、Morfonicaの面々を見ていると、そもそも月ノ森のお嬢様達に「下々を見下す」という概念があるとは思えません。
(※2:薫さんや友希那さんが通っていたのに……? と考えてはいけない)
と、すると……「豊川祥子の事情」を知っている人が、月ノ森にはたくさんいるってことなんだろうと思います。上流階級ネットワークでそれが伝わっていると考えるなら、生粋のお嬢様というワケではなく、突然成り上がってタワマンに住み始めただけの家の長崎そよ“だけ”がそれを知らないのもおかしくありません。
この辺は情報の出し方の妙で、この時点で視聴者は長崎そよの家庭の事情を知りませんから、初見ではピンと来ないところなんですよね。
ということで、若葉睦だけでなく月ノ森の他の人達も知っていることなら、家族内会議で決まっていそうな「2.音楽活動の禁止」の可能性はかなり低くなったとこの時点で思えました。
◇ 豊川祥子はあの家にいつまで住んでいたのか?
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第8話より引用>
ということで、ほぼ「1.経済的事情」だろうなと思っていたのですが……
8話で若葉睦が長崎そよを連れてきた「祥子の家」は、過去回想の3話に出てきた家と同じでしたし、祥子もこの家から出てきたと思われました。
家から出てくる映像はありませんでしたが、門の開け閉めと思われるSEと、直前のシーンでは制服だった豊川祥子が私服に着替えていたので……流石に「家から出てきた」でイイでしょう。視聴者を騙すためにそれっぽい効果音を流した、って考えるのも不自然でしょうし。
「1.経済的事情」で、ピアノのあるあの家を追い出されているのかなと思っていたのですが……少なくとも、8話の時点では豊川祥子があの家に出入りすることは可能だったってことなのでしょう。
うーん……ひょっとして、私の深読みだったのかなぁと思っていたのですが。
ということで、ほぼ「1.経済的事情」だろうなと思っていたのですが……
8話で若葉睦が長崎そよを連れてきた「祥子の家」は、過去回想の3話に出てきた家と同じでしたし、祥子もこの家から出てきたと思われました。
家から出てくる映像はありませんでしたが、門の開け閉めと思われるSEと、直前のシーンでは制服だった豊川祥子が私服に着替えていたので……流石に「家から出てきた」でイイでしょう。視聴者を騙すためにそれっぽい効果音を流した、って考えるのも不自然でしょうし。
「1.経済的事情」で、ピアノのあるあの家を追い出されているのかなと思っていたのですが……少なくとも、8話の時点では豊川祥子があの家に出入りすることは可能だったってことなのでしょう。
うーん……ひょっとして、私の深読みだったのかなぁと思っていたのですが。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第12話より引用>
その後ストーリーが進み、祐天寺にゃむと豊川祥子が初めて顔を合わせたシーンで、祐天寺にゃむが豊川祥子の服装を一瞥した後「こんなところ(高級ホテルのラウンジ)に呼び出してゴメンね」と言うのです。
そんな……第1話からずっと見てきた「豊川祥子の私服」、ファッションセンス皆無の私はずっと「お嬢様っぽい服だな」と思って見ていたのだけど、ひょっとして安物だったのか? それとも中3の「CRYCHIC解散のシーン」からずっと、私服のシーンはずっとこの服しか着ていないことがバレたのか??
ちなみに、高松燈の過去回想である第3話を観返してみると、燈と祥子が初めて出会ったシーンからCRYCHICの1stライブまで、豊川祥子はずっと月ノ森の制服を着ていて、この私服は着ていないんですね。「1.経済的事情」で彼女の家が没落したのなら、これは没落した後の服なんです。
私には「お嬢様っぽい服だな」としか思えませんでしたが。
でも、美容系YouTuberのにゃむちさんなら「見れば一発で分かる」のでしょう。
その後ストーリーが進み、祐天寺にゃむと豊川祥子が初めて顔を合わせたシーンで、祐天寺にゃむが豊川祥子の服装を一瞥した後「こんなところ(高級ホテルのラウンジ)に呼び出してゴメンね」と言うのです。
そんな……第1話からずっと見てきた「豊川祥子の私服」、ファッションセンス皆無の私はずっと「お嬢様っぽい服だな」と思って見ていたのだけど、ひょっとして安物だったのか? それとも中3の「CRYCHIC解散のシーン」からずっと、私服のシーンはずっとこの服しか着ていないことがバレたのか??
ちなみに、高松燈の過去回想である第3話を観返してみると、燈と祥子が初めて出会ったシーンからCRYCHICの1stライブまで、豊川祥子はずっと月ノ森の制服を着ていて、この私服は着ていないんですね。「1.経済的事情」で彼女の家が没落したのなら、これは没落した後の服なんです。
私には「お嬢様っぽい服だな」としか思えませんでしたが。
でも、美容系YouTuberのにゃむちさんなら「見れば一発で分かる」のでしょう。
<画像はiOS版『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』より引用>
ちなみに、ゲーム版は(中学の制服のLive2Dがないので)バリバリお嬢様の頃からこの服を着ているんですけどね!
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
そして、最終話―――
Ave Mujicaの初ライブの直前、灯りの点いた家を外から眺める豊川祥子のカットが映ります。今回は家の中から出てきたと思わせる描写はなく。
Ave Mujicaの初ライブの後、豊川祥子は自分だけ電車に乗って帰り、帰った先は―――
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
ビールの空き缶が無数に転がる、アパートの一室でした。
「1.経済的事情」が確定した瞬間だったのですが、では8話で家から出てきたと思われる描写は何だったんだ?
8話の時点では各キャラはまだ春服なので「5月」、13話では「高校野球の東京都予選が始まる」ニュースがあったので「7月上旬」だと思われます。その1ヶ月半の間に、豊川祥子はあの家を追い出されて、もうあの家には別の人が住んでいるのか。
「ただいま、クソ親父」という言葉からすると、母親はまだあの家に住んでいる可能性もあるのだけど、(離婚等で)片方の親だけ没落して祥子がわざわざ没落した方についてきたとも思えないし……
時系列順に考えると……
・7話 高松燈たちのライブで「春日影」を聴かされて、自分にはもうあの青春の日々が戻ってこないのだと見せつけられる
・8話 「(CRYCHICのことを)忘れさせて」と三角初華を呼び出し、恐らくここで初めてAve Mujicaについての提案をする
・8話ラスト まだあの豪邸から出てくる。そよを完全拒絶する
・11話 三角初華と八幡海鈴が、(恐らく)Ave Mujicaの練習についての話をしている
・12話 豊川祥子が祐天寺にゃむをスカウトする
・13話 Ave Mujicaのライブ、もうあの豪邸には帰らない
これ、ひょっとして……
Ave Mujicaのために、あの豪邸を手放していません??
あんな大掛かりなプロジェクト、誰が出資しているんだろうと思っていたのですが……プロデューサーのような立ち回りは、すべて豊川祥子がやっているみたいなので。あの人、豊川家に残された資産を全部手放してでも、Ave Mujicaに投資してここから成し上がろうとしているってことなのか……?
そのきっかけを作ったのは間違いなく7話の「春日影」だし、演奏し始めたのは豊川祥子のことなんかまったく知らない(=彼女に人生を狂わされなかった唯一の人物)要楽奈なの、運命のいたずらを感じなくもない。
◇ 「八月のif」のif
セルフオマージュなのか、長く続けているプロジェクトだと多少ネタが被るのはしょうがないのか、豊川祥子の境遇は過去のバンドリ作品のキャラ達を彷彿とさせる部分も少なくないんですね。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream!(1期)』第7話より引用>
例えば、家庭の事情でバンドを抜けてしまうのは、テレビアニメ1期の山吹沙綾にも共通しますし。
<画像はiOS版『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』より引用>
音楽を「復讐の道具」として使い、バンドメンバーを「そのための駒」として集めたのは、Roseliaの湊友希那に共通する部分があると思います。
「ギスドリ」という言葉がずっと前からあるように、『MyGO!!!!!』のアニメのような「ギスギスしたバンドリ」は初期の頃から『バンドリ』の魅力の一側面としてずっとあったんですね。
しかし、そうは言っても、彼女達は家族のおかげで経済的に恵まれていたため、「立ち直れるだけの時間」を与えてもらえたんですよね。
もし、山吹家で倒れたのが母親じゃなくて父親だったのなら―――
もし、湊友希那の父親がミュージシャンを辞めた後、何の仕事もしないで酒浸りになるような「クソ親父」だったのなら―――
豊川祥子は「救われなかったifの世界の山吹沙綾」だし、「恵まれなかったifの世界の湊友希那」なんです。
そういう意味で、豊川祥子というキャラクター―。
これまでの「ギスドリ」ではまだブレーキがかかっていた部分を、アクセル全開で突っ切った「ギスドリの向こう」を象徴するようなキャラクターなんだと思うのです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第8話より引用>
長崎そよや高松燈にとってだけでなく、豊川祥子にとってもCRYCHICは「大切な青春の1ページ」だったはずなんです。長崎そよを完全拒絶する8話のシーンでも、そよの「あんなに仲が良かったのに」や「毎日楽しくて」という言葉を否定しませんでしたから(この時の表情は敢えて映されない……)。
しかし、ある日それは奪われました。
「青春の時間」は終わり、バンドを辞めざるを得なくなり、月ノ森も離れ、いろいろなことを諦めて生きてきたのでしょう。
ちなみに、「どうして羽丘に通っているのか」「羽丘だって私立校なのに」というと、アニメ2期で朝日六花が「羽丘には特待生制度がある」と言っていたので、恐らく特待生制度を使って学費を極力減らして高校に通うため羽丘を選んだのだと思われます。じゃないと、周りがみんなバンドをやっているような高校、通いたくないはずなんで……
そんな境遇で聴かされる「春日影」のライブ―――
「自分が諦めてきたもの」をまだ掴んでいる仲間達がいて、歌詞とは裏腹に、もうそこには絶対に戻れないことを突きつけられます。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
ライブハウスから逃げ出して、失意のまま彷徨った先で豊川祥子はsumimiの映像を見ます。そこで、三角初華に電話をかけて放った言葉が―――
「全部、忘れさせて……」
きっとこれが、豊川祥子の物語にとって最も重要なワードです。
理不尽に「青春」を奪われた彼女が、その象徴たるCRYCHICを忘れるための話……
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
続く8話―――
いつまでもCRYCHICにすがりつく長崎そよに対して、豊川祥子が「いい加減、アナタも(CRYCHICを)忘れては?」と言うシーンで、若葉睦が表情を変えます。
没落した後もずっと祥子のそばにいた睦が驚いたくらい、ここが「豊川祥子が変わった」ポイントなんでしょう。彼女はもう、「次のステージ」に進んだのです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
そして、彼女は最終話―――
Ave Mujicaの「オブリビオヌス」として、こう言い放ちます。
「我、忘却を恐れるなかれ」
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
時を前後して、長崎そよと高松燈は言います。
「私多分、一生CRYCHICのこと忘れられないよ」
「うん、私も」
「青春」を忘れると心に決めた豊川祥子と、「青春」を忘れられないと受け入れた2人―――残酷で、容赦なく、剥き身のナイフで人の心をえぐってくるようなアニメ、それが『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』でした。
Ave Mujicaのコードネームは、「月の海」の名称が元ネタみたいですね。
『バンドリ』キャラの苗字は「東京都○○区」の地名が元ネタになっているものが多くて、Poppin'Partyは「新宿区」の地名、Afterglowは「渋谷区」の地名、Pastel*Paletteは「中野区」の地名、Roseliaは「港区」の地名、ハロー、ハッピーワールド!は「世田谷区」の地名、Morfonicaは「品川区」の地名を元にしています。MyGo!!!!!キャラの苗字も「豊島区」の地名が元ネタみたいですね。
これまでは、RAISE_A_SUILENのみ「様々な場所から集まったメンバーで結成されている」ため苗字の法則には当てはまらず、Ave Mujicaも苗字は特に共通点がなかったっぽいのですが……コードネームの方が、まさかの「月」の地名と来たか! 東京を飛び出して、いきなりそこ行く!?
・Lacus Mortis(死の湖)=モーティス=若葉睦
・Lacus Timoris(恐怖の湖)=ティモリス=八幡海鈴
・Sinus Amoris(愛の入江)=アモーリス=祐天寺にゃむ
・Lacus Oblivionis(忘却の湖)=オブリビオヌス=豊川祥子
・Lacus Doloris(悲しみの湖)=ドロリス=三角初華
んで、それぞれがどれを担当しているかで、彼女達の「物語にとって最も重要なワード」が暗示されているのだろうと思われます。愛が欠落していそうなにゃむちが「愛」担当、恐怖という概念がなさそうな海鈴が「恐怖」担当、今のところ悲しさなんて微塵も感じさせない初華が「悲しみ」担当……どれもかなりしっくりくるのだけど。
いやいやいや、睦ちゃん……「死」担当なの!?
続編となる『Bang Dream! Ave Mujica』……むちゃくちゃ楽しみだけど、むちゃくちゃこわいんだけど!
若葉睦、表現者である「お笑い芸人」と「大女優」の娘でありながら、自己の感情を表現するのがトンデモなく下手なの気になるんですよね。
ゲーム版だと彼女のセリフが増えていて分かりやすいのですが、彼女の言葉って「祥子のため」「そよのため」に発せられるものばかりで、「自分の感情を言葉で表現する」ことがほぼないんですね。
アニメ12話の、若葉睦と長崎そよが決定的に決別してしまったシーン―――
そよは「(睦ちゃんは)ライブ、どうだった?」と聞いているのに。
睦は「(そよは)良かったね」と答えてしまっているんですね。
それで、長崎そよは怒り、若葉睦は「相手がどうして怒ったのか分からない」と驚いて悲しい顔をしている……
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
ある意味で、高松燈以上に「人間になれていない」迷子のようなキャラで。
私、Ave Mujicaではこのコが一番好きなキャラです。
なので、「私はバンド、楽しいって思ったこと……一度もない」にも違和感あるんですよね。「自分の感情の言語化」をほぼしない彼女が、どうしてあの場面だけ「自分の感情」を吐露したのかと。ここの謎は『Bang Dream! Ave Mujica』で明かされるのを期待しています。
ということで、何度も何度もこのブログで話題にさせてもらった『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』―――最高のアニメでした。私が重度の『バンドリ』ファンだというゲタを履かされていなくても、初めて見た『バンドリ』がこのアニメだったとしても、私はきっとこのアニメを「最高のアニメだ」と思ったことでしょう。
それは、私が「複数のキャラクターの思惑が交錯する群像劇」が大好きで、『バンドリ』の魅力はそこにあると思ってきたからなんですね。 『MyGO!!!!!』のアニメ、旧キャラ達をほとんど出さないっぽいことは事前のCMとかで分かっていたので「メインキャラ5人だけで、群像劇が面白くなるかなー」と不安だったのですが。蓋を開けてみたら、Ave Mujicaになるであろう5人もメインキャラとして登場して、豊川祥子も若葉睦も群像劇の一角として動いていて、セリフや表情など細部を読み取ればいろんなことが分かるようになっていたのも楽しかった……
「ギスドリ」要素も、「群像劇」要素も、「女×女」の様々な関係が描かれるところも、キャラクターは一新されているのに『バンドリ』のすべての魅力が詰まったような一作でした。本当にありがとう、そして続編『Bang Dream! Ave Mujica』がむちゃくちゃ楽しみなので、震えながら待とうと思います。
睦ちゃん、死なないでくれ……
(今のバンドリだと、メインキャラ死なせるのもやりかねないから)
ちなみに、ゲーム版は(中学の制服のLive2Dがないので)バリバリお嬢様の頃からこの服を着ているんですけどね!
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
そして、最終話―――
Ave Mujicaの初ライブの直前、灯りの点いた家を外から眺める豊川祥子のカットが映ります。今回は家の中から出てきたと思わせる描写はなく。
Ave Mujicaの初ライブの後、豊川祥子は自分だけ電車に乗って帰り、帰った先は―――
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
ビールの空き缶が無数に転がる、アパートの一室でした。
「1.経済的事情」が確定した瞬間だったのですが、では8話で家から出てきたと思われる描写は何だったんだ?
8話の時点では各キャラはまだ春服なので「5月」、13話では「高校野球の東京都予選が始まる」ニュースがあったので「7月上旬」だと思われます。その1ヶ月半の間に、豊川祥子はあの家を追い出されて、もうあの家には別の人が住んでいるのか。
「ただいま、クソ親父」という言葉からすると、母親はまだあの家に住んでいる可能性もあるのだけど、(離婚等で)片方の親だけ没落して祥子がわざわざ没落した方についてきたとも思えないし……
時系列順に考えると……
・7話 高松燈たちのライブで「春日影」を聴かされて、自分にはもうあの青春の日々が戻ってこないのだと見せつけられる
・8話 「(CRYCHICのことを)忘れさせて」と三角初華を呼び出し、恐らくここで初めてAve Mujicaについての提案をする
・8話ラスト まだあの豪邸から出てくる。そよを完全拒絶する
・11話 三角初華と八幡海鈴が、(恐らく)Ave Mujicaの練習についての話をしている
・12話 豊川祥子が祐天寺にゃむをスカウトする
・13話 Ave Mujicaのライブ、もうあの豪邸には帰らない
これ、ひょっとして……
Ave Mujicaのために、あの豪邸を手放していません??
あんな大掛かりなプロジェクト、誰が出資しているんだろうと思っていたのですが……プロデューサーのような立ち回りは、すべて豊川祥子がやっているみたいなので。あの人、豊川家に残された資産を全部手放してでも、Ave Mujicaに投資してここから成し上がろうとしているってことなのか……?
そのきっかけを作ったのは間違いなく7話の「春日影」だし、演奏し始めたのは豊川祥子のことなんかまったく知らない(=彼女に人生を狂わされなかった唯一の人物)要楽奈なの、運命のいたずらを感じなくもない。
◇ 「八月のif」のif
セルフオマージュなのか、長く続けているプロジェクトだと多少ネタが被るのはしょうがないのか、豊川祥子の境遇は過去のバンドリ作品のキャラ達を彷彿とさせる部分も少なくないんですね。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream!(1期)』第7話より引用>
例えば、家庭の事情でバンドを抜けてしまうのは、テレビアニメ1期の山吹沙綾にも共通しますし。
<画像はiOS版『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』より引用>
音楽を「復讐の道具」として使い、バンドメンバーを「そのための駒」として集めたのは、Roseliaの湊友希那に共通する部分があると思います。
「ギスドリ」という言葉がずっと前からあるように、『MyGO!!!!!』のアニメのような「ギスギスしたバンドリ」は初期の頃から『バンドリ』の魅力の一側面としてずっとあったんですね。
しかし、そうは言っても、彼女達は家族のおかげで経済的に恵まれていたため、「立ち直れるだけの時間」を与えてもらえたんですよね。
もし、山吹家で倒れたのが母親じゃなくて父親だったのなら―――
もし、湊友希那の父親がミュージシャンを辞めた後、何の仕事もしないで酒浸りになるような「クソ親父」だったのなら―――
豊川祥子は「救われなかったifの世界の山吹沙綾」だし、「恵まれなかったifの世界の湊友希那」なんです。
そういう意味で、豊川祥子というキャラクター―。
これまでの「ギスドリ」ではまだブレーキがかかっていた部分を、アクセル全開で突っ切った「ギスドリの向こう」を象徴するようなキャラクターなんだと思うのです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第8話より引用>
長崎そよや高松燈にとってだけでなく、豊川祥子にとってもCRYCHICは「大切な青春の1ページ」だったはずなんです。長崎そよを完全拒絶する8話のシーンでも、そよの「あんなに仲が良かったのに」や「毎日楽しくて」という言葉を否定しませんでしたから(この時の表情は敢えて映されない……)。
しかし、ある日それは奪われました。
「青春の時間」は終わり、バンドを辞めざるを得なくなり、月ノ森も離れ、いろいろなことを諦めて生きてきたのでしょう。
ちなみに、「どうして羽丘に通っているのか」「羽丘だって私立校なのに」というと、アニメ2期で朝日六花が「羽丘には特待生制度がある」と言っていたので、恐らく特待生制度を使って学費を極力減らして高校に通うため羽丘を選んだのだと思われます。じゃないと、周りがみんなバンドをやっているような高校、通いたくないはずなんで……
そんな境遇で聴かされる「春日影」のライブ―――
「自分が諦めてきたもの」をまだ掴んでいる仲間達がいて、歌詞とは裏腹に、もうそこには絶対に戻れないことを突きつけられます。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
ライブハウスから逃げ出して、失意のまま彷徨った先で豊川祥子はsumimiの映像を見ます。そこで、三角初華に電話をかけて放った言葉が―――
「全部、忘れさせて……」
きっとこれが、豊川祥子の物語にとって最も重要なワードです。
理不尽に「青春」を奪われた彼女が、その象徴たるCRYCHICを忘れるための話……
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
続く8話―――
いつまでもCRYCHICにすがりつく長崎そよに対して、豊川祥子が「いい加減、アナタも(CRYCHICを)忘れては?」と言うシーンで、若葉睦が表情を変えます。
没落した後もずっと祥子のそばにいた睦が驚いたくらい、ここが「豊川祥子が変わった」ポイントなんでしょう。彼女はもう、「次のステージ」に進んだのです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
そして、彼女は最終話―――
Ave Mujicaの「オブリビオヌス」として、こう言い放ちます。
「我、忘却を恐れるなかれ」
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
時を前後して、長崎そよと高松燈は言います。
「私多分、一生CRYCHICのこと忘れられないよ」
「うん、私も」
「青春」を忘れると心に決めた豊川祥子と、「青春」を忘れられないと受け入れた2人―――残酷で、容赦なく、剥き身のナイフで人の心をえぐってくるようなアニメ、それが『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』でした。
Ave Mujicaのコードネームは、「月の海」の名称が元ネタみたいですね。
『バンドリ』キャラの苗字は「東京都○○区」の地名が元ネタになっているものが多くて、Poppin'Partyは「新宿区」の地名、Afterglowは「渋谷区」の地名、Pastel*Paletteは「中野区」の地名、Roseliaは「港区」の地名、ハロー、ハッピーワールド!は「世田谷区」の地名、Morfonicaは「品川区」の地名を元にしています。MyGo!!!!!キャラの苗字も「豊島区」の地名が元ネタみたいですね。
これまでは、RAISE_A_SUILENのみ「様々な場所から集まったメンバーで結成されている」ため苗字の法則には当てはまらず、Ave Mujicaも苗字は特に共通点がなかったっぽいのですが……コードネームの方が、まさかの「月」の地名と来たか! 東京を飛び出して、いきなりそこ行く!?
・Lacus Mortis(死の湖)=モーティス=若葉睦
・Lacus Timoris(恐怖の湖)=ティモリス=八幡海鈴
・Sinus Amoris(愛の入江)=アモーリス=祐天寺にゃむ
・Lacus Oblivionis(忘却の湖)=オブリビオヌス=豊川祥子
・Lacus Doloris(悲しみの湖)=ドロリス=三角初華
んで、それぞれがどれを担当しているかで、彼女達の「物語にとって最も重要なワード」が暗示されているのだろうと思われます。愛が欠落していそうなにゃむちが「愛」担当、恐怖という概念がなさそうな海鈴が「恐怖」担当、今のところ悲しさなんて微塵も感じさせない初華が「悲しみ」担当……どれもかなりしっくりくるのだけど。
いやいやいや、睦ちゃん……「死」担当なの!?
続編となる『Bang Dream! Ave Mujica』……むちゃくちゃ楽しみだけど、むちゃくちゃこわいんだけど!
若葉睦、表現者である「お笑い芸人」と「大女優」の娘でありながら、自己の感情を表現するのがトンデモなく下手なの気になるんですよね。
ゲーム版だと彼女のセリフが増えていて分かりやすいのですが、彼女の言葉って「祥子のため」「そよのため」に発せられるものばかりで、「自分の感情を言葉で表現する」ことがほぼないんですね。
アニメ版ではクソつまらなさそうにしてた、CRYCHIC初ライブ後の睦ちゃん。ゲーム版だとしっかり喋ってるし、印象変わる。
— やまなしレイ (@yamanashirei) September 17, 2023
やっぱりこのコ「良かったね」を最上級の言葉として使ってるんだよな…… pic.twitter.com/eciWZoXGsB
アニメ12話の、若葉睦と長崎そよが決定的に決別してしまったシーン―――
そよは「(睦ちゃんは)ライブ、どうだった?」と聞いているのに。
睦は「(そよは)良かったね」と答えてしまっているんですね。
それで、長崎そよは怒り、若葉睦は「相手がどうして怒ったのか分からない」と驚いて悲しい顔をしている……
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第13話より引用>
ある意味で、高松燈以上に「人間になれていない」迷子のようなキャラで。
私、Ave Mujicaではこのコが一番好きなキャラです。
なので、「私はバンド、楽しいって思ったこと……一度もない」にも違和感あるんですよね。「自分の感情の言語化」をほぼしない彼女が、どうしてあの場面だけ「自分の感情」を吐露したのかと。ここの謎は『Bang Dream! Ave Mujica』で明かされるのを期待しています。
ということで、何度も何度もこのブログで話題にさせてもらった『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』―――最高のアニメでした。私が重度の『バンドリ』ファンだというゲタを履かされていなくても、初めて見た『バンドリ』がこのアニメだったとしても、私はきっとこのアニメを「最高のアニメだ」と思ったことでしょう。
それは、私が「複数のキャラクターの思惑が交錯する群像劇」が大好きで、『バンドリ』の魅力はそこにあると思ってきたからなんですね。 『MyGO!!!!!』のアニメ、旧キャラ達をほとんど出さないっぽいことは事前のCMとかで分かっていたので「メインキャラ5人だけで、群像劇が面白くなるかなー」と不安だったのですが。蓋を開けてみたら、Ave Mujicaになるであろう5人もメインキャラとして登場して、豊川祥子も若葉睦も群像劇の一角として動いていて、セリフや表情など細部を読み取ればいろんなことが分かるようになっていたのも楽しかった……
「ギスドリ」要素も、「群像劇」要素も、「女×女」の様々な関係が描かれるところも、キャラクターは一新されているのに『バンドリ』のすべての魅力が詰まったような一作でした。本当にありがとう、そして続編『Bang Dream! Ave Mujica』がむちゃくちゃ楽しみなので、震えながら待とうと思います。
睦ちゃん、死なないでくれ……
(今のバンドリだと、メインキャラ死なせるのもやりかねないから)
※このコメントにはBang Dream! Ave Mujica2話までのネタバレを含みます。
返信削除いや~睦ちゃん、人形に戻っちゃいましたねえ。バンドメンバーとしての脱落を「死」と描いてライブの最後に糸の切れた操り人形のように椅子に座る演出が素晴らしいと思いました。
豊川祥子の謎については1話でほぼほぼやまなしさんの予想で正解でしたが、映像で見るとエグイ、中学3年生~高校1年生が背負える重さじゃあないと思いました。
そして睦ちゃん、芸能人の両親を持ってしまった故に「芸」の仕事で他人に消費されてしまうことのつらさを子供のころから知ってしまっているがゆえの「私はバンド、楽しいって思ったこと……一度もない」だったのかなあと思いました。楽器の演奏自体は好きそうなんですけどどうなってしまうのか。次の話がどうなるのか楽しみです。
MyGO!!!!!のアニメが終わった直後くらいだったと思うのですが、Ave Mujicaのキャスト5人へのインタビューで睦ちゃん役の声優さんがAve Mujicaのアニメについて「夜中に台本を読んでいたら怖くて読むのをやめてしまった」と仰っていて……「どんなだよ!」と思っていたのですが、「そりゃやめるよ!」と納得してしまいました(笑)
削除まだ3話を観てみないと分からない部分なんですが……にゃむちが睦ちゃんに「昔はテレビに出て普通に喋ってたよね!」と言っていたし、初華ちゃんも海鈴ちゃんも周りの大人達も誰も睦ちゃんのフォローをしていなかったのを見ると……
睦ちゃん、昔はもっと普通に喋れていたんじゃないのかって勘ぐっちゃうんですね。なので、昔のイメージで「睦ちゃんなら出来るよね」と誰も助けてくれなかったんだと。
そう考えると、そういう「テレビに出てたイメージ」じゃなくて「実在する睦ちゃん」を一番しっかり見ていたのが立希ちゃん(こちらも優秀な姉の妹として見られることがおおかった)だったのが熱いなと今無茶苦茶グッと来ています。