『クロノ・トリガー』レビュー/鳥山明ワールドを冒険する2DRPGの集大成


<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「鳥山明先生の思い描く世界」を、トップクラスの技術でRPGに仕上げる
RPGは「世界の果てを目指す」時代から、「複数のマップを行き来する」時代へ
「過去に戻って未来を変える」ように、プレイヤーが選んだ行動で未来が変わる


『クロノ・トリガー』
・スクウェア
・スーパーファミコン版:1995年3月11日発売
 プレイステーション版:1999年11月2日発売
 ニンテンドーDS版:2008年11月20日発売
 iOS版:2011年12月9日配信開始
 AndroidOS版:2011年12月22日配信開始
 Steam版:2018年2月28日配信開始
・コマンドバトルRPG
・セーブスロット3個

※ PVはSteam版発売時のものです
 私がクリアまでかかった時間は約29時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
※ 苦手な人もいそうなNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(ルッカの母など、トラウマ生むシーンが多々)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:△(恐竜人の絶滅はこれに当てはまる?)
・人体欠損などのグロ描写:×(脚をケガして歩けなくなるが欠損はなし)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

↓1↓



◇ 「鳥山明先生の思い描く世界」を、トップクラスの技術でRPGに仕上げる

 このゲームは1995年にスクウェアから発売されたスーパーファミコン用のRPGです。
 1994年の年末にはプレイステーションやセガサターン本体が発売になっているので、スーパーファミコンとしては後期のソフトになりますね(スーパーファミコンのソフトは書き換えサービス:ニンテンドウパワーがあったので2000年まで新作が出ていましたが)

 1980年代、少年ジャンプの編集者だった鳥嶋和彦さんが「堀井雄二×中村光一×鳥山明」という座組を作り、そこから『ドラゴンクエスト』が生まれたように。1990年代、Vジャンプの編集長になった鳥嶋和彦さんが「堀井雄二×坂口博信×鳥山明」という座組を作って始まったゲームだと言われています。

 『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さん、『ファイナルファンタジー』の坂口博信さん、『ドラゴンボール』の鳥山明さん―――スクウェアとエニックスが合併した現在ではすごいことだとは思われなさそうですが、当時としてはもちろん別の会社だったので「因縁のライバルが手を組んだ!?」くらいの衝撃的な出来事でした。今で言うなら、「任天堂とSIEがいっしょにゲームを作った」くらいにありえなさそうな感覚かな……


 しかし、「ドリームプロジェクト」と謳われた座組も、実際にはそこまで中心となっていたワケじゃないよねとも言われます。『ドラゴンクエスト』1作目の頃とちがい、この時代のゲーム開発は「個人」の力で作れるものではありませんでしたからね。

 坂口さんは『ファイナルファンタジーV』(1992年)を最後にディレクターのポジションに就いていなくて、当時はプロデューサー業に奔走していたため、ディレクターは『ファイナルファンタジーVI』(1994年)の北瀬佳範さんと、『ライブ・ア・ライブ』(1994年)を終えて合流した時田貴司さん、バトルシステムを担当することが多かった松井聡彦さんの3人が担当されています。
 堀井さんが手がけたのは初期プロットまでで、ストーリー部分の統括は加藤正人さんが行っていたため、『ラジカル・ドリーマーズ』や『クロノ・クロス』といった後のシリーズ作品の監督はこの加藤さんが担当されることになります。
 鳥山さんはメインキャラクターのデザインを手がけた一方、『ドラゴンクエスト』シリーズのようにモンスター1体1体をデザインしたワケではなく、モンスターデザインはスクウェアのスタッフによるものみたいです。

 イメージとしては、「この3人が最初に航路を引いて、そこに実際に船を出したのはスクウェアのスタッフ達」というカンジだと思います。では、そうして出来た『クロノ・トリガー』が凡作になってしまったかというとそうではなく、当時のスクウェアは日本一のRPGメーカーだったので「3人から渡された航路」以上のものを仕上げてしまったという。



 ということで、『クロノ・トリガー』を語る前に「スーファミ時代のスクウェア」について語っておきましょう。
 スクウェアという会社は1983年に創業され、パソコン用、ファミコン用、ゲームボーイ用にRPGを中心として多数のゲームを出していました。1987年の『ファイナルファンタジー』(ファミコン)は同社の看板シリーズになり、1989年の『魔界塔士Sa・Ga』(ゲームボーイ)は同社初のミリオンヒット(100万本以上の売上)となりました。

 しかし、この時期のスクウェアって、100万本売って「ドラクエとFFは二大RPG」みたいに言われる一方、とっつきの悪さというか、万人受けしないハードルの高さのようなものがあったと思います。
 『クロノ・トリガー』の座組を作った鳥嶋和彦さんは、当時ヒットしていた『ファイナルファンタジーIII』(1990年)をプレイして、ディレクターだった坂口博信さんを呼び出してダメ出しをしたそうです。この辺の話は、電ファミニコゲーマーの対談にて詳しく語られているので一読あれ。

 坂口博信×鳥嶋和彦 対談──31年前の出会いが『ファイナルファンタジー』を変え、『クロノ・トリガー』を生み出し、そして『ファンタジアン』という名の遺言が完成した

<以下、引用>
鳥嶋氏:
 「ドラクエ」にはない、例えば飛空艇とか、斬新なことがあってすごく面白いんだけど、広く一般的なユーザーを入れて長く遊ばせる視点がないと思ったの。例えばセーブポイントがほとんどないとかね。
 キャラクターの立て方については、特にラスボスの立て方がうまくいってない。僕も『ドラゴンボール』で苦労してピッコロを作った経験があるから、もっとラスボスが立っていれば倒したときのカタルシスがあるんじゃないかとかいう話をしてね。このままではもったいないなと思って。このとき傲慢にも「僕らと一緒にやれば3倍売れる」って言ったと思う(笑)。

</ここまで>
※ 改行など一部引用者が手を加えました


 ムチャクチャ評価されているし、実際に100万本売るくらいの人気はあるのだけど、『ドラクエ』のように300万本売るほど一般受けしない―――これは当時の小学生達も思っていたことだと思います。『ファイナルファンタジーIII』のラストダンジョンはものすごく長くて苦しくて、「(ドラクエに比べて)FFは難しい」「スクウェアのゲームはクリア出来ない」とトラウマになった人も多かったですからね。

 すごく雑な例えですけど、今で言う「フロム・ソフトウェア」みたいな立ち位置だったんじゃないかと思います、ファミコン時代の「スクウェア」って。


 そんなダメ出しがあったからかは分かりませんが、スーパーファミコンにプラットフォームを移した後はスクウェアは一般ユーザーに受けるゲームを意識していったと思われます。
 例えば、1991年の『ファイナルファンタジーIV』からは「初心者の館」の原型となる「トレーニングルーム」が最初に置かれて、ゲーム内でチュートリアルを学べる場所が出来たり。低年齢層に向けて複雑な部分を廃した『ファイナルファンタジーIV イージータイプ』という別のゲームを出したりしました。

 まぁ、その後に出した『ロマンシング サ・ガ』はちっとも「一般ユーザーに受けるゲームを意識して作った」とは思えないですけど(笑)。

・1991年7月 『ファイナルファンタジーIV』 ※国内売上100万本以上
・1991年10月 『ファイナルファンタジーIV イージータイプ』
・1992年1月 『ロマンシング サ・ガ』※国内売上100万本以上
・1992年12月 『ファイナルファンタジーV』※国内売上200万本以上
・1992年12月 『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』
・1993年8月 『聖剣伝説2』※国内売上100万本以上
・1993年9月 『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト』
・1993年12月 『ロマンシング サ・ガ2』※国内売上100万本以上
・1993年12月 『アルカエスト』※開発:HAL研究所
・1994年4月 『ファイナルファンタジーVI』※国内売上200万本以上
・1994年9月 『ライブ・ア・ライブ』
・1995年2月 『フロントミッション』※開発:ジークラフト
・1995年3月 『クロノ・トリガー』※国内売上200万本以上
・1995年9月 『聖剣伝説3』
・1995年11月 『ロマンシング サ・ガ3』※国内売上100万本以上
・1996年2月 『バハムートラグーン』
・1996年2月 『ガンハザード』※開発:大宮ソフト
・1996年3月 『スーパーマリオRPG』※発売:任天堂※国内売上100万本以上
・1996年4月 『ルドラの秘宝』
・1996年5月 『トレジャーハンターG』※開発:スティング

 その大半が自社開発のソフトなのに、ハイペースでソフトを発売し、5年間で9本のミリオンセラー、その内の3本はダブルミリオンを達成という……得意ジャンルはまったく違いますが、ファミコン時代は「今で言うフロム・ソフトウェア」みたいな立ち位置だった会社が、スーファミ時代は「任天堂」に匹敵するポジションに(少なくとも国内の家庭用ゲームでは)なっていたんですね。


 なので、『ファイナルファンタジーVII』(1997年)を引っ提げて、任天堂ハードからプレステへと鞍替えしたときは大きなニュースになりました。そして、『III』の頃に「僕らと一緒にやれば3倍売れる」と鳥嶋さんに言われた『ファイナルファンタジー』シリーズは、『VII』で本当に3倍売れた国民的ゲームタイトルになったのです。

 とまぁ、『クロノ・トリガー』(1995年)よりちょっと先の話まで語ってしまいましたが、当時のスクウェアがどれだけ人気と実力を兼ね備えたトップクラスの会社だったかが分かってもらえたと思います。そんな「ドリームプロジェクト」の看板がなくても全然戦えたメーカーが、「ドリームプロジェクト」の座組を使って何を作ったかと言うと……


 「鳥山明先生の漫画の世界を冒険できるRPG」だと思います。


 坂口博信さんが鳥嶋和彦さんに呼び出されてダメ出しされた件以降、スクウェアと鳥山明先生で何かゲームを作れないのかというプロジェクトはスーパーファミコン初期から動いていたみたいで、当時のスクウェアには『通称:○鳥(マルトリ)』を開発するチームがあったそうです。この時期、鳥山先生もスクウェアを何度か訪問して、スクウェアも鳥山先生の絵をドット絵で再現するための研究をしていたみたいな話があります。

 スーパーファミコンの周辺機器:CD-ROM用に開発されていたこのソフトは、フィールドと戦闘がシームレスに繋がっているバトルシステムで『クロノ・トリガー』の原型ではあったものの……鳥山明先生のスケジュールが多忙になったことと、スーパーファミコン用CD-ROM自体が頓挫したことで、鳥山明先生が関わっていない『聖剣伝説2』(1993年)として発売になりました。


 この辺の話は、いろんなところのインタビューで『聖剣伝説2』のプロデューサーだった田中弘道さんが語られていますね。

インタビュー『ファイナルファンタジーIII』-電撃オンライン
(※ 2025年追記:この記事はもう公開終了してしまったようです……)

<以下、引用>
田中:
 当時『FFI』からずっと作っていくうえで、必ず前作の反省点をつきつめてというのがあった。『FFI』はオーソドックスな作りで、『II』は物語性プラス経験値のない斬新な成長システムが特徴でした。『FFIII』では、ジョブを切り替えながら戦うことや魔法を全体にかけるなど、プレイのテンポのよさと同時に、経験値やバトル全体をシステム的に完成させたものでした。

 『FFIII』の制作終了後に、もう少しアクション寄りで、戦闘を切り分けたスタイルじゃなくて、フィールド上でダイナミックに遊べないかないう方向で考え、『FFIV』(※引用者注:私達が知っているスーパーファミコン用の『FFIV』ではなく、開発中止になったファミコン用『FFIV』のことだと思われます)を制作しはじめました。
 それが、いつの間にか『IV』ではなくなって……最終的には『聖剣伝説2』として発売されたわけですが、実はそれ、開発過程では『クロノトリガー』と呼ばれていたものなんですけどね(笑)。その当時は、『FFIII』の直後に鳥山(明氏)さんと話して、鳥山明さんのキャラクターを使い、横からみたシームレスなシステムのゲームを企画していたんです。スーパーファミコン用にCD-ROMが出るということだったので。

 そのCD-ROM用に膨大なものを設計して作っていたんですけど、結局リリースできなかった。それは『クロノトリガー』プロジェクトとして新たに作ることにしてもらって、先に作っていたものを『聖剣伝説2』としてまとめました。だから、自分の中では『聖剣2』が『FFIII』の続編という感覚だったんです。
</ここまで>
※ 改行・強調など一部引用者が手を加えました


「『聖剣伝説』25th Anniversary Concert」開催記念インタビュー第2弾。「聖剣伝説」シリーズのキーマンに聞く,歴代開発陣が受け継いできたその精神とは

<以下、引用>
石井氏:
 でも実は「聖剣伝説2」の最初は,聖剣のシリーズとは別のプロジェクトで進めていたものなんですよ。

田中氏:
 「クロノ・トリガー」の前身になる,鳥山 明先生を起用した通称「マルトリ」という,坂口さん(坂口博信氏)と鳥嶋さん(鳥嶋和彦氏)のプロジェクトがあったんです。
 当時,任天堂とソニーがスーパーファミコン用に「プレイステーション」という名前のCD-ROMを共同開発していて,それの第1弾として開発されていた作品でした。結局,そのプレイステーションが出なかったので,CD-ROMからROMカセットに変更して作り直したものが,聖剣伝説2になったんです。

</ここまで>
※ 改行・強調など一部引用者が手を加えました


 一旦お流れになってしまった「鳥山明×スクウェア」というプロジェクトに、更に堀井雄二さんを加えて仕切り直したのが『クロノ・トリガー』なんですね。スクウェアにとっては、「鳥山明先生が関わるゲーム」はそれだけの悲願だったのでしょう。先の「坂口博信さんと鳥嶋和彦さんの対談」で面白い話が語られています。


<以下、引用>
鳥嶋氏:
 その辺の坂口さんのドラスティックな割り切りがらしいなと。それで言うと『クロノ・トリガー』で堀井さんと鳥山さんを使って「ドラクエ」じゃないものをどう作るか考えていたときに、坂口さんから「ロボットを入れる」と提案があったときはなるほどと思いましたよ。坂口テイストとしてロボットを入れて世界観を作っていくというのを感じましたね。

坂口氏:
 『Dr.スランプ』って、表紙に鳥山さんの高精細なメカが描かれていることが多かったじゃないですか。あれに強く惹かれてました。漫画自体の展開や設定と離れた独自の世界を感じつつ、それはドラクエにはテイストとして入っていない。であれば、そういった鳥山さんの別の色を取り入れさせてもらおうかなと思いました。

鳥嶋氏:
 そういうことか!

坂口氏:
 「鳥山さん、本当はこっちがやりたいんじゃないか? 」と。

鳥嶋氏:
 坂口さんのその狙いは鋭くて、『Dr.スランプ』の連載の時に僕が本人に言ったのは、「中身には口を出すよ」って。でも表紙は作家のものだから基本的に好きに描かせていた。『クロノ・トリガー』の発注でロボットがきたときはものすごく喜んで描いていましたね。

</ここまで>
※ 改行など一部引用者が手を加えました


 『クロノ・トリガー』のアイディアは「原始時代から未来まで、時空を超えて冒険するRPG」から始まったのではなく、鳥山明先生と組むことありきだったため、「鳥山先生に描いてもらいたいものは何だ」「ドラクエがやっていないことは何だ」と考えてロボットをデザインしてもらい、ロボットが出てくるRPGだから未来が登場するRPGになったという順番みたいなんですね。

 更に、こちらの鳥嶋和彦さんのインタビューでも面白い話が出てきます。

 【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話

<以下、引用>
鳥嶋氏:
 でも、ジャンプではウケなかった。結果『FFV』の売上は前作の2.5倍になったんだけど、最初誌面での人気はもうボロボロ。それで、坂口と話して「このままじゃダメだね」となったの。

 そこで僕たちはゲームに映画のスチールの考え方を持ち込んだんだよ。
 要するに、始まったばかりで何も出来ていないものを中途半端に見せても仕方ないじゃない。だから、いきなりキービジュアルを作りこんでしまうわけ。「このシーンはこうだ!」というビジュアルを先に見せた上で、後からゲームを作り込んでいく。これが現在に至るゲームの記事の出し方の始まりですよ。

――なんと……。

佐藤氏:
 そのキービジュアルというのは、ゲームの画面のことだよね?

鳥嶋氏:
 先にボス戦の構図だとか、決めのシーンの絵を仕上げた上で、そこに向けて作っていくんだよ。これを徹底的にやったのが、少し先の話になってしまうけど『クロノ・トリガー』ね。先に鳥山明さんが各シーンの絵を描いて、それに合わせる形でスクウェアがゲーム画面を作って、ゲームはそれを縫うように作っていった。

</ここまで>
※ 改行・強調など一部引用者が手を加えました

 ゲームに沿ったイラストを鳥山先生に描いてもらったのではなく、鳥山先生に描いてもらった絵に合わせてゲームを作っていったという。この「鳥山先生が描いた各シーンの絵」は、2023年1月現在旧バージョンの公式サイトで見られます。
 鳥山明さんが手がけた仕事は、メインのキャラクターデザインと、この「各シーンの絵」だけみたいなのですが……この鳥山先生が描いた絵を、実際に再現できるようなゲームをスクウェアが作ろうとしたのだから、『クロノ・トリガー』はやっぱり「鳥山明ワールドを冒険できる」ことを目指したRPGなんだと思うのです。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 それは、鳥山先生が絶対に関わっていないだろう部分にも感じられて―――
 町の人々のセリフ一つとっても、どことなく漫画的で、「鳥山作品っぽい」んですよ。この町長とか、如何にも『Dr.スランプ』に出てきそうなことを言うじゃないですか。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 全部のキャラがそうではないのだけれど、一部のキャラのネーミングには「鳥山作品っぽい」ところも見られます。ビネガー、ソイソー、マヨネー……サイヤ人と相性が良さそうな名前達だ。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 敵キャラのデザインはスクウェアの人達が描いているはずなんですが、『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』『ドラゴンクエスト』のキャラクターデザインを相当研究したみたいで、この機械の敵なんてすごく『ドラゴンボール』初期っぽいカンジがしますよね。


 ストーリーに関してはネタバレになっちゃうので詳しくは書きませんが、少年漫画的な熱い展開がずっと続くのもそういうコンセプトだったからなのかなぁと思うんですね。
 ちなみにプレイステーション版以降に入ったアニメーションムービーは、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』などを手がけたアニメ会社:東映アニメーションが制作しています。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 そして、このゲームのバトルシステム「アクティブタイムバトル Ver.2」も、恐らく「鳥山明ワールドを冒険できるRPG」と密接な関係にあるのだと思います。

 「アクティブタイムバトル」は、スーパーファミコンの『ファイナルファンタジーIV』(1991年)で初採用されたバトルシステムで、従来の「敵味方全員が行動を選んで」ターンが始まるターン制バトルと異なり、ゲージが溜まった順に行動が出来て、その都度一人一人の行動を選ぶシステムです。
 ぼさっとしていると敵からどんどん攻撃を受けちゃうので、「アクションゲームが苦手だからアクティブタイムバトルが嫌いだ」という話はこのブログのコメント欄にも度々書かれるヤツなんですが……スタートボタンを押せばポーズが出来るし、ウェイトモードにすれば魔法・アイテムを選んでいるときには時間が止まるので、アクションゲームが苦手な人への配慮はちゃんとしていると私は思います。

 どうしてこういうシステムがあるのかというと、例えば「敵が盾を構えている時には攻撃が効かない」ので「敵が盾をどけるまでは敢えて行動を選択せず、盾をどけた途端に攻撃をする」といった風に、「相手の状況に合わせて行動するタイミングを調整する」ゲームシステムだからなんですね。
 なので、例えば回復要員のキャラは敢えて行動を選ばずずっと待機させておいて、敵から攻撃を喰らったら即座に回復魔法を使う、みたいな作戦が立てられるのです(『FFVI』以降は。『FFV』までは行動せずにキャラクターを切り替えることは出来なかったはず)。このシステムに慣れてくると、「こちらがダメージを受けるかも分からない」まま回復魔法を使わなくちゃならないターン制のシステムがもどかしく思えてしまいますね。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 更に『クロノ・トリガー』では、これに「位置」の概念を取り入れました。
 敵モンスターの位置によってまとめて攻撃できる「範囲攻撃」の技があったり、攻撃したキャラとの距離でカウンターを撃ってくる敵キャラがいたりしました。

 ただ、私はこのシステム……正直あまり「ゲームの面白さ」に直結していないなと感じています。
 自分の立ち位置は変えられないため、「範囲攻撃」を使ってもなかなかまとめて攻撃することが出来ず、宝の持ち腐れな場面が多かったんですね。結局、「画面全体の敵を攻撃する魔法」を連発してゴリ押ししちゃうことがほとんどでした。後の『ファイナルファンタジー』シリーズ等にも継承されなかったことを考えると、この部分はあまり評判が良くなかったのかなと思います(※1)

(※1:プレイステーションで発売された『パラサイト・イヴ』(1998年)は、戦闘画面がフィールドとシームレスにつながっていて『クロノ・トリガー』に近いと言えなくもないのだけど、キャラクターを自由に移動できてアクションRPGっぽくなっている)



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>


<画像はWii Uバーチャルコンソール版『ファイナルファンタジーV』より引用>

 しかし、このゲームが「鳥山明ワールドを冒険できるRPG」を目指したと考えると、やりたいことは分かるんですね。それまでのスクウェアのRPGに多かった「左側に敵・右側に味方」が並ぶバトル画面を辞めて、ある時は「上側に敵・下側に味方」とか、ある時は「真ん中に敵・囲むように味方」といったように状況に合わせて敵と味方の位置の構図を変えることがこのシステムなら出来るんですね。

 つまり、漫画的・アニメ的な演出を取り込むことで、「鳥山明ワールドの再現」をしようとしたんじゃないかと。
 この2年後の『ファイナルファンタジーVII』(1997年)では、3Dポリゴンによる「カメラワーク」を手に入れて映画的な演出をしていく―――という流れを考えると、このゲームは『ファイナルファンタジーVI』と『ファイナルファンタジーVII』の間に入るターニングポイントにあたる作品なのかなと思うんですね。

 まぁ、ものすごくカッコイイと思う一方、味方キャラの「並んでいる立ち位置」と「HPなどが表示されている順番」が一致していないために、間違ったキャラを回復しちゃうみたいなことが頻発したりもしましたけどね……
↓2↓



◇ RPGは「世界の果てを目指す」時代から、「複数のマップを行き来する」時代へ

 ここからは「当時のRPGの集大成」といった話をするため、どうしてもそれまでに発売された様々なRPGのざっくりとしたネタバレを含んだ話になってしまうことをご了承ください。

 RPGはマップ上を探索・冒険していくゲームで、序盤では行けなかった場所に後半は行けるようになることが「成長」と感じられるジャンルだと言えます。分かりやすい例は『ドラゴンクエスト』1作目(1986年)の、最初から見えている「りゅうおうの城」にようやく入れるようになった時は嬉しいよねという話ですね。

 『ドラゴンクエスト』1作目の頃は地上を歩いて大陸の端から端まで冒険していたのが、『ドラゴンクエストII』(1987年)になると「船」を手に入れて別の大陸にまで移動できるようになります。歩いては絶対にたどり着けない場所に行けるようになることに喜びが生まれたんですね。
 『ファイナルファンタジー』1作目(1987年)になると、更に「飛空艇」と呼ばれる乗り物に乗って空を飛ぶことが出来るようになり、マップのどこにでも飛んでいけるようになりました。しかし、マップのどこにでも行けてしまうともうゲームが終わってしまうため、RPGの終盤は「今までのマップにはない特別なマップ」に行くことになり、最後のボスはそこにいる―――といったゲームが多くなっていきます。具体名はネタバレになるので出しませんが、あのゲームのアレとか、あのゲームのソコとかですね。

 要は、「世界地図」が複数あるRPGが増えていくんです。



<画像はWii Uバーチャルコンソール版『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』より引用>

 純粋なコマンドバトルRPGではありませんが、『ファミコンジャンプ』(1989年)や『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』(1991年)などは「複数のマップを行き来して攻略する」ゲームでした。これらのゲームの世界地図は「表」と「裏」のようになっていて、「メインのマップ」をクリアしたら「オマケのマップ」が出てくるのではなく、2つのマップが同じ大きさであることで「過去と現在」や「光と闇の世界」を表現していたのです。


 そこから更に時代が進み、『ファイナルファンタジーV』(1992年)や『ファイナルファンタジーVI』(1994年)になると、ストーリー進行によってマップが大きく変わってしまうんですね。RPGには世界地図が複数あるという当時の常識を逆手にとって、前半と後半で世界地図そのものが変わってしまうという手法を取っていました。

 『クロノ・トリガー』は、「現代」から「原始時代」「中世」「未来」と時空を超えるゲームなため、当然ながら「複数の世界地図」を切り替えながら冒険していきます。更に、本来なら同じ地形であるはずの過去と未来でマップが変わっていることで、時間の長さと世界の変化を感じさせるつくりになっているんですね。

 つまり、『ファミコンジャンプ』と『ファイナルファンタジーVI』を足したものが『クロノ・トリガー』……!




<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 そして、ここは割り切っているなーと思ったのが、このゲームはフィールド上での移動では敵に遭遇しないので自由に歩き回れるんですね。敵が出てくるのはダンジョンの中だけという。
 これは「アクティブタイムバトル Ver.2」との兼ね合いなのかも知れませんが、世界地図の端から端まで歩くこと自体が大冒険だった『ドラクエ』1作目の頃から考えると、世界地図の端から端まで歩くのは簡単にして移動のストレスを限りなくゼロにしようとしているのは隔世の感がありますね。

 そのおかげで、このゲームはサクサク進んでテンポが無茶苦茶良い!

 ファミコン時代のRPGの鬼エンカウント率には「プレイ時間を水増しするために戦闘を多くしてんだろ、これ」とイライラすることも多かったのですが、スーパーファミコンのこのくらいの時代になると大容量・大ボリュームが当たり前になっているので、テンポ良くゲームを進めてもしっかりとプレイ時間のある歯応えのあるRPGが出来るんですよね。



 「大容量」の話ついでに言うと……
 同じ世界の「現代」から「原始時代」「中世」「未来」と、マップを移動しながら冒険するRPG……って考えるだけなら簡単そうですが、実際に作ろうとすると「民家の壁」の素材一つとっても時代によって作り換えなくちゃならないから、素材の使いまわしが出来ないと思うんですよ。


<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 容量もそうだし、ドット絵を打つスタッフの人達の労力もトンデモないものがあったと思われます。『ライブ・ア・ライブ』もそうでしたが、この時代のスクウェアは無茶ばかりしよるぜ……


 そして、この後のゲーム業界のメインストリームが3Dになって、背景も3Dで描かなければならなくなって、「ストーリー重視」ではなくオープンワールドのように「どこにでも行ける自由度重視」になって―――という時代になると、こういう「世界地図をいくつも用意して、そこを行き来しながら冒険する」ゲームを作るのは難しくなっていくと考えると。

 『クロノ・トリガー』って、この時代が生んだ「スーファミ時代だからこその象徴的な作品」だと言えるのかなぁと思うんですね。



◇ 「過去に戻って未来を変える」ように、プレイヤーが選んだ行動で未来が変わる

 先の項に書いたように、このゲームは同じ世界の「現代」から「原始時代」「中世」「未来」と時空を超えて冒険するRPGです。
 『ファミコンジャンプ』(1989年)のように同じマップの「現代」と「過去」を行き来するゲームは以前からありましたし、ディレクターの一人である時田貴司さんの前作『ライブ・ア・ライブ』(1994年)のように複数の時代を舞台にしたRPGもあったのですが……

 『クロノ・トリガー』(1995年)の特徴は、「タイムマシーンで過去に行って何かを変えると、未来が変わってしまう」“タイムパラドックス”をシナリオの中核に落とし込んでいるところだと思います。


<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 最初のイベントからして、ヒロインであるマールの先祖が死んでしまうとマールが生まれてこないから消滅してしまうって話ですからね(あの話、マールが消滅するとクロノ達もあの時代へ追いかけていないんじゃないかと思うのだけど、頭がこんがらがってくるので考えるのをやめよう)。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 そういうこともあってか、このゲームでは各キャラクターが「決断」する様が度々描かれます。この「決断」が未来を変えるターニングポイントになって、「何かを決断することが未来を切り開いていく」と見せてくれるんですね。このゲームのシナリオが高く評価されているのは、この真っすぐな熱さだからこそだと思います。



 また、このゲームのストーリー自体は終盤まで一本道なのですが。
 ゲーム全体を通して、「プレイヤーの選択」によって「未来の展開が変わっている」ように見せる箇所が多々あるんですね。


<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 些細なことかも知れないけど、「レールに沿ってストーリーを進めている」のではなく「プレイヤーが取った行動」によってゲームが変化しているように見せる……これは「映画」や「漫画」や「アニメ」とはちがう、「ゲーム」ならではの体験だと言えると思います。



<画像はWii Uバーチャルコンソール版『ファイナルファンタジーV』より引用>

 この時期のスクウェアのゲームって、『ファイナルファンタジーV』(1992年)にも、『ファイナルファンタジーVI』(1994年)にも、『ライブ・ア・ライブ』(1994年)もそうかな、「プレイヤーの選択」によって「未来の展開が変わっている」ように見せる箇所が隠し要素的に入っていました。

 『クロノ・トリガー』は時空を超えて冒険するRPGで、ゲーム全体で「何かを変えると、未来が変わる」を描いていることもあって、その要素を大幅に拡張して様々なところに仕込んでいるんですね。
 この頃はRPGがシナリオ重視・演出重視になっていく時代で、スクウェアはその象徴のように「ストーリーを観るだけで、プレイヤーが攻略するゲームではなくなっている」みたいに批判する人も多かったですが、そんな中でもプレイヤーそれぞれが固有のゲーム体験をできたように思える工夫をしていたと私は思っています。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 ついでに、この話も書いておきましょう。
 古代ギリシャの時代から「最近の若者は」と言われていたみたいな話で、『ファイナルファンタジーV』や『ファイナルファンタジーVI』などの時代から「こんなのはRPGではない」「ストーリーを一本道に沿って進めているだけだ」「昔のRPGには自由度があって、自分で冒険している感があった」みたいな論調はありました。友達が言っていたとかじゃなくて、ゲーム雑誌に執筆しているゲーム評論家様がそう書いていて、こどもながらにショックを受けたことがありました。

 確かに、『ファイナルファンタジーV』も『ファイナルファンタジーVI』も、言ってしまえばこの『クロノ・トリガー』も、序盤~中盤までは一本道でストーリーを進めていくだけのゲームと言えるかも知れません。でも、この3本のゲーム……終盤は、「さぁ! 世界のどこにでも行って好きなことをすればイイ!」と一気に自由度が上がるじゃないですか。

 何の準備もせずにそのまま最終決戦に向かっちゃってもイイし、世界中に散りばめられているダンジョンやイベントをこなして最強装備を手に入れたり、『ファイナルファンタジー』の場合は召喚獣を手に入れたりしてもイイ―――
 これって「昔のRPGには自由度があって、自分で冒険している感があった」と言われる『ドラクエII』とかの「船を手に入れるまでは一本道」「船を手に入れたら世界のどこにでも行ける」と何がちがうんだって思いますし。

 もっと言うと、『ドラクエII』が世界のどこかにある紋章を全部集めないと最終決戦に向かえなかったことを考えると、終盤のサブイベントを全部無視してでも最終決戦に突入できる『ファイナルファンタジーV』や『ファイナルファンタジーVI』や『クロノ・トリガー』は『ブレス オブ ザ ワイルド』並に自由度が高かったと思うんですよ。

 「昔のRPGには自由度があって、自分で冒険している感があった」と言っていたゲーム評論家様、ちゃんとクリアまで遊んだんですかー??



 とまぁ、こどもの頃の恨み言はさておき(笑)。
 『クロノ・トリガー』の場合、この終盤の「さぁ、世界のどこにでも行ってイイぞ!」と言われてからのサブイベントが、更に「どの時代に行ってもイイぞ!」となる上に、どのサブイベントも「複数時代を行き来するRPG」なことを活かしたものになっているのが最高に面白かったです。

 しかも、「過去を変えると未来が良くなる」し、実際に未来に行ってその様子を見られるので、普通のRPGのサブイベント以上に「自分ががんばってサブイベントをクリアしたおかげで世界がこんなに良くなった」と思わせてくれるんですよね。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 そして、極めつけは「つよくてニューゲーム」のシステムです。
 ゲームをクリアしてエンディングを迎えた後、それまで育てたレベルや獲得したアイテムを引き継いだまま、ストーリーの最初からやり直すことが出来るシステムが採用されています。

 こういったシステム自体は、『リンクの冒険』(1987年)などにも採用されていたので『クロノ・トリガー』が初出というワケではありません。
 1980年代後半のゲームは「1周クリアすると難易度が上がった2周目が始まる」ことが多く、『ゼルダの伝説』(1986年)にもいわゆる「裏ゼルダ」が用意されていたことから、続編の『リンクの冒険』では逆に主人公が強くなったまま最初から遊べるモードをオマケとして入れたのかなぁと思います。


 『クロノ・トリガー』(1995年)がこのシステムを採用したことで、それ以降のRPGの多くに採用されているそうなんですが……『クロノ・トリガー』の場合は、そもそもこのゲームが「過去に戻って何かを変えると、未来が変わってしまう」ことを描いているため、メタ的に最初からやり直せる「つよくてニューゲーム」システムがゲーム全体のテーマに即しているんですね。

 前述したようにこのゲームには「プレイヤーの選択によって未来が変わっている」と思わせる箇所が多々あるので、1周目では選ばなかった行動とか、1周目とはちがうパーティで挑むなどして、その違いを楽しめるようになっているのです。



<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 そして、「つよくてニューゲーム」システムとセットになっている『クロノ・トリガー』独自の仕様が、「いつでもラスボス戦に挑める」&「倒したタイミングでエンディングが変わる」システムです。

 この「いつでもラスボス戦に挑める」のはなんと1周目から可能なのですが、普通のプレイだとレベルも装備も全然なのでいきなり挑んでも勝てるワケがありません。ただ、「つよくてニューゲーム」でラスボスに一度勝っているレベル・装備なら序盤からでも勝てるだろうし、倒した時点でのストーリー進行度によって変わる10種類以上のエンディングが用意されているのです。

 つまり、「つよくてニューゲーム」のシステム自体は『リンクの冒険』などそれ以前からあったのですが、『クロノ・トリガー』はゲームシナリオと絡めて「歴史を変える」と「エンディングが変わる」ようにすることで、「つよくてニューゲーム」の2周目だからこそ遊べる要素を仕込んでいたんですね。
 そこまで作りこんでいたからこそ、『リンクの冒険』以降ではなく、『クロノ・トリガー』以降に「つよくてニューゲーム」を採用するゲームが多かったんじゃないかと思います。



◆ で、結局どういう人にオススメ?

<画像はWiiバーチャルコンソール版『クロノ・トリガー』より引用>

 RPGのシステムとしては非常にシンプルながら、“ドリームプロジェクト”の座組や、2Dドット絵時代のスクウェアの集大成とも言えるゲームなところや、シナリオ面でもシステム面でも「過去に戻って未来を変える」というテーマで一貫された完成度の高さなどもあって、「こんなゲームは二度と作られないし、二度と出会えない」と思わせてくれる特別なゲームでした。

 ドット絵のコマンドバトルRPGに抵抗がないのなら是非全人類に遊んでほしい作品ではありますが、その中でも特にオススメな人を考えるなら……『ドラゴンボール』などの熱い少年漫画が好きな人には、特にオススメしたいゲームです。コマンドバトルRPGとしての難易度は高くない方ですし。
 まぁ、レベルを上げて物理で殴るだけでは倒せない敵も多いので、しっかり考えないとならないところはありますけど……。私はそれでしばらく詰まったところがありましたけど……。


 今遊ぶならSteam版なんでしょうが、多くの人が手に取りやすいようにゲーム機用にも移植して欲しいですよね。頼むよ、スクエニーーー!


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