「ゲーム実況」から、広がるプレイヤーの輪

 ※ この記事は2021年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2026年に移行した記事です

 ゲーム実況をしたり観たりしている人には、「今更そんな話を書く?」と言われそうですが……このブログを読んでいる人の中には、ゲーム実況にあまり詳しくない人もいらっしゃるでしょうから、書きます!


 半年くらい前、Twitterのタイムラインを見ていたら「ゲーム実況なんてネタバレでゲームの売上を落とすだけなんだから即刻全面禁止にすべき」と言っている人が流れてきて、2020年に未だにこんなことを言っている人がいるのかと驚いたことがありました。

 例えば、同じように2000年代のインターネットを経験している人でも、「2chに入り浸っていた人」と「個人ホームページを開いていた人」では見えていた世界が180度ちがうような話で―――同じように2020年に「ゲームを遊んでいる人」であっても、観測している範囲によって見えている世界は全然ちがっていることはあるんですよね。

 なので、2021年にゲーム実況をしている人間の立場から、当たり前だと思っていることも、ちゃんと文章化して残しておこうと思います。これを2030年くらいに読み返したら「あの頃はゲーム実況とか流行ってたんだー、今や誰もそんなことやってないのにねー」って面白いかも知れませんし。


◇ 「対戦相手を集める」ためにゲーム実況をする


 先日、ようやく『Among Us』の実況をすることが出来ました。
 「参加者7人、インポスター1人」でのプレイはしたことがあったのですが、ゲームデザインから考えて「インポスター2人」で遊ぶと別ゲーになるだろうと思ったので、それを実現するために「参加者8人以上」を集めよう―――と、1ヶ月かけてみんなの予定を合わせて、結果的に「参加者10人、インポスター2人」での対戦が実現できました。参加してくださった皆様、ありがとうございます!


 これね、ゲーム実況をやっていなかったら「10人」なんて集められなかったですよ。


 「ゲーム実況をしていたから友達が増えた」みたいなことではなくてね……
 今の私がTwitterに「これから『Among Us』やるから一緒に遊んでくれる人を募集しますー」と書き込んだところで、集まってくれる人は、多く見積もっても3人が限度だと思います。「ゲーム実況という場」からあるからこそ、10人もの人間が集まって、10人対戦が実現できたのです。

 「ゲーム実況」って、「みんなの集まる場所」なんですね。




 もっと分かりやすい例はこちら。
 久々に『Splatoon2』を実況して「ナワバリバトル」をプレイしていたら、同じように最近『Splatoon2』遊んでいなかったけど実況しているなら参加するかーという視聴者達が合流してきてくれて、最終的に8人も集まったので「プライベートマッチ」に移ってそっちで遊んだ回です。

 実況ではなく、私が突然「プラベやりたい! 今すぐプラベ来られる人は来て!」みたいなことを言ったとしても、8人も集められないです。実況しているからこそ、「やまなしさん『Splatoon2』やってるんだ。じゃあ俺も久々に起動するかな」と人が徐々に集まってくれての8人対戦だったんですね―――――



 私がゲーム実況を始める前のWii Uの時代、TwitterやMiiverseで「○日の○時からオンライン対戦やります!」と告知しても、発売直後の『スマブラ』や『Splatoon』でもそれほど人は集められなかったので……「ゲーム実況」ほど、ゲームの対戦&協力相手を集められる手段はないと私は思っています。


 「ゲーム実況」をしたいから、「オンライン対戦のゲーム」を遊ぶのではなく。
 「オンライン対戦のゲーム」を遊ぶために、「ゲーム実況」を続けている―――そう言っても過言ではないほどに。




◇ 「ゲーム実況」で広がる、「ちょっとコントローラ貸して。1機やらして」
 さてさて。
 新型コロナによって人と人が直接会う機会を減らそうと世界中がガンバった2020年―――その代わりに、オンラインで一緒に遊べるゲームを、ボイスチャットを繋いで遊ぶことが、それまで以上に大流行しました。
 『あつまれ どうぶつの森』、『世界のアソビ大全51』、『Fall Guys: Ultimate Knockout』、先ほど例に出した『Among Us』、そして『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番! ~』―――これらのゲームのオンラインプレイは、ゲーム実況の定番でした。

 その余波を受けてなのか、任天堂はNintendo Switch版『スーパーマリオ3Dワールド』にマリオシリーズ本編としては初めてオンラインマルチを導入し、数年前に発売した『スーパーマリオパーティ』のスゴロクモードもオンラインで遊べるように無料アップデートしました。
 2020年の新作というワケではありませんが、ゲーム実況の定番である『フォートナイト』や『APEX』も「複数人でチームを組んで戦うことが出来るゲーム」ですし、『モンスターハンター』ももちろんオンラインで4人集まって協力プレイの出来るゲームです。


 もちろん「1人用のゲーム」を実況している人がいないとは言いませんし、私も『ミシシッピー殺人事件』みたいなファミコンのアドベンチャーゲームを実況したりしていますけど……今のゲーム実況のトレンドは、圧倒的に「オンラインでみんなで遊べるゲーム」です。


 私がゲーム実況を始める前の2015年、ブログのコメントで「こどもの頃は友達の家に集まってワイワイ遊んでいたからゲームが楽しかったけど、大人になってからはそういうことも出来なくなったのでゲームがつまらなくなった」なんて書かれたことがあって―――私はずーっとそれが気にかかっていたんです。オンライン対戦とボイスチャットがある時代に、今更そんなこと言う?と。
 そこから5~6年が経って、あの時以上にみんな仲の良いメンバーでボイスチャットを繋ぎながらオンライン対戦やオンライン協力プレイを楽しむようになって、その様子を視聴者が見ているという―――すっかり「自宅」が「こどもの頃に集まってゲームをしていた友達の家」ですよ。

 というか、今どきの小学生は普通に自宅からボイスチャットつないで友達とオンラインでゲーム遊んでいるらしいですからね(ウチの甥っ子調べ)。ゲーム実況をやっている子は流石に多数派ではないでしょうが。



 ストーリー重視のアドベンチャーゲームやRPGならば、確かに「ゲーム実況で最後まで見ちゃったらもうそれで満足」となりかねませんが。
 『Among Us』みたいなゲームはストーリーなんてあったもんじゃないし(あの人達、どうして殺し合っているの?)、オンライン対戦・オンライン協力プレイのゲームはリプレイ性の高いものが多いため(↑の例で言うと『スーパーマリオ3Dワールド』だけちょっと微妙か)、むしろ「私もやってみたい」「なるほどこうやって遊ぶのか」「これなら自分でも出来そう」と購入意欲を掻き立てられるものの方が多いんじゃないかと思います。


 例えば、Vの人とか、芸能人とか、声優さんとかが、仲の良いメンバーで『桃鉄』や『Among Us』を遊びたいからスケジュールを合わせて実況をする→→ それを見たその人達のファン(notそのゲームのファン)が、「こんなに楽しそうに遊んでいるなら自分もやってみたい」「俺の方が上手く遊べそう」と考える。
 →→ その人がメンバーを集めるために、今度は自分でそのゲームを買って実況する。→→ それを観ていた視聴者が「こんなに楽しそうに遊んでいるなら自分もやってみたい」「俺の方が上手く遊べそう」と考える。
 →→ その人がメンバーを集めるために……(以下、延々と続く)

 友達の家でゲームを遊んでいるのを後ろで見ていると、「ちょっとコントローラ貸して。1機やらして」と言いたくなるアレが、何百人・何千人単位で行われているのがゲーム実況なんですね。

 それは別に「このゲームを宣伝しよう」とやっているワケではなくて、前項で述べたように「このゲームを遊びたいから実況という場を使ってみんなで集めよう」としているだけなんだろうけど、それが結果的に「楽しそう!」と視聴者に思わせている好循環というか。



 Twitterで見かけた「ゲーム実況なんてネタバレでゲームの売上を落とすだけ」って呟きに私が驚いたのは、ゲーム実況に否定的な人はゲーム実況自体を観ていないから詳しくないのはしょうがないとして……未だに「ゲーム=ストーリーを読むもの」って思っている人がいるんだってところです。
 ゲームの売上ランキングとかを見ても、『どうぶつの森』とか『スマブラ』とか『Splatoon』とか、ストーリーなんて二の次のゲームが上位にたくさん入っているのに……目に入らない人には目に入らないんだなぁと。



◇ どうして他人の「ゲーム実況」を観るのか
 ゲーム実況に否定的な人は、「ゲームなんて自分で遊ばないと面白くないじゃん。他人が遊んでいるのを見て面白いの?」と言います。それは分からなくもないのだけど……


 それって、エロビデオを観ている人に「SEXなんて自分でヤラないと気持ち良くないじゃん。他人がヤっているのを見て気持ちいいの?」って言うのと同じことじゃないの? てめえ、ぶっ殺すぞ!!! ヤリたくてもヤレない、モテない人生がオマエに分かるのか!!


 ……


 …………


 「何故ゲーム実況を観るのか」には色んな理由があって、そもそも「自分の得意なゲームに悪戦苦闘している初心者を観たい」って人もいるし、逆に「自分には出来ないような難しいゲームを代わりにクリアしてもらって疑似体験したい」って人もいるし、「自分の知らないゲームを知る機会になる」って人もいるのですが……

 私は、ゲーム実況って究極的には「人を見に行く」ものだと思っています。

 例えば、スポーツ観戦をするのに「野球ならなんでもイイ! 野球しているところさえ観られたら満足だ!」って人は少数で、「好きな選手」や「自分のこども」とか「自分の母校」がしているからその野球の試合を観たいって人が大半だと思うのです。
 先のエロビデオの例えで言うなら、SEXそのものを観ているというよりかは、「好きな女優さんや、初めて見るけど顔が好みの女優さんのSEXを観たい」って願望というか。


 ゲーム実況も同様で、そのゲームを観たいというより、大好きなこの人がゲームを遊んでいるところを観たい(応援したい)って娯楽だと思うんですね。


 んで、オンラインで遊べるゲームがゲーム実況で人気という話に戻すと……
 『Among Us』や『桃鉄』のゲーム実況って、「大好きなこの人」が「別の大好きな人」達とDiscord等のボイスチャットで話しているのを観るのが楽しいんですね。普段「一人喋りのラジオ」を聴いている人のところに、「仲良しのゲスト」がやってきて、いつもは見せない側面を見せてくれる―――みたいなカンジで。

 『Among Us』はどうしたって「会議で喋る」ことを要求されるゲームですし、『桃鉄』はとにかく毎ターンいろんなイベントが起こる上に「ご当地ネタ」など喋る話題を提供してくれるし―――「会話が弾む」材料が揃っている上に、「テンポ良くイベントが起こるので会話の間が出来ない」のに「かと言ってゲームスピードが速すぎないので喋る余裕がある」バランスが絶妙なのに加えて、「ゲーム技術で勝ち負けが必ずしも決まらないから白けにくい」んですね。

 これがもし『スマブラ』とか『マリオメーカー2』とかだと、ゲームスピードが速すぎてじっくり喋る余裕もないし、上手い人と下手な人の格差がハッキリと出てしまいますからね……


 野良でオンライン対戦のゲームを遊ぶなら、ゲームスピードが速いに越したことはなかったと思うのですが……
 ゲーム実況で、ボイスチャットしながら遊ぶ様をみんなに見せつける時代になると、「推しと推しがイチャイチャ喋る時間的な“間”」がある方が喜ばれるというのは面白い話です。それこそ『スーパーマリオパーティ』が、発売当初はミニゲーム単体でしかオンライン対戦が出来なかったのに、今回の無料アプデでスゴロクモードでもオンライン対戦できるようにした理由はこの辺があるんだと思いますしね。


 ということで、今日お伝えしたい結論はこういうことです。


 『Among Us』は百合ゲー。



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