「面白かったです」の一言ももらえずに、『スーパーマリオメーカー2』のコースを作る気になれるだろうか

※ この記事は2019年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です


 6月28日に『スーパーマリオメーカー』の新作がNintendo Switchで発売になります。Wii Uという不遇のゲーム機で出たにも関わらずヒットした作品の続編が、Nintendo Switchという勢いのあるゲーム機で出るとどうなるのか―――このゲームは特に「遊ぶ人が多くなれば多くなるほどいろんな可能性が増えるゲーム」なのでワクワクしています。



 私も購入予定で、むちゃくちゃ楽しみにしているのですが……
 一つ気がかりなことがあります。



 それは「Miiverseの代わりになるもの」は用意しないのだろうか?ということです。

 「Miiverseって何?」という人もいるでしょうから説明します。
 任天堂がWii U本体の発売と同時にスタートさせたSNSで、「同じゲームを遊んでいる人」がつながれることを目指したものでした。SNSとしての特徴を挙げると、文字によるメッセージだけでなく手描き入力も可能なため、イラストの投稿も気軽に出来たというのがありますね。


<画像はWii U用ソフト『スーパーマリオメーカー』より引用>

 『スーパーマリオメーカー』1作目は、更にステージ内の特定の場所にMiivereのメッセージを投稿することが可能だったため、コース作成者が「ヒント」を書き込んだり、隠しルートを見つけたプレイヤーが足跡代わりに「メッセージ」を残したりなんてことが出来ました。
 ↑のスクショは、それを利用した「みんなで絵しりとりをしよう!」というコースでした。




 2017年の11月にMiiverseはサービス終了してしまったため、『スーパーマリオメーカー1』も現在は投稿されたメッセージは全て消去されています。そのため、Miiverse終了直前の2017年9月に「すっかり放置していた絵しりとりのコースは完成していたのか確認しにいく」配信をやっていたのを思い出しました(笑)。
 これ、確か視聴者から「Miiverse終わる前に絵しりとりのコース見ておきません?」って提案されて見に行ったんですよね。今思うと、あそこで提案されていなかったら確認しないまま終わっていたと思うので感謝ですよ。




 さてさて。
 しかし、この「メッセージをステージ内に埋め込むことが出来る」機能以上に、Miiverseには大切な役割があったと私は思うんですね。それは「面白かったです」の一言を贈れる場所だったということです。

 ユーザーが「ステージ」だったり「キャラ」だったりを作成して、インターネットを介して投稿、それを他のプレイヤーがダウンロードして遊べる―――User Created Content(UCC)と言うべきか、User Generated Content(UGC)と言うべきか、まぁとりあえず「そういう系のゲーム」はここ10年くらいのトレンドだったと思います。

・Miiコンテストチャンネル(2007年、Wii)
・大合奏!バンドブラザーズDX(2008年、DS)
・リトルビッグプラネット(2008年、PS3)
・メイドイン俺(2009年、DS)
・Minecraft(2009年~2011年、PCなど)
・とびだせ どうぶつの森(2012年、3DS)


 パッと思いついたのはこの辺り。
 もちろん『RPGツクール』みたいなゲームは90年代からあるし、ステージエディットの起源は1980年代の『ピンボール・コンストラクション・セット』らしいとか、歴史を語るとキリがないのですが……ゲーム機のインターネット接続率の上昇と、大容量のセーブデータ領域の確保に伴って、インターネットを介しての自作コンテンツの共有が出来るゲームはここ10年前後で増えた印象があります。

 現在だと『ロードランナー・レガシー』とか『Ultimate Chicken Horse』とか、1000円台のダウンロードソフトにもこういった要素は入っていますし。先日『スマブラSP』でも無料アップデートで「ステージ作り」が出来るようになりましたし。



 『リトルビッグプラネット』のスタジオが手掛ける「どんなジャンルのゲームも作ることが出来るゲーム」『Dreams Universe』のアーリーアクセス版が先日発売になったり、「エロゲーのキャラ・マップ・ポーズ・シーンを作って共有できる」『エモーション・クリエイターズ』が先日発売になったり。



 ユーザーが作ったコンテンツを他のユーザーが遊ぶというゲームは、現在のトレンドの一つなのは間違いないと思います。「作る」のも楽しいし、他の人が作ったものを「遊ぶ」のも楽しい、それは分かります。

 ただ、「面白かったです」の一言ももらえず、ずっと作り続けられる人がどれくらいいるのだろうか?とも思うのです。

 例えば「このステージは200人の人に遊ばれました、その内20人の人がイイネを押してくれました」という数字を見せられるよりも、1人の人からの「遊びました!面白かったです!」のメッセージが嬉しいと思うんですよ。クリック一つで送れるイイネ20コよりも、ちゃんとその人の言葉で語られたメッセージ一つの方が私は嬉しかったのです。
 Miiverseにはそれがありましたし、Miiverseの場合は更に「メッセージを送ってくれた人の顔(Mii)」があったので、この人がこんな言葉で喜んでくれたんだと分かったんですね(イイネ押してくれた人の顔も見えるので、このフレンドが遊んでくれたんだみたいなのも分かった)。


 「ユーザーが作ったコンテンツを他のユーザーが遊ぶというゲーム」はトレンドというくらいにたくさん出ているのだけど、こういう「感想を贈るシステム」みたいなものはあまり重要視されていない印象で、それだと「何の反応がなくても作り続けるだけで楽しい」という一部のクリエイティブバーサーカーな人以外は「作り続ける」のは難しいと思うんですよ。

 Miiverseがあった『Splatoon1』の頃はフェスのたびにイラスト描いて投稿していたんですけど、Miiverseがなくなった『Splatoon2』でイラストを描いても「誰が見てくれたのか」も「イイネをどれくらい押してもらえたのか」も分からないため『2』ではほとんど描かなくなっちゃったんですよねー。


 Nintendo Switch初期に出さなければならなかった『Splatoon2』は仕方がないとしても、そこから2年近くが経った『マリオメーカー2』はその辺をしっかり解決してくれているとありがたいんですが……今のところ「Miiverseの代替になるもの」についての説明はないんですね。
 Nintendo Switchのオンラインアプリにその辺を期待していたのですが、SNSのような仕組みはほとんどないし……Twitterみたいな既存SNSを使うとなると「遊んだステージの感想をステージに紐づけて贈る」みたいなことは無理だろうし。

 この話は『マリオメーカー2』だけの話じゃなくて、今年末に発売されるであろう『どうぶつの森』新作とかにも言える話で……「夢見の館」とか「マイデザイン」とかは、MiiverseみたいなSNS機能があれば面白くなりそうなのになーと思ってしまいます。今年のE3で「Miiverse復活させます!」とか発表してくれないかなぁ、無理かなぁ……



――2025年追記――

<画像はNintendo Switch用ソフト『スーパーマリオメーカー2』より引用>

 発売された『マリオメーカー2』にはほぼMiiverseと同等の機能が付いていて、この記事を書いた頃に抱いていたような不安はまったくありませんでした。


 しかし、この問題を浮き彫りにしたのはむしろ2021年(この記事の2年後)に発売された『はじめてゲームプログラミング』だったと思います。
 そちらのゲームは「自分の作ったゲームがどれだけ遊ばれたのか」も分からず、そもそも「誰かが作ったゲームをダウンロードして遊ぶ」のもIDを直接入力せねばならず、それらを広めるのも探すのもTwitterなどのSNS頼みになっちゃったんですね。

 これが本当にキツくて……
 私は『はじめてゲームプログラミング』を発売日に買って、ゲームを作っていたんですが……遊んでくれたという反応がTwitterくらいでしかもらえないのに、そのTwitterでイヤなことを言われちゃったんで、一気にイヤになってじきに辞めてしまったんですね。


 個人的にはランキングとかは別に要らないと思うんですが、この手のゲームを作るのなら「フレンドの人が投稿したものならチェックできる」「遊んだ人が反応を送れる」機能は最低限つけて欲しいなって思います。

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