「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」と、真に言えるものは何かを考える

 漫画や映画といった「創作物」でもそうですし、「食べ物」とか、旅行とかの「趣味」でも、それを絶賛するあまりに「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」みたいなことを言う人っているじゃないですか。



 私はそういう言い方が嫌いなんですね。
 こうやって一生懸命ブログを書いている身ですから、「自分が面白いと思ったものを他人に薦めることの難しさ」を日々実感しているワケです。「果たしてこれは他人に薦められるのか」から始まり、「これはどういう人になら薦められるのか」を考え、「そういう人の興味を引くにはどう書けばイイのか」に悩み―――そうやって心血注いで書いたレビューに、「紹介してくださった○○を買ってみたらすごく面白かったです!」と言ってもらえることなんてそうそうあるものじゃなくて。

 それくらい「自分が面白いと思ったものを他人に薦めること」は難しいことなのに、「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」と他人の「人生の半分」を人質にとって脅すような行為はレビュアーの風上にも置けないと思ってしまいます。そもそも「これを知らないと損しますよー」なんて、「人間は損得勘定に弱い」という心理を突いた詐欺の常套句じゃないですか!



 『○○』という作品一つだけでなく、例えば「漫画」とか「ゲーム」みたいなでっかいカテゴリーで考えたとしても、私は「○○を知らないなんて人生の半分は損している」と言えるものなんてほとんどないと思っています。
 例えば、私は「ゲーム」が大好きですけど、「ゲームをまったくやらない人が人生の半分を損している」とは思いません。私が「ゲーム」にささげた分の時間とお金と情熱を、その人は他のことにささげているのなら、その人はその人で幸せだと思うんですね。

 「人生のあるべき形」は人それぞれちがって良いはず。
 「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」と言うことは、全ての人に「自分が思う人生とはこうあるべきだという形」を押しつける、私が最も忌み嫌う行為だと言えます。




 ですが、
 「嫌いだ!」と言って終わらせるのももったいなくて、「自分が嫌っているもの」の中にこそ「今の自分に足りないもの」があるのかも知れないと真剣に考えてみようと考えました。「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」という言い方が大嫌いな自分でも、「○○を知らないなんて人生の半分は損している!」と真に言えるものは何なのか―――ひょっとしたらこのブログを読んでいる人の中には、知らずに人生の半分を損しているという人もいるかも知れないじゃないですか。



知らない人は人生を半分損していること その1.「睡眠」


 もしアナタがまだ「睡眠」を知らないとしたら、私は声を大にして「人生の半分は損している!」と言いたいです。
  何日間も動き続けて体がフラフラしたり意識がもうろうとしたりしたとき、「おかしいなー、病気かも知れないなー」と不安になったことがあるかと思いますが、「睡眠」をしっかりとるだけで何とビックリ!体が回復するのです!

 「睡眠」のコツは、「家」などの安全な場所で取ることです。
 「家」に帰ることが難しい場合は、「ホテル」や「旅館」といった宿泊施設を使うのも良いでしょう(利用させてもらうのにお金はかかりますが)。

 「布団」があるとよりクオリティの高い「睡眠」をとることができます。
 「布団」は「接地面が柔らかいので長時間横になっても体が痛くならない」や「体を冷やさないで済む」といった効果があります。それだけ聞くと「じゃあ、お風呂の中で睡眠をとればバッチリじゃない?」と思われるかも知れませんが、お風呂の中での睡眠は溺死の可能性が高いですし、長時間が経過するとお湯も冷めてしまうので絶対にやめてください。
 「布団」がない場合は、それに近い効果のあるものを用意しましょう。第2候補は「寝袋」、第3候補は「段ボールと新聞紙」です。


 「睡眠」を知らずに日々を過ごしていると、“体がフラフラしたり意識がもうろうとしたり”というだけで済まず、道端でバッタリと倒れて気絶してしまうかも知れません。道端で気絶をしていると悪い人から財布を盗まれるなどの犯罪に合いやすいですし、固い地面の上で気絶していると体が痛くなってしまいます。寒い冬などでは風邪をひきかねないどころか、凍死してしまう可能性もあります。

 このブログを読んでいる人の中にまだ「睡眠」を知らない人がいらしたら、「人生の半分を損している」と思うので、今日の記事で是非覚えて帰ってくださいね!



知らない人は人生を半分損していること その2.「起床」


 とは言え、「睡眠」を覚えたらそれで人生が完璧に豊かになるほど甘いものではありません。「睡眠」の後の「起床」も覚えなければ、これもまた「人生の半分は損している!」と言えてしまうことでしょう。

 「睡眠」はとても心地良いものですが、唯一「睡眠をしていると何もできない」という欠点があるのです。よく「絵を描ける人は寝ているだけで絵が完成しているんだろう」と勘違いしている人がいるのですが、残念ながらほとんどの生産活動は「睡眠」しながらでは出来ません。御自身で絵を描かない人には分からないかも知れませんが、絵描きは絵を描くために「起床」しなければならないのですよ!

 「起床」をすることのメリットを一つ挙げると、まず「動ける」ということですね。
 トイレに行って用を足したり、台所に行って料理を作って食べたり、机に向かって勉強したり作業をしたり。「靴」に代表される「履物」を持っていれば、外に出て「買い物」をしてくることも出来ますね。その際には「服」はちゃんと着ましょう。「靴」は持っていなくても足元に気をつけて歩けば何とかならないでもないですが、「服」は持っていないと現在の日本の法律では出歩いてはいけないことになっています。「服」は持っているだけじゃなくてちゃんと着てくださいね。

 逆に言えば、「起床」を知らないとこういったことが何も出来ないのです。
 これは「人生の半分は損している!」と言われても仕方がありません。


 とは言え、「動ける」だけがすべてではありません。
 事情があって寝床から動けない人、動きたくない人でも、「起床」をしているだけで色々なことができます。他の人と会話をしたり、コミュニケーションを取ったり、手が動くならタブレットPCやノートPCで様々なことが出来ますし、Nintendo Switchなら寝床に入ったまま据置ゲーム機が遊べてしまいます。テレビを観たり、ラジオを聴いたり、本を読んだり……「起床」一つを覚えるだけで、私達はこれだけの選択肢を手に入れることが出来るのです!

 言ってしまえば、「起床」とは「自由を手に入れること」なんです!!

 もしこのブログを読んでいる人の中にまだ「起床」を知らない人がいらしたら、アナタは「人生の半分を損している」と思うので、今日の記事で是非覚えて帰ってくださいね!




知らない人は人生を半分損していること その3.「椅子」


 人間の膝くらいの高さの天板をいくつかの脚で支えている図のようなもの―――形状は様々なものがありますが、みなさんも目にしたことがあるんじゃないかと思います。これが「椅子」です。




 使い方は「椅子」の上にお尻を載せるだけです。
 人間は2本の脚で全体重を支えているため、長時間立ちっぱなしだと脚が疲れてきてしまいます。しかし、「椅子」に座れば、体重を広いお尻に分散させられるため脚が疲れないのです!背もたれ付きの椅子ならば、更に背中に分散することができます。
 「椅子」の使い方を知っているだけで、一日に動ける時間が格段に増えるのです!!これは、知らないと「人生の半分は損している!」と言われても仕方がありません


 ここまで読んで「いやいや。椅子がなくても、地面に寝転んだり胡坐をかいて座ったりすればイイんじゃないか?」と思った人もいらっしゃるかも知れません。確かに、ちょいと数百年くらい前の日本ではまだ「椅子」が一般的ではなかったという話なので、その時代の日本人は人生の半分を損していたのかという話になりかねません。

 しかし、数百年前は数百年前。現代は現代です。
 時代と場所によって、知らなければならないことは変わります。

 現代の日本での「椅子」の普及率はすさまじいものがあって……例えば「レストラン」など料理を提供するお店や、「電車」や「バス」などの交通機関、「学校」や「塾」などの教育機関、「映画館」といった娯楽施設には必ずといってイイほど「椅子」が設置されて、利用者は「椅子」に座ることが前提となっています。「ジェットコースター」なんて、ほぼ「動く椅子」ですからね。「椅子」以外の機能がほとんどありません。

 そこに自前の「座布団」を持っていって、「いや、私は椅子ではなく座布団に座らせていただきます」と座布団を敷いて座ったら……「レストラン」ではテーブルが高くて料理が食べづらいですし、「電車」や「バス」ではマナーが悪いと後ろ指をさされ、「学校」や「塾」は黒板が見えづらいし、「映画館」はスクリーンが見えないだろうし、「ジェットコースター」は真っ逆さまに落下してしまいそうです。

 現代日本は「椅子」に座れることが前提として設計されているので、「椅子」を知らなければこれらの施設を利用することも出来ないのです!


 もしこのブログを読んでいる人の中にまだ「椅子」を知らない人がいらしたら、アナタは「人生の半分を損している」と思うので、今日の記事で是非覚えて帰ってくださいね!




知らない人は人生を半分損していること その4.「笑うこと」



 私達はいつから「笑うこと」を忘れてしまったのでしょう。
 「笑うこと」は自分の気持ちを晴れやかにする効果があって、抱えていた悩みや不安を吹き飛ばしてくれます。また、親しい人の笑顔を見れば安心できますから、「笑うこと」とは自分だけじゃなくて周囲をも幸せにする、幸せの拡大再生産とも言えるのです。

 恐らく人間は、原始の時代から「笑うこと」を覚えていたはずです。
 現代日本に比べれば、遥かにモノが少なく、不便で、不自由だった時代であっても、「笑うこと」によって人間は時代を駆け抜けてきたのだろうと思います。


 しかし、現代日本はどうでしょうか。
 「なんでもできる高性能マシーン」な上にコンパクトで持ち運びができるスマートフォンやタブレットPCを駆使し、インターネットで即座に情報をやり取りして、SNSで常に誰かとつながりながら……いがみ合い、ののしり合い、けしからん人を見つけたら「けしからんヤツがいたぞーーー!拡散して殺せーーーー!」と袋叩きにするとか、自分とちがう意見の人間を探して敵とみなして「自分と意見がちがうのは許せない!」とイチャモンをふっかけるとか、デマをまき散らして集めたアクセス数で広告収入を得るとか、他人の著作物を平気でコピーしてお金儲けをするとか。

 科学の発展の結晶を、私達はそんなことにしか使えていないのです。


 私達はいつから「笑うこと」を忘れてしまったのでしょう。
 それだけで幸せになれたはずだったのに。


 「笑うこと」を忘れてしまった私達こそが、「人生の半分を損している」のです。
 今日の記事で是非思い出して帰ってくださいね!


コメント

  1. 読み返しても変わらぬ面白さでした!ピン芸人のフリップ芸のような面白さがありますね。笑うことを思い出せて、一日がなんか豊かになった気がします。
    締め方がいいのはもちろん、「笑い」の前に方向性が全然違う「椅子」を持ってきているのも、くどくなる前に4つで終わらせているのもよかったです。絵のかわいさといい、ネタの作り込みといい、根強いファンがいるのも納得の良記事でした。

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    1. 昔の記事はどうしても「ここを直したい」とか「今ならこう書くだろうな」みたいなことを考えてしまいがちなのですが、この記事はガチで「よくこんな記事を書けたなぁ!」と自分でも驚くんですね。出だしから締めまで、すべてがよく出来ていて、お気に入りの記事です。

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