新刊漫画のプリントオンデマンド版(紙の本)について

※ この記事は2017年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2026年に移行した記事です

  先月の記事で「12月初旬にキンドルで漫画の新刊を発売する」と告知していましたが、今日はそれのプリントオンデマンド版(紙の本)のお知らせです。



 出すことに決めました!モアレについては後述します。

 判型はA5判のみで、価格は1250円です!
 キンドル版の「+1000円」ですね。1000円は紙代・印刷代・製本料・送料だと思ってください。私に入るお金はどちらで買ってもらっても大体同じくらいになるはずです。

-2026年追記-
 消費税が上がったため、現在は1273円になっています


 今回はインプレスR&Dという会社のNextPublishingというサービスを利用することにしました。
 このサービスの特徴は登録した本がAmazonで販売できるということです。つまり、Amazonで商品を買うのと同じように「ポチっと注文ボタンを押すだけ」で、プリントオンデマンドの本を印刷&製本してお届け先まで届けてくれるんですね。現在のAmazonは「書籍は送料無料」なので、送料もかかりません。多分。




 A5判だと「12.9インチのiPad Proの見開き表示」よりも大きいです。
 紙の端っこまでしっかり印刷されています。



 背表紙もちゃんと付いています。

 ただし、カバーは付いていません。
 表紙・背表紙・裏表紙はカラーですが、漫画本体と一体になっている形で……ムック本みたいな形式と言えば分かりやすいですかね。


 内容はほぼキンドル版と一緒です。
 「ほぼ」というのはキンドル版とプリントオンデマンド版では「用意しなければならないファイルのサイズ」が全然ちがうため、1ページ1ページ調整しなおしているというちがいです。電子書籍は様々なサイズの端末で読まれるでしょうから文字をなるべく大き目にしていますが、紙の本はA5判に固定されているので少し余裕を持たせているとか。電子書籍は端末の機能でページ数を確認できるため入れていませんが、プリントオンデマンド版のみページ数の表記がしてあるとか。そういう細かいところがちがうのです。


 ただし、キンドル版が電子書籍ゆえに受けられる恩恵を、紙の本であるプリントオンデマンド版では受けられないのも確かで。
 キンドル版は購入後、すぐにダウンロードして読めるのに対して。
 プリントオンデマンド版は、注文があってから印刷・製本して輸送して届けてくれるので……数日待たなければなりません。それがどのくらいのスピードなのかは一概には言えないでしょうが、見本書は注文してから「5営業日以内に発送します」ということだったので、製品版も大体それくらいかなぁと思います。

 また、重大な誤植などがあった際、既に商品を買ってくださった人の本もキンドル版ならすぐに修正データに差し替えることができるのですが、紙の本に印刷するプリントオンデマンド版では当然できません。



◇ そして、「モアレ」について……
 B6判の出版を断念した理由である「モアレ」についても解説しておきます。
 「モアレ」とは、スクリーントーンに「意図しない」模様が発生してしまうことです。

【キンドル版】


【B6判】 



【A5判】 



 キンドル版は「出版に使ったデータ」で、B6判・A5判はともに「見本書の直撮り」です。
 写真だとなかなか伝わらないかも知れませんが、「B6判」は影のトーンに斜めの縞模様に入ってしまっているんですね。これは私が意図したものではなく、「印刷してみたらなんか模様が入ってた」というモアレです。


 どうしてこういうことが起こるのかというと……
 私は元々「B4の原稿用紙」にアナログでペン入れしていて、それをコピーしたものを「A4のサイズ」に裁断してスキャン、そこにデジタルでトーン処理などを行って、それをキンドル版に合わせたサイズやB6判に合わせたサイズ・A5判に合わせたサイズに縮小していました。

 使用している解像度はこんなカンジ。

・トーンを入れた状態(5100×7019)
・A5判(3638×5102)
・B6判(3165×4441)
・キンドル版(724×1024)

 これだけ見ると「キンドル版は解像度が低い!クソ画質だ!」みたいに思っちゃう人がいるかもと思って書くのをためらっていたのですが、モニターにそのまま表示される電子書籍と、そのデータから印刷する紙の本では必要な解像度が全然ちがうんですね。
 そして、何より「PCのモニター」や「電子書籍のモニター」はカラーで表示されるのですが(白黒の端末もありますが)、「漫画の印刷」は白黒なんですね。このちがいがすごく厄介で。

 データを作成する際、私はモアレが起こらないように起こらないように丁寧に縮小していき、実際に目で見てもモアレは確認できなかったのですが……「PCのモニター」はカラーなので、縮小の過程でなめらかに見えるように「白」と「黒」の中間の「グレー」で補正されたのが人間の肉眼ではよく分からなかったんですね。


 最近の印刷技術は発展していますから「グレー」の印刷もできないワケではないのですが、「グレー」にも「印刷されるグレー」と「印刷されないグレー」があって。その「印刷されないグレー」の部分が「斜めの縞模様」なのです。だから、(カラー表示される)キンドル版では問題がなかったし、より縮小の大きかったB6判の方がA5判よりもモアレがたくさん発生していたんですね。



 どうしてわざわざこんな話を長々と書いているかというと……販売するA5判の方にも、多少のモアレは残っちゃっているんです。

 B6判とちがって61番のトーンは大丈夫だけど、60番のトーンはちょっとやばくて、70番代のトーンは壊滅的……みたいなカンジに「細かいトーンほどモアレが発生しやすい」ところがあります。あと、空のトーンのように「雲を表現するためにトーンを削っているところ」も危うい。


【キンドル版】


【B6判】


【A5判】 



 ただ、それを言い出すと「キンドル版にも多少はモアレがあるような……」となってしまうので、考えないことにしました!2巻以降はA5判のサイズに縮小してからトーンを貼ろうと考えているので、モアレは減ると思います!






 しかし、この“「グレー」にも「印刷されるグレー」と「印刷されないグレー」がある問題”は……実はトーンだけの問題ではなくて、「線」にもちょっと影響があるんですね。


【キンドル版の縮小前の画像】


【B6判の接写】 


【A5判の接写】




 よーーく見ると、斜めの線は特にガタガタしているのが確認できます。
 これはどうも最初に原稿をスキャンした時点で「印刷されないグレー」として読み取った部分があって、印刷時にそこが印刷されないからこうなるみたいなんですね。


 試しに、スキャナーの設定を変えて「カラー」と「白黒」でスキャンした同じ原稿を見比べてください。

【カラー】


【白黒】


 スキャンした時点で「グレー」が発生していて、それのおかげで滑らかな線に見えるんですね。こればっかしは、私の環境ではどうしようもない……
 まぁ、線をよーーく見ないと分からないようなガタガタ具合ではあるんですけど、気にする人は気にするでしょうし、前もって言っておくのがフェアだろうと思ってここに書きました。その上で、キンドル版とプリントオンデマンド版のどちらを選ぶのか考えてもらえたらイイかなと。

 もちろん両方買ってもらえたら一番うれしいですけどね!
 いや、「一番うれしい」のは「このブログを読んでくださっている人全員がキンドル版を1冊ずつ、プリントオンデマンド版を100万冊ずつ購入してくれる」ことかな!印刷所が死にかねない!!


 しかし、ちょっと気になったんですけどキンドルペーパーホワイトみたいな「白黒モニターのキンドル端末」だと、私の漫画って「線がガタガタ」「トーンはモアレだらけ」に表示されてやいないでしょうか。ペーパーホワイト系の端末は持っていなかったので、そんなこと気にしたこともありませんでした。




◇ キンドル版の発売日を12月17日にしました!
 キンドル版は既にAmazonの予約ページが出来ていますが、商品説明文にはネタバレも含まれているので気になる方はご注意ください。

 12月初旬に間に合わなかったのは申し訳ありません。
 言い訳をしますと、「キンドル本」の出版は私がデータを用意して「お願いしまーす」とボタンを押すと数時間後にはもう販売開始にしてくれるんですけど、それってAmazonだから出来ることなんですよね。
 「プリントオンデマンド版」はAmazonではない他の会社がAmazonと提携して出品しているという形になるので、私がデータを用意して「お願いしまーす」とボタンを押してから販売開始になるまで「最速で1週間」とのことです(更に、そちらは注文があってから印刷・製本・輸送を始めるので更に時間がかかっちゃいます)。

 ということで、「キンドル本」の発売を1週間後にセットして。
 1週間後には「プリントオンデマンド版」の販売も開始になっていればイイなーと思って、こういうタイミングになりました。


 同時発売というよりかは、同時期発売になっちゃいますけど……大目に見てやってください!




―――2026年追記―――
 前回の記事の追記に書いた通り、現在『その日 世界は…』の続刊の制作は止まってしまっているのですが……そのトドメを刺したというか、私の心を完全に折ってしまったのが、この「プリントオンデマンド版」でした。

 『その日 世界は…』を制作していた当時はまだ電子書籍に対する抵抗感が強かったからなのか、私が何年にも渡って「電子書籍用に漫画を描いています!」とブログで報告すると「電子書籍なんか買いたくない」「紙の本で出たら買います」ってコメントが付いていたんですね。

 なので、なんとか「紙の本」でも読めるようにがんばって「プリントオンデマンド版」も作りました。1ヶ月、この調整だけに時間を使って他のことが何もできなかったくらいに大変だったのですが……シャレにならないくらい売れませんでした。

 もちろん、何人かの方には「紙の本も買いましたよ!」と報告してもらえたのですが……この手のサービスって「売上が○○円以上になったら振り込まれる」という最低金額が設定されていて、その最低金額にも達しませんでした。なので、収入ゼロ。大赤字でした。




 それと、この一件で「私の制作環境だと、線もトーンも私が想定したようには届けられていない」ことが露呈してしまいました。線はガタガタになっちゃって、モアレも発生している。どんなに頑張って絵を描いても、それを届けられないんじゃ頑張る意味がないんじゃ……と思ってしまい。

 なので、これ以降の私の創作活動は「小説執筆」とか「カラーの漫画」とかの方に進むんですね。要は、「白黒の漫画、もう描きたくねえ」と。
 でも、『その日 世界は…』の1巻は白黒で描いてしまったし、プリントオンデマンド版を出してしまったからには、2巻以降もプリントオンデマンド版を出さないとならない(しかも、それは大赤字なことが確定している)―――「2巻以降はカラーにします」とはできません。


 そのため、八方ふさがりで続刊の制作が停止してしまっているんですね。
 「内容」を描きたくないワケじゃなくて、それを伝えるための「器」がない状況で……なので、私の「やる気」が回復すればどうにかなるとかではなくて、私の制作環境が変わるとか、ものすごい技術革新で全部の問題が解決するとかしない限りは「漫画という形で続きを制作すること」は難しいと思っています。


 続きを楽しみにしてくださっている方々には、本当に申し訳ない。
 でも、1巻のような形で2巻が出ることは……多分ない、とは書いておかないとなりません。


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