『SHIROBAKO』第1~6話に登場する元ネタ解説


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>


※ この記事は2014年に旧ブログに書かれた2つの記事を、幾つか手直しした上で1つの記事に統合して2025年に移行した記事です

※ この記事はテレビアニメ『SHIROBAKO』第6話「イデポン宮森 発動篇」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。


 今季の自分の一推しアニメは、P.A.WORKSの『SHIROBAKO』です!
 P.A.WORKSのファンとしては、久々に感じるエンタメエンタメした作品で嬉しい!




 『SHIROBAKO』はアニメ業界を描いた作品です。
 第1話の冒頭は、主人公達の高校時代の「アニメーション同好会」のシーンから始まり。その5人の少女が高校卒業後、それぞれ「制作進行」「アニメーター」「声優」「CG制作」「脚本家」の卵としてアニメ業界で働いていく姿を描く作品なのです。5人主人公の群像劇って言えばイイのかな。

 恐らく……同じように5人主人公だった『TARI TARI』のように、それぞれにメイン回が割り振られていて、第1~2話は「宮森あおい編」だったんじゃないかと思うのですが。
 『TARI TARI』が5人主人公制とは言え「同じ学校の同じ部活の仲間達」という近い存在だったのに対して、『SHIROBAKO』は5人とも社会に出て別々のところにいる状態のアニメ―――ここからどうやって5人の物語がクロスしていくのか非常に楽しみです。


 アニメ業界の人からすると「あるある…過ぎて、胃が痛い…」アニメだそうですし、業界の人間ではないただのアニメファンの私としても「アフレコってこんな狭いスタジオでやるんだ!」とか「1話オンエアーの頃にアフレコは7話やってて、13話のコンテがまだ出来ていないんだ!」とか色んなことが知れて楽しいんですけど……

 アニメ業界に興味がない人でも、若者達の群像劇+成長物語として観ると楽しいと思いますよ!YOSAKOIに興味がなくても『ハナヤマタ』は面白かった、みたいな話で。



 というとこで、終わらせてもイイんですけど……
 『SHIROBAKO』のメインスタッフ、水島努監督と横手美智子さんのシリーズ構成ってコンビ……最近の『げんしけん』コンビなんですよね。私は『げんしけん』は最初のアニメと1代目の原作コミックスしかチェックしていませんでしたし、『SHIROBAKO』も「P.A.WORKSの新作だーー!」としか思っていなかったんですけど。

 「業界人版『げんしけん』」と言っちゃってもイイくらいに、結構なパロディが散りばめられているんですね。木下監督がCV.檜山さんなのも斑目を意識した配役じゃないかと思いますしねー。


 で、私は「パロディネタ」ってあんまり好きじゃないんです。
 「みんなが知っている有名な台詞」をただキャラに言わせるだけでアハハハハハみたいなノリが合わないんです。
 なので、『SHIROBAKO』も別にパロディが多いから面白いだなんてことは思いません。主軸はあくまで群像劇で成長物語で、でもアニメ業界を描くからには欠かせない会社名なんかも出さなきゃいけないけど、そのまま出すのは権利上問題があるので「パロディ」にしているというか。

 昔の野球ゲームだと、オマリーが「オマルー」として登場するみたいな話で。



 ウチのブログは「普段アニメを観ない人にもアニメを観てもらうためには何が必要だろう」と語ってきました。その視点で考えるなら、初めて観るアニメが『SHIROBAKO』だって人もいるかも知れないんです。
 そういう人でも『SHIROBAKO』は全然面白いと思うんですけど、「アニメ詳しくないからこのシーンはよく分からないなー」と思ってしまう人がいるかも知れません。だから、今日はアニメ初心者のために解説記事を書きます!だから、みんな!『SHIROBAKO』観ようぜ!!


公式サイト
第6話「イデポン宮森 発動篇」


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◇ 公式サイト
 いきなりここから(笑)。
 私は「ネタバレになるから」という理由でアニメの公式サイトは極力観ないようにしているのですが、第1話放送の数日前Miiverseに誰か『SHIROBAKO』のキャラを描かなきゃなーとキャラクターリストのページを見ていたら……キャラクター設定の時点で「ん……?」と思えるネタが結構あったのです。

 なので、ここから書いていこうと思います。


○ 「なにわアニメーションの堀内さん」
 アニメーター安原絵麻が憧れているアニメーター。「日常芝居を得意とする」だそうな。

 なにわ→大阪→京都……
 ということで、「京都アニメーションの堀口悠紀子さん」が元ネタだと思われます。
 『らき☆すた』『けいおん!』『たまこまーけっと』のキャラクターデザイン・総作画監督を担当された人です。京都アニメーションは特に「作画」に関してものすごく評価の高い会社ですが、特に堀口さんの『けいおん!』キャラは日常アニメの代表格として一世を風靡しました。


○ 「赤鬼プロダクション」
 新人声優:坂木しずかが所属している声優事務所。

 赤鬼→青鬼→青二……?
 ということで、「青二プロダクション」が元ネタだと思われます。

 青二プロダクションは、東京都港区南青山2丁目にある声優専門の芸能事務所です。
 大御所の声優さんから若手声優まで、多くの声優さんが所属していて「有名な人は誰誰」と言い尽くせないほどの大手声優事務所です。

 しずかはまだアニメデビューしていないので、所属と言ってもジュニア所属かな……

↓↓



◇ 第1話「明日に向かって、えくそだすっ!」

○ あおいが聴いているラジオ番組「アニラジぽくぽく」
 一瞬ですが、液晶が映ります。
 「AM 1134KHz 23:54」

 このアニメは舞台が東京ですから、AM1134kHZは「文化放送」です。
 文化放送はA&Gゾーンという「アニラジ放送枠」を1990年代から設けていて、現在でも地上波のアニラジ番組が幾つもあるだけじゃなく、「超!A&G+」等インターネットラジオサービスも行っています。アニラジと言えば文化放送と言っても過言ではありません。

 文化放送のこの時間帯でアニメの話題をしている番組と言えば、土曜日の『こむちゃっとカウントダウン』ですかねぇ(番組は2023年に終了)。ラジオMC二人は別人ではありますが、男女ペアによる番組ですし。

 ただ、残り6分で番組が終了するんですよね(笑)。
 『こむちゃっとカウントダウン』はアニソンや声優さんの曲を紹介する音楽番組なので、「アニラジぽくぽく」のようにアニメ作品の特集をするのはその前の番組『アニスパ!』(番組は2015年に終了)の方に近いかなぁ。



○ 中春鳴
○ 伊藤鈴鹿
○ 茅菜夢衣
 作中アニメ『えくそだすっ!』で主役の3人「トレイシー」を演じる3人の声優さん。

 元ネタも何も……中の人、の中の人の名前をもじっているだけなんですけど。
 「中春 鳴(なかはる めい)」=「中原 麻衣(なかはら まい)」さん
 「伊藤 鈴鹿(いとう すずか)」=「伊藤 静(いとう しずか)」さん
 「茅菜 夢衣(かやな むい)」=「茅野 愛衣(かやの あい)」さん


 ちなみにこの3人は兼役で、「武蔵野アニメーションのスタッフ」も演じられています。
 中原さんは、総務の興津さん。
 伊藤さんは、動画検査の堂本さん。
 茅野さんは、キャラクターデザイン&総作画監督の小笠原さん。

 ラジオのMCも誰かの兼役だと思うんですが……声優ソムリエ出来ないんで、誰だか分かりませんでした。


○ G.I.STAFF

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 宮森あおいとカーレースをした富ヶ谷さんの務めるアニメ会社。
 ロゴが思いっきりこの会社っぽい!

 Production I.Gは東京都武蔵野市にあるアニメ制作会社。武蔵野……なるほど、あおいとしょっちゅうカーレースをしているっぽいワケだ(笑)。
 代表作はなんと言っても『攻殻機動隊』シリーズ。最近では『ハイキュー!』とか『翠星のガルガンティア』なんかが話題作ですかね。水島監督と横手さんコンビの『げんしけん 二代目』はProduction I.Gが制作していたので、その縁もありそうですね。

 富ヶ谷さんが原稿を持っていた『SSDR II』ってアニメは、元ネタあるのかな……何かのコードネーム?


――11月28日追記――
 G.I.STAFFの元ネタは、Production I.GとJ.C.STAFF公式サイト)を合わせているんじゃないかとコメント欄の指摘がありました。どちらも東京都武蔵野市にある会社なので可能性は高そうですね。
 J.C.STAFFは現在『selector spread WIXOSS』を制作中のアニメ制作会社で、過去の作品で言えば『ハチミツとクローバー』や『とある魔術の禁書目録』『とある科学の超電磁砲』、水島監督と横手さんコンビの『じょしらく』なんかが代表作ですかね。


○ 『ファイト』
○ 『Gコレ』

 制作の本田と落合が「今季の注目アニメ」として挙げている作品。

 ファイト→フェイト→『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』
 Gコレ→Gレコ→『ガンダム Gのレコンギスタ』

 公式サイトはこちらこちら
 私はちゃんと今季の注目作品に『SHIROBAKO』挙げてましたからね!『Gレコ』の次に、だけど!!


○ 武蔵野アニメーションの社内に貼られているポスター
 これは、自分にはよく分かりませんでした。
 明確に「元ネタはこれ!」ってあるんじゃなくて、「なんかそれっぽい」ものを用意しているだけかなぁ……と思うのですが、「それの元ネタは○○だよ!」って分かる人がいらっしゃったらコメント欄に書き込んでくださると助かります。


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『ホシガリタコダ』……?
 こういう絵柄は元ネタありそうですけど……このポスターは2話にも登場します。

――10月22日20時30分追記――
 コメント欄にて『ホシガリタコダ』の元ネタは『クレクレタコラ』ではないかという情報をいただきました。1973年~1974年の東宝製作の特撮番組だそうです。「他がアニメなのに、これだけ特撮が元ネタ?」とは思うんですが、ネーミングもフォントもまんまなので……「タイトルとフォント」と「絵柄と構図」は別の元ネタがあるのかも知れませんね。




<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『マハゼドン』……?
 マハゼが主人公のアニメとはニッチな……しかし、この構図もどっかで観たような……

――10月22日20時30分追記――
 コメント欄にて『マハゼドン』の元ネタは『ハゼドン』ではないかという情報をいただきました。まんまだ!1972年~1973年に放送された創映社(後のサンライズ……という説明でイイのかな)の第一号作品だそうです。サンライズのスタッフなら誰か自分も知っている人がいないかなぁとスタッフの名前を見てみたら……「設定担当:丸山正雄さん」だそうです。なるほど……



 『BUMIN』
 なんだかムーミンみたいなキャラが、よくあるハードボイルドみたいな構図で抱き起こされているポスター。「よくある構図」とは言ったけど、これって何のイメージだろう。

――10月23日1時30分追記――
 絵柄もフォントも違うので元ネタかどうかは悩むんですが、一応『ムーミン』の解説も書いておきます。元々はフィンランドの絵本で、日本でのアニメ化は1969年~1970年、1972年。権利関係でゴタゴタがあって、1990年以降に作られる『楽しいムーミン一家』が公式になったことで、こちらの『ムーミン』は闇に葬られることになってしまいます。

 子どもの頃『楽しいムーミン一家』を観ていると、「元々はこれじゃなかったんだよ」と親が言ってきていたのはそういう理由だったのか。







<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『アマゾン……べこ?』
 なんだろう……

――10月23日1時30分追記――
 フォントが違うんで、確信は持てないんですけど……『ジャングル黒べえ』が元ネタとしては怪しいかなと思います。藤子・F・不二雄先生の漫画ですが、テレビアニメと連動した企画だそうで、テレビアニメの放送は1973年。

 『ジャングル黒べえ』をもじるなら、『アマゾン赤べこ』あたりですかねぇ。


――10月28日21時追記――
 第3話にもこのポスターが出てきました。フルのタイトル名は『アマゾン白べこ』。
 元ネタは『ジャングル黒べえ』で良さそうですね。






<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『……きパッチ』
 『みなしごハッチ』とか『みつばちハッチ』っぽい。

――10月23日1時30分追記――
 他が1970年代のアニメばかりなので、これも『みなしごハッチ』が元ネタで良さそう。
 1970年~1971年と、1974年にテレビアニメ化されて、1989年~1990年にはリメイクもされて、2010年には『みつばちハッチ』として劇場版アニメも公開されました。



 『夏草冬虫の歌』
 このフォントと構図も何かっぽいんですけど……元ネタが分かりません……
 「夏草冬虫」とは「冬虫夏草」のことですかね。漢方とかに使われるキノコ。

――10月23日1時30分追記――
 コメント欄でいただいた情報で、『夏草冬虫の歌』の元ネタは『てんとう虫の歌』じゃないかという説をいただきました。絵柄もフォントも違うので微妙と思われるかもですが、「冬虫夏草」を「夏草冬虫」とわざわざ言い換えている辺り、元ネタとしてはかなり確率が高いんじゃないかと思います。

 『てんとう虫の歌』は川崎のぼる先生による漫画で、テレビアニメは1974年~1976年に放送されました。




○ 『とあるお寺の即身仏』

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『えくそだすっ!』の放送前に流れていたTVCMの作品。
 カタカナもうっすら書いてあるんですけど……ウチのテレビじゃちょっと判読が難しい……「ノーヴィジュクタ」……?何のことだろう。

 元ネタは『とある魔術の禁書目録<インデックス>』だと思われます。
  公式サイトを見れば分かるようにロゴがソックリ(笑)。

 『とある魔術の禁書目録』は電撃文庫で2004年から刊行されているライトノベルで、2008年と2010年にテレビアニメ化されて、2013年には劇場版アニメも公開されました。スピンオフ作品である『とある科学の超電磁砲<レールガン>』も2009年と2013年にテレビアニメ化されて有名ですね。

 実はこの『SHIROBAKO』も、『とある』シリーズ2作も、川瀬浩平さんのプロデュース作品なのでそういう縁なのかなと思います。
 それと、『SHIROBAKO』のコミカライズも、『とある』シリーズと同じメディアワークスの電撃大王で連載中なんですよね。だから『SHIROBAKO』のテレビ放送では、間に『とある』シリーズのキャラが出てくるTVCMが流れてて。そういう縁もあるのかも。

 ついでに語っておくと『SHIROBAKO』のコミカライズは、アニメ第1話の冒頭で駆け足に描かれた「主人公5人の高校時代の話」なんですってね。すげー面白そう!早く単行本出ないかなぁ。


○ Lanfis
○ ブケロード

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第1話より引用>

 『えくそだすっ!』のスポンサー。
 Lanfisの元ネタはレコード会社Lantisだと思われます(公式サイト)。
 深夜アニメの主なスポンサーにはレコード会社があって、深夜アニメの目的とは「ブルーレイ&DVD」と「主題歌CDやキャラソンCDやサントラCD等」を売ることと言うことも出来ます(テレビ局が製作するアニメは必ずしもそうではないんだけど……)
 Lantisが音楽制作をしている最近の作品で言えば、なんと言っても『ラブライブ!』とか、今季で言えば『天体のメソッド』、このブログで最近話題にしたアニメで言うと『グラスリップ』とか『境界の彼方』とか……たくさんありますね。

 ブケロードの元ネタはブシロードだと思われます(公式サイト)。
 主にトレーディングカードゲームを制作している会社で、『ヴァイスシュヴァルツ』などはとにかくたくさんのアニメのキャラクターが参加していますね。そういうこともあって、深夜アニメを支えるスポンサーの一つですね。


 ちなみに……Lantisもブシロードも『SHIROBAKO』のスポンサーではありません!(笑)



○ バーナキョーダイ社
 総務の興津が社長の丸川に、「プロデューサーからメールが来ていました」と言っていた会社。

 バーナキョーダイ→バーナ兄弟→バーナブラザース→ワーナー・ブラザースか!

 ワーナー・ブラザースは『SHIROBAKO』のスポンサーで、「ブルーレイ&DVD」を販売している会社。ハリウッドの映画会社の日本法人で、最近の深夜アニメで言えば『ジョジョ』や『selector infected WIXOSS』なんかもワーナー製作の作品ですね。

 話の流れからすると、『えくそだすっ!』の「ブルーレイ&DVD」はバーナキョーダイ社から出るみたいなので、そこのプロデューサーから「面白かった」と言ってもらえることは、この時点で一番の結果なんですね。



○ 瀬川さんが聴いているラジオ
 液晶に映っているのは「AM 1548khz 12:10」

 この周波数のラジオ局は実在しないみたいですが、喋り口を聴く限りでは「AM 954kHZ」のTBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド』(2016年に終了)ですかねー。この時間帯のラジオ番組は流石に詳しくないんですけど、喋り方が「似せている」っぽいですし、TBSラジオは漫画家やアニメーターの人達がよく聴いている局ですし、「954→1548」という周波数は“もじり”っぽいですし。

 1話のアニメで2回ラジオ聴いているシーンが出ることも珍しいと思いますが、「アニメを特集している局」と「アニメーターが聴いている局」が違うという辺り、すごく細かい(笑)。
↓↓


◇ 第2話「あるぴんはいます!」

○ 『俺様のハーレムが少しずつ崩壊しているかもしれないけどたぶん気のせいかもしれない(仮)』
 坂木しずかが持っていたオーディション原稿の作品名。
 ネット上でもよくネタにされる「文章になっている長いタイトル」の作品ですね。明確に何が元ネタということではなくて、こういう作品名って多いよねってネタだと思われます。

 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(2010年)
 『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』(2011年)
 『僕は友達が少ない』(2011年)
 『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(2012年)
 『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』(2013年)
 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(2013年)
 『勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。』(2013年)
 『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』(2013年)
 『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(2014年)

 ほんの一部を紹介しましたが……どれも長い!
 しかし、これらの作品以上に 『俺様のハーレムが少しずつ崩壊しているかもしれないけどたぶん気のせいかもしれない』は長い!「(仮)」ということは、これは原作があるワケじゃないオリジナル作品なのか?


 それと……一概には言えませんけど、「ハーレム」作品というのは一人の男主人公にたくさんのヒロイン達という構図になるので、女性声優さんの役が多いアニメですよね。そういう理由もあってか、若手女性声優さん達の登竜門になりやすいジャンルと言えるかも知れません。新人声優のしずかにとっては、チャンスの作品だろうと。



○ ぷるキュー
 監督の過去作『ぷるんぷるん天国』の9話が伝説級の作画崩壊回だったために、付いてしまったネットスラング。流石にこれは特定の何かを元ネタにしているワケではないと思うんですけど……

 ネットスラングにまでなった作画崩壊回と言えば……
 1998年の『ロスト・ユニバース』4話の「ヤシガニ」か、
 2006年の『夜明け前より瑠璃色な』3話の「キャベツ」ですかね。

 自分はコレらの作品を観ていないので何とも言えないのですが、ネット上で崩れた作画を笑いものにする風潮はあまり好きじゃないです。そういうのは、いつか自分に跳ね返ってくるので……


○ 武蔵野アニメーションの社内に貼られているポスターII
 げっ、これって第2話にもあるのか……
 しかも、第1話で放送を観ている部屋と、第2話で会議している部屋は違うので……貼ってあるポスターも全部違う……



<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 右端から行きます。

 『男どアホウ国立競技場』
 藤村国立競技場が主人公のサッカーアニメ(笑)。
 これは流石に元ネタ分かります。原作:佐々木守先生&作画:水島新司先生による『男どアホウ甲子園』が元ネタでしょう。主人公の名前は藤村甲子園。アニメ化は1970年~1971年でした。

 えーっと……説明するまでもないかも知れませんが、「甲子園」というのは高校野球の全国大会が行われる“聖地”で。「国立競技場」というのは高校サッカーの選手権大会の(開幕戦と)ベスト4の試合が行われる“聖地”です。今は改装中ですけど。

 超有名な野球漫画を、サッカーアニメに置き換えてしまったというネタですね。
 ポスターに書かれているフレーズは「サッカーどアホウ藤村国立競技場たぁ わいのこっちゃ!」関西人なのは変わらないのか!


 『鼻の子ブンブン』……?
 これ、元ネタは全く知らなくて……検索して初めて知りました。
 『花の子ルンルン』公式サイト)。東映魔女っ子シリーズの1つで1979年~1980年に放送されたそうです。



<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 『おしゃべりの艦隊』
 「艦隊」の名のつくアニメはたくさんあるけれど、恐らくこのタイトルから考えられる元ネタはかわぐちかいじ先生の『沈黙の艦隊』だと思われます。アニメ化は1995年にビデオで発売されて、1996年にテレビ放送されました。制作はサンライズ。作品紹介はこちらです。しっかし、『おしゃべりの艦隊』のポスター超楽しそう。

 『お尚さん!』
 フォントからしても、元ネタは『一休さん』でしょうね。1975年~1982年に放送された東映アニメーション制作のアニメです。作品紹介ページはこちら



<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 『……伝説』?
 これだけじゃ……何とも……

(2025年追記:5話にも出てくるのでそこで説明しています)



<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 『宝鳥』
 誰もが一度は考えるようなネタを……(笑)
 フォントからしても、元ネタは『宝島』。1978年~1979年に放送された東京ムービー新社制作のアニメだそうです。

 その隣は『ホシガリタコダ』。

 

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 『杉の木ポック』
 これも検索して初めて知りました。元ネタは恐らく1972年の『樫の木モック』です。タツノコプロ制作。『ピノッキオの冒険』をアレンジしたアニメだそうです。




 『沈黙の艦隊』は例外として、残りはみな1970年代のアニメですね。
 流石に私もどれも観たことないです。

 武蔵野アニメーションは「7年ぶりに元請制作をする」という台詞が第1話にあるのですが、これらのポスターが貼ってあるということは業界では古株の会社ということなんでしょうか。



○ スタッフの人達にも実在のモデルがいる?
 『SHIROBAKO』について、登場人物の誰が現実の誰に似ているというツイートがありました。


 正直、「キャラ」についてはモデルが誰だとか考えるのは失礼かなと思うところもあるんですね。実在の人物に対する風評被害にもなりかねませんし、監督クラスならともかく、演出の人とか原画の人とかになるとアニメファンだって個人の人となりは知りませんし。
 矢野先輩は!矢野先輩にもモデルはいるんですか!あの、二次元の夢を詰め込んだみたいな矢野先輩にも実在するモデルがいるんですか!みたいなストーカーを生みかねませんしね。

 しかし、山岡ゆりさんは『境界の彼方』の愛ちゃんみたいなすっげあざといキャラだけじゃなくて、矢野先輩みたいなキャラも上手く演じるんですね。一歩間違えると冷たいキャラにとられかねないのに、ちゃんと宮森への後輩愛が感じられるキャラになっていて、見事ですよ。


 閑話休題。
 ということで……人物に関しては、特に取り上げないでいこうと思っていたんですけど。



 監督が言っちゃってるじゃないか!!
 じゃあ、この記事でも取り上げちゃうか!


 「木下誠一監督」のモデルは「水島精二監督」?
 水島誠二監督作品と言えば、何と言っても2003年版の『鋼の錬金術師』。『ガンダムSEED』の後番組、いわゆる「土6」での大ヒットを起こし、当時の人気は凄まじく、数々の賞を受賞しました。
 また、2007年には『ガンダム00』の監督を務めましたし。この秋に公開される虚淵玄さん脚本の劇場版アニメ『楽園追放』の監督を務めています。

 まぁ、業界を代表するヒットメーカーの一人と言って過言ではないですよね。
 奥さんに三行半を突きつけられたかどうかは知りません(笑)。にしても、木下監督はCV.が檜山さんなので、「斑目がアニメ監督になった」みたいな熱さが2話にはありました。


 「丸川正人社長」のモデルは「丸山正雄社長」?
 丸山正雄さんは元マッドハウスの取締役社長で、退職後の現在はMAPPAを設立して代表取締役を務めています。MAPPAは『残響のテロル』や『神撃のバハムート GENESIS』のアニメ制作会社です。


 「音響監督:稲浪良和さん」のモデルは「音響監督:岩浪美和さん」?
 アニメを観れば分かるように、音響監督というのは裏方なんでなかなか名前を覚えられるポジションではないと思うんですが、岩浪さんはラジオに出たりイベントに出たりもするのでその中では結構な有名人じゃないかなと思います。Twitterもやられています。


 あれ……
 ひょっとして第2話に出てきた音響スタッフみんなモデルがいるの……?


 「効果:大山匠さん」のモデルは「音響効果:小山恭正さん」?
 名前が似てないんで、岩浪さんが仰らないと気付きませんでした……
 小山さんは『SHIROBAKO』にも参加しているスタッフさんですね。


 「ミキサー:山渕篤さん」のモデルは「サウンドミキサー:山口貴之さん」?
 この方もTwitterをやられていて、『SHIROBAKO』に参加されていますね。


 「音響制作:中田恵理さん」のモデルは「音響制作担当:田中理恵さん」?
 件のツイートに貼られている写真は声優の田中理恵さんらしいのですが、同姓同名の別人だそうです。明田川進さんのマジックカプセル所属の音響技師で、この人も『SHIROBAKO』の制作に参加しています。


 「ミキサー助手:藤明日香さん」のモデルは誰でしょう……?
 『SHIROBAKO』スタッフで言うと、このポジションは「録音助手:小笠原頌さん」だと思うのですが。“もじり”にしてはしっくり来ないんですよね……



 たった2話だけだから、ササッと書いて終わるだろう!と思って書き始めた記事だったんですが……思った以上に細かいネタが多くて、結構な文量になってしまいました。書き終わるのに3日かかった!

 なので、アニメ業界に関係ないようなネタは省きました。ファーストフード店の名前とか、円が持っていたタブレット端末のマークとか。いちいち挙げていたらキリがないですからね。タローの机のフィギュアも「これ……元ネタはアレっぽいな」と思うキャラもいたんですけど、タローのキャラをそこまで掘り下げる気にはなりませんでした(笑)。


 重ね重ね、元ネタが分からないと面白くないアニメでは決してないと思うんですよ。
 だから、元ネタを解説する意味なんて本当はないのかも知れないのですが……例えば、あおいがカーラジオで聴いているラジオ局と、瀬川さんが聴いているラジオ局が違う、とかは……ラジオ大好きな自分からしても「細かいとこ作ってあるな!」と思える部分で。
 そういう細かいところを作っているからこそ「作品世界」が説得力を持っていると思うんですね。この作品の魅力を語るには、それを書く意味はあるだろう、と。




 それと……今日の記事の話とはズレるんですけど……


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 このカットですよ!このカット!

 高校時代は並んでアニメを作っていた二人が、同じアニメ制作会社で働いていても、この距離という。その距離感を表現するために、あおいを見つめる絵麻の表情までしっかり描いてあるんですよ!!
 それこそ絵麻の憧れるアニメーターさんじゃないけど、京アニが『たまこまーけっと』や『たまこラブストーリー』でやってのけたことを、P.A.だって出来るんですよ!!

 百合とかじゃなくて……いや、別に百合でもイイですけど!
 高校時代とは変わってしまった距離感を、絵麻のこの表情とか、しずかとの電話とかで描写していて―――“青春が終わった後の人生”をちゃんと描こうとしている、この作品の姿勢が私はホント大好きなんですよ。ここから5人の主人公の物語がどうクロスしていくのか、すげえ楽しみです!みんなも観るがイイさ!!







 ここからは、第6話まで観た時点での記事です。

 『SHIROBAKO』というアニメは「第1~3話」「第4~6話」と3話ごとにストーリーが区切られていて、3話ごとに脚本を書いている人も変わっているみたいです。ブルーレイ&DVDに収録されるのも1巻に3話ずつなので、そういう狙いなのかも知れませんね。

 第3話には大して「解説が必要なパロネタ」がなかったと思うので、元ネタ解説の記事も「3話ごと」にやっていけばイイかなーと今回「第4~6話」と3話セットにしました。
 前回のポスターも色んな人の助けがあったおかげで元ネタが分かったものが多かったですが、今回もなかなか「この元ネタは何だ……?」というものがありますんで、分かる人はコメント欄ででも教えてくださると嬉しいです。


 基本的には、この記事は「アニメ初心者の人にも、『SHIROBAKO』に出てくる元ネタが分かるように」という狙いで書いています。なので……建物とか地名とかアニメには関係ない商品名とかにはほとんど触れていません。建物や地名は聖地巡礼の人達の領域だと思いますしね。お任せします。
↓↓



◇ 第4話「私ゃ失敗こいちまってさ」

○ 24プロデュース
 森しのぶが所属する事務所。オーディションで、しずかの前に呼ばれていた人ですね。
 元ネタは恐らく「81プロデュース」公式サイト)です。
 1981年に設立された声優事務所で、会社名はそれが由来だそうです。「所属声優が81人だから」ではなかったんですね(笑)。

 「24プロデュース」と「81プロデュース」は字だけ見るとあまり似ていないかもですが、声に出してみると結構似ています。

 ちなみに森しのぶさんのCV.は、兼役で高橋李依さん。高橋李依さんは現在は「81プロデュース」所属です。


○ 俳連
○ C??? A????
○ アトモスピンキー
○ ウィーアープライズ
○ アースアート
○ コタケオフィス
○ ピポー?
○ イカロス
○ アクセルツー
○ ふーげんプロ
○ コッコ?
○ フプーフ?

 さぁ、これだ!
 しずかのオーディションのシーンで、監督が持っていた紙に書いてあった声優事務所の名前です。ウチのテレビだと正直、文字が読めないところも幾つかあるので……もし「ウチのテレビならハッキリ読めたよ!」という人がいらしたら情報を下さると助かります。


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第4話より引用>

 一つずつ行きます。
  「俳連」の元ネタは、恐らく「俳協」です(公式サイト)。
 「俳協」は「東京俳優生活協同組合」の略称で、声優プロダクションの草分けであり、源流だそうな。
 会社ではなく“俳優とマネージャーが共同で運営する生活協同組合”で、所属する俳優とマネジメントスタッフの投票によって選出された理事会が運営をしているそうな。

 「C??? A????」は、そもそも文字が読めない……
 ごめんなさい、なので元ネタも分かりません。

――12月27日追記――
 コメント欄にて情報を頂きました。ここに書かれているのは「GROUND AGENCY」らしいので、元ネタは恐らく「AIR AGENCY」公式サイト)だと思われます。声優の藤原啓治さんが2006年に設立した事務所だそうです。情報ありがとうございました!


 「アトモスピンキー」の元ネタは、「アトミックモンキー」ですかね(公式サイト)。
 2000年設立、杉田智和さんや関智一さん、ポアロの二人などが所属している事務所なので、声優ファンにとっては有名な事務所じゃないかと思います。

 「ウィーアープライズ」は、元ネタが分かった時には脳内にレイトン教授が現れて「ナゾ解明!」のイラストが浮かんできました(笑)。
 ウィーアープライズ→ We are prise→I am prise→I'm enterprise →「アイムエンタープライズ」だっ!(公式サイト
 「アイムエンタープライズ」は「アーツビジョン」のグループプロダクションとして設立。若手女性声優さんが多く所属しているイメージがありますね。『SHIROBAKO』メインキャストの中では絵麻役の佳村はるかさんが所属しています。

 「アースアート」は……これが「アーツビジョン」ですかねぇ(公式サイト)。
 あんまり自信ないですが……アーツビジョンは1984年に設立された声優事務所で、アイムはここのグループ会社。同じビルの2階と3階だそうです。

 「コタケオフィス」も自信ないんですけど……「ヒラタオフィス」ですかねぇ(公式サイト)。
 声優事務所ではなくて、宮崎あおいさんなんかが所属している芸能事務所ですが……現在は主に声優として活動している小松未可子さんや小見川千明さんが所属している事務所なので、可能性はあるかなと。
 「ケンユウオフィス」という声優事務所もあるのですが(公式サイト)……どちらが元ネタかは微妙……こちらは声優の堀内賢雄さんが設立した事務所です。 

 「ピポー?」の元ネタは、恐らく「ビーボ」です(公式サイト)。

 「イカロス」の元ネタは、恐らく「アクロス エンタテインメント」じゃないかなと思います(公式サイト)。
 2008年設立。山寺宏一さんなどが所属している事務所で、『SHIROBAKO』のキャストでは富ヶ谷さん役の岩田光央さんが所属していますね。

 「アクセルツー」の元ネタは……これ以外だったら逆にビックリだ、「アクセルワン」だと思います(公式サイト
 「アクセルワン」は声優の森川智之さんと福山潤さんが2011年に設立した声優事務所で、ぷろだくしょんバオバブから一緒に移籍した声優さんが多く所属しているみたいです。ちなみに、付属の養成所に「アクセルゼロ」があるそうなので……「ゼロ」→「ワン」→「ツー」と繋がるのか(笑)。

 「ふーげんプロ」の元ネタは「賢プロダクション」ですかね(公式サイト)。
  パロディとしてあまりしっくり来ないんで、「ゆーりんプロ」の方がそれっぽいかなぁ(公式サイト)。
 「賢プロダクション」は内海賢二さんが1984年に設立した声優事務所で、『SHIROBAKO』のキャラでは伊藤静さんが所属していますね。
 「ゆーりんプロ」はよこざわけい子さんが1988年に設立した声優事務所です。

 「コッコ?」は……何だろう……さっぱり分からない……
 相馬れなの所属する事務所なので、今後に出番があるから元ネタなしの架空の事務所とかかも知れません。

―11月19日20時追記―
 コメント欄にて「コッコ」の元ネタは「ケッケコーポレーション」ではないかと情報をもらいました(公式サイト)。自分は全く存じ上げなかった事務所さんなんですが(ごめんなさい)、間違いないと思います。情報ありがとうございました!


 「フプーフ?」も分からない……
 見当もつかない……



 ここからは元ネタとは関係なくて、単なる私の興味なんですけど……
 ここのシーンのリストに書かれている文字がちゃんと読める環境の人いますかね?分かったら、何て書いてあるか教えて欲しいなと。ウチの小さいテレビだと写真のように文字が潰れちゃって……


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第4話より引用>

 左から「番号」「役者」「所属事務所」「メモ」……で、次が恐らく「スケジュール」の話だと思うんですね。多分「3~5月末まで」の「毎週木曜14時~」って書いてあって、人によって「KEEP有り」なんかの記述があります。その他はちょっと読めない。
 更にその右は、恐らく「アニメのアフレコ以外の仕事」が「OK」か「内容次第」「NG」「検討中」と分類されているみたいです。一番左が「キャラソン」、一番右が「コスプレ」なのは読めるのだけど……その間は何と書いてあるんでしょう。「OP・ED」と「PV」かなぁ。「PV」が2つあるようにも読める。

――12月27日追記――
 コメント欄にて情報をいただきました。
 左から「キャラソン」「OP・ED歌唱」「EV出演」「EV歌唱」「コスプレ」という条件で、EVとは「イベント」のことだと思われます。今の深夜アニメは作品として「イベント」を行う作品がほとんどですし、レコード会社ごとのイベントだったり、放送局ごとのイベントだったり、とにかくたくさんイベントを行って声優さんがそこに出演するという機会も多いですもんね。

 これは間違いないでしょう。情報ありがとうございました!

 こうやってオーディションの段階で「OK」か「NG」かって情報がリスト化されているんだーと初めて知りました。
 「相馬れな」は流石に売れっ子なだけあって、「KEEP有り」でキャラソンなんかも「内容次第」になっていますね。「坂木しずか」は何にも仕事がないので、「KEEP」もないし、全部「OK」だ!格差社会!



○ 『ファイトク・ロボ』?
○ 『さどか☆マゾカ』?
○ 『もんもんびより』
○ 『アイプリ』

 そんな相馬れなの出演作品。
 リスニング能力に自信ないので、聞き間違えているところもあるかも……というか、『ファイトク・ロボ』って何だろう。元ネタが分かりません。『ファイト・クロボ』?『ハイトク・ロボ』?うーむ、分からん。

 『さどか☆マゾカ』も聞き間違えているかも知れませんが、元ネタは『魔法少女まどか☆マギカ』で間違いないでしょう。
 『まどか☆マギカ』は2011年1月~4月まで放送されていたシャフト制作のアニメで、虚淵玄さんによる先の読めない脚本と、可愛らしいキャラがどんどん追い詰められる展開が話題になり―――大ヒットしただけでなく、多くのフォロワーを生んだ作品と言えます。
 『さどか☆マゾカ』は「劇場版が決まった」と言われていましたが、『まどか☆マギカ』の劇場版は2012年に「総集編」となる前後編、2013年に完全新作が公開されています。

――12月19日21時30分追記――
 音響制作の岸谷さんが挙げた『ファイトクロボ』と『さどか☆マゾカ』は二つの作品ではなく、『背徳ロボ さどか☆マゾカ』という一つの作品名じゃないかとコメント欄で指摘を受けました。確かに、その後に美沙やみどりが『ファイトクロボ』の名前を出していないこと、岸谷さんが「劇場版が決まった」と言っていたことからするとそれで間違いないと思います。


 『もんもんびより』の元ネタは、恐らく『のんのんびより』です。
 『のんのんびより』は月刊コミックアライブで現在も連載中の漫画で、テレビアニメは2013年10~12月に放送され、2期の制作も決定しているそうです(公式サイト)。制作はSILVER LINK.。とある田舎町で過ごす小学生・中学生の女のコ達を描く日常アニメで、ちなみに『SHIROBAKO』4~6話の脚本を書いた吉田玲子さんが「シリーズ構成」を担当していました。

 『アイプリ』は……何だ……?
 『アイカツ!』『プリティーリズム』を足したのか、『アイマス』も入っているのか。とりあえず全部解説しておきます。
 『アイカツ』は2012年から稼動しているバンダイのアーケードゲームのアニメ展開で、2012年から第1部が放送され、2014年現在も第3部が放送中です。制作はサンライズ。名門アイドル養成校に入学して、アイドル活動をしていくアニメ(公式サイト)。
 『プリティーリズム』はタカラトミーとシンソフィアによる2010年から稼動しているアーケードゲームで、2011年~2014年の6月までテレビアニメ化もされていて。2014年7月からはそれを継承した『プリパラ』が、アーケードゲーム・テレビアニメとして展開されています(公式サイト)。制作はタツノコプロでイイのかな……アイドルを目指す話、でイイんですかね?
 『アイマス』は『アイドルマスター』の略で、元々は2005年から稼動しているアーケードゲームで、それが様々な機種で展開されて、アニメはA-1 Pictures制作で2011年7月~12月に放送され、2014年に劇場版も公開されています。弱小事務所に所属する12人のアイドルがトップアイドルを目指す話です(公式サイト)。


 『ファイトク・ロボ』はちょっと分からないんですが……『まど☆マギ』の劇場版、『のんのんびより』、『プリティーリズム』に出演している声優さんとして「阿澄佳奈」さんはいるんですけど。「相馬れな」さんのモデルということではないと思います。阿澄さんは「年上系ならこの人」ってカンジじゃないですからね。

 「相馬れな」さんのCV.は田村ゆかりさんで、特定のモデルがいるワケではなく、このアニメのオリジナルキャラクターだと思います。多分……今後も出番があるんじゃないですかねぇ。


○ 『虹の町に住む君に』

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第4話より引用>

 5人が観ていたアニメ映画。
 これ…元ネタあるんですかね……パッと思いつくものはないんですけど……

 おじいさん役の「よつぎさん」は誰だろう……「四木さん」だったら「三木眞一郎さん」辺りで、「え!三木さんがおじいさん役なの!それは確かに意外すぎる!」と思うんだけど。そもそも作中で実際に声をあてている人がいるんですよね。兼役だろうけど、EDクレジットに表記はありませんでした。

 ちなみにこの映画館「吉祥寺バウスシアター」は現実では閉館されてしまったのだけど、『SHIROBAKO』の世界ではリニューアルして4スクリーンになっているという設定だと監督のコメントがありました
 Wikipediaに閉館前の写真が残っているので、見比べると面白いかも。閉館のタイミングや「リニューアルして4スクリーンになっている」ことを考えると、ロケハン後に閉館してしまったというよりは、作品の中でだけでも存続させたいという監督の想いなのかもですね……


○ animateの看板に貼られている作品は……?
 ――11月22日追記――
 5人が立ち寄ったアニメイト吉祥寺店の看板に貼られている作品……男のコが複数人で戯れている絵は、何か元ネタがあるワケじゃなくて「それっぽい絵」なのかなーと眺めていたのですが……その奥が


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第4話より引用>

 思いっきり『TARI TARI』の3人じゃねえか!
 何回も確認したシーンなのに、気付きませんでした……

 『TARI TARI』は2012年に放送された合唱部を舞台にした青春アニメ。制作は『SHIROBAKO』を作っているP.A.WORKSで、P.A.WORKSの作品を代表する傑作の一つです。この絵でもブルーレイ&DVDボックスの宣伝がされていますが、実際に『TARI TARI』のブルーレイボックスは12月に発売されます(笑)


 「ここまでやるなら『TARI TARI』の名前を書いちゃえばイイんじゃないの?同じP.A.作品なんだし」と思う人もいるかもですが……メーカーは『TARI TARI』がポニーキャニオン発売で、『SHIROBAKO』がワーナーブラザーズ発売なので、大っぴらに「『TARI TARI』のボックスが出ます!」とは宣伝できないんですよね。なので、こそっと宣伝している(笑)。

 ちなみに、実際には「アニメイト限定特典」はないみたい。


○ 『ふしぎ世界の珍事件』
 しずかがボイスオーバーとして仕事したテレビ番組。
 これも別に元ネタがあるワケではなくて、「なんとなくそれっぽい番組名」を付けているのかなと思います。名前は『世界ふしぎ発見!』っぽいけど、内容は『奇跡体験!アンビリバボー』っぽい?


○ 『ビッグ・サーガ』
 今井みどりが「『ビッグ・サーガ』みたいな壮大なファンタジーもののシナリオが書きたいです!」と言っていた作品。壮大なファンタジーものということで……元ネタは『グイン・サーガ』ですかねぇ。
 原作は栗本薫さんの小説で、1979年に1巻が刊行されて「全100巻」という構想で始まったものの、2005年に100巻を越えても完結せず、2009年に作者が亡くなってしまったので130巻まで出たけど「未完」という凄まじい作品です。

 テレビアニメ化は2009年にNHK-BS2にて放送(後にNHK総合でも放送)され、制作はサテライトでした。NHKの公式サイトはこちら

 『○○サーガ』というタイトルのアニメは他にもあるんですが……「壮大」で「ファンタジー」というと、コレかなぁと。しかし、すごいもんやりたがるな、りーちゃんは。


○ すずきとしぞう
 みどりがあおいに対して「(将来はプロデューサーを目指したらという意味で)よっ!女すずきとしぞう!」と言った人……当然こういう文脈で出てくるのだから、「日本一有名なアニメプロデューサー」ということで。スタジオジブリの「鈴木敏夫」さんで間違いないでしょう。

 元々は徳間書店の編集者で、アニメ雑誌『アニメージュ』で宮崎駿さんの『風の谷のナウシカ』の漫画連載の仕掛け人になり、1989年にスタジオジブリに移籍してからは全映画作品のプロデューサーを担当されています。
 宣伝プロデューサーとして数々の作品をヒットさせ、「ヒット作の仕掛け人」としてアニメファン以外にも認識されている人だと思います。


○ 宮森が歌っているのは……?
 4話の帰宅シーンで、宮森が歌っているのは……6話に名前が出てくる『山ハリネズミ アンデスチャッキー』の歌です。
  詳しくは6話のところで触れますが、『山ハリネズミ アンデスチャッキー』の元ネタは『山ねずみロッキーチャック』です。ただ、流石に歌を似せると色々な権利を侵害しかねないので、『山ねずみロッキーチャック』のOP・EDに似ているというワケでもないと思います。曲調はちょっと似てなくもないけど、歌詞は全然違いますからね……
↓↓


◇ 第5話「人のせいにしているようなヤツは辞めちまえ!」

○ 『肥豚伝説』

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第5話より引用>

 武蔵野アニメーションの会議室に貼られているポスター。2話では「伝説」としか読めなかったのですが、5話にてちゃんとフルタイトルが確認できました。

 肥える←→餓える
 豚←→狼

 ということで、『餓狼伝説』が元ネタだと思われます。
 『餓狼伝説』は1991年からシリーズが始まったSNKによるアーケードの対戦型格闘ゲームで、カプコンによる『ストリートファイターII』とともに格闘ゲームブームを起こした作品です。
 アニメ化は1992年に『バトルファイターズ 餓狼伝説』として特番アニメとしてフジテレビで放送、1993年には『2』、1994年には劇場版『餓狼伝説 -THE MOTION PICTURE-』が公開されました。

 しかし、『肥豚伝説』のキャラの見た目は『ストII』っぽいですよねぇ(笑)。


○ 『裸の催眠術師』
○ 『ハニーとクローバー』
○ 『望遠機動隊』?

 飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の木下監督の作品達。
 元ネタの作品は全部違う監督の作品ですが、この全部が木下監督の作品だったならそれはもうすごいヒットメーカーだったことでしょう!

 『裸の催眠術師』の元ネタは『鋼の錬金術師』でしょう。
 『鋼の錬金術師』は2001年~2010年に月刊少年ガンガンで連載されていた荒川弘さんの漫画で、テレビアニメ化は2003年~2004年と2009年~2010年の2回行われていています。1回目のアニメ化は原作がまだまだ序盤の頃のアニメ化だったためにキャラは一緒だけど設定やストーリーの異なるオリジナル展開の作品で、2回目のアニメ化は原作終了のタイミングに合わせた原作に忠実なアニメ化でした。

 木下監督の「11年前」という台詞があるように、ここでは1回目のアニメ化の方が元ネタでしょう。制作はボンズ、監督は木下監督のモデルとも言われている水島精二さん。当時はまー、とてつもない人気で、前番組の『ガンダムSEED』とともに「土6」枠のブランドを築き上げた作品と言えます。


 『ハニーとクローバー』の元ネタは『ハチミツとクローバー』でしょう。
 原作は2000年~2006年に雑誌を転々としながら連載された羽海野チカさんの漫画で、アニメ化は2005年に1期、2006年に2期が放送されました。制作はJ.C.STAFF、監督は1期がカサヰケンイチさんで、2期が長井龍雪さん。
 フジテレビのノイタミナ枠の第1号で、この作品のアニメ化計画をきっかけに「ノイタミナ枠」が出来たそうです。『ハニーとクローバー』も「アニメファンのみならず幅広い層に好評を得ました」と言われていましたが、『ハチミツとクローバー』も「連続ドラマ感覚」で観ている人が多かったですねー。


 『望遠機動隊』?は、『攻殻機動隊』が元ネタでイイんですかねー。
 望遠←広角←こうかく←攻殻ってことかなぁ。

 『攻殻機動隊』は士郎正宗さんの漫画を原作として、劇場版アニメ・テレビアニメなどのメディアミックスも多数行われています。
 劇場版は監督を押井守さんにして、1995年には『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、2004年には『イノセンス』が公開。
 テレビ版は監督を神山健治さんにして、2002年~2003年に『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(地上波では2004年に放送)、2004年~2005年に『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(地上波では2005年に放送)、2006年にはその続編として長編作品『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』としてパーフェクト・チョイスで放送(後にOVA化)されました。

 『望遠機動隊』は『ハニーとクローバー』の2年後の作品だそうなので……微妙に時期があっていないので、少し自信がないです。他に似たような名前のアニメがあったかなぁ。


○ アニメーション熱海

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第5話より引用>

 木下監督が授与された賞。
 名前に地名が入っている&個人賞がある……ということで、「アニメーション神戸」が元ネタかなと思います。
 よく見ると……「第18回」と書いてあるみたいですね。「アニメーション神戸」の第18回の「個人賞」を受賞したのは、実は『SHIROBAKO』の監督の水島努さんなのです(笑)。木下監督のモデルと言われている水島精二さんは、手がけた作品は受賞していますが、個人賞は取っていないのでTwitterで羨ましがっていました(笑)


(2025年追記:アニメーション神戸の授賞式などは、この記事を書いた翌年の2015年には終了してしまいました。しかし、最後の第20回の個人賞を受賞したのは、2014年時点で「羨ましがっていた」水島誠二さんでした。すごい!)



○ 『超飛空羊羹マジダス』?
 『えくそだすっ!』で原画を描いている堀田さんが子どもの頃に好きだったアニメで、北野さんが参加していた作品。元ネタは『超時空要塞マクロス』でしょう。

 『超時空要塞マクロス』は1982~83年に放送されたSFロボットアニメで、制作はタツノコプロ。『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』と続いてきたロボットアニメのブームに続く作品ですが、リアリティー重視のメカデザインや、戦時下における恋愛ドラマ、作中のキャラクターの「歌」がストーリーに大きく関係する“文化”を描く、などなど画期的な作品でした。
 作品は大ヒットし、以後シリーズ化し、最近では2008年にテレビアニメ『マクロスF』が大ヒットしました。

 『ガンダム』シリーズと並ぶ、日本のリアル系ロボットアニメの代表シリーズですね。


○ 北野三郎
○ 北野サーカス
 実在の人物に関しては、あまり「元ネタは誰」と騒ぐべきじゃないとは思うんですが……ストーリーに深く関わる上に、アニメの歴史を語る上でも欠かせない人だと思うんで書きます。「北野三郎」さんのモデルは、恐らく「板野一郎」さん。

 板野さんは1979年の『機動戦士ガンダム』にて原画マンになり、1980年の『伝説巨神イデオン』では独自のアクション演出が話題を呼び、1982年の『超時空要塞マクロス』で「板野サーカス」という呼び名が有名になります。「北野サーカス」の元ネタはもちろんコレでしょう。


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第5話より引用>

 ミサイルが糸を引くように煙を出しながら、絡み合いながら、それぞれに個性を持ちながら航跡を描いて敵に向かうのが特徴です。
 例えば『機動戦士ガンダム』のガンダムのメイン武器は「ビームサーベル」や「ビームライフル」であって、時代劇の“殺陣”やガンマンの“決闘”の延長線にあるものだったのですが。『イデオン』や『マクロス』のメイン武器はミサイルで、敵も多数、敵味方やミサイルが空中で多数飛び交う戦闘シーンがサーカスのようで―――以後の作品に大きな影響を与えたと言われます。『エヴァンゲリヲン』の庵野秀明監督も劇場版『マクロス』に参加して、板野さんから影響を受けたそうですね。

 現在の板野さんはアニメーターとしての仕事はしていなくて、CG制作などを行っている会社グラフィニカのアドバイザーをしているそうです。水島精二監督の最新作CGアニメ映画『楽園追放』にも、モーションアドバイザーとして参加しているみたいですね。

 北野さんが「今3Dの人達にジャパニメーションのコツを教えている」と言っていたのも、板野さんの現在がモデルになっているみたいですね。
↓↓


◇ 第6話「イデポン宮森 発動篇」

○ スタジオカナン

<テレビアニメ『SHIROBAKO』第6話より引用>
 落合が、どうも引き抜きを受けているっぽい会社。
 「スタジオ○○」というアニメ制作会社はたくさんあるし、引き抜きという展開になったらガッツリとストーリーに絡むのだろうから元ネタがあるワケじゃないんじゃないかなぁと思うのですが……このフォントはどっかで見たような気もするんですよねぇ。


 それと……これは「アニメが元ネタ」ではないんですけど、落合と北条の会話がよく分からなかった人もいるかも知れないんで解説します。

 落合の言っていた「来月はこっちもスターリングラードなんで」とは……1942年~1943年にドイツを始めとした枢軸国軍とソビエト連邦が戦った「スターリングラード攻防戦」のことです。“第二次世界大戦でもっとも激戦とされた戦いの一つ”と言われていて、来月は『えくそだすっ!』の制作が激戦だから離れられないと言っているのです。
 続いて、北条の言う「こっちなんてインパールだぞ」とは……1944年に日本陸軍がインド北東部の都市インパール攻略を目指した作戦のことで、“無謀な作戦”の代名詞として現代でも使われるそうな。落合の「スターリングラード」どころか、北条には「そもそも勝ち目がない」と言っているのだと思います。
 更に「現場は衛生兵のいないオマハ・ビーチのようだ」と続くのですが……これは1944年、アメリカ軍がドイツ軍と戦うために行ったノルマンディ侵攻作戦の舞台の一つです。映画『プライベート・ライアン』でも描かれたように、上陸しようとした兵士が次々と倒れて死体が転がる凄惨な場所になりました。今のスタジオカナンはそれくらい悲惨な状況にある(ので落合に早く来て欲しい)と言っているのです。

 いずれも第二次世界大戦の激戦地で、アニメ制作の現場をそれに喩えているのです。


○ 『花を植えた男』
 矢野さんが宮森と話していて、「手描きを活かしたアニメ」の例に挙げた作品です。自分はこの作品を全く知らなかったですが、元ネタは『木を植えた男』みたいです。
 元々は1953年に書かれたフランスの小説(ノンフィクションのように思われているけど実際にはフィクション)で、それを原作に1987年にカナダにて30分の短編アニメが作られました。約2万枚の色鉛筆のスケッチによるアニメで、制作には4年半かかったそうな。

 様々な賞を受賞し、日本でもパッケージ化されていて、今でもDVDで視聴可能です(Amazonアフィリエイトリンク)。


 流石にアニメを仕事にしている二人にとっては「知っていて当然」みたいな作品なんですねー。自分は初めて知りましたよ。



○ 縦尾まり
 坂木しずかの養成所時代の恩師。
 CV.がそうなので、恐らくモデルは「横尾まり」さんだと思います。  「横尾まり」さんはシグマ・セブン所属の声優でナレーター。1980年代から活躍している声優さんで、『ダンバイン』のミュージィ・ポーの人か!現在ではシグマ・セブン声優養成所などで講師として後進を育ててもいるそうな。

 P.A.WORKS代表の堀川さんのTwitterによると、『SHIROBAKO』では「ベテラン・中堅・新人の縦の繋がり」が一つのテーマみたいです(こことかこことか)。
  北野さんもそうだったけど、縦尾さんもまた「自分の技術を若手に伝えてアニメ自体を育てていく」という人なんですよね。しずかにそれを伝えるシーンが、すごく好きです。


○ ゴドー
 縦尾さんがやると言っていた“お芝居”に出てきた名前……これも別にアニメが元ネタではないですけど、一応解説しておきます。ここでやる演目は恐らく『ゴドーを待ちながら』。サミュエル・ベケットによる不条理演劇の代表作で、後世に多大な影響を与えたそうな。

 ストーリーは、ゴドーには会ったことがないけどゴドーを待つ2人の浮浪者がただただ待ち続けたり、他の人がやってきたり……みたいなカンジ。自分は演劇詳しくないんで初めて知りましたけど、あらすじを読んだらすげえ面白そう。
 この「来るかどうかも分からないゴドーを待ち続ける主人公達」を、「来ない仕事を待ち続けるしずか」に重ね合わせているんですね。


○ 『ビューティードリーマー』
 瀬川さんがアニメーターを目指すきっかけになった作品。
 元ネタは多分、映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』です。

 原作は高橋留美子さんの大ヒット漫画で、これは劇場版2作目で1984年に公開されました。制作はスタジオぴえろ、監督・脚本が押井守さん。「押井守」の名を知らしめ、今でも語り継がれる名作ですね。


○ 『山ハリネズミ アンデスチャッキー』
 宮森がアニメ業界を目指すきっかけになった作品。
 4話のところにも書きましたが、4話の帰宅シーンで宮森が歌っているのもこの作品の歌で、2話の冒頭シーン(瀬川さんが倒れているシーン)で宮森が思い出しているのもこの作品だと思われます。


<テレビアニメ『SHIROBAKO』第2話より引用>

 こいつはポピー。
 倒れている方がアンデスチャッキー。

 元ネタは分からなかったのですが、Twitterで教えてもらいました。ありがとうございます。元ネタは『山ねずみロッキーチャック』みたいです。
 アメリカの小説を再構成した作品で、1973年にフジテレビで放送されました。制作はズイヨー映像。主人公の名前はロッキーチャックで、ガールフレンドの名前がポリーです。

 宮森はどうしてこんな昔のアニメを知っているんだと思いましたが、瀬川さんもそういう反応でしたし、これが「どうして宮森が武蔵野アニメーションに入ったのか」という理由なのかも知れませんね。武蔵野アニメーションに貼られているポスターは1970年代の作品がほとんどですから。


○ 『伝説巨大ロボット イデポン』
 さぁ、来ましたよ!
 申し訳ないですが、これは解説が長くなります!ストーリーにガッツリ絡んでくる作品ですからね。

 遠藤さんや下柳さんがアニメ業界を目指すきっかけになった作品です。
 元ネタは『伝説巨神イデオン』。『機動戦士ガンダム』の富野喜幸監督が『ガンダム』の次に作った作品で、1980~1981年に放送されました。ですが、視聴率の低下や玩具の売上が伸び悩み、「打ち切り」になったと言われています。
 それを補完する形で、1982年には劇場版『接触篇』『発動篇』の2本が作られ、同時公開されます。この『発動篇』が真の最終回ということですね。『SHIROBAKO』作中で遠藤さんや下柳さんが熱く語っていたように、「富野監督の最高傑作」と評価する声も少なくないそうです。


 さて……
 「私の話」で申し訳ないのですが、私は現在ブログにて紹介する目的で「バンダイチャンネルの見放題サービス」を利用中です。そこで、たまたま『イデオン』テレビ版を全話視聴中で、これが観終わったら来月には劇場版2本を観るつもりでした。どちらも初見です。
 だから、『SHIROBAKO』に『イデポン』の話が出てきた時は、「『イデオン』の話題キタ―――!」と喜んだ反面、「オイ!ラストのネタバレすんじゃねえよ!!」と正直思いました(笑)。作っている側からすると、まさか34年前の作品が「タイムリーなネタバレ」になるだなんて思いもしなかったでしょうけど。

 なので……私が今観ているテレビ版25話までには、「巨大兵器キュートロア」の元ネタはまだ出てきていませんし、調べるとネタバレになっちゃうので、まだ書けません。申し訳ありません。来月劇場版を観終わったら、この記事を更新しますんで。

――12月27日追記――
 「巨大兵器キュートロワ」の元ネタは「ガンド・ロワ」だと思われます。
 どうも元々『イデオン』のテレビ版のラストに登場させるつもりだったらしく名前だけは出てきたのですが、テレビ版が打ち切りになってしまったがために、実際の登場は“真の最終回”となる劇場版『発動篇』だけになったみたいです。

 超巨大な加粒子砲で、惑星を消滅させるほどのビームが撃てるバッフ・クランの最終兵器でした。『ガンダム』ファンに分かりやすく説明するとコロニーレーザーみたいなものですが、デザインが禍々しくて恐ろしいんです。


 ちょうど今、私は『イデオン』視聴中なので『イデオン』がどういう作品なのかを、25話までしか観ていない私が解説させてもらいますと……
 富野監督の作品は、この前の『ガンダム』も、後の『クロスボーンガンダム』や『ブレンパワード』『ターンエーガンダム』もそうですし、今やっている『Gのレコンギスタ』もそうなんですが……どの作品も「すれちがってしまう心」が描かれていて、『イデオン』はそこを突きつめた作品になっています。

 どうして主人公達「地球人」と「バッフ・クラン星人」が戦っているかというと……初めて見た異星人に対して「ほおっておいたらアイツらから攻撃されるかも知れない!」と攻撃を仕掛けてしまったからだし、その後もお互いに「アイツらのような野蛮な連中にイデオンを渡せばトンデモないことに使われてしまうに違いない!」という不信感を持っていて、なので延々と戦いが終わらないのです。
 「相手を理解しようとする」ことが出来ないから戦いが起こり、死ぬ人々がいて、復讐のためにますます戦いが終わらないという。

 また……「地球」と「バッフ・クラン」も、それぞれ一枚岩ではなく。
 主人公達の船が「地球」に助けを求めてもなかなか助けてはくれないし、「バッフ・クラン」にも独裁政権に対する反乱分子などが存在していて、味方同士にも内紛を抱えていて。
 更に、主人公達の船「ソロシップ」の中でも、イデオンのパイロット達とソロシップの艦長役であるベスの対立や、シェリルとカララの対立などなど……とにかく人間関係がギスギスしている様が描かれているのです。これは前作『ガンダム』でもそうでしたけど、『イデオン』も「すれちがってしまう心」を通して描いていくものがあるのだと思われます。


 これ……実は『SHIROBAKO』4~6話もそうなんですよね。
 「作画」の遠藤さんと、「3D」の下柳さんの対立は、確かにタローが元凶ではあるんだけど、お互いの劣等感と不信感の表れなんですよね。「きっとこの先、3Dのヤツらに仕事を取られていくんだ」みたいな不信感が根っこにあった対立で、「相手を理解しようとする」ことで防げたのだと思うのです。
 4~6話で言えば、木下監督と円さんの「クーラーを付けるかどうか」の対立もあったし、木下監督を本田さんがだまし討ちで軟禁したというのもそうです。

 本来は「仲間」であるはずなのに、ちょっとした意見の食い違いでどんどんギスギスしていく様が描かれていたのです。単に『イデオン』が有名だから『イデポン』を出せばファンが喜ぶだろうって安易なパロディじゃなくて、『イデオン』が34年前に「地球」と「バッフ・クラン」の対立で描いていたテーマを『SHIROBAKO』では「アニメーター」と「3Dクリエイター」の対立などで描いているんです。
 これは「パロディ」でも「オマージュ」でもなくて、「リスペクト」ですよ。


 だから……『ガンダム』大好きで、『イデオン』をちょうど視聴中の自分にとっては、この『SHIROBAKO』4~6話はオールタイムベストに入れるくらい個人的神回だったんですけど。
 『ガンダム』も『イデオン』も知らない人―――この記事が対象にしている「アニメ初心者」の人が6話を観てどう思ったのかは気になります(笑)。


 もうちょっと語っておきますと……
 6話のイデポン展のシーンで、「遠藤さんがイデポン展に来たら下柳さんと鉢合わせになった」という……ある意味で御都合主義的な展開がありましたけど。『イデオン』だとよくあることなんです。
 イデの力で両軍を引き寄せ合わせようとしてか、亜空間飛行(ワープみたいなもの)をしてみたら「げっ!敵艦のすぐそばに出ただとっ!!」みたいなことがあるのです。なので、『イデポン』好きの3人が「これは宮森の意志かも!」なんて言っていたのですね。

 ちなみに一連のシーンのBGM……ずっと『イデオン』っぽいBGMなんです(笑)。
 遠藤さんと下柳さんが何か台詞言い出すところも、恐らく『イデオン』のユウキ・コスモっぽく言っているのだと思われます(自分はまだそのシーンまで来ていないから確信はないけど)。

 「どんだけ『イデオン』好きなんだよ!」と観ながらツッコミたくなりました。
 それで喜んでいる自分も、『イデオン』好きなんでしょうけど。


(2025年追記:BGMに関しては本気の「怒られ」が発生したらしく、リアルタイムのテレビ放送版から、サブスクなどで配信されている版ではBGMが差し替えられているそうです。むしろ、よくそれだけで済んだわ!)



 4~6話の元ネタ解説は以上です。
 『イデオン』のことばかり書いてしまいましたけど……4~6話は「宮森あおいには何が出来るのか」を描いた3話だったと思います。
 4話の居酒屋のシーンでは宮森がみんなに「○○なら出来るよ!」と言っていたのが、6話ではしずかから宮森に「大丈夫!おいちゃんなら何とか出来るよ!」と返ってきて、それが宮森の力になる―――ホントよく練られたストーリーだったと思います。

 『えくそだすっ!』の制作も後半戦に入ってきて、『えくそだすっ!』後の武蔵野アニメーションがどうなるのかみたいな伏線もあるし、当然「宮森あおい」以外の4人の主人公もこれから出番がどんどんあるのだろうし、すごく楽しみです!
 こんなに楽しいアニメが毎週放送されているなんて幸せだし、今から「『SHIROBAKO』終わっちゃったら寂しくなるなぁ……」と心配しています。気が早い!

コメント

  1. ちょうどYouTubeで無料公開されているのを観ていたので、こんなに元ネタがあることを知れて嬉しいです!!

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    1. 調べたら、今15話とかなんですね……
      明日は14話まで、その次は最終話までの元ネタ解説を載せる予定なので……観終わったとこまでで構わないので楽しんでいただけたら幸いです!

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