サッカー日本代表が得意としてきたチーム、苦手としてきたチーム


<画像はWii用ソフト『ウイニングイレブン プレーメーカー 2012』より引用>

※ この記事は2014年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です


 コロンビア戦の前にどうしても書いておきたかったのです。
 サッカー日本代表は、今回の2014年ブラジルW杯で2試合を終えて1分1敗で「勝ち点1、得失点差-1、総得点1」という成績です。決勝トーナメントに進むためには、3戦目のコロンビア相手に勝った上に、ギリシャとコートジボワールの結果を祈らなければならない―――

 この絶望的な状況で、敢えて書いておきたかったのです。
 私は今回のW杯のグループリーグの組み合わせが決まった時、「アフリカ(コートジボワール)、ヨーロッパ(ギリシャ)、南米(コロンビア)という組み合わせかー」と少しヤバイ予感がしていました。決勝トーナメントに進めた2002年と2010年の大会と比べて、相当難しい戦いになるぞと。


 何故そう思ったのかを説明するために……
 日本が初めてW杯に進出した1998年以降の、W杯、オリンピック、コンフェデレーションズ杯の3つの国際大会の成績を並べてみようと思います。
 ワールドユース(U-20W杯)のような年代別の大会は参考にならないと思ったので外しましたが、オリンピックはオーバーエージ枠があるので入れました。コンフェデ杯は入れましたけど、それ以外の親善試合やカップ戦はキリがないので省きました。

 ついでなので、各試合の得点者も記しておこうと思います。
 これは単に私の趣味です(笑)。


【1998年 フランスW杯】
 × アルゼンチン(南米)0-1
 × クロアチア(ヨーロッパ)0-1
 × ジャマイカ(北中米カリブ海)1-2 ※ 中山雅史

【2000年 シドニー五輪】
 ○ 南アフリカ(アフリカ)2-1 ※ 高原直泰・高原直泰
 ○ スロバキア(ヨーロッパ)2-1 ※ 中田英寿・稲本潤一
 × ブラジル(南米)0-1
 × アメリカ(北中米カリブ海)2-2(PK 4-5) ※ 柳沢敦・高原直泰

【2001年 日韓コンフェデ杯】
 ○ カナダ(北中米カリブ海)3-0 ※ 小野伸二・西澤明訓・森島寛晃
 ○ カメルーン(アフリカ)2-0 ※ 鈴木隆行・鈴木隆行
 △ ブラジル(南米)0-0
 ○ オーストラリア(オセアニア)1-0 ※ 中田英寿
 × フランス(ヨーロッパ)0-1

※ 当時は国際Aマッチデーでの開催ではなかったので、各国の主力が必ずしも揃っていたワケではありませんでした

【2002年 日韓W杯】
 △ ベルギー(ヨーロッパ)2-2 ※ 鈴木隆行・稲本潤一
 ○ ロシア(ヨーロッパ)1-0 ※ 稲本潤一
 ○ チュニジア(アフリカ)2-0 ※ 森島寛晃・中田英寿
 × トルコ(ヨーロッパ)0-1

【2003年 フランスコンフェデ杯】
 ○ ニュージーランド(オセアニア)3-0 ※ 中村俊輔・中田英寿・中村俊輔
 × フランス(ヨーロッパ)1-2 ※ 中村俊輔
 × コロンビア(南米)0-1

【2004年 アテネ五輪】
 × パラグアイ(南米)3-4 ※ 小野伸二・小野伸二・大久保嘉人
 × イタリア(ヨーロッパ)2-3 ※ 阿部勇樹・高松大樹
 ○ ガーナ(アフリカ)1-0 ※ 大久保嘉人

【2005年 ドイツコンフェデ杯】
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-2 ※ 柳沢敦
 ○ ギリシャ(ヨーロッパ)1-0 ※ 大黒将志
 △ ブラジル(南米)2-2 ※ 中村俊輔・大黒将志

【2006年 ドイツW杯】
 × オーストラリア(オセアニア)1-3 ※ 中村俊輔
 △ クロアチア(ヨーロッパ)0-0
 × ブラジル(南米)1-4 ※ 玉田圭司

【2008年 北京五輪】
 × アメリカ(北中米カリブ海)0-1
 × ナイジェリア(アフリカ)1-2 ※ 豊田陽平
 × オランダ(ヨーロッパ)0-1

【2010年 南アフリカW杯】
 ○ カメルーン(アフリカ)1-0 ※ 本田圭佑
 × オランダ(ヨーロッパ)0-1
 ○ デンマーク(ヨーロッパ)3-1 ※ 本田圭佑・遠藤保仁・岡崎慎司
 × パラグアイ(南米)0-0(PK 3-5)

【2012年 ロンドン五輪】
 ○ スペイン(ヨーロッパ)1-0 ※ 大津祐樹
 ○ モロッコ(アフリカ)1-0 ※ 永井謙佑
 △ ホンジュラス(北中米カリブ海)0-0
 ○ エジプト(アフリカ)3-0 ※ 永井謙佑・吉田麻也・大津祐樹
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-3 ※ 大津祐樹
 × 韓国(アジア)0-2
 
【2013年 ブラジルコンフェデ杯】
 × ブラジル(南米)0-3
 × イタリア(ヨーロッパ)3-4 ※ 本田圭佑・香川真司・岡崎慎司
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-2 ※ 岡崎慎司

【2014年 ブラジルW杯】
 × コートジボワール(アフリカ)1-2 ※ 本田圭佑
 △ ギリシャ(ヨーロッパ)0-0
 ? コロンビア ← さぁ、決戦だ!!


 日本が今大会で1戦目に戦ったのはコートジボワール(アフリカ)。
 アフリカ勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「7勝0分1敗」です。勝率87%―――言ってしまえば日本がカモにしていた相手なのです。かつては「アフリカコンプレックス」みたいなことも言われていましたが、1998年以降で敗れたのは1度しかなかったのです。その1度というのが、現日本代表が23歳以下代表だった北京五輪というのがアレなんですが……

 だから、日本はコートジボワール相手に何が何でも勝たなくてはならなかったのです。「アフリカ最強」と言われようが、「英雄ドログバ」のいるチームだろうが、日本が最も勝ち点を計算できる相手はコートジボワールだったのです。



 日本が今大会で2戦目に戦ったのはギリシャ(ヨーロッパ)。
 ヨーロッパ勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「5勝2分8敗」です。勝率33%―――ヨーロッパと一言で言っても、フランスW杯で敗れたクロアチアは大会3位、日韓W杯で敗れたトルコも大会3位、アテネ五輪で敗れたイタリアも大会3位、南アフリカW杯で敗れたオランダは大会2位と、強豪国と戦えばそりゃ負けるだろうって話なんですが。

 引き分けも含めれば46%で……
 試合内容からしても、日本は比較的ヨーロッパは「まだ戦える相手」なんですよね。ロンドン五輪ではスペインに勝っていますし、昨年のコンフェデ杯でのイタリア戦、その後のオランダ、ベルギーとの親善試合を見ても、ヨーロッパは強豪相手でも「そこそこ戦える」相性だったと思います。

 だから、ギリシャ相手は「出来れば勝ちたい」「最悪でも引き分け」と思っていました。


 さて、これから日本が戦うのはコロンビア(南米)ですが……
 南米勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「0勝2分7敗」です。勝率0%―――勝率0%―――勝率0%―――日本は1998年以降、主要な国際大会で南米のチーム相手に勝ったことが一度もないのです。(※1)

(※1:ついでに言うと、「北中米カリブ海」相手にも1勝1分6敗で勝率12%)

 私が組み合わせを見て「難しい大会になる」と思ったのはコレが理由で。
 日本が決勝トーナメントに進めたW杯は、2002年「ヨーロッパ、ヨーロッパ、アフリカ」という組み合わせ、2010年の「アフリカ、ヨーロッパ、ヨーロッパ」という組み合わせの時だけで。南米のチームと同じグループに入った時、日本はW杯で一度も決勝トーナメントに進めていないんです。


 だから、今大会も「コートジボワールとギリシャ相手に2連勝しないと決勝トーナメント進出は厳しい」と思っていましたし、そこで1分1敗の現状では絶望的だぞと思っているのです。
 サッカーに詳しい人ほどそれが分かっていますから、「コロンビア相手に勝てるワケがない」「日本のW杯は終わった」と言っているのです。


 私も、頭ではそう思っています。







 でも、「奇跡的なドラマ」というのはこういうところから始まるものですよ。

 予定通り行かない絶望的な状況であっても、諦めないで何かを成し遂げた時にだけ「ドラマ」は生まれるのです。1998年以降、ただの1度も勝てなかった南米チーム相手に勝って決勝トーナメントに進めば―――これは歴史に残る「奇跡的なドラマ」だと言えます。



 オッサン世代は今日の記事に「え?何でアレを抜かすの?」と思っていたことでしょう。
 そうです。日本代表はかつて「奇跡」を起こしたことがあるのです。

【1996年 アトランタ五輪】
 ○ ブラジル(南米)1-0 ※ 伊東輝悦
 × ナイジェリア(アフリカ)0-2
 ○ ハンガリー(ヨーロッパ)3-2 ※ 前園真聖・上村健一・前園真聖


 1996年、日本はアトランタ五輪という舞台で「スーパースター軍団」だったブラジル代表を破っているのです。当時の日本はW杯に出場したことがなく、五輪も28年ぶりの出場、A代表経験者ですら前園と城の2人しかいない日本代表が、世界最強だったブラジル代表を倒しているのです。当然、ブラジルは南米のチーム。

 当時の日本のサッカーと、今の日本のサッカーは全然違いますし。
 「勝つための守備的なチームでイイのか」というのは、20年近く経っても未だに結論が出ていない日本代表永遠の議論なのですが。恐らく、「今の日本代表がコロンビアに勝つ」ことと「当時の日本代表が当時のブラジル代表に勝つ」ことの難しさを比較すれば、圧倒的に後者の方が難しいことと思われます。


 そもそもの話なんですけど……
 「W杯優勝を目指します」はビッグマウスだとしても、「ベスト8を目指します」を目標とするのならコロンビア級の強豪国には勝てるようじゃないと話にならないんですよ。コロンビアの世界ランキングは8位ですから。

 ましてや「南米勢とは当たらないことを祈ります」みたいな心がけで、ベスト8なんて行けるワケがないんです。



 もちろん、現実的には決勝トーナメント進出は厳しいです。
 日本がコロンビア相手に100-0で勝ったとしても、コートジボワールがギリシャに勝ってしまえば日本の敗退が決まってしまいます。でも、だからこそ書いておきたいのです。1998年以降、一度も勝っていない南米勢に勝てば超かっこいいぞ>日本代表
 それこそ4年前、南アフリカの地で散った日本代表は、南米のパラグアイにPK戦の末に敗れたんじゃないですか。そのリベンジをするチャンスには、絶好の機会じゃないですか。

 いや、もうホント私の本心を言ってしまえば……
 決勝トーナメントに行けるかどうかよりも、この試合に勝てるかどうかよりも、「最も相性の良くない最強の相手」に日本の攻めるサッカーを見せてくれるかどうかを期待しているのです。この試合を早起きして観た子ども達が「やっぱりサッカーって面白いな」と思えるような試合をして欲しいのです。

 決勝トーナメントに進めなければ、ザックジャパン最後の試合です。
 4年間の全てを、ここにぶつけてくれ!


 もういっそのこと、3-4-3のフォーメーションでやってみましょうか!(オイ



――――2025年追記――――
 この記事を書いてから11年が経過したので、その後の主要大会の成績も見ていきましょうか。


【2014年 ブラジルW杯】
 × コートジボワール(アフリカ)1-2 ※ 本田圭佑
 △ ギリシャ(ヨーロッパ)0-0
 × コロンビア(南米) 1-4 ※ 岡崎慎司


【2016年 リオ五輪】
 × ナイジェリア(アフリカ)4-5  ※ 興梠慎三・南野拓実・浅野拓磨・鈴木武蔵
 △ コロンビア(南米)2-2 ※ 浅野拓磨・中島翔哉
 ○ スウェーデン(ヨーロッパ) 1-0 ※ 矢島慎也


【2018年 ロシアW杯】
 ○ コロンビア(南米)2-1 ※ 香川真司・大迫勇也
 △ セネガル(アフリカ)2-2 ※ 乾貴士・本田圭佑
 × ポーランド(ヨーロッパ) 0-1 
 × ベルギー(ヨーロッパ) 2-3 ※ 原口元気・乾貴士


【2021年 東京五輪】
 ○ 南アフリカ(アフリカ)1-0  ※ 久保建英
 ○ メキシコ(北中米カリブ海)2-1 ※ 久保建英・堂安律
 ○ フランス(ヨーロッパ) 4-0 ※ 久保建英・酒井宏樹・三好康児・前田大然
 ○ ニュージーランド(オセアニア)0-0(PK 4-2)
 × スペイン(ヨーロッパ) 0-1 
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-3 ※ 三苫薫


【2022年 カタールW杯】
 ○ ドイツ(ヨーロッパ)2-1 ※ 堂安律・浅野拓磨
 × コスタリカ(北中米カリブ海)0-1
 ○ スペイン(ヨーロッパ) 2-1 ※ 堂安律・田中碧
 × クロアチア(ヨーロッパ) 1-1 ※ 前田大然(PK 1-3)


【2024年 パリ五輪】
 ○ パラグアイ(南米)5-0  ※三戸舜介×2・山本理仁 ・藤尾翔太×2
 ○ マリ(アフリカ)1-0 ※ 山本理仁
 ○ イスラエル(ヨーロッパ) 1-0 ※ 細谷真大
 × スペイン(ヨーロッパ) 0-3 


 得意としていたアフリカ勢相手の成績は「2勝1分2敗」。
 3割の勝率だったヨーロッパ勢相手の成績は「5勝1分5敗」。
 苦手だった南米勢相手の成績は「2勝1分1敗」。
 ついでに北中米カリブ海相手の成績は「1勝2敗」となりました。


 母数がちがうので単純には言えないと思うのですが、相手がどこの国であろうとも5割の勝率という結果になりました。
 2018年のコロンビア戦は開始直後に相手が退場するレアケースの勝利でしたが、南米コンプレックスはアレでかなり薄れ。逆に、2014年の惨敗以降はアフリカ勢に対する苦手意識が再発してしまった感はあります。

 さて、来年のW杯はどうなるでしょうね……

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