初見では絶対にワケが分からないであろう『境界の彼方』の伏線をまとめました



※ この記事は2013年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です

※ この記事はアニメ版『境界の彼方』最終話までの全12話のネタバレを含みます。
 閲覧にはご注意下さい。


 原作小説はこの記事を書き終えてから読み始めるので、今日はアニメ版の話です。
 アニメ公式ガイドブックは読んでいるので、その内容もチラホラ書くところがあります。


 自分がプッシュしていたアニメ『境界の彼方』が最終話を迎えました。
 正直言って、最終話を見終わった後は茫然自失となっていました。今まで張ってあった伏線や謎を消化しないどころか、最終話になってもなお新しい伏線や謎が生まれて、一見すると「え?なんでそうなるの……?」というラストでした。
 普通に話をまとめただけでも傑作になったアニメだったと思うんですけど、敢えて謎を残して、来年7月に発売されるブルーレイ7巻(新作未放送エピソード1話収録)で明らかになるあのね商法かよ花田先生、もしくは劇場版とか2期ありきの構成だったのかよ京アニ―――と、最終話を観た直後は正直思いました。

 私はこのアニメが大好きでしたから元々ブルーレイ7巻は買うつもりでした。
 ですが、冬アニメどころか春アニメも通り越して夏アニメのどれを観るのか選別するのに忙しい時期に「真相はこうだったんだよ!」と言われても、その頃には伏線なんて覚えていませんよ。






 ただ……時間を置いて、ちょっと冷静になってみると
 最初から『境界の彼方』はこういうアニメだった気もするのです。

 「分かりやすく真相を説明」なんてしてくれない。
 ところどころに“謎”とか“伏線”とか“違和感”を仕込み、そこから視聴者が真相を推察するしかないし――― 一応、推察すると「多分こう」という説明は出来るようになっている。(恐らく)半年後のブルーレイ7巻発売まで“正解”を与えてくれないのも、ある意味でこのアニメらしいっちゃらしいところです。


 「何故、栗山さんは最後この世界に戻ってこられたのか―――」

 秋人視点で考えると唐突な展開に「取ってつけたようなハッピーエンドだ」と呆れた人も多いんじゃないかと思いますし、「何故」の部分に完璧な説明は出来ないのですが……「栗山さんが戻ってくる」という伏線はちゃんと張ってあったんですね。



 このアニメは“謎”とか“伏線”とか“違和感”を恐ろしいほど詰め込んで構成されているので、初見ではワケが分からず「意味不明なシーンばっかだなぁ」と思ってしまうところも多いです。ですが、それらのシーンを繋げて考えてみると、実はこのキャラはこの時点で何を考えて何をしていたのかが見えてくるのです。


 「美月は、この12話の中で何をしていたのか―――」

 これを考えると、秋人の知らないところで何が起こっていたのかが見えてきます。
 いや、まぁ……「そうとでも考えないと自分の中に納得がいかない」というのは正直ありますし、それらを全部踏まえた上でも「テレビ版12話の中でそれを語るだけで傑作になれたのに」とは思うんですけど(笑)。「秋人は美月が何をしていたのかを最後まで知らなかった」結末を考えると、実はこの結末はとてもよく出来た結末だったんじゃないかと思えてきました。




 ということで、全12話の伏線をまとめてみました。
 「2周目」を観てもらえば「1周目」では気付かなかった色々な真相に気付けると思いますし、みなさんにも2周目を観て欲しいのですが。みんながみんな「アニメを2周観る」ことが出来るワケではありませんものね。時間の問題、金銭の問題、環境の問題、エトセトラエトセトラ……
 なので、2周目を観ることの出来ない人は「そんなシーンもあったなぁ、そう言えば!」と思って欲しいし、2周目を観られる人にも「そうそう、そのシーンがあのシーンの伏線になっているのよね」と“2周目のお供”になってくれればなと思います。

 くれぐれも「1周目」を観終わるまでは読まないように。
 この作品の魅力の大幅減になってしまうと思いますから。

 それと、「恐ろしいほど膨大な量がある」ので……「あのラストシーンは何だったの?」というところだけ知りたい人は、伏線まとめはすっ飛ばしてその後に書く「まとめ」の部分だけ読んでもらえればイイと思います。



 記事タイトルには「絶対にワケが分からないであろう」と書きましたけど、本当にそれレベルの伏線ばっかり列挙するとみなさんポカーーーンだと思いますので。三段階+2で表示します。

・「○」← 分かりやすい伏線
・「◇」← 「何だこのシーン……」という違和感だけを残す伏線
・「☆」← 伏線が張ってあることにすら気付かせない伏線

・「×」← 視聴者のミスリードを誘う場面
・「?」← 最終回まで観ても、結局よく分からない場面




【第1話:カーマイン】
<アバンタイトル>
◇ 学校の上空に張られている“檻”
・いきなりコレで申し訳ない(笑)。
・物語の幕開けで、上空から学校→町へと俯瞰視点でカメラが流れるのですが。
・この際に、鳥が学校に近づけないという描写があります。

→ この時点では、博臣の“檻”が学校を守っているということ。
※ また、“檻”は「断絶」を暗喩していて、この物語が「人間と妖夢の断絶」を描いているのだと見せているのかも知れません


○ 秋人が「自殺」しない根本的な理由
→ 不死身の半妖だから

・この「自殺しようとしていた栗山さん」というのはブラフなんだろうけど、ここで秋人が栗山さんの自殺を止めることが、ここからの物語が栗山さんが秋人のおかげで「生まれてきて良かった」と言えるようになる物語なんだと象徴しているシーンとも言える。
・ちなみに最終話のラストシーン、栗山さんは「フェンスの内側」に立っているんですよね。


○ 秋人を刺す前に手が震えている栗山さん
→ 唯を殺してしまった件で、妖夢を殺すことに躊躇いがあるから

・よくよく考えてみると、「自宅にとりついている妖夢」すら怖くて倒せない栗山さんが、ここでたまたま会った秋人を刺すというのは不自然なんですよね。栗山さんには「妖夢かどうか」が分かるとは言っても。
・泉の指示で、秋人を殺すように指示されていたから。
・ちなみにこの後に何度も栗山さんは秋人を刺すのだけど、どれも“目を見ないように”胴体を刺しています。


○ 秋人「この眼鏡を……かけてくれないか」
→ 最終話ラストシーンの台詞


<オープニング>
◇ オープニングの映像は「過去」の話
 10話を観た人なら分かると思いますが、『境界の彼方』のオープニングは「泉から連絡を受けた栗山さんが花野寺町に来るまで」を描いています。第1話が4月ですが、オープニングは恐らく3月。しかし、それは10話を観る前からある程度推察できるようになっていました。

・愛ちゃんだけ制服が違う(恐らくまだ中学生という時期)
・美月と博臣が登校しているシーンで、他の学生のネクタイとリボンを見ると「赤と緑の2学年しかいない」(3年生はもう学校に来ていない時期)
・栗山さんは制服を着ていなくて、他のキャラと一緒にいるシーンがない

 もちろん「だからどうした」という話ではあるんですが、重要なのは

→ この物語は、「第1話」よりも前から始まっていると最初に見せている


○ 栗山さんが持っている写真は?
→ 栗山さんと唯と桜の子ども時代
※ オープニングの最後の頃に、伊波家の前で写真撮影をしているカットもある


○ 桜と弥勒が一緒にいる
→ 桜はこの鎌を弥勒から預かっていた


○ そもそも歌詞が
→ 秋人と栗山さんの二人のこれからの物語を指し示しているように思える


<Aパート>
☆ このアニメで大切なのは“行動”と“意味”
 なんのこっちゃな人も多いと思うので、台詞を書き起こします。

秋人「何でもかんでも殺し方を残酷にすれば、読者の興味を引けるってワケじゃないだろ」
美月「じゃあ、どういう殺し方ならイイの?」
秋人「読者にとって大切なのは、“行動”と“意味”だと思うけどね」


 この二人が話しているのは、文芸部の傑作選に選ぶ“先輩達が過去に書いてきた小説”についてなんですが……これは実はこのアニメがどういうアニメなのかを最初に提示しているとも読み取れます。
 『境界の彼方』に限らず、深夜アニメには「ショッキングなこと」を起こして視聴者の興味を引きつける作品があります。『境界の彼方』だって「ヒロインが主人公を殺す」「ヒロインが消滅してしまう」というところだけを見ればそういう作品と言えるのですが……

→ この作品で重要なのはそうした「ショッキングなこと」ではなくて、「どうしてそういう行動が取られたのか」「そこにはどういう意味があるのか」の方が重要なんだと言っているんですね。

※ 作品の楽しみ方をAパートの最初のシーンで提示していて、これを踏まえて2周目を見ると「栗山さんの行動」や「美月の行動」にちゃんと意味があると分かるのです。


? 『赤ずきん脱いじゃいました』
→ シンボルを失うという暗喩で、最終話で栗山さんが眼鏡を失うという伏線?
※ 流石にこじつけだと思います(笑)
※ でも、最終話で栗山さんは眼鏡を失うし、道中で秋人は“不死身”の特性を失うし、「自分らしさ」を失うことの象徴とも言える……か?


× 秋人「(栗山さんは)誤魔化すの下手すぎ!」
・これは伏線と見るべきか、ミスリードと見るべきか……
・自分はこのシーンのおかげで随分と惑わされました。「栗山さんは平沢唯のように、嘘をつくのが苦手な裏表のないコなんだ」と。
・そしたら、まさかの「秋人を殺す使命」を与えられていたことをずっと隠していたという。
・ただ、10話を観てから2周目を観返してみると驚くんですけど、栗山さんって実はほとんど嘘をついていないんです。真実を隠す時は俯いて黙ったり、大きな声を出したり。

→ 栗山さんは「嘘をつかないコ」と視聴者をミスリードに誘うシーンのように思えるけど、実は栗山さんはこの後も嘘はほとんど付いていない。


? 美月「頑張らないと……卒業式の日に私から告白されるという夢が適わないわよ?」
→ 美月は「秋人は卒業式までに殺される」と知っていたということ?
※ 美月がどの段階で栗山さんの目的を知ったのかはテレビ版12話の中では描かれなかったので、保留。
※ ただ、泉が秋人を殺す計画を立てていることには勘付いていたとは思います。


? 美月「例え怒られても…課せられた使命から逃れることは出来ないから」
→ これも栗山さんのことを指しているようにも見えなくもない……か?


◇ 何故、栗山さんは秋人を殺すことにこだわったのか?
・栗山さんは俯いて答えません
・秋人は「恋!?」と妄想していたし、後に「僕を練習台に使っていたのか」と自己解決するのだけど
→ 本当は、泉からの指示で“秋人=境界の彼方”の抹殺のために栗山さんはこの町にやって来ていた。


<Bパート>
○ 栗山さんが妖夢を(ほとんど)倒したことがない理由
・「それに…」の後に黙るのは
→ 唯を殺してしまったことで妖夢を殺すことを恐れるようになった


☆ 美月の忠告が指し示しているものとは
 これも説明が大変なので、台詞を書き起こします。
 美月は第1話で2度も秋人に同じ忠告をします。何故か……?

【部室】
美月「まぁ…とにかく。栗山未来にこれ以上関わるのはよした方がイイわ」
秋人「……どうして?」
美月「この地区の異界士を管轄している…名瀬家の娘が助言しているの。それで分からなければ……アナタはバカよ」


【学食】
美月「名瀬家が栗山未来を警戒しているわ」
秋人「どうして?」
美月「代々その地を治める長というのは、排他的で保守的なものよ」
秋人「つまり……どういうことだよ?」
美月「これ以上…栗山未来に関わるのはやめなさい
 って私が言ったら関わるつもりなんでしょ?」



 比べてみれば分かるのですが、部室では「名瀬家の娘」として、学食では「名瀬家を注視している者」として忠告をしているのです。美月が何を意図して忠告したのかはテレビ版の全12話では描かれなかったのですが、これが指し示しているのは恐らく二つ。

→ 美月は名瀬家の人間でありながら、名瀬家とは別の意志で動いていること。
→ 「部室」は美月にとって、隠し事を喋られない場所であること(博臣に聞かれることを警戒している?)



◇ 栗山さんがこの町に来た目的
 すんごい遠めの絵なので分かりづらいけど、「特には…」と栗山さんが嘘をつく際には俯いています。

栗山「もし目的があったとして、ここで先輩に言うと思いますか?」
秋人「それは……つまり、“ある”ってこと?」
栗山「誘導尋問には引っかかりません」


 ここでは話が「栗山さん宅にいる妖夢」に行ってしまうし、この後に栗山さんは“虚ろな影”討伐のため単独行動に出るので「栗山さんは“虚ろな影”を倒すためにこの町に来たんだ」と視聴者も秋人も思ったことでしょうが…

→ 栗山さんは泉に「秋人=境界の彼方の抹殺」を依頼されてこの町に来た


○ 秋人「それは僕も同じだよ」
→ 触れただけで死をもたらす血を持つ栗山さんと、世界を破滅させる“境界の彼方”を自分の中に持っている秋人―――実はこの二人は似たような境遇の二人だった

・この時点で視聴者は秋人の力の凄さは知らないのだけど、栗山さんは泉に聞いて知っている。
・なので、栗山さんは秋人に心惹かれていき、以後栗山さんは秋人を殺せなくなる。


? 公園では夕方だったのに、栗山さんの家に着いたのは夜
・2話で明らかになるように、栗山さんの家はこの公園のすぐそばにある
・なのに、移動で夜までかかっているのは何故だ??謎。

→ 「夜にならないと出ない妖夢だから、夜まで待機していた」ってとこですかね。


? 博臣が泉に何かを報告して泉が微笑んでいる
・美月も何かを察してクッションを抱いている
・2話でも話題になるのだけど、1話アバンで学校の周りに張ってあった“檻”がAパートでは張っていなくて、おかげで秋人と栗山さんは学校で妖夢に襲われるのだけど……それは泉の指示だったということ?
・9話の回想シーンを見る限り、博臣は秋人が栗山さんに襲われている様を知っていたみたいなので、その報告かも知れない。博臣と美月には秋人の“監視”が命じられていたのだし。

→ 栗山さんと秋人の戦闘や、その後の妖夢登場などの学校での出来事を報告していた?

※ ただ、それって作中では「一日前」の出来事なんですよね……
※ 単なる思わせぶりなシーンという気もする


<エンディング>
 直接的な伏線はないんですけど、「たくさんの色」と「たくさんの花」と「たくさんの人」が出てくるエンディングの映像。「色」と「花」はこのアニメ全体でキーアイテムになっているとも言えて、「色」は各話のタイトルになっているだけでなく、キャラクター一人一人にイメージカラーが設定されています。

 エンディングの最初と最後、コマ送りにすると「誰かの手」と「花」のカットが細かく切り替わっていることが分かると思います。それぞれの花の色はキャラクターのイメージカラーに準じているっぽい。

【最初】
 ピンク→栗山さん→白→愛ちゃん→ピンク(紫?)→美月→青→博臣→白→栗山さん

【最後】
 オレンジ→秋人→ピンク→ニノさん→白→彩華さん→オレンジ→栗山さん


 博臣のイメージカラーは緑だけど、緑色の花だと画面に問題があると思われたのか青に。栗山さんのイメージカラーはピンク&白、美月は藤色、秋人はオレンジや黄色とアニメ公式ガイドブックに書いてあるのでそれに沿っていることが分かりますね。

→ オープニングが「まだこの町に来る前の栗山さん」を描いているのに対して、エンディングが「この町に来て色々なものを手に入れた栗山さん」を暗示しているのが面白いところ。



【第2話:群青】
<アバンタイトル>
○ 誰かを傷つけてしまった秋人の回想
→ 妖夢化した際に誰かを傷つけてしまったというイメージ

・何故このタイミングでこんなことを考えているのかは不明(笑)


<Aパート>
◇ 指輪を外す前に、秋人には当たらない距離だと確認する栗山さん
・呪われた血の力を解放すると「血に触れただけで相手を殺す」恐ろしい威力を発揮するので、それが秋人に当たらないように考慮した―――というのが普通の見方なんだけど。
・栗山さんの目的は「秋人を殺すこと」なんだから、本来は当たっても構わないはず

→ この時点で、栗山さんは「秋人を殺せない」ようになってしまっている


○ 妖夢を殺すことに躊躇している栗山さんの回想
→ かつて栗山さんが殺してしまった唯のことを思い出している

※ 前髪長い人は別人なのかと思っていたのだけど、あれはカチューシャを外すと前髪があれだけ長いって同一人物だったんですね


? 1話の時にはなかった栗山さんの家の前の園芸セット
・栗山さんの趣味が園芸だという伏線なのだろうけど……
・妖夢を倒してから数日経っているという伏線なのかなと思ってTwitterに書いたこともあるのですが、前後にちゃんと「明日」とか「昨日」とかの言葉があるのでそれは気のせいっぽい。
→ 栗山さんが貧血から起きてから買いに行ったのか、業者に届けてもらったのか


◇ 頑なに秋人のことを拒絶する栗山さん
・リアルタイムに観ていた時は「このコは平沢唯に似て可愛いけど、強情で面倒くさいコだなー」と思っていましたが……振り返ってみると、栗山さんは秋人を殺さなくてはならないので拒絶するのも当然でした。
・1話のラストで「自分と同じように孤独」と思って惹かれ始めた秋人に、「他にも女がいるんかい」「自分とは違って仲間がいる」ことを知って距離を取り始めるのも面白いところ。
・8話や10話を観れば分かるように、栗山さんって結構嫉妬心が強いんですよね(笑)

→ 「いずれ秋人を殺さなくてはならない」ので、距離を取ろうとしている


<Bパート>
? 博臣が“檻”を張り忘れたせいで掃除屋を呼ぶ羽目になった
・1話のAパートラストで妖夢に襲われた(ニノさんが退治した)件だと思われます。
・わざわざコレを言うということは、「敢えて」博臣は“檻”を張らなかったということなのかなと思うのですが……テレビ版12話の中では真相は明かされませんでした。
・ただ、9話を見る限り博臣は栗山さんと秋人の戦闘は見ていたようなので……「敢えて」説が有力じゃないかと思うのですが。

→ 不明。この件に限らず、博臣は視聴者に「コイツは何か裏があるな」と思わせるミスリードの役を担わされていたように思います。


○ 妖夢が攻撃的になっている理由
→ “虚ろな影”の接近で、本来攻撃的でない妖夢も攻撃的になっていた。

・細かいことなんだけど、博臣が「美月に頼まれたのか?」と訊いているということは……美月は“虚ろな影”の接近を教えてもらえていなかったということですよね。同じ名瀬家でも博臣と美月では立場が違うことを見せている。


○ 博臣と秋人の“休戦協定”
→ 博臣は秋人の中にいる妖夢(博臣は知らないが“境界の彼方”)に殺されかけているのだが、「秋人が余計なことに首をつっこんで妖夢化しない」限りは始末しないという“休戦協定”を結んでいる

・実際に戦ったら100%“境界の彼方”が勝つのだろうけど、博臣はこの時点では“境界の彼方”とは知らないし、4話で戦った際に「俺が消す!」→「こないだより成長している!」と博臣があっさり負けているので――――ある程度は本気なんだろうけど。
・アニメ公式ガイドブックによると、博臣は人間の状態の秋人と触れ合うことで「自分の使命」に疑問を抱き始めているそうなので……本心としては「戦わないに越したことはない」と思っているんじゃないかと思います。


◇ 栗山さんが美月に秋人との関係を訊くシーン
・この時、美月は「“観察”……かしら」と答えます。
・後々になって分かることだけど、栗山さんは秋人を“危険な妖夢”として認識していて、泉から「(秋人のことを)監視している」と聞いている。
・つまり、この美月の返答に驚いている栗山さんは「美月は名瀬家の人間として“監視”するためでなく、一人の人間として“観察”するために秋人の横にいる」ことに驚いているんじゃないかと推察されます。
・この時点で美月が栗山さんの立場を知っていたかどうかは不明なんですが……

→ 栗山さんが、美月は「名瀬家サイド」ではなく「秋人サイド」の人間だと察した


○ “虚ろな影”という言葉に反応する栗山さん
・に反応する美月
・この時の反応が気になって、美月はこの後に栗山さんの過去を調べることになる

→ 栗山さんと唯がかつて討伐に失敗して、栗山さんが唯を殺すことになってしまった原因の妖夢

※ 今になると分かるけど、栗山さんは“虚ろな影”が来ることを知らなかったみたいなんですね。だから「“虚ろな影”を倒すためにこの町に来た」ワケではなかったと。


◇ 栗山「私は……以前、この手で人を殺したんです」
・と言って、秋人のように「みんなと仲良く生きる」ことが許されないと言うシーン。
・もちろんこれは唯のことなんですけど……
・栗山さんはこの後に「秋人を殺さなければならない」のだから、秋人のように「みんなと仲良く生きる」ワケにはいかないと他者を拒絶するのも仕方ないですよね。
・リアルタイムで見ていた時は「面倒くさいコだなー」と思ったけど。

→ 唯を既に「殺してしまった」こともそうだけど、秋人をこの後に「殺さなくてはならない」ことを指していたのだと思います。


【第3話:ムーンライトパープル】
<Aパート>
○ 人がいる限り生まれ続ける妖夢と、それを倒し続ける異界士とは
・弥勒の目的は最後までよく分からなかったのだけど……
・最終話で明らかになる弥勒が自分の体内に妖夢を飼っているという話から考えるに、

→ 弥勒は「妖夢を倒す異界士」自体に反逆心があったのかもなぁとここの台詞から考えられます。


☆ 泉「(妖夢とは)決まっているじゃないですか。ただのバケモノですよ」
・弥勒に「貴女にとって妖夢とは何ですか?」と訊かれた泉の回答。
・このカットの直後に、場面転換のカットを挟まずに秋人の顔のカットに移るのです。
・ということで、泉が秋人を「ただのバケモノ」と認識しているという伏線でもありますし……
・8話でニノさんが泉のことを「バケモノよ」と言っていたシーンを思うに、これは泉が泉自身に対して抱いている感情だったとも言えるのです。

→ 泉が秋人のことを「ただのバケモノ」と認識していただけでなく、泉は泉自身のことも「ただのバケモノ」と認識していた。


× 博臣「アレが栗山未来か」
・これは流石にミスリードを誘った場面だと思うんですけどね。
・秋人の前で(後ろで)、栗山さんを初めて見たと博臣が言っているのだけれど……9話で博臣が回想した場面を見ると、博臣は(1話の)栗山さんと秋人の戦闘を知っていたし、泉と栗山さんが以前から知り合いだったことも知っていました。
・それを秋人には隠していたということだと思うんですけど、おかげで視聴者もまんまと騙されました。

→ 博臣が栗山さんを初めて見るシーンなのだけど、多分これは“嘘”だと思います


× 博臣「(栗山未来に)騙されているんじゃないのか?」
・これは見事なミスリードですよ。
・視聴者からすると、この時点では「栗山さん=厄介だけど嘘はつかないコ」「博臣=真相を知っているけど話してはくれない信用できない人物」くらいの認識なので―――博臣がそう言うということは、栗山さんが秋人を騙しているなんてことはないはずだと思ってしまう。
・実際には栗山さんには秋人も博臣も騙されていたし、博臣は全く真相を知りませんでした。

→ 視聴者に「栗山さんは信用できる」と思わせる見事なミスリード


? 美月「変態お兄ちゃん、“檻”をとっとと解除して欲しいのだけど」
・これはアニメ版12話を見ただけではよく分からないシーン。
・部室を“檻”で囲んでいたら誰も入ってこられないだろうし、それを美月が解除させる意味もよく分かりません。
・9話で博臣は秋人の部屋に「誰か来たら分かるようにはしておく」と言っているので、博臣の能力には「索敵」の能力もあってそれが部室にもかかっていたということですかね。
・そう考えると、1話で美月が秋人をわざわざ学食に呼び出した理由が説明できます。秘密の話をするのに、部室ではなく学食でというのには何か理由があっただろうし。

→ このシーンまで、部室には“檻”が張ってあって博臣の監視下にあったということかな?


○ 美月が秋人に「栗山未来の過去」を教えるのに、どうして秘密の場所を使ったのか
・あの話をすれば、秋人が栗山さんを助けるために“虚ろな影”に近づくことは想像できたはず。
・妖夢化の危険性を考えれば、「秋人が妖夢化したら殺さなくてはならない」博臣からすればその情報は教えたくなかったろうし(博臣は知らなかったみたいですが)、部室を避けたのも分かる。
・ただ、泉にとっては「秋人が妖夢化したら栗山さんが“境界の彼方”を殺せる」ので、望んでいた形だとも思います。流石に美月はそれを知らなかったでしょうが。

→ 秋人の妖夢化の危険性を考えれば、博臣に反対されるから。


○ 美月が情報をもらった「イチノミヤイオリ」
→ 美月は、名瀬家とは違うネットワークの情報網を持っているということ。


<Bパート>
☆ 栗山さんは何故博臣の名前を知っていたのか?
 “虚ろな影”討伐に向かう栗山さんを秋人が止めるシーンなのですが、栗山さんが口走った台詞が「あれ……?」と思える台詞なのです。自分は以前そのことを記事で「ミスですよねぇ」と書いていたのですが……全文を書き起こしますね。

栗山「先輩に何が分かるんです!
先輩は半妖だと言いました!私と同じ……特別な存在だと!
でも、違います!先輩には仲間がいます……博臣先輩、美月先輩、それどころか妖夢の彩華さんや愛ちゃんまで。」
秋人「それは……違う!」
栗山「何が違うんですか!!」


 1話のラストで「僕も同じだよ」と言ってもらえて、初めて自分だけが一人ではないと思えた栗山さんが、やっぱり秋人は違うんだと突っぱねるシーン……1話とも2話とも4話とも繋がっている見事なシーンなのですが。

あれ、どうして栗山さんは博臣の名前知っているの……と当時は混乱しました。
・栗山さんが秋人から博臣を紹介されるのは5話の冒頭だから、3話の時点では博臣を知らないはずなのに―――と、9話までは思っていました。あぁ、これはミスだ、と。
・そしたらどっこい、栗山さんは秋人と出会う前から博臣の名前を泉から聞いていたのです。「仲間」と言ったということは、泉から「秋人と仲良くし過ぎた」くらいのことも聞いていたのかも知れません。こんな伏線の張り方、聞いたことがないですよ!!(笑)

→ 栗山さんは秋人と出会う前から博臣の名前を知っていたという伏線。こんなの分かるか!!


○ 博臣の背中の傷
→ 過去に妖夢化した秋人に付けられた傷だと思われる。

・9話で「栗山さんに秋人を殺させるのか」と問い詰めようとした美月が、博臣の傷を見て一瞬言葉に詰まるシーンがあるので。


【第4話:橙】
<アバンタイトル>
☆ 栗山「なんで来たんですか!もし目覚めたら……」
・ミスだと思っていたら伏線だったシリーズ第2弾。
・この時点での栗山さんは、秋人の本当の力を知らないはず。だからずっとここはミスだと思っていて、「何やってんだよ。しっかりしてくれよ花田先生」とか言っていました。ゴメンなさい。

→ 栗山さんは最初から秋人が目覚めると“境界の彼方”になってしまうことを知っていた。


? 秋人はどうやって栗山さん達のところまで来られたのか
・これはアニメ版12話の中では説明されませんでした。
・秋人は「栗山さんの姿が見えたから飛び込んできただけ」と言っていたけど、“位置”が分からないだけでなくて、「オマエ、さっきまで家でオムライス作ってたじゃねえか!」というのも分からない。栗山さんと別れてから家に帰ってオムライスを作っている時間を考えると、追いつけるワケがないのです(栗山さんはトラックに乗って移動していたし)
・答えの前に間があるところから見ても、秋人も何かを隠しているみたいだし。

→ 不明。秋人には「いつでも眼鏡美少女のところにワープ出来る能力」でもあるのだろうか。

※ 11話でも栗山さんのところに一直線に飛んでいったし、あながちないワケでもない(笑)


<Aパート>
? 美月が秋人の居場所を博臣に訊いている
・これもよく分からなかったシーン。
・初見では「博臣の能力には“特定人物”の居場所を探知できるレーダー的な能力があるのかな」と思ったのだけど、9話を見る限り博臣は常に秋人の居場所を把握出来ているワケではないみたいだし。
・この場合のみ、町中の異界士が“結界”や“檻”を使っていたことで秋人の居場所を探知できたということなのかな。

→ 不明。博臣の能力の応用性がよく分からないので。


◇ 言い争いの途中で言葉に詰まる栗山さん
 このシーン、すっごく好きなシーンなので書き起こします。

秋人「こんな行き当たりばったりで、“虚ろな影”を倒すつもりだったのかよ!」
栗山「予定が狂ったんです!勝手に来ておいて文句ですか!?」
秋人「勝手に来た!?だったら僕に余計なこと言わないで一人で行けば良かっただろ!」
栗山「勝手に調べて、私の家の前で待ち伏せしていたのは先輩ですよね!」
秋人「そう仕向けたのは誰だよ!そもそも最初に僕に絡んできたのは栗山さんの方だ!」
栗山「それは……!」(言葉に詰まって俯く)


・これ、初見では秋人の方が正論を言っているように思えたのですが、
・10話を見た後だと、栗山さんだって好きで秋人に絡んだワケではないし、自分が殺すために秋人に近づいたことの負い目もあるし、ここで哀しい顔をして目を伏せて黙ってしまう栗山さんの気持ちも分かるようになっている。
・2周目を観た時に「あーーー」と思えるナイス場面。
・しかし、秋人。「そう仕向けた」のは栗山さんじゃなくて美月だと思うぞ。

→ 栗山さんにも事情があったのだ。


○ 異界士の力のない桜がどうして力を持ったのか
→ 弥勒が与えた鎌の力によって

・とは言え、子どもの頃は“虚ろな影”の空も見ることができなかった桜なので、本来なら妖夢の姿も見えないはずなんだけど……あの鎌の力によって見えるのか、子どもの頃から成長して妖夢くらいは見えるようになったのか。
・鎌を失った後の11話でも妖夢が見えていたみたいなので後者かな。


<Bパート>
○ 聴こえなかった栗山さんの台詞とは
→ 「さよなら」

・栗山さんは血の力を使うと秋人は死ぬと思っていたので、泣きながら「さよなら」と言った
・血の力を使って“虚ろな影”を秋人の体から追い出すというのは、終盤で血の力を使って“境界の彼方”を秋人の体から追い出す展開を御都合展開と見せないための前フリとも言えます。


◇ 泉の表情の意味とは?
・妖夢化した秋人が暴れている時に微笑んでいて、
・秋人が人間に戻った後に険しい顔をしている

→ 妖夢化した秋人=“境界の彼方”を殺すチャンスだったのに、栗山さんが秋人を殺せなかったから


◇ “鏡面世界”を見る美月と博臣
・秋人が妖夢化した際に現れた鏡面世界を二人が確認する
・美月はこの後「秋人を助けることは出来ない」と塞ぎこみ。
・博臣は9話で秋人=“境界の彼方”だと気付くきっかけになる。

→ 美月にとっても博臣にとっても、今後の行動に関わる大きな出来事だった


◇ 200円の妖夢石の正体
・これだけ細かく伏線をチェックしている自分も、まさかこれがキーアイテムになるとは思いませんでした。
・これは栗山さんが「さよなら」と言って秋人に血の力を使った際に現れた“境界の彼方”の欠片。これが後に秋人の体に戻り、栗山さんを助けることとなる。
・部室にずっと置いてあるから「何だろう」とは思っていたのですが。

→ 秋人の体から出た“境界の彼方”の欠片。

※ 200円なのか……


<Cパート>
○ “虚ろな影”の妖夢石を回収した泉の目的とは
・「これでしばらくは異界士協会の動きを止められます」とのこと。
・9話で弥勒がこれを奪還しに来た隙に、栗山さんが“境界の彼方”を倒そうとするので……“囮”として使えると判断したのだと思っていたのですが。
・これが弥勒の手に渡ったことで泉の計画が崩れるのだから、泉は「桜が持っていた鎌」の存在を知らなかったのか?

→ 若干謎なところも多いけれど、弥勒の足止めに使ったということかな。


【第5話:萌黄の灯】
<Aパート>
× 秋人「栗山さんって博臣達の家に来るの、初めてだったよね?」
・秋人は知らないが、当然初めてではない。
・泉の手引きで名瀬家の祖父にも会ったことがある。
・なので、この時の栗山さんの返答は「はい」でも「いいえ」でもなく、「あぅ」みたいなどっちつかずの返答だという(笑)

→ 視聴者に「栗山さんは怪しくない」とミスリードさせる描写


? 弥勒をにらむ秋人
・意味深なシーンだったけど何だったのだろう、これ。
・弥勒の方は秋人を“境界の彼方”だと知っているので(多分)、一瞥したのも分かるのだけど。秋人の方は弥勒に何を感じたのかはよく分かりません。

→ 単に弥勒の敵意を感じただけ?

※ にしても、秋人は男の眼鏡姿には興味ないのね。


◇ 泉が栗山さんにした「今後の話」とは
→ 秋人=“境界の彼方”を殺すチャンスを逃したことについて咎められる

・泉と栗山さんのラインに視聴者が初めて気付く場面。
・ただ、これまでに張ってあったミスリードを誘うシーンによって、この二人が以前からの知り合いであるとは考えにくい状況を作っているのが上手い。
・博臣と美月の表情も意味深だけど、この時点で二人がどれまで知っていたのかは分からないので保留。
・しかし、この後に慰めようとしている秋人がてんで的外れなことを言っているのが、2周目を観ると分かってしまう(笑)

☆ 栗山さんと美月の
間に流れる気まずい雰囲気

 部室と喫茶店で二度、この二人は微妙な間で黙るシーンがあります。

栗山「あの……他には?」
美月「…?…これで終わりだけど?」
栗山「っ……そ、そうですか」
美月「……」
栗山「……」


・10話を観た後に観ると、栗山さんはここで美月に「助け」を求めているように見えます。
・栗山さんは美月を「秋人の仲間だ」と認識している(2話の「“観察”かしら」)ので、秋人を殺さずに助ける方法はないのかを美月に相談したいのだと思われます。
・しかし、美月はそれを受け止めない(笑)。
・「前に言ったでしょう?私は秋人を“監視”しているんだって」の台詞は、美月のミスなのか、実は描かれていないだけでそういうシーンがあったのか。
・2話の時点では「観察」だったのが、4話を経て「秋人を助けることは出来ない」と思って、5話で「監視」と言葉を変えたと考えると……前者かなぁ。

→ 栗山さんは「秋人を助ける」ために美月に助けを求めているのだけど、美月は「秋人を助けることは出来ない」と歩み寄ろうとしない。流石、作品一のコミュ障。


○ 一人黙々と妖夢退治を続ける桜
→ 妖夢を喰わせることで鎌の力を強化させるため

※ その鎌の力は弥勒に利用されてしまうのだけど


<Bパート>
? 泉「異界士は異界士である限り、ずっと一人なの」
・美月を縛り続けた呪いのような台詞だけど……
・名瀬家を背負い、望まぬ形でつまらない大人になり、体内に妖夢を飼っている―――という最終話の泉の台詞から考えるに。
・泉は美月を「自分のようにはさせたくない」と思っていたのかも。
・そもそも「何故美月は祭りに行けなかったのか」が説明されていないしな…

→ この辺はよく分からないし、詳細に説明されても野暮という気もする。


☆ 写真館をクローズにした後、美月が栗山さんに何かを言う
・よーーく観ると分かると思うのですが、美月の口が動いていて何かを言っています。
・その直前に美月が回想していたシーンは

美月「躊躇いがなくなったわね」
栗山「いつまでも迷っていたら……何も変わりませんから」


・妖夢憑きを倒した時の二人の会話
・これを回想した後に何かを栗山さんに喋るということは、美月は「状況を変えるために迷うのを辞める」と決意した証。恐らくはこれ以降の美月は「秋人を助ける」ために行動を始め、栗山さんと美月は同盟関係になるワケです。
・なので、これ以降の二人はやたらイチャイチャしているという(笑)

→ 恐らく「秋人を助けるため」、美月は栗山さんと同盟関係になって動き始める


☆ 祭りでバッタリ会った秋人との会話
 これも全文書き起こしておきます。

栗山「先輩?」
秋人「栗山さん、美月……どうして?」
美月「『どうして』?便所飯でお馴染みの秋人を慰めるために決まってるでしょ?」
秋人「だから!何度も言うが、僕は誰の世話にも…」
栗山「先輩。みんな……一人だから、です。みんな……一人だから」


・これ、初見では唐突な会話に思えました。話が噛み合っていない、と。
・でも、栗山さんと美月がこの直前に同盟関係を結んでいるということを考えると、「誰の世話にもならない」という秋人の台詞を遮る栗山さんの意志表明なことが分かるのです。

→ 秋人を助けるため、栗山さんと美月は行動を始めるという表明。


<Cパート>
○ 祭りで泉とバッタリ会って、一歩引く栗山さん
→ 「秋人=“境界の彼方”の抹殺」から手を引こうと栗山さんは泉に伝える

※ なので、後ずさる動きをしているんですよね。



【第6話:ショッキングピンク】
・この回は本編の流れから外れたサブエピソードなので伏線らしい伏線はありません。
・逆に考えると、この回がリアルタイムではとても評判が良かったのって「この1話で説明されない意味不明なシーン」がなかったからかも知れませんね。
・ただ、この「最初に結末を見せて、どうしてこういう結末になったのかを後に描く」という構成は、この『境界の彼方』というアニメを端的に表しているとも思えますね。

・こうして全話の流れを見ると、「平和な日常」を描いているのはこの回だけという(笑)。


【第7話:曇色】
<Aパート>
? 『全裸リーマン』シリーズ
→ 『赤ずきん脱いじゃいました』と同じようにシンボルを失うという暗喩で、最終話で栗山さんが眼鏡を失うという伏線?

※ 「こじつけ」にしか思えないけど(笑)


○ 美月が打っているメールの内容
・これも詳細はテレビ版12話の中では明かされなかったのですが……
・文面は「鏡面世界の発生 今回のことについて、私の」と読めます。
・4話で秋人が妖夢化した際の現象について、5話での栗山さんとの同盟関係を経て、“誰か”に連絡を取っているのが分かります。これは「状況を変えるために迷うのを辞める」美月の行動ですね。
・相手は、異界士協会か神原弥生(秋人のお母さん)か。
・8話で弥生が「秋人が“虚ろな影”に近づいた」ことを知っていたので、弥生の方が可能性高そう。

→ 恐らく弥生に、秋人の妖夢化について連絡を取って「秋人を助けようとしている」。


◇ ニノさんの言う「泉に頼む」という“裏技”
・転入してくる桜を止めるために、地元の名士である泉の力を使うという手もある、と。
・これ自体は謎を残す台詞でもないんですけど……
・恐らく栗山さんはこの“裏技”を使ってこの町にやって来ているんですよね。
・栗山さんがこの町に来る3月の時点では高校入試は終わっているだろうし、身よりもないのにどうやってアパートを借りたんだって話ですし。
・泉と栗山さんが以前から知り合いならそのことに全部説明が付くという。

→ 泉には「学校への転入」を拒否できるだけの力があるので、栗山さんの件も泉なら簡単に処理できたという後々明らかになる真相に説得力を持たせる伏線。


? 秋人の作るオムライスは不味い
・伏線じゃないけど一応(笑)。
公式サイトによると秋人の母親の作るオムライスは壊滅的に不味いらしく、アニメ公式ガイドブックによると秋人の好物は「不味いオムライス」だそうな。
・普通の美味しいオムライスでは満足できない秋人は、なので自炊する際にはやたらオムライスを自分で作って食べているという。
・11話で愛ちゃんの作ったオムライスを食べていたけど、アレは美味しいのか不味いのか

→ 秋人にとっては「おふくろの味」なのだが、普通の人にとっては「不味い」


◇ 栗山さんが想像した「秋人の家に来ていた人物」
 ここも超好きなシーンなので、書き起こしますね。

栗山「先輩は一人っ子ですよね?妹も弟も、イトコもハトコもいませんよね!?
この靴……サイズ的に若い女性のものですよね?」
秋人「…先回り!?」
栗山「男子高校生が一人暮らしとなれば、それくらいのことは普通なのかも知れませんが……やっぱり、そういうのってどうなんだろうって思うんですけど!どうなんだろうって思うんですけど!!」
秋人「だから、思ったことを(ブログに)すぐ書くのは炎上の元だよ!!」
栗山「誰ですか!?」
秋人「えぇ……」
栗山「やっぱり美月先輩ですか?ですよね。私が知らないのをイイことに、二人でこっそり私の噂話ですか!」
秋人「ちがう!美月のワケないだろ!!」
栗山「じゃあ…彩華さん!?いや……愛ちゃん?いけません!相手は妖夢ですよ!」
秋人「だから、勝手に想像を飛躍させるな!!」
栗山「あーーーー!に、に、二ノ宮先生と!?」
秋人「ない!!!」
栗山「じゃあもしかして……っ!!ひ、ひ、博臣先輩!!アッキーの脇はあったか以上の仲だったんですか!?不潔です!不愉快です!不潔不愉快です!!」
秋人「あのなぁ……」


・あぁ……栗山さんは可愛いなぁ、というのは置いといて。
・共通の知り合いを漏れなく全員挙げているのに、泉の名前だけは出していないんですね。
・栗山さんは、泉が秋人を殺そうとしているのを知っているので。
・あと、美月と秋人の関係を真っ先に疑っておきながら、エロ展開ではなくて「二人でこっそり私の噂話」と想像しているのもポイント。栗山さんはこの二人がそういう関係にはなっていないのを知っているということなんですね。

→ 栗山さん視点からすると、「泉の名前を挙げない」のも「美月は秋人と恋仲にはなっていない」ことも分かっている。


<Bパート>
? 美月がヤキイモを飼っていることを泉に隠す理由
・泉は「妖夢」をバケモノだと言い放ち、秋人のことも殺そうとしている。
・美月がヤキイモを飼っている理由は明かされなかったし、美月と秋人との出会いも描かれなかったのだけど、ずっと一人で生きてきた彼女にとっては「妖夢であっても大切な存在」と―――相反した考えの姉妹なのだけど。
・泉は彩華さんのことは助けているし、そこまで急進的に「反・妖夢」というワケではないと思えます。体内に妖夢を飼っているというのは、彼女にとって負い目なのか……?

→ 「美月が、泉を信用していない」という描写なのだけど、美月がヤキイモを飼っている理由は明かされないので若干消化不良な件ではあります。


? 泉は何故「境界の彼方」と言ったのか?
・鏡面世界が広がり、「“凪”が来る……全てが止まる、停滞の時。そして……“境界の彼方”」と泉は言う。
・何故鏡面世界が現れたのか、どうして泉は美月に“境界の彼方”のことを教えたのか。
・ここはホント、よく分かりません(笑)。

→ 謎。「やったー!とうとう凪が来たから“境界の彼方”を殺せるぞー!」とテンション上がって口走っちゃったとしか説明出来ない(笑)。


【第8話:凪黄金】
<アバンタイトル>
○ 泉「“凪”の訪れにより状況に変化が起きると考えられます」
→ “凪”によって弱体化した“境界の彼方”ならば、栗山さんが秋人の体から追い出せるという計画。


<Aパート>
? 秋人が“虚ろな影”に近づいたことを弥生は知っていた
・まぁ、名瀬家からか異界士協会からか報告が行くのも当然だと思うのだけど……
・自分はこれは、7話の美月のメールによって伝えられたんじゃないかと思っています

→ 美月と弥生がコンタクトを取っていたというシーン?


? 美月は何故走っていたのか?
・弥勒と会うシーン。
・写真館で一人考えているようなカットもあるし、「どうしてアナタが…?」という台詞もあるので、誰かと会う約束をしていたところ弥勒がいた―――ってカンジですかね。
・異界士協会に連絡したら弥勒が来た、か。
・弥生に連絡したら何故か弥勒が来た、のどっちかですかね。

→ 「秋人を助けよう」と7話に打ったメールの相手と会うつもりだったのに、弥勒が来た……ってところだと思います。


◇ 弥勒は何を美月に語ったのか
・美月は4話で秋人が発生させた鏡面世界を見ている。
・7話で誰かにそのことをメールで送っている。
・8話で弥勒がやって来て「話しておこうかと思いまして、貴女が見たものについて」と、“境界の彼方”について話し始めている。
・つまり、美月はこの時点で「秋人=“境界の彼方”」だと察しているはずなんですね。
・美月はここで「栗山さんは秋人を殺すために近づいた」のだと気付いたのか、もっと前から気付いていたのか―――この辺はテレビ版12話だけではよく分かりませんね。自分としては「5話の時点で知っている」ように思えるのですが。

→ 秋人の正体と、それを殺すために栗山さんが泉によってこの町に呼ばれたことを教えた。


○ いきなりワープした弥勒の能力
→ 光の屈折を利用して幻影を見せる能力。

・何故これを美月に見せたのかは謎。


? 突然現れた博臣の能力とは?
・不明。
・泉と博臣にはワープ的な能力があるのかと思うのだけど、その有効範囲は長くないだろうし、姿を隠して尾行する能力でもあるのだろうか?
・この回のエンドカードで博臣が弥勒の車の後ろに乗っている絵があるのだけど、当然本編中の車の後ろには誰も乗っていません。ただ、その後の様子を見るに博臣は車内の会話を聞いていたようにも思えます。

→ 博臣の能力が多岐に渡りすぎてよく分かりませんが、姿を隠す能力ですかね。


<Bパート>
○ 秋人は何のために倒れたのか?
→ “凪”で弱っている“境界の彼方”を引きずり出すために、泉の凍結界で人間部分を更に弱らされたため。


○ 弥勒が誰かと喋っているのは何?
 ここも分かりにくいので書き起こします。

「エサは撒いておきました。そろそろ頃合でしょう。
元々“アレ”は僕が追っていたものですし。
分かっていますよ……名瀬家にはやらせません」


・エサを撒いていた相手というのは、美月のように思えて実は博臣。
・泉の行動に不信感を抱いた博臣が結界を開けることで、弥勒が侵入出来るということなんですが……
・“アレ”というのが「虚ろな影の妖夢石」を指すのか「秋人=境界の彼方」を指すのか「泉」を指すのかは不明。「名瀬家にはやらせない」ということは「秋人=境界の彼方」ですかね。
・そもそも誰と喋っているのか。弥勒が体内に飼っているという妖夢なのか、アレを通して異界士協会と喋っているのか。

→ 博臣を利用して「虚ろな影の妖夢石」を回収するという話みたい。


○ ニノさんと泉の関係は?
・この二人は多分長い付き合いで、ニノさんは泉を信用しているんですよね。
・11話で、秋人を追おうとする泉を博臣・美月・桜・弥生で立ちふさがるシーンがあるんだけど……ニノさんは参加しないんです。泉の肩を持つ発言もしているし、高校生組には分からない関係があるのだなと。
・ただ、奇しくもここでニノさんが泉を称した「バケモノ」という言葉は、3話で泉が妖夢を称した言葉で、泉=妖夢という図式をこの時点で見せているという。

→ 二人の長い付き合いを感じさせる場面だが、それが皮肉にも「泉=妖夢」という真実を浮かび上がらせるという。


☆ 桜に「良かったね……出会えて」と言われた時の栗山さんの表情
・10話を見てからこのシーンを見ると、栗山さんはすごく哀しい顔をしていることが分かります。
・殺さなくてはいけないから近づいた、殺さなくてはいけないのに惹かれてしまった、好きにならなければ何も考えずに殺せたのかも知れないのに―――
・ここから11話の「先輩と出会えて本当に良かったです」に繋がるという。

→ 「出会えて良かった」のか「出会わなければ良かった」のか、この時の栗山さんにはまだ分からない


? 弥勒は何故秋人の様子を見に来たのか?
・放っておけば、泉の戦略で秋人=“境界の彼方”が殺されると思ったから?
・弥勒の目的は、「“境界の彼方”を使って世界を滅ぼす」ことだったのか「泉の失脚」だったのか……自分は前者と見せかけた後者だと思っているんですが、正解はテレビ版12話の中では描かれていません。
・名瀬家が“境界の彼方”を殺してしまうと、どちらにしても弥勒の目的は果たせないので……「保護します」というのはあながち嘘じゃなかったと思われます。

→ 泉達に“境界の彼方”を殺させないため


【第9話:銀竹】
<Aパート>
○ 秋人が栗山さんの誕生日にあげようとしていた眼鏡
・10~12話で“境界の彼方”に取り込まれた栗山さんがかけていた眼鏡ってこれ?
・ちなみにアニメ公式ガイドブックによると、栗山さんの誕生日は3月31日。
・7月からそんなこと考えているなんて、気が早すぎるだろ!!

→ 多分、“境界の彼方”に取り込まれた栗山さんはこの眼鏡を具現化したっぽい。


<Bパート>
? 栗山さんに何かを言いかけて辞める博臣
・「アッキーを殺すな」と栗山さんに言おうとして、辞める博臣。
・ということは……この時点で、栗山さんが最初から秋人を殺そうとしていることに勘付いたのかな?

→ 博臣がいつから栗山さんを認識していたかも不明なので、これもどういうシーンなのかちょっと確定しづらい。


◇ 栗山さん「こんなことが待っているなら、こんなこと……知らなければ良かった」
・殺さなければならない相手ならば、最初から知らなければ良かった。
・だから、泉は忠告していたのだし、栗山さんは秋人を拒絶していたのに。

→ 「異界士」と「妖夢」として接すれば殺すことに問題はなかったのに、「人間」と「人間」として接してしまったがために殺せなくなってしまった。


○ 泉は栗山さんを呼びたてて何を伝えたのか
→ 満を持して、秋人を殺さずに“境界の彼方”を外に出す方法があると。

※ 10話の表情を見る限り、泉は栗山さんにこの決断をして欲しくはなかったのかなと思います。本当は「秋人を殺して自分は生き延びる」方を選んで欲しかったのかなと。


◇ 栗山さんは何を想って秋人と対峙したのか
・これは本当に素直にすごいなぁと思ったところ。
・9話を観た際、栗山さんは「これから一番好きな人を殺さなくていけない」という哀しさを背負っていると思ったのだけど……10話を観た後だと、栗山さんは「自分が消滅することで一番好きな人と別れなくてはいけない」哀しさを背負っていると分かるんですよね。

→ 1周目と2周目で正反対に見える描写にしてあるところが流石。


【第10話:白の世界】
<Aパート>
○ 並行して描かれる“夏”と“冬”の世界
・まぁ……説明するまでもないかも知れませんが。
・“夏”は秋人の体に残った栗山さんの血が見せている夢の世界。なので、秋人が知らない情報(桜が、栗山さんが秋人を好きだと知っている)(美月が秋人を助けようと尽力していた)もこの夢の中に出てくる。
・“冬”は栗山さんの血と融合して消滅を免れた“境界の彼方”が栗山さんを殺すために作り出した本物そっくりの世界。秋人と眼鏡は栗山さんが作り上げた傀儡。なので、栗山さんの頭を撫でてはくれない。

→ “夏”は秋人の夢で、“冬”は境界の彼方が作り出した世界。


◇ “夏”で秋人が見ていた妖夢石
・4話で200円と鑑定された妖夢石。ずっと部室に置いてあったのか。
・当然これの正体は……

→ 秋人の体から出てきた“境界の彼方”の一部。


<Bパート>
○ “冬”で栗山さんが追いかけているものと、現実で秋人が聴いている音とは
・栗山さんは“境界の彼方”の本体を殺すことで全てを終わらせようとしていて。
・秋人は、かつての半身である“境界の彼方”の叫びが聴こえている―――ってところか。
・恐らくこの時点では、栗山さんが“境界の彼方”を倒すと“境界の彼方”ごと栗山さんも消滅してしまうはず。

→ 栗山さんは自分の身を犠牲にしてでも、“境界の彼方”を消そうとしている。


【第11話:黒の世界】
<アバンタイトル>
◇ 「弥勒の鎌」は人の憎しみが塊になったもので、弥勒に相応しい
・つまり弥勒は人間全てに憎悪を抱いているのか、人間全ての憎悪を背負って生きているのか……
・これまでの言動から察するに、弥勒は「人間の憎しみが生む妖夢」を否定していないので後者なのかな。

→ 「妖夢=人の心の歪み」を肯定する弥勒にこそ相応しい武器ということか。


<Aパート>
◇ 博臣「確信はないが……母親と話をしてみるんだな」
・ここの台詞、最初見た時は「ここでこんな台詞があると後半に弥生が来ることに驚かなくなっちゃうからダメじゃん!」と思ったのですが。
・逆に考えると、

→ 博臣は3ヶ月の間に弥生とコンタクトを取っていたということか。


○ 博臣が喋る際に美月と目を合わせている
→ 3ヶ月の間にこの二人の関係も少し変わっていることが分かる。

※ 推察するに、美月と博臣と弥生が連絡を取り合っていたんじゃないかと思います。


○ 博臣達の能力が弱体化した理由
→ “境界の彼方”が栗山未来を殺すために、妖夢や異界士の力を吸収することで力を増幅しようとしている

・弥勒がこれまで仕込んできた“鎌”は、この力を更に促進させて、町中の妖夢を吸収させて“境界の彼方”を強化させるためのものだった。
・“境界の彼方”が栗山さんを倒すと、栗山さんから解放された“境界の彼方”は世界を滅ぼす。
・ということで弥勒が望んでいたのは「世界の滅亡」だったのかというと……
・結果的に、秋人が“境界の彼方”を取り込んで世界を守ったということは―――弥勒の行動が“境界の彼方”を守ったということか?それが目的だったのか?


<Bパート>
○ 何故、弥生はみんなのところにやって来たのか。
 全文書き起こします。

秋人「本当か?本当に栗山さんは生きているんだな?」
弥生「ええ、生きているよろ。未来ちゃんは今でも一人で戦っているよろ。
本当は手を貸せないのだけど、このまま“境界の彼方”が勝っちゃうと世界が滅びちゃうよろ。だから、非常事態ってことで柔軟な対応をすることにしたよろ。」


・“境界の彼方”「が」勝っちゃうと、なんですね。
・この時点での戦力は「栗山さんvs“境界の彼方”+弥勒の力で町中の妖夢の力を吸収している」なので、圧倒的に栗山さんが不利。このままだと世界は滅んでしまう。なので、秋人に助けに行くように言っている。

→ 秋人が行かないと世界が滅んでしまうから

※ 「本当は手を貸せない」の部分は一体……?
※ 弥生は、名瀬家とも異界士協会とも違う組織に属しているということ??


? 何故、弥生は“境界の彼方”の事情を知っているのか?
・弥生は「分かるでしょ?アナタの母親は神原弥生よ」と言った。
・秋人の出生の秘密に関係しているのか、弥生もかつてこういう経験をしていたのか、この辺はテレビ版12話の中では明かされませんでした。
・まぁ……この辺の設定は原作で明かされそうな気もする。

→ そもそも秋人の存在自体がどうやって生まれたのかが分からないので。


【第12話:灰色の世界】
<Aパート>
? 泉と弥生の関係は?
・どうも弥生は泉の小さい頃を知っている……?
・現在の二人の年齢を考えると、弥生は高校生の息子がいてもおかしくない年齢なので30代中盤くらいと考えられて、泉は美月の回想シーンから考えるに美月+10歳くらいに思えるので20代中盤くらい?
・二人の年齢差が10歳くらいだと考えると、この二人にも色々あったのだろうし……泉が美月に「異界士は異界士である限り、ずっと一人なの」と言った高校生くらいの時には、既に弥生が子持ちなので(秋人と美月が同い年だからね)。その頃には関係は途絶えていたみたい?

→ かつては知り合いだったけど、恐らく秋人達が生まれてからは会っていないみたい。


◇ 弥生はどうして博臣と美月の名前を知っていたか
・弥生は泉に「大人同士のウダウダにいつまでこの子達を付き合わせるつもりよ。異界士協会はもう動いているのよ」と言っている。
・異界士協会というのは弥勒のことか……?
・弥勒が泉の失脚を狙って行動していると考えると、それに秋人や栗山さんは巻き込まれているとも言えて。確かに弥生の言っていることは筋が通っている。
・そして、「博臣くん、美月ちゃん。秋人と未来ちゃんはただの妖夢と異界士ではない。特別な存在なの。よろしく頼みます!」と言って去っていった。

→ 作中では描かれていないところで、博臣と美月は弥生と連絡を取っていたのは間違いない。

※ 「続く!」じゃねえよ!!とは思いました。
※ 2期はあるんですかねぇ……


? どうしてニノさんは着替えたの?
・謎。まさか弥勒がイイ男だからってワケでもなかろうに。
・法被姿は「妖夢退治のユニフォーム」だから、弥勒戦には使わないということかな。

→ 不明。どう考えても着替える時間は無駄だ。

※ それはそうと、よく見るとニノさん→博臣にフラグ立っているんですけどおおおお!


※ 伏線関係ないけど、原チャリに秋人と栗山さんが乗るシーン。細かく一時停止して見てみると、栗山さんのパンツを見てしまった秋人がとっさに目を逸らしているのが分かります。
→ どうしても誰かに言いたくて書いてしまった。


<Bパート>
○ 弥勒は異界士協会の人間ではなかったのか?
→ 異界士協会が弥勒に全責任を押し付けただけだと思われる。

※ 泉は以前、「異界士協会は名瀬家の失墜を狙っている」と言っていたので。弥勒一人の意志ではなく異界士協会の意志ではあったと思います。


○ 泉は何故姿を消したのか
・美月が「お留守番から卒業」と言った場面、博臣が「姉さんのようにはならない」と言った場面、泉は微笑んでいるんですね。
・二人の成長を見て、自分はもう必要ないと思ったからか、自分のようにはならないと安心したからか。

→ 弟と妹の成長を見て、名瀬家の統括の責務から離れた。


☆ 「それが娯楽というものだろ」
 このアニメ、第1話のAパートで秋人と美月が「作品に大切なのは“行動”と“意味”」と言っていて。最終話のエピローグでも秋人と美月が娯楽について語っているんですよね。つまり、この作品とはどういうものだったかをここで二人が語っているのです。

美月「結局……最後は悪が滅びるのが分かっているのに読み進めるのは、まったく時間の無駄じゃない?」
秋人「それが娯楽というものだろ」


・この作品の“悪”とは何だったのか。
・全てのキャラクターが“行動”と“意味”を持っていたこの作品において、ただの“悪”は存在しなかったし。「妖夢」も「異界士」も「人間」も“悪”ではなかった。弥勒だって「妖夢」を“悪”とする者達を裁こうとしたのだし。
・栗山さんは“呪われた血”を受け入れて「生まれてきて良かった」と言えるようになったし、秋人は“嫉妬”も“絶望”も“哀しみ”も“後悔”も“我侭”も“猜疑心”も“憎悪”も“諦め”も“狡猾”も“保身”も受け入れて“境界の彼方”と生きていくことを選んだ。
・人間の憎悪=“境界の彼方”が“悪”だというのなら、この作品の結末は「それを受け入れて生きていく」決断をしたのであって、決まった“悪”が滅びる話では決してなかった―――というのと。
・それと、もう一つ

→ それが分かりきっているとしても、やはり最後はハッピーエンドで終わるのが娯楽なんだ。


 おかえり。栗山さん。



○ まとめ
 列挙してみれば分かるとおり、このアニメは最終話を迎えてもまだなお「説明が付かない」“伏線”や“謎”が大量に残っています。
 これらが説明されるのはブルーレイ7巻なのか、原作小説なのか、劇場版なのか、2期なのかは分かりませんが、テレビ版12話の中で説明されなかったことに自分は失望してしまったのですが……


 人間一人が認識できる“物語”なんてこんなものなのかもとも思うのです。

 秋人は「美月が秋人を助けるために何をしていたのか」を最後まで知りません。「博臣が何をしていたのか」も知りません。「弥生は一体どういう経緯で秋人の母親になったのか」も分かりません。「泉の正体」も分かっていません。でも、そういうものだと思うんです。

 たまたま栗山さんだけは、一度目の消滅の際に全てを語って消滅したから明らかになりましたけど―――それは、テレビ版の秋人は「栗山さんルート」に進んだからというだけの話です。
 「美月ルート」や「博臣ルート」「泉ルート」が、ブルーレイになるのか原作になるのか劇場版になるのか2期になるのかは分かりませんが、少なくともテレビ版では描かれませんでした。それはこの作品における必然だったのかもって思うのです。



 「名瀬美月」にとって、このテレビアニメ『境界の彼方』全12話は「秋人に選ばれなかった」物語だったのです。

 美月は秋人のことを好きだったのか――――
 自分は、美月→秋人は「恋愛感情」ではなく「似たもの同士の共感」だったと思っていましたし、秋人も多分そう思っていると思います。でも、栗山さんが秋人に惹かれた理由も、秋人が栗山さんに惹かれた理由も、最初は「自分に似ているから」だったじゃないですか。

 11話の病室で秋人が真っ先に栗山さんの心配をしたシーン、
 最終話で秋人が部室から出ていくシーン……美月にある表情は「自分は選ばれなかった」という表情なのです。


 美月が秋人を助けようと尽力していたのは確かだと思うのですが。
 作中ではハッキリとは描かれません。秋人も全く気付いていません。

「予めそう定められていたのか……
それとも、栗山さんが頑張ったおかげかは分からない。
それとも、僕の栗山さんへの想いが届いたのか――――」



 この作品最大の謎とも言える「何故、栗山さんは最後この世界に戻ってこられたのか―――」について秋人はこんなことを言っているのです。
 残っている伏線から考えるに、栗山さんが戻ってこられた理由に美月は関係していると思うのですが。秋人は全く気付いていません。


 “テレビ版12話の中では説明されなかった”ことで、誰にでも楽しめる分かりやすいエンターテイメントとは言いがたくなってしまったとは思うのですが。「敢えて説明しなかった」意図は分かりますし、美月視点で考えるとこんなに切ないハッピーエンドはないと分かるのです。選ばれなかったことで、描写すらされない、気付いてさえもらえない、これが名瀬美月にとってのエンディングだったのです。



「秋人……頑張らないと……卒業式の日に私から告白されるという夢が適わないわよ?」

 卒業式というのはエンディングのこと。
 「卒業式の日に告白される」というのは恋愛ゲームの定番のエンディングです。

 しかし、この「美月ルート」は選ばれなかったのです。
 第1話で提示されたこのエンディングを迎えることはありませんでした。告白されることも、真相が明かされることもありませんでした。栗山さんのように秋人から「ありがとう」と言ってもらえることもありませんでした。


 美月視点でこの物語を振り返ると、この物語は「主人公から選んでもらえなかったヒロインも、主人公を助けようと必死にもがいていた物語」だったのです。



 だから、やっぱり。
 この結末を迎えてもなお、私はこのアニメが大好きなのです。

 ありがとう。美月。



○ 余談
 ということで……アニメ版についての記事をようやく書き終えたので、これから原作小説版を読み始めようと思います。恐らくアニメ版で謎だったところも原作小説版では描写されていたり、原作小説版で描かれるためにアニメ版では明らかにならなかったりしたところもあると思うので。

 「アニメはアニメ」「原作は原作」と分けて考えるために、
 アニメ版についての記事を書き終えるまでは原作小説は読まないでおいていました。

 読み終わったら、また紹介記事でも書こうと思います。

コメント