「フレンド以外との通信プレイ」を解禁した任天堂の未来は

 
<画像はニンテンドー3DS用ソフト『とびだせ どうぶつの森』より引用>


※ この記事は2013年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です

 今日はMiiverseについて書こうと思っていたのだけど、Miiverseを説明する前に「Miiverse以前」を説明しないと「どうしてMiiverseが必要だったか」を上手く説明出来ないと思ったので。前編・後編という形にして、今日はその前編「Miiverse以前」について書こうかと思います。



 Wii Uって、ゲームパッドは「iPadが流行ったから後追いでタブレット型コントローラを出したんでしょ」と思われているみたいで、Miiverseは「TwitterやFACEBOOKが流行ったから後追いでSNSを始めたんでしょ」と思われているみたいで。
 商品やサービスは「先に形にしたものの方が目立つ」ので、そう言われても仕方ないんですが……


 任天堂には「アイディアとは一つの選択で複数の問題を解決するものだ」という宮本イズムがあって、ゲームパッドもMiiverseもDSやWiiが抱えていた複数の問題を解決するために選ばれたものなんです―――だから、Miiverseを語るには「Miiverse以前」から語らなければならないんです。



○ 「カンタン・あんしん・無料」を掲げたニンテンドーWi-Fiコネクション
 「ゲームとインターネットの歴史」を言うと、1998年発売のセガのドリームキャストに代表されるように90年代からあるものです。PS2で(後にPCでも)発売されたオンライン専用RPG『ファイナルファンタジー11』は2002年。PCの世界で言えば、『ウルティマオンライン』は1997年から始まっています。

 任天堂も64DDで「ランドネット」というサービスを行っていたし(2000年)、「通信機能を利用したゲーム」という見方で考えればディスクシステム(1986年)だってサテラビュー(1995年)だって当てはまるのかも知れません。



 しかし、それらに共通して言えることは「難しそう」というイメージだったと思います。
 ドリキャスと『FF11』はかなり間口を広げたとは思いますが、それでもやはり「大人向け」であって「お金がかかる」ものであって「子どもに買い与えたくない」ものというイメージがあったと思います。『FF11』なんかは象徴的で、「生活を破綻させてまでのめりこんでいる人がいる」「犯罪の温床になっている」みたいなイメージだけを持っていた人もいるでしょう。

 2000年代の前半まで、「ゲームとインターネットの組み合わせ」は「マニアック・怖い・金かかる」というイメージだったんですよ。「子どもには与えたくないよね」と言われるものでした。



 だから、任天堂がDSやWiiの時に掲げた「ニンテンドーWi-Fiコネクション」の理念である「カンタン・あんしん・無料」は、この悪いイメージを徹底的に払拭することを目指したのです。「何だっけ…それ」という人は、Wikipediaにマークが載っているんでそれを見て思い出してください。

 余計な設定が要らないから「カンタン」。
 ソフトを買う以外に出費がかからないから「無料」。

 そして何より―――子どもでも安心して楽しめる、いや、正確に言うと親御さんが子どもに安心して与えられる「あんしん」な設計にしてあったのです。




 どこが「あんしん」なのかというと……
 「ニンテンドーWi-Fiコネクション」の特徴は、通信プレイをする相手を「フレンド」と「フレンド以外」に分けて、「フレンド以外」とは出来ることが著しく制限されていたことにあると思います――――

 「フレンド」とは各ソフトを起動してインターネットに繋いだ際に配布される「12桁のフレンドコード」をお互いに入力してなれる関係で、こういう相手ならば100%の通信プレイが楽しめるようになっていました。
 しかし、それ以外の「フレンド以外」との通信プレイは出来ることが制限されていて、ランダムマッチで「対戦だけ」出来てチャットは出来ないとか、ゲーム側から用意された定型文でしかチャットが出来ないとか、『どうぶつの森』などではそもそも通信プレイが出来ないとか。「フレンド」と「フレンド以外」を区別していたんですね。


 「ニンテンドーWi-Fiコネクション」が始まった2005年当時は、「ゲームとインターネットの組み合わせ」が「怖い」「子どもには与えたくない」と思われていたのだから、これは当然の仕様だったと私は思います。
 「フレンド以外」ともフリーチャットやマイデザインの交換などが出来てしまったら、健全に育ってきた可愛い我が子が「うんこちんちん」を連呼されたり、「うんこちんちん」の絵を見せ付けられたりするかも知れない―――ゲーム機をインターネットに繋いでも、そういう「うんこちんちん」には遭遇しないようにしますよというのが「ニンテンドーWi-Fiコネクション」でしたし、そのための「フレンド以外との通信プレイの制限」だったんです。



 これ……実は知らない人も多かったみたいなんで書いておきますと。
 任天堂はDSやWiiのソフト、および3DS本体の「フレンドコード」をインターネット上で交換することを推奨していないんです。フレンド登録するのはリアル友達だけにしてよと言っているんです。

 3DSの説明書がインターネット上で見られるんで、「フレンド登録」の項目をチェックしてもらえれば書いてあります(45ページ目)。
「知らない人にはフレンドコードを教えないように」「インターネットの掲示板などで、知らない人とフレンドコードを交換してフレンド登録すると、改造データを受け取ってしまったり、不快な気持ちになるような言葉を使用されたりする危険があります。」と。


 Wii UのMiiverseが生まれた経緯について、「インターネット上でフレンドコードが交換されている」問題がなくならないので、それをどうにかするために任天堂自らSNSを立ち上げる必要があったというようなことが語られていました。

 「フレンド以外」との通信プレイが制限されているなら、「フレンド」を増やしたいと思うのが普通の発想でしょう。しかし、その結果インターネット上で知り合った(知り合ってもいない)人と「フレンド」になって、「うんこちんちん」を見せ付けられるという事態も引き起こしかねなかったのです。


 自分もブログ等にフレンドコード載せて「フレンド募集ー」とかやっていましたからあまり大きな声じゃ言えませんけど、やっぱりインターネット上で知り合った「顔も名前も知らない人」とフレンドになって厄介な思いをしたことありますもの。
 『いつの間に交換日記』に「3Dのオンオフを高速で切り替えるとおっぱいが揺れているように見える絵」を描いたり、『どうぶつの森』で「かぶるパンツ」作ったり、「うんこちんちん」に相当するようなことをしているいかがわしい人がいましたもの!インターネットって怖い!


 あ、一応書いておきますけど。
 「うんこちんちん」は一例ね。
 実際にはもっとえげつないものと思ってください。



 ついでに書いておきますと、Miivereseのプロフィール欄に3DSのフレンドコードを書いたら「非公開」にされたって話がありましたけど。電話番号を書かせないために数字の羅列自体を弾いている可能性もありますし、「3DSのフレンドコードはインターネット上に載せちゃいけない」という任天堂の方針からすると当然ですよね。Wii Uのガイドラインじゃなくて3DSのガイドライン違反に相当します。

 Wii Uには「この人は悪質なユーザーです!」と通報する機能があるんですけど、3DSにはそういう機能がありませんからね。悪質なユーザーと繋がって「うんこちんちん」されないために、リアルフレンド以外と繋がることを制限し続けてきたんです。



 でも、Wii Uはその方針から転換したんです。
 何故か――――?


○ 転機となった2009年
 Wiiが歩んだ6年間を振り返ると―――2006年の年末商戦は『Wii Sports』『はじめてのWii』が大ヒット、2007年の年末商戦は『Wii Fit』が大ヒット、2008年になってからも『スマブラX』『マリオカートWii』が大ヒット、ものすごく順調に進んでいたWiiを叩き落したのが2008年の年末商戦の『Wii Music』と『街へいこうよ どうぶつの森』の不振でした。

 この2作品に関しても「フレンド以外との通信プレイ」を解禁していたらどうなったかなとは思うのですが、それは次の項で語るとして。


 ケチが付き始めたWiiに2009年夏サードメーカー最大のタイトル『モンスターハンター3』がやってきます。PSPで大ブレイクした『モンハン』のナンバリングタイトルがWiiにやってくる―――当然、Wiiにとっては願ってもいない援軍だったワケです。
 しかし、据置機の『モンスターハンター』はオンラインに繋いで知らない人ともチャットをしながら遊ぶのがシリーズの慣わしだったため「ニンテンドーWi-Fiコネクション」の理念には思いっきり反しているんですね。そのため、「ニンテンドーWi-Fiコネクション」から外れた独自サービスとして月額課金がかかる有料オンラインプレイになってしまったんです。

 結果、このソフトは大きく値崩れしてしまい「Wiiだとモンハンですら売れないんだ」「サードメーカー殺しのWii」という印象が付いてしまいました。
 「元々据置機のモンハンはそんなに売れるソフトではなかった」「大幅な変更点が不評だった」などの理由もありますし、『モンハン3』の失敗が全て任天堂の責任にあるだなんて言いませんが。「ニンテンドーWi-Fiコネクション」の限界を感じた瞬間だったと思うのです。

 そして、その後に発売されたWiiのサードメーカーのソフト達を見るに、この『モンハン3』の失敗以降、サードメーカーのWiiソフトの開発が始まらなくなるんですね。



 これは後で書きますが、現在の任天堂は「ニンテンドーWi-Fiコネクション」というサービス名称を使うのを辞め、「カンタン・あんしん・無料」も掲げていませんし、フレンド以外とのフリーチャットも認めています。その結果、2012年にWii Uで発売された『モンハン3G HD』はオンラインプレイが無料になっています。


 2009年は任天堂にとって転機だったと自分は思うのです。



 もう一つ。
 2009年の夏には特大キラータイトルがサードメーカーから発売されました。DSで。

 『ドラゴンクエスト9』です。
 発表時には「ドラクエ本編が携帯機かよー」という声もあった本作ですが、携帯機ならではの「すれちがい通信」が話題になって大ヒットとなりました。「すれちがい通信」の機能があったDSソフトは『ドラクエ9』以前にももちろんあったのですが、手順の面倒くささと見返りの少なさでそれほど話題になりませんでした。

 しかし、『ドラクエ9』の「すれちがい通信」では「(レアモンスターの)メタルキングばかりが出現するダンジョン」の「まさゆきの地図」や、「高ランク宝箱が多くて回収しやすい」「川崎ロッカーの地図」など、みんなが欲しがる地図が出現したことでみんなこぞって「すれちがい通信」を行うようになり―――

 任天堂のどのソフトでも成しえなかったことを『ドラクエ』がやってのけ、それを悔しがった任天堂が3DSの基幹機能に「強化されたすれちがい通信」を入れたというのは有名な話。


 もちろん「まさゆきの地図」も「川崎ロッカーの地図」も、不特定多数の「フレンド以外」に広がっていったワケです。もし『ドラクエ9』の宝の地図システムが「フレンド登録した人とだけ交換できる」機能だったら、こんなことにはならなかったでしょう。「知らない人と繋がる楽しみ」を『ドラクエ9』は任天堂に見せつけたし、任天堂が3DS以降「知らない人と繋がる楽しみ」の方向に進むことと無関係ではなかったと思います。




 そして、もう一つ。
 これは「2008年のソフト」ですが、それが楽しまれたのは2009年以降ということで、まぁ「転機となったのは2009年」というカテゴリーの中に入れることを許してください(笑)。Miiverseの原型となったとも言える『うごくメモ帳』というDSiウェアのソフトです。

 『うごくメモ帳』というのは簡単に説明すると「パラパラマンガを自作するソフト」なんですが、パラパラマンガを描ける人は限られているけど「パラパラマンガを読みたいだけの人もいる」ということで、当時の任天堂としては珍しく「フレンド以外との通信プレイ」を例外的に解禁していたソフトだったのです。

 はてなと共同で作った「うごメモはてな」というホームページ(※2025年追記:現在は終了しました)に『うごくメモ帳』で作ったパラパラマンガは投稿できて、誰でも見られるようになったんです。


 でも、「誰でも見られる」投稿が誰にでも出来てしまったら「うんこちんちん」の絵を投稿する人が出てきちゃうんじゃないの?ということで、PCからのみ「通報」が出来る仕組みにして、一定期間「通報」を受けなかった作品だけがDSiでも見られるようにする―――ユーザーからの「通報」で「うんこちんちん」を回避する、同じ会社が作っているだけあってMiiverseに通じるものがありますよね。

 『うごくメモ帳』と「うごメモはてな」が始まった頃、「稚拙な投稿をする子どもが多すぎる」とか「☆を要求する投稿が多くてゲンナリ」という評判でした。「著作権の問題」とか「パクリの問題」とか、自分もあまり言い印象を持ってなかったんですが。

 でも、今「うごメモはてな」の人気作品を見ると職人達が作ったすげー作品が見れて驚かされます。
  「フレンド以外との通信」を解禁して誰でも投稿できて誰でも閲覧できる状況にすれば、「うんこちんちん」に該当するようなことはそりゃ起こる。でも、その中からとてつもなく光るものが出てくる限り――――「フレンド以外との通信の制限」を続けるのは勿体ないんじゃないのか。


 恐らく『うごくメモ帳』は任天堂にその威力を見せ付けたんじゃないかと思うのです。



○ 「作るゲーム」のムーブメント
 2006年にWiiが発売された際、「ゲームとインターネットの関係を変える」という一つの目標が言われていました。『お天気チャンネル』『みんなで投票チャンネル』など、「ゲーム+インターネット→他の人と繋がらなきゃいけないから怖い」というイメージを壊すために、「何だよ。インターネットって便利で面白いものじゃん」と知らしめるWiiチャンネルが出てきたんですね。


 その中の一つ、『Miiコンテストチャンネル』も「フレンド以外との通信プレイ」を語るに忘れてはいけないソフトだと思います。2007年11月のソフト。
 このソフトはWiiの『似顔絵チャンネル』で作ったMiiを投稿して、みんなが投稿したMiiの中から人気のMiiを見たり、それを持ち帰ったり出来るのですが―――

 当然そういうソフトなので「フレンド以外」の人が投稿したMiiも見られるのです。
 恐らく任天堂からすると「Miiを見るだけだからうんこちんちんみたいなことにはならないだろう」と思っていたんじゃないかと思います。コメントどころかMiiの名前も入力できない仕組みにしてありましたからね。そしたら『似顔絵チャンネル』の機能をフルに活用して、何とかして「うんこちんちん」の絵を作って投稿する人がいるのよ(笑)。

 でも、その何十倍もの数の「有名人にそっくりなMii」「マンガのキャラのそっくりなMii」「Miiのパーツを駆使して描かれた絵」などの見事なものが投稿されて――――開発者も驚いていたくらい。


 「うんこちんちん」のMiiもそうですし、『Miiコンテストチャンネル』の中ですら「パクリ」問題とか「中傷」合戦が行われていました(フリーチャットは出来ないので投稿者の名前をそういう名前にして抗議をしている人がいたのです)。
 「フレンド以外との通信」を解禁すれば、「うんこちんちん」のような問題は起こるけど、ものすごい面白いことも起こる――――そして、2008年以降の任天堂はここの面白さを追求するソフトを出していくようになるのです。




 2008年6月『大合奏!バンドブラザーズDX』
 このゲームはJ-POPなどを題材にしたリズムゲームなのですが、追加楽曲をユーザーに作ってもらって投稿してもらうという逆転の発想のゲームです。インターネット上に投稿された楽曲は審査を経て公開、ソフトを持っている誰でもダウンロードして遊ぶことが出来ます。

 当然これも「フレンド以外との通信」が出来るゲームですし、審査を経ることで「うんこちんちん」を防ぐことが出来ます。
 投稿された曲のクオリティの高さもさることながら、投稿者がいる限り永遠に楽曲が増え続けるゲームとも言えて――――今公式サイトのランキングのページを見たら、『けいおん!』の曲とかゴールデンボンバーの曲とかが上位に入っていますね。当然このゲームが発売された2008年は『けいおん!』のアニメは始まっていませんし、ゴールデンボンバーも無名な頃です。


 もしこのゲームが「フレンド登録した人としか自作曲を交換出来ない」仕様だったら、こんなことは起こりません。みんなが使ってくれるから「作るゲーム」は面白いんですもの。

 そういう意味で、2008年の年末商戦でWiiを失速させた『Wii Music』と『街へいこうよ どうぶつの森』はここが弱かったと思います。通信プレイがフレンド限定だったんですね。もし『Wii Music』で作ったミュージックビデオが「フレンド以外にも見せられる」機能だったら、『街へいこうよ どうぶつの森』で作った服が「フレンド以外にも配れる」機能だったら――――



 2008年12月の『うごくメモ帳』はさっき書いたので省略!


 2009年4月『メイドイン俺』
 『メイドインワリオ』に出てくるようなプチゲームを自作できるゲームで、自作したゲームは「フレンド」に配れるのはもちろん。「コンテスト」に投稿することで優秀作品は「フレンド以外」にも配られる仕様になっていました。

 しかし、正直このやり方だと「うんこちんちん」を確実に弾くことが出来る一方で、グレーな作品も一緒に弾かれてしまうので、面白みに欠ける感もあるんですよね。「面白いもの」と「けしからんもの」は紙一重なので。





 と、いうことで……
 ようやく話が3DS登場の頃まで進みました(笑)。



○ オープンな世界に飛び出す3DS
 2011年に発売された3DSを触ってまず驚いたのは、「あ、すれちがいでフリーメッセージ送れるんだ」ということでした。すれちがう相手というのはもちろん「フレンド以外」。『すれちがいMii広場』でメッセージを自由に書けるということで、理論上「うんこちんちん」も送れちゃうワケです。

 いや、多分「うんこ」とか「ちんちん」はNGワードに設定されてると思うんですが(笑)。
 NGワードを上手く回避すればいかがわしいことが出来ちゃうのです。



 しかし、後々の3DSの方針を見ると納得だったんです。
 3DSは「いかがわしいものに出会うかも知れなくても、その何十倍も楽しいことがあるに違いない」と、「フレンド以外との通信プレイ」を解禁している方向性だったんです。


 「カンタン・あんしん・無料」を掲げていたニンテンドーWi-Fiコネクションのサービスに替わって、「ニンテンドーネットワーク」という新たな名称のサービスを始めることが2012年1月に発表されています(12月発売の『マリオカート7』から使われていた模様)。


 2011年9月『クリエイトーイ』は、自分でパーツを組み合わせた生物を「すれちがい通信」や「QRコード」で渡せるというゲームです。
 自由に作れちゃうから「うんこちんちん」みたいな形状にも出来ちゃうのです。まぁ、そもそもこのゲームはゲーム内に頻繁にうんこが出てくるんですけど(笑)。


 2012年11月『とびだせ どうぶつの森』は、自分で描いた絵や服が「マイデザイン」として色んな通信で見られることが出来ます。「すれちがい通信」でも「夢見の舘」でも「クラブコトブキ」でも。それらは全て「フレンド以外」と繋がる可能性があります。というか私も、近所の小学生と頭にパンツ被った状態ですれちがっていました。でも、もし「フレンド以外の人と通信するとマイデザインが見えない」ゲームだったら、こんなに面白くなっていないですよね。

 『とびだせ どうぶつの森』をプレイしている人の中では有名な話ですが、夢見の舘という「フレンド以外の人の村にも遊びに行ける」機能を使って行く“アイカ村”という村が昨年末から話題になっていました。

 この村は一プレイヤーが実際にプレイしている村なのですが、(時間操作は使っているけど)恐ろしいほどまでに作りこまれた村で、任天堂が公式で作ったニンテンドー村がしょぼく見えるくらいのクオリティなんです。村に咲いている花・落ちているもの・雑草・もちろん家の内装などなどを全部計算して作っていて、村を散策するだけでストーリーを感じられるという村になっています。

 サイコホラー系のストーリーなので「怖い」「気持ち悪い」という誉め言葉もあれば、純粋に「ここまでゲームをやりこめるのか!」という驚嘆の声もあれば、自分のようにあの村の登場人物に感情移入してしまい数日間「アイカーーー!アイカーーーー!」と居たたまれない気持ちになっている人もいました。


 『とびだせ どうぶつの森』やってて、夢見の舘が出来てて、時間操作している村でも許せて、サイコホラーが苦手な人じゃなければ是非一度訪れてください。夢番地は2600-0218-7298だそうです。
 『ドラクエ9』の「まさゆきの地図」のように、『とびだせ どうぶつの森』の「アイカ村」は“一プレイヤーが起こした衝撃”として後世まで語り継がれるものだと私は思います。


 当然これも「フレンド以外との通信プレイ」を解禁していなかったら、みんなが知ることはなかったんです。3DSのフレンド枠は100人しかありませんから。
 話によると昨年12月17日の時点でアイカ村を訪れたのは3万人以上。自分含めてそれ以降に行った人も多いから、多分10万人くらいはアイカ村を訪れているんじゃないかと思いますし。Pixivにも「アイカ村」というタグでイラストを描いて投稿している人がたくさんいますし(閲覧するのは村に行ってからの方がイイと思います)。



【長くなったので三行まとめ】
・DSやWiiは「フレンド以外との通信」をなるべく制限していた
・でも、「フレンド以外との通信」でしか味わえない面白さもあるよね
・ということで、3DSでは半分くらいこれを解禁している方向性だった



 『トモダチコレクション』も『バンドブラザーズ』も、性能的に「DSから3DSに変わった」ことで大きな恩恵を受けるゲームではないと思います。しかし、「フレンド以外との通信」を認めつつある今の任天堂が新作を作ることで、どういう新しい遊びが生まれるのかは非常に楽しみなのです。




 そして、Wii Uです。
 Wii Uの目玉機能であるMiiverseがそもそも「フレンド以外との通信」をさせる機能ですし、「フレンドリクエスト」や「フォロー」など「知らない人ともどんどん繋がっていこうぜ!」という仕組みが用意されています。ここだけ見ると「任天堂はどうしちゃったんだ」と思われるかも知れませんが、2005年からの流れを見ると必然に思えますよね。

 「知らない人と一緒に遊ぶのがこんなに面白いのか!」と。



 ということで、次回は後編として「じゃあ、Miiverseって何をするのが目的で、何が今起こっているのよ」を書こうと思います。長かった!前編後編の二回じゃなくて、前編中編後編の三回に分ければ良かった!

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