※ この記事は2023年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
『ファミリーフィッシング』
・開発:プロペ/発売:バンダイナムコゲームス
Wii用ソフト:2011年8月4日発売
・リゾートフィッシング
・セーブデータ数:3(オートセーブ、任意セーブも可)
ハード末期には名作が多い―――とはゲーム好きの間ではよく言われる話ですが、このソフトも間違いなくその1本だと思われます。Wii末期だからこそ登場した傑作だと断言できます。
ハード末期には名作が多い―――とはゲーム好きの間ではよく言われる話ですが、このソフトも間違いなくその1本だと思われます。Wii末期だからこそ登場した傑作だと断言できます。
『ゴーバケーション』が非常に素晴らしいソフトだったので、私の中のバンダイナムコのソフト及び『ファミリー○○』シリーズへの認識が変わり、『ゴーバケーション』と同じような雰囲気の本作にも手を出してみました。実際にやってみると『ゴーバケーション』とは随分と違う方向性、でもこれはこれで物凄い完成度のゲームだと感じました。
『ゴーバケーション』はあらゆる意味で“緩いゲーム”だと思います。
ポンと箱庭空間に放り出されて「好きなように遊んでね!」というゲームでした。リスクもペナルティもなく、ただただあの空間で好き勝手に遊んで良いゲームでした。それはそれで素晴らしいゲームでしたし、大好きなゲームです。
『ファミリーフィッシング』も「リゾートアイランドにやってくる」という似たようなオープニングから始まるのですが、『ゴーバケーション』と違って「通貨」があるのでシビアなところがあります。良い釣竿を買うのにはお金が、着替えを買うにはお金が、宿泊費も移動費もお金がかかります。乗り物を借りるのにもお金がかかりますし、新しいエリアに行くためにパスを買うのにもお金がかかります。
だからこそ、ドデカイ魚を釣り上げて大金を稼いだ時の喜びは大きいので、これはこれで素晴らしいゲームだと思います。
『ゴーバケーション』と『ファミリーフィッシング』は同じ会社から発売されていて、同じような「島で自由気ままに遊べる」というコンセプトのゲームですし、同じような絵柄ですけど――――
『ゴーバケーション』は「動かして気持ちいい」を突き詰めていて、『ファミリーフィッシング』は「空間にいるのが気持ちいい」を突き詰めているゲームかなぁと思います。時間の概念があるところなんかは分かりやすいですけど。
とりあえず、『どうぶつの森』が好きな人にはオススメです!
ノンビリ出来るところもそうですし、着替えの要素なんかもすごいですし!
○ 広大なフィールド、どこででも釣りが出来る自由度、際限ない着替えアイテム

このゲームのまず凄いところは、何と言っても「物量」です。
最初はそれなりの広さのビーチでしか釣りが出来ないのですが、魚を釣ってお金を貯めることで他の地域に行くパスを買うことが出来ます。ビーチ2種類、湖2種類、川2種類、ジャングル2種類―――という8箇所を基本として、その他にもツアーを申し込んで行けるエリアや、ゲームが進めば船を手に入れて広大な大海原を自由に進むことまで出来ます。

<画像はWii用ソフト『ファミリーフィッシング』より引用>

<画像はWii用ソフト『ファミリーフィッシング』より引用>
それだけのだだっ広いエリアなのに、「水際ならAボタンを押すだけでその場で釣りが始められる」という気軽さも素晴らしいです。ゲームによくありがちな「釣りが出来るポイントはこことこことここだけ!」みたいな制約が一切ないんです。
また、エリアによってはボートやカヤックなどをレンタルして進むことが出来ますし、広大なフィールドの中のどこででも自由に釣りが出来るのが素晴らしいです。もちろん場所によって釣れる魚が違うので、「あの魚はどこにいるのか…」と探す楽しみもあります。
ゲーム内で時間が流れていることもポイントです。
朝釣りに出かけると海の向こうから朝日が昇ってくる美しい景色を見ることが出来ますし、あらゆる場所で時間ごとに変わる景色が見られるのも凄いです。どんだけ作りこんでいるのよ……と、ちょっと呆れるくらいです。空に流れる雲の量とかも日によって違うみたいですしね。

<画像はWii用ソフト『ファミリーフィッシング』より引用>
「物量」と言えば、着替えの量も恐ろしい数が用意されています。
帽子、アウター、インナー、ボトム、手袋、靴、アクセサリ(前)、アクセサリ(後)、アクセサリ(顔)、ワンピース、きぐるみ―――という多彩な項目を組み合わせて、重ね着もちゃんと出来るのも凄いです。このゲームの着せ替えを経験すると、他のゲームの着せ替えは物足りなくなってしまうかも……
色んな服を着せ替えて遊びたい女性の方や、女のコのキャラに色んな服を着せ替えて遊びたい男性の方にはたまらない機能だと言えます。
自分はよく分からいのでほとんど使いませんでしたけど、「ルアー」の数も超豊富。
魚の種類もエリアの広大さに比例して恐ろしい数がいますし。
とにかくまぁ、とてつもないボリュームのゲームなんですが――――
本当に凄いのは、こんなにも「大ボリューム」「高自由度」でありながら、「何をしていいか分からない」プレイヤーが出ないように見事に誘導しているところだと思います。
〇 「自由」、だけど「放任」ではないプレイヤー誘導
自由度の高いゲームは、時として「何をしていいか分からない」状況になりがちです。
かくいう自分も、かつてDS版の『どうぶつの森』で何をしていいか分からずに投げてしまったことがありますもの。
しかし、この『ファミリーフィッシング』はとにかくプレイヤーを導くことを徹底しているんです。
例えば「クエスト」―――最初はただ「伝言を伝えて」という簡単なものから始まり、「○○を釣り上げて」みたいなものになっていくのですが。これらをこなしているだけで、このゲームの基本的な決まりごとがちゃんと分かるようになっているのです。
あとは、掲示板から見られる「本日の目標」―――広大なエリアの中に放り出されると、どこにどんな魚がいるかは分からず途方に暮れてしまうかも知れませんが、これを確認することで「魚の名前」「大きさ」「大体の場所」が分かるようになっています。ゲーム内にちゃんとヒントがあるのが、このゲームの良いところだなぁと思います。
8エリアの「クエスト」をこなすといよいよもう何をしていいか分からなくなるかも知れませんが、そこまで進めた頃にはこのゲームのことを熟知していると思いますし、パソコンから見れるアワード(実績みたいなの)を目指すのもイイかも知れません。
アワードコンプはぶっちゃけ人間業ではないと思いますけど(笑)。「全ての魚のSランクを釣る」と「全ての釣り大会を連覇」はどうやればクリアできるんだYO!
そうだそうだ、書いておかなければならないことがまだありました。
ルアーの種類が豊富で本格的な釣り体験が楽しめるゲームですけど、釣りの知識がない人はウキ釣りだけでも全然楽しめますよ。ウキ釣りなら、『どうぶつの森』みたいにウキをたらして魚がかかるのを待つだけです。自分はルアーのことが全然分からなかったので、ほぼウキ釣りオンリーでクエストコンプまでは出来ましたから。
この辺の「本格的に楽しみたい人はルアーで」、「知識がない人はウキ釣りで」と、どちらの人も楽しめるようにしているのもイイところですね。本当によく出来たゲームです。
魚を1匹釣るたびにオートセーブされるので、「ちょっと20分だけやろうかな」という気軽な気持ちでプレイ出来るのも非常に良いです。物凄い広大なフィールドと大ボリュームだからこそ、気軽に起動できるように心がけているのは素晴らしい仕様だと思います。
〇 数少ない不満点を
これは不満点とはちょっと違うかも知れませんが……
このゲームの名前は『ファミリーフィッシング』ですが、思いっきり“一人用のゲーム”です。
『ゴーバケーション』のように家族同時に遊べるワケでもないし、『どうぶつの森』のように家族のプレイ内容が他の人に影響を与えるみたいな要素も少ないです(掲示板の写真くらい)。
『ファミリー』シリーズに入れるためか、釣りをする際に4人まで同時に竿を投げることが出来る機能も付いているんですが……誰かの竿にかかったら他の3人は見ているだけなので全然楽しくないし、「ムリヤリ入れた要素だなー」感は強いです。
一人用のゲームとして物凄い完成度と満足度のゲームではあるんですが、『ゴーバケーション』のような「家族で一緒に遊べるゲームだ」と思って買っちゃうとマズイかなぁと思ったので一応。
あとは、「キャラの髪型を途中で変えられないこと」も不満点です。
いや、攻略サイトを見たら変える手段もあったみたいなんですが、その条件を達成するにはものすごい時間がかかって&とてつもない難易度なので正直自分にはムリです。『どうぶつの森』の美容院くらいの緩い条件で髪型を変えられたら、着せ替えゲームとしての到達点になれたかもなぁとちょっと残念でした。
全体的に文字が小さいのもマイナス。
『ゴーバケーション』の時も文字の小ささには閉口しましたが、今作はテレビの前に近づいて見ても文字が潰れちゃってて読めないことがありました(32インチの液晶テレビにD端子接続の場合)。
「文字を読むゲームじゃないから致命傷にはならないだろう」と思うかも知れませんが、逐一丁寧に挟まるTIPS(説明文)が読めないので、ウチの母なんかは操作方法を分からないままプレイしていました。説明書を薄くして、本編のTIPSを充実しても、それが読めなくちゃどうしようもないですよ。

<画像はWii用ソフト『ファミリーフィッシング』より引用>
このゲームの「水族館」の仕様は素晴らしいと思います。
同じ魚を複数釣っても、一定数までは水族館に寄付されますから、「釣れば釣るほど水族館が豪華になるぜー」と思えるのですが。
せっかく豪華にした水族館を観に行っても、どれがどの魚だか分からないというのが残念。
いや、私が魚をちっとも覚えないから悪いんですけど、『どうぶつの森』の水族館のように展示されている魚の名前が見られる仕様だったら良かったのにとどうしても思ってしまいます。そうすれば魚の名前も覚えられて、「魚検定」に役立ったと思いますし。
〇 総評
これだけ大ボリュームのゲームなんで、不満点が全くないワケではないんですが……
それを踏まえた上でも、Wiiを代表する完成度の高いゲームだったと思いますよ。
釣りゲームとしても、着せ替えゲームとしても、素晴らしい出来でした。
「釣りゲーム」というジャンルだから食わず嫌いしている人も多いと思いますし、Wiiにとっては「大ボリューム」なことがプラスに働かないのも分かるんですけど……一人でじっくり楽しめるWiiのゲームを探している人には、とにかくオススメです!
(関連記事:釣りゲームは何故面白いのか。)
そうだ。このゲームは専用コントローラ「さおコン」同梱版が発売されていますが、なくても問題なくプレイできるので、Wiiリモコン+ヌンチャクの両手フリー状態が好きな自分はソフト単品版を買いました。買った当時、価格が2000円くらい差がありましたし。
現在のところはそんなに価格差はないみたいなんで、お好きな方をどうぞ。
――2025年追記――
この記事を書いてから13年が経ちましたが、「さおコン」同梱版のソフトは駿河屋等で今でも買えるみたい。流石に、ソフト単品で中古で買うよりかは価格差がありますが……
このゲームの続編を待ち望む人は多いのですが、開発したプロペはもうないも同然ですし、プロデューサーの中裕司さんはスクウェア・エニックスに移籍した後に色々とやらかしたので難しそう。
どこか、「似たような作品」で構わないから出してくれないかなぁ……
コメント
コメントを投稿