※ この記事は2010年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2026年に移行した記事です

<画像はアニメ2期『けいおん!!』第24話より引用>
『けいおん』面白かったね語りの第3弾。
とりあえず予定していたのはコレでラストです。大トリに相応しく今まで敢えて書かなかったことを書こうと思っています。実は自分、今まで和について語ったことってほとんどなかったんですよ。
自分は『けいおん!』1期の頃、「和ちゃん冷遇されてんなー」と思っていました。
序盤こそガッツリ出番がありましたが、徐々に出番が少なくなって……久々に出てきたと思ったら澪律のケンカの原因になったり、浴槽をザリガニで埋められたり(笑)。13話のハンバーガー屋のシーンも、14話の年越しシーンも、軽音部の5人に憂やさわちゃんという組み合わせは何度も描かれているのに――そこに和の姿はありませんでした。
だから、和って可哀想なキャラだなーと思っていたのです。
でも、2期を観て考えが変わりました。
実はこの作品において、和ちゃんだけは特別な存在だったんだ―――と。
『けいおん』アニメのキャラは全て「成長」を軸にして語られています。
「大人になることを受け入れた唯」や「“仲間”になることが出来た梓」は言うまでもなく、澪やムギちゃんも1期の序盤とは別人のように成長しました。律っちゃんについては意見が分かれそうですが、1期11話のアレを経て周りとの関係が変わったのは間違いないです(かつて「律っちゃんのくせに…」と言っていた唯が、「律っちゃんなら出来るよ!」と言うようになった)。
憂も脱・共依存しましたし。「成長」とはちょっと違うのかも知れませんが、純ちゃんも「やっぱり軽音部羨ましい!」と言えるようになりました。さわちゃんですら、己を隠すことを辞め、2期26話で「軽音部は廃部にはさせないわ!」と言えるように変わりました。
和ちゃんだけが違うんです。
彼女だけは、1期1話の頃のままなんです。
生徒会に入ったり、生徒会長になったりという過程の中で、葛藤や成長があったのかも知れませんがそれは作中では描かれませんでした。唯視点の『けいおん』という作品の中では、それは「いつの間にか」の出来事なんです。
真鍋和に与えられた役割―――
原作ではここまで露骨に描かれてはいませんでしたし、1期の頃からこういうまとめ方をするとは考えていなかったでしょうし、結果的にそうなったという方が正しいのかも知れませんが。
和は「変わることを許されなかった」キャラなんです。
「変わり続けた」唯を描くために――――
○ 和から見た「唯との距離」
1期1話、和は唯にとって「ただ一人の頼れる存在」として登場しました。
幼なじみで、前後の席で、一緒にお昼ごはんを食べて―――和は部活すらなかなか決められない唯の背中を押して、唯は和にしがみついて生きていました。和に抱きついたまま帰ったこともありました。
でも、唯は軽音部に出会ったのです。
キッカケはしょうもないものでしたが、何も持たずにボーっと毎日を生きていた彼女が初めて出会えた夢中になれるもの・掛け替えのない場所。
和「唯にも打ち込めるものが出来たのね……
嬉しいような哀しいような…」
1期2話のセリフ。このセリフの後のオチはアレなんですけど(笑)。
でも、このセリフは後々の唯と和の距離を考えると切ないものがあります。
1年目はまだまだ和が唯を助けるシーンが何度も出てきます。
追試勉強の時に差し入れを持ってきたり、文化祭の時に模擬店の当番の代わりを探してくれたり。唯が前に進むために力を貸してくれたのが和でした。
しかし、2年目になると唯と和は別々のクラスになってしまいます。
幼稚園からずっと不思議な縁で一緒だったのに……
唯は和と別のクラスでも変わらず楽しそうに毎日を送れていましたし、軽音部に毎日一生懸命(お茶を飲むのに)で―――いつの間にか和の助けを必要としない人間に成長していったのです。
そして、3年目―――
再び唯と和は同じクラスになります。
1年目と同じように前後の席。でも、1年目とは決定的に違います。唯には“軽音部の仲間”が出来たから。
澪「えっ?和、一緒の班じゃないの?」
和「4人で1つの班って決まりだし、軽音部で回った方が楽しいでしょ?
大変だと思うけど、唯のことよろしくね。」
2期4話のセリフ。
このセリフ、澪視点では「厄介者が2人もーーー!!」とギャグちっくに描かれていましたが。
和視点で考えると寂しいシーンですよね。唯はもう“和とは違う場所”に自分の居場所を見出したということですし。教室では1年目と同じように前後の席だけど、2人の関係は1年目の関係とは違うんだと見せつけたシーンでした。
和「さっき唯がこれでもマシになったって言ったけど…
それって多分、軽音部のおかげだと思うの。だから、ありがとう」
2期8話で、澪・ムギ・梓に言ったセリフ。
和は唯の“変わらない部分”を語り続けてきたキャラですし(1期12話が典型的なシーン)、2人の関係は変わらないと描いてきたのだけど(2期14話の毛布かけてあげるところとか)、だからこそ和もまた「唯が成長している」ことに気付いていたんですよね。
アニメ版では明言はされていませんけど、2期8話や22話を観る限り―――
軽音部の4人は同じ大学に進みますが(梓も後から追いかけるという描写もチラホラ)、和は違う大学に進むみたいです。
軽音部の4人が「これからも一緒に」と誓い合った一方で、その場所に和の姿はありません。
幼稚園から不思議な縁を続けていた唯と和は、大学で初めて別々の道を進むのです。
今から思うと、この3年間は「唯が和から巣立つための3年間」であったかのようでした。
2期24話。
卒業式を終えたシーン。
和「唯も卒業ね…」
唯「おかげさまで」
2人、目を合わせるシーン。
唯はとっくに気付いていたはず。「U&I」の歌詞を書いた当人だから。
「キミがそばにいることを 当たり前に思ってた
こんな日々がずっとずっと 続くんだと思ってたよ
ゴメン 今は気づいたよ
当たり前じゃないことに
まずはキミに伝えなくちゃ
“ありがとう”を――」
――――――「U&I」の歌詞より
和と一緒の時間は終わる。
それが「大人になること」だから。成長して自立した唯は、和から巣立たなければならないから。
和「私、生徒会室に寄っていくわ」
唯「うん!」
律「じゃーな、和」
ムギ「じゃあねー」
澪「またな」
階段を昇る4人と、降りる和。
これから先、両者が別々の道を進むことを暗示したシーンでした。これが……“別れ”。
でも、
でも、
唯は足掻くんですよね。
唯「和ちゃん!!」
和「……ん?」
唯「今日!帰れたら一緒に帰ろう!」
和(何も言わずに微笑み、指を広げる)
唯「電話するねー!」(同じように指を広げる)
別々の道を進む2人だけど、
「また会える」んです。関係は変わったかも知れない、距離は遠くなるかも知れない、一緒の学校に通っていた時ほど頻繁には会えないかも知れない。でも、「また会おうね!」と約束することで、また会えるんです。
階段を昇る唯の足取りは楽しげで、ちっとも未来を悲観していないんですよね。
唯はずっとそうだった。1期13話の時も、2期12話の時も、いつだってバラ色の未来が待っていることを信じてやまないのです。
「卒業は終わりじゃない
これからも“仲間”だから」
―――「天使にふれたよ!」の歌詞より
「天使にふれたよ!」は梓のために作られた曲だけど……
きっと「U&I」で「U」に当たる人全てに向けられた歌詞なんだと思うのです。もちろん和にも。
真鍋和というキャラは、決して華のあるキャラではなかったと思います。
「けいおんで好きなキャラは誰?」的な人気投票をしてTOP3に入るようなキャラでは決してなかったと思います。出番もそれほど多くはなかったし、律っちゃんのように「人気がない」とネタにされる人気があったワケでもないし、ムギちゃんのように二次創作で大活躍するキャラでもなかったと思います(笑)。
でも、『けいおん!』&『けいおん!!』という作品において―――
絶対に欠かすことの出来ない名脇役だったなと思うのです。
飛び抜けて個性的だったメインキャラ達が輝いたのは、和のようなサブキャラクターがいたからだと思いますし。そんなキャラに対しても、最後の最後に“別れ”の先の向こうがあることを描いたこの作品は流石だったと思います。
唯「私達の演奏、聴いてくれる?」
このセリフで終わるというのが、何とも。
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