『写真で格闘!フォトファイターX』レビュー/超お手軽な格ゲーツクール

 
※ 著作権に配慮して、画像に一部加工をしています

※ この記事は2010年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です



『写真で格闘!フォトファイターX』
公式サイト
・任天堂
 ニンテンドーDSi用:2009年12月16日発売
・写真でつくる格闘アクション



 このゲームは、DSi&DSiLLをインターネットに繋ぐことでダウンロード購入できるDSiウェアのゲームです。価格は200円。自宅に無線LAN環境がなくても、全国のDSステーション設置店やニンテンドーゾーンでも購入できます(ただしマクドナルドでは購入できないそうな)。

※ 2025年追記:ニンテンドーDSiウェアの購入は2017年に終了しました。DSステーションやニンテンドーゾーンも現在は終了しています。


 このゲーム、『脳トレ』のディレクターをしていた河本浩一さんがゲームコンセプト、プロデューサーをしていた高橋伸也さんがゼネラルプロデューサーを務めています。
 『脳トレ』スタッフは任天堂の岩田社長が非常に信頼しているチームですから、200円という戦略的価格は「内容が薄いから200円」なのではなく、「一人でも多くの人にDSiウェアの魅力を知って欲しいから200円」なんだと思うのです。『脳トレ』の定価が2800円だったのに通ずる話。

 どんなゲームかというと……
 DSiのカメラとマイクを使って、自分や友達を『ストリートファイターII』のような格闘ゲームのキャラクターにしてしまうというゲームです。


 ここだけ知って、「アイディアのあるゲームだけど、オレ友達いねえからこんなゲーム買ってもなぁ…」と思った人に言いたい!
 友達ならオレもいないよ!!

 このゲーム、友達がいなくてもすげー面白いんです。

 一人でも多くの人にこのゲームとDSiウェアの魅力を伝えたくて、今日は「自分はこうやって一人で遊んでいるよ」という例を幾つか紹介したいと思います。



○ 誰にでも、お手軽にキャラが作れてしまう
 まずは、我が家にある間接可動式のフィギュアを用いることに。





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 ダ●ボー。






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 しかし、このキャラ……頭が超デカイので画面に収まりません(笑)。
 実際の画面では「中の人」に出てきてもらうことにしました。







 それと、間接可動式と言っても肘も膝もないので、ポーズが取れないという誤算が(笑)
 ちなみにこれは「しゃがみ」のポーズ!ちっとも枠に入りきらねえ!

 ぶっちゃけ、頭さえ入れば後はハミ出しまくっても気になりませんよ!






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 こんなカンジで一人目のファイターが完成しました。
 しかし、このままだと声がありません。原作(?)では女子小学生が「中の人」ですから、声も女子小学生がやらないとおかしいのですが、生憎僕には女子小学生の友達はいませんし、そもそも友達がいないからフィギュアをキャラとして登録しているんでした。だから、開き直って野太いオッサンの声で台詞を入れておきました。

 もし次回作が出るのなら、ボイスチェンジャー機能とか欲しいですね。
 正直、「声の印象」は大きいので……カメラで撮れるかどうかよりも、声が録れるかどうかで判断した方がイイかもです。




 ここまでの話を読んで「オレ、友達もいねえけど、フィギュアも持っていないし…」と思った方がいらしたら、ここからが本番です。僕も間接可動式はダ●ボーしか持っていないので、このままだと「キャラが一人しかいない格闘ゲーム」で終わってしまいます。


 こんなところでは終われない!なので……






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 自分で描いちゃいました。

 『と●る科学の超●磁砲』から佐●涙子さんの参戦です。


 「自分で描くのなんか大変じゃないの?」と思われるかも知れませんが、格闘ゲームツクールなどで本格的に作るとなると膨大な量の絵を用意しなければなりません。それに比べると、『フォトファイター』は13枚しか必要ないんですよ。ポーズに関しては、その内の10枚だけ。

 ものすごくディティールを細かく描いても、DSiカメラの性能だから大したところまで映りません(笑)。
 いや、多分ゲームに使えるように画質落として保存されるんじゃないのかな……よく分かりませんけど。なのでテキトーに描いちゃっても大丈夫だと思いますよ。色さえ間違えなければそれなりに見えますし。



 こういう遊び方はスタッフも想定しているらしく、公式サイトにはイラストを描いてファイターを作りたい人向けの枠画像なんかが用意されています。自分はこれに気付かずに、自分でカメラ向けて枠線に沿って線を引いてその中で描いたんですけど………


 自分だけの手作りファイターだと、色んな遊び方が出来て楽しいですよ。
 例えば……




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 佐●さんがレ●ルガンを撃つ!みたいな遊びが出来ますもの。

 原作がゲーム化されたとしても絶対に実現されない夢の組み合わせも可能なんですよ。

 ちなみに、肝腎の音声は……と言うと。
 音声収録のボタンに合わせて、アニメのシーンを再生して台詞の部分だけ拝借しました。

 これで伊藤●な恵ちゃんの声が四六時中聴けるぜ!!ハァハァ。



 いやでもマジな話、絵より声の方が重要だと思います。
 絵が描けないって人はいっそのことキャラは棒人間とか黒一色でもイイんじゃないかな。プロの声優さんって凄いですよ。声を拝借すると、もうそれだけで「あ、超●磁砲のゲームだ」って思いますもの。

 ただまぁ、コレは個人で楽しむだけにした方がイイでしょうね。ネットにアップとかしちゃうと、色んな会社から「こら!」って怒られますから。この記事とか大丈夫なのだろうか??


 あ、あと一つアドバイス。
 音声収録は「10種類」なんですが、全部律儀に「台詞」にするとゲームにした時クドくなっちゃいます。例えば、パンチとキックのどちらかは擬音(座布団を叩く音とか)にすると、良いアクセントになると思いますよ。






 さて、一つ目は「間接可動式のフィギュアを使う」、二つ目は「自分で描いてしまう」と来まして――
 「音声はなるべくオフィシャルなものを使う」のがそれらしく見えるコツだと書いてきたのですが。

 これだと「オレ友達いないし、フィギュアも持っていないし、絵も描けないけど、棒人間はイヤだよ!」という人が出てくると思います。
 そんな人でも『フォトファイター』を楽しめるとっておきの方法があります。







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 『大乱闘ス●ッシュブラ●ーズX』を用意します。

 コントローラを二つ用意して、二人対戦(当然友達はいないのでどっちも自分)、時間無制限のストック制にして、ステージは白い背景の「ピク●チャット」辺りにします。んで、自分で操作をしてパンチをした瞬間ポーズボタン!カメラ機能を使ってアングル調節して、手持ちのDSiから『フォトファイター』を起動してパシャッと撮影。

 音声は、「サウンドテスト」から効果音を再生する機能があるので、そこから拝借すればあっという間に完了です。





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 やたら格好つけて、巨大デ●の実を投げるガ●ンドロフ。

 ただし、幾つか問題があって……
 『フォトファイター』はファイターの体格が決まっているので、人間らしくない体型のキャラは余白だらけになっちゃうんですよね。それと、調子に乗って『ス●ブラ』のキャラばかり作っていると、じゃあ『ス●ブラ』やれよって話になっちゃいますし(笑)。だって、ゲーム部分は『ス●ブラ』の方が面白いですもの!そりゃそうだ!!







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 ということで、他のソフトも出してみました。






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※ 著作権に配慮して、画像に一部加工をしています

 「リ●ウvs.ガ●ンドロフ」みたいな夢の対決も、『フォトファイター』なら簡単に実現可能です!

 写真のピントがボケボケなのはご勘弁下さい。
 一人で、DSを操作しつつタイミングに合わせてデジカメのシャッター切るの大変なんですよ……『フォトファイター』はポーズボタン押しちゃうと画面の色が変わっちゃうので。

 2D格ゲーならどの作品でも『フォトファイター』に使えそうなんですが、カメラとマイクで取り込むという性質上、「ポーズボタンを押しても画面の色が変わらない」のと「サウンドテストでキャラの台詞が自由に再生できる」ゲームだと楽です。そうでないと、一人ではちょっとムリ。波●拳出した直後にシャッターなんて切れません。






 とまぁ……四つの例を出しましたが、如何でしたでしょうか。
 当然、「普通に友達や自分を撮って使う」のも面白いと思いますよ。「俺vs.ガ●ンドロフ」みたいな夢の対決も出来ますし。

 どうせ撮るなら、服を変えてみるとか、女装してみるとか、コスプレしてみるとか。
 コスプレイヤーの人達からすると夢のようなゲームじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。「ガ●ンドロフvs.ガ●ンドロフのコスプレした俺」みたいな夢の対決も出来ますし(笑)。

 ただし、自分一人で自分を撮るのはちょっと至難の業ですね。
 一応、音声付のセルフタイマーで「自分を撮る」ことは出来るんですが、セルフタイマーだと枠に入っているか分かりませんから……




○ 続編への要望……というか、「続編は出るのか?」
 とまぁ、ここまで大プッシュしてきたように、「キャラ作り」の手軽さと楽しさはものすごいのですが。
 じゃーこのゲームが永遠に楽しめるものかというと、作ったキャラを使うゲーム部分の奥が超浅いんで、キャラを作り終わったらそこで試合終了です。忘れた頃に起動して、「うわーこんなん作ったなぁ」とニヤニヤするくらい(笑)。


 ゲーム部分のモードは二つ。

 「対戦モードで遊ぶ」は『ストリートファイターII』のような格闘ゲームで、向き合って二人のキャラが戦うものです。  ですが、ガードも投げ技もないので、格闘ゲームとして楽しむのはちょっと厳しいです。あと、1台のDSを二人で持ってプレイというのも操作性に問題ありますし。いや、まぁオレは友達いないんで実際に対戦プレイはしていないんですけどね。一人で対戦モードに入って、「右手のオレvs.左手のオレ」で遊んでみただけなんですけどね。


 「1人モードで遊ぶ」は、ファミコンの『スパルタンX』のように横スクロールのアクションゲームで、他のファイターを100人抜きでやっつけるというものです。このゲームでは8人までファイターを登録出来るので、残りの7人が敵に回ることになります。

 ただ、敵の行動パターンは7つしかなく、それぞれ同じ攻撃しかしてこないのですぐに飽きます。
 もうちょっと展開に緩急付けるとか、50人目とか100人目には強敵が出てくるとかしても良かったのになあと思います。




 「続編が出たら直して欲しいところ」は山のようにあります。
 ゲーム部分をもうちょっと強化して欲しいとか、ファイターの体型を変えられるようにして欲しいとか(現状だとみんな同じ身長・体型になってしまう)、余白部分を削れるようにして欲しいとか、さっき書いたボイスチェンジャー機能とか、長台詞を使いたいとか、写真を撮ってステージに使えるのならSDカード内の曲をBGMとして使えるようにして欲しいとか、ダウンロードプレイで対戦したいとか、タッチパネルを素手で触らせるのをいい加減やめてくれとか、インターネットを通じて作ったキャラをフレンドと交換出来るようにしてくれとか―――多分、要望は100コくらい出せます。


 でも、コレらの要望に応えて定価4000円のパッケージソフトとして発売したら売れるのかと言うと……うーん。
 このゲームって「凄く好き!」という人と、「何が面白いの?」という人に分かれると思うんですよね。

 この記事を読んで「私もキャラ作りたい!」とアイディアが出てくる人は間違いなく楽しめます。ゲーム部分のショボさも含めて、アハハと笑えると思います。
 でも、「自分でキャラを作る」ことが面倒くさい・恥ずかしいと思う人も多いでしょうし、そういう人には何も面白くないゲームだと思います。クロスレビューしたら、8点や9点を付ける人と、3点や4点を付ける人に分かれてしまうゲーム。そういうゲームをきっちり作ってパッケージソフトで販売するよりも、作りこめていない状態でも200円のダウンロードソフトとして販売する方がメーカーにとっても消費者にとっても幸せなことなのかもって思うのです。


 いや……そうは言っても、『フォトファイター3DS』は出して欲しいですけどね。
 『絵心教室』のように、パッケージ版を出して日の目を見させてあげたいソフトなんですけどね。





● 総評
 このゲーム、どっちかというと「人に見せたくなる」ゲームなのかなぁと思います。
 自分にしても他のキャラにしても、ファイターを作ったら人に見せてゲラゲラ笑いたくなるゲームだと思うんです。


 なので、遊び方的には『トモダチコレクション』に近いのかなぁと思います。

 「友達のMiiを作る」のと「友達に13種類のポーズを撮影させてもらって10種類の音声を収録させてもらう」のでは、ハードルの高さが全然違うとは思うんですが。その分、キャラ作りの過程に面白さがあるし、そうして出来たファイターには人一倍の愛着が湧くというものです。『トモダチコレクション』のように、卒業前とかクラス替え前にクラスメイトと集まって撮って&録っていくのも、思い出のアルバムになってイイかも知れませんね。



 ということで、個人的には今世代機のゲームソフトを象徴する1本だと思っています。
 10年後に「DSのソフトで思い出に残っているものは?」と訊かれた際に、『脳トレ』と並んでコレが思い出されると思います。それくらいインパクトがあったし、多くの人に知ってもらいたいと思ったソフトでした。万人受けするとは決して言いませんが、興味を持った人は是非買ってみて下さい!200円ですし!!



―2025年追記―
 「こんなゲーム、存在すら知らんかった……」という人も多いかと思いますが、なんとこのゲーム……PS Vitaにパクられています!!


 『リアリティーファイター』
 『フォトファイターX』の2年2ヶ月後となる2012年2月に、『フォトファイターX』の20倍の価格である3980円で発売されました。

 まぁ、直接パクったのか、たまたまアイディアが被ったのかは分かりませんが……200円の『フォトファイターX』でもマイナーだったのに、こちらはフルプライスだったので、Vitaユーザーの間でもほとんど知られていない(フリプに入った際にちょっと話題になったくらい)更にマイナーなゲームになってしまいました。

 使う写真は「顔」だけで、体型も自由に選べて、バトルスタイルを15種類から選べて、オンライン対戦も可能―――と、私が書いた「100コの要望」に応えて、定価4000円のパッケージソフトで発売したゲームだったそうなのですが……
 どうもその結果、『フォトファイターX』の魅力をことごとくそぎ落としたみたいなゲームになっちゃったみたいです。


 『フォトファイターX』は「写真のためにポーズを撮ってもらう」「ポーズのイラストや写真を用意する」のが楽しかったのに、『リアリティーファイター』は顔認識だけにした結果手軽にはなったけど「イラスト」などでは顔認識してもらえなくなっちゃったそうなんですね。あと、声の収録もないっぽい。
 オンライン対戦が可能と言っても「自分の顔」をオンラインに晒すことに抵抗のある人も多いでしょうし、ネットでレビューを探しても酷評の嵐……どうせパクるなら、「ゲームの本質」を見極めてパクってくれよ!!!


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