
<画像はテレビアニメ2期『けいおん!!』第6話より引用>
※ この記事は2010年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
※ この記事はアニメ版1期『けいおん!』全14話及び、2期『けいおん!!』の6話「梅雨!」までのネタバレと、原作コミックス2巻までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。やっぱ『けいおん!!』は面白いね!
…ということを思う存分語りたいのですが、アニメ2期はめでたいことに放送地域が物凄く増えたこともあって。「地域によって放送されている話数が違う」ために“どこまで本編の話を書いてイイか”を躊躇ってしまいます。なので、今回のように「この記事は○話までのネタバレを含むよ!」と最初に書いておこうと思います。
今回の記事は、2期6話「梅雨!」までのネタバレを含みます。
ストーリーの本筋とは全くもって関係なさげな話を書くんですけどね。
でも、一応念のため。自分だったら「コレくらいのネタバレも嫌」なので。
ここから本題です。
先ほども書いたように、アニメ2期は「1期が放送されていなかった地域」でも放送されていることもありますし、1期の頃は興味がなかった人も「話題になっているから」と2期から観始めているって人も多いようで……一人でも多くの人に『けいおん』を好きになって欲しかった自分としても、嬉しい限り。
スタッフ側もそれを見越して……なのか。序盤は「2期から観始める人」に向けてキャラや設定を見せることに力を注いでいたように思えます。2期1話は梓、2話は唯、3話は律、4話は澪――と、1期の頃にそれぞれ描かれた“それぞれの成長ストーリー”を描き直していましたからね。
しかし、
それでもやっぱり「説明しきれていない設定」はどうしたってあるもので―――
Twitterを見ていたら、面白い疑問を呟いている人がいたんですよ。
「平沢さん家のご両親はどこにいるの?」と。
そのおかげで、そう言えば2期ではその辺の説明が全くされていない!と気付いたのです。
♪ 家族構成:両親、妹(憂)の4人家族。
父親は商社マンで海外勤務も多く、留守がち。
母親は父親の世話のために海外へよく赴くため、
娘2人で過ごすことが多い。
公式設定です。1期ブルーレイ1巻、唯のプロフィールカードより抜粋しました。
補足をすると、唯曰く両親はラブラブ夫婦なので「よく2人で旅行に行っている」とのこと。なので、平沢家の様子が描かれても両親の姿はないんですね。
よし!答えが出た!今日はこれにて解散!!
というのも、何なので……ちょっと1期の頃に描かれた「唯憂姉妹の両親」を想起させるシーンをまとめてみようかなと思います。自分としても気になることがあったので。
【第1期】
● 第1話「廃部!」
・唯が慌てて家を出る際、テーブルに用意されていた朝食は“2人分”でした。
・恐らくは、唯と憂の分。
・車庫には車があります。この車はいつ乗られてんの?
● 第2話「楽器!」
・唯がギターを買うために貯金箱を開けているシーン。
・憂が「お母さんに頼んでお小遣い前借りさせてもらおう!」と提案しています。
・“次の休みの日”に唯は前借りした5万円を持ってるので、お母さんは家にいたのだと推測出来ます。
・出張先からお小遣いを振り込んだとかの手はあるけど……
● 第3話「特訓!」
・軽音部のみんなが平沢家を初めて訪れる回。
・「いきなり押しかけて大丈夫?」と心配するみんなに、唯は「お父さんは出張でお母さんはその付添いで家にいないんだ」と説明していました。
● 第7話「クリスマス!」
・まずは幼少期の頃のエピソード。
・チビ唯が「今年はサンタさん来るのかなー」と言っていたり、
・憂のモノローグで「その日お姉ちゃんはたくさん叱られました」と言っていたり、
・流石に、この頃はちゃんと家に親がいたみたいです。
・現在のエピソード。
・色々あって平沢家でクリスマス会をすることに。
・唯曰く「その日は両親はドイツに旅行に行って家にいないんだ」とのこと。
・澪達の「ラブラブ夫婦!?」というモノローグと、後姿のイメージ図あり。
● 第10話「また合宿!」
・憂が梓と律を連れてくるシーン。
・もはや何の説明もなく、「家にスイカがあります」としか言っていない(笑)。
● 第13話「冬の日!」
・唯「今度の休みにウチで鍋やろうよ!」と提案。
・結局みんなには断られ、「憂とギー太と3人で…」と言っていたので両親は不在な模様。
● 第14話「ライブハウス!」
・大晦日になだれ込むようにみんなで平沢家に。
・ここでも説明はないのだけど、
・実は原作では「今年は(両親)飛行機の中で初日の出を見るんだって!」という説明がありました。
とりあえず1期での描写をまとめてみました。
2期は先ほども書いたように「何の説明もない」のですが……そもそも1期の頃から不自然って言えば不自然なんですよね。一応の「いない理由」は説明されていますし、そこに文句をつける気はないのですが。自分の疑問はそこではなくて……
娘が楽器を始めて、学園祭やライブハウスで演奏しているというのに。
ここの両親は一度も観に来たことがないんですよ。
仲の悪い家族というワケでもないでしょうし、唯なら「恥ずかしいからお父さんもお母さんも観に来ないでよ!」みたいなことは絶対に言わないでしょうし、考えてみると不思議な話です(澪やムギなら両親にそう言うかも知れないけど)。
ということで……
こうして1期のシーンを整理することで、一つの仮説を思いついたのです。
ひょっとしたら、唯憂姉妹の両親はとっくに死んでいて、姉妹はその事実を認められず必死になって「お父さんもお母さんも家にいないだけだよ!」と言い張っているんじゃないでしょうか。
そう考えれば全てのつじつまが合うじゃないか!
こんなにも毎回両親の姿が確認できないのも、それを姉妹が気にしていないのも、あの車はいつ乗られているんだってのも、全て説明が付くのです!
○ 『けいおん!』アニメに“親”の姿はない
とまぁ、オカルトなんだかサイコなんだかなフザケタ冗談はここまでにしまして――
上に書いた「唯憂姉妹の両親は既に死んでしまっているのでは?」説がネタとして成立するのかをしばらく様子見していたのですが……ものの見事に、唯憂姉妹の両親の姿が明確に描かれたシーンが出てしまいました。つまり、両親はご健在だったんですよ。それが明らかになったのが2期6話。
唯の部屋に飾られている写真が映るシーン……
左下に、「憂がギー太を持って、唯が教えている」1枚があるんですけど。この2人の向こうに、エプロン&スリッパ姿の女性らしき脚が写っているんです。唯と憂は恐らくパジャマですし、平沢家で憂以外にエプロンをつける女性と言えば“母親”と考えるのが自然ですよね。
そして、重要なのがもう一つ。
この写真、誰が撮っているんでしょう?
唯も憂も自然体でカメラを意識してませんから、セルフタイマーではない模様。手を伸ばして撮った“自分撮り”でもないみたいです。そーすると、これは“父親が撮った写真”と考えるのが普通ですよね。“父親の視点”からの構図。
実は、『けいおん!』アニメって“親からの視点”で描かれている作品だと思うのです。
親の目線から、子ども達の「理想的な友人関係」とか「成長物語」とか「大人になっていく過程」とかを描いているんじゃないかと思うのです。「自然体」でありながら「性的な描写や恋愛描写は極力見せないようにしてある」のも、そういう意図のように思えます。(そー言えば、プリキュアアニメに恋愛要素がなくて友情メインなのは親の目を意識してのことだみたいな話がこないだ新聞に書かれてた。唐突に思い出した)
そう考えれば、登場人物達の“親の姿”が描かれない意図も分かりますよね。『ドラクエ』の主人公が喋らないみたいな話。
唯憂姉妹に限らず、『けいおん!』キャラの“親”の姿は描かれません。
【唯&憂の両親】
・1期7話で澪達がイメージした後姿
・2期6話の写真に写っていた“母親らしき人物”の脚
【澪の両親】
・描写なし
【律の両親】
・描写なし
・弟は出てくる
【ムギの両親】
・1期4話に写真(絵かも)でチラッと登場
・でも、顔は確認できないレベルの描写
・あと、マユゲが似ているという噂(笑)
・しかし、ムギちゃんは『けいおん』キャラの中でも特別な存在なので例外という気もする
【梓の両親】
・音楽一家だとかの説明があった気がする
・家のシーンは何度か描写されるも、両親の姿は描かれず
【和の両親】
・1期12話の過去エピソードで声だけ登場
・姿は描かれず
・しかし、あのエピソード、唯はどうしてザリガニを和の家に持って行っていたんだろう……
ちなみに、原作漫画版の話……
アニメ1期7話で澪達が唯憂姉妹の両親をイメージする絵が後姿なのですが、原作漫画版だと正面から描かれているのですよ。アニメ版もコマ送りで見ると、原作のキャラデザに準拠する形で描かれているのが分かるのですが(笑)。原作では正面から描かれていたものを、敢えてアニメでは後姿にしたというのは何かの意図があるんだろうって思います。
この他にも原作→アニメの再構築の中で、(さわちゃん以外の)大人のキャラクターは出番を削られているという点も面白いのですが。長くなったのでこの辺で。
つまり、アレですよ。
オイラは唯憂姉妹の父親になりたい!
さすれば、姉妹がイチャイチャしているのをずっと眺めていられるから!!
―2025年追記―
※ この追記は、原作コミックス全巻(4巻)までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
・結局みんなには断られ、「憂とギー太と3人で…」と言っていたので両親は不在な模様。
● 第14話「ライブハウス!」
・大晦日になだれ込むようにみんなで平沢家に。
・ここでも説明はないのだけど、
・実は原作では「今年は(両親)飛行機の中で初日の出を見るんだって!」という説明がありました。
とりあえず1期での描写をまとめてみました。
2期は先ほども書いたように「何の説明もない」のですが……そもそも1期の頃から不自然って言えば不自然なんですよね。一応の「いない理由」は説明されていますし、そこに文句をつける気はないのですが。自分の疑問はそこではなくて……
娘が楽器を始めて、学園祭やライブハウスで演奏しているというのに。
ここの両親は一度も観に来たことがないんですよ。
仲の悪い家族というワケでもないでしょうし、唯なら「恥ずかしいからお父さんもお母さんも観に来ないでよ!」みたいなことは絶対に言わないでしょうし、考えてみると不思議な話です(澪やムギなら両親にそう言うかも知れないけど)。
ということで……
こうして1期のシーンを整理することで、一つの仮説を思いついたのです。
ひょっとしたら、唯憂姉妹の両親はとっくに死んでいて、姉妹はその事実を認められず必死になって「お父さんもお母さんも家にいないだけだよ!」と言い張っているんじゃないでしょうか。
そう考えれば全てのつじつまが合うじゃないか!
こんなにも毎回両親の姿が確認できないのも、それを姉妹が気にしていないのも、あの車はいつ乗られているんだってのも、全て説明が付くのです!
○ 『けいおん!』アニメに“親”の姿はない
とまぁ、オカルトなんだかサイコなんだかなフザケタ冗談はここまでにしまして――
上に書いた「唯憂姉妹の両親は既に死んでしまっているのでは?」説がネタとして成立するのかをしばらく様子見していたのですが……ものの見事に、唯憂姉妹の両親の姿が明確に描かれたシーンが出てしまいました。つまり、両親はご健在だったんですよ。それが明らかになったのが2期6話。
唯の部屋に飾られている写真が映るシーン……
左下に、「憂がギー太を持って、唯が教えている」1枚があるんですけど。この2人の向こうに、エプロン&スリッパ姿の女性らしき脚が写っているんです。唯と憂は恐らくパジャマですし、平沢家で憂以外にエプロンをつける女性と言えば“母親”と考えるのが自然ですよね。
そして、重要なのがもう一つ。
この写真、誰が撮っているんでしょう?
唯も憂も自然体でカメラを意識してませんから、セルフタイマーではない模様。手を伸ばして撮った“自分撮り”でもないみたいです。そーすると、これは“父親が撮った写真”と考えるのが普通ですよね。“父親の視点”からの構図。
実は、『けいおん!』アニメって“親からの視点”で描かれている作品だと思うのです。
親の目線から、子ども達の「理想的な友人関係」とか「成長物語」とか「大人になっていく過程」とかを描いているんじゃないかと思うのです。「自然体」でありながら「性的な描写や恋愛描写は極力見せないようにしてある」のも、そういう意図のように思えます。(そー言えば、プリキュアアニメに恋愛要素がなくて友情メインなのは親の目を意識してのことだみたいな話がこないだ新聞に書かれてた。唐突に思い出した)
そう考えれば、登場人物達の“親の姿”が描かれない意図も分かりますよね。『ドラクエ』の主人公が喋らないみたいな話。
唯憂姉妹に限らず、『けいおん!』キャラの“親”の姿は描かれません。
【唯&憂の両親】
・1期7話で澪達がイメージした後姿
・2期6話の写真に写っていた“母親らしき人物”の脚
【澪の両親】
・描写なし
【律の両親】
・描写なし
・弟は出てくる
【ムギの両親】
・1期4話に写真(絵かも)でチラッと登場
・でも、顔は確認できないレベルの描写
・あと、マユゲが似ているという噂(笑)
・しかし、ムギちゃんは『けいおん』キャラの中でも特別な存在なので例外という気もする
【梓の両親】
・音楽一家だとかの説明があった気がする
・家のシーンは何度か描写されるも、両親の姿は描かれず
【和の両親】
・1期12話の過去エピソードで声だけ登場
・姿は描かれず
・しかし、あのエピソード、唯はどうしてザリガニを和の家に持って行っていたんだろう……
ちなみに、原作漫画版の話……
アニメ1期7話で澪達が唯憂姉妹の両親をイメージする絵が後姿なのですが、原作漫画版だと正面から描かれているのですよ。アニメ版もコマ送りで見ると、原作のキャラデザに準拠する形で描かれているのが分かるのですが(笑)。原作では正面から描かれていたものを、敢えてアニメでは後姿にしたというのは何かの意図があるんだろうって思います。
この他にも原作→アニメの再構築の中で、(さわちゃん以外の)大人のキャラクターは出番を削られているという点も面白いのですが。長くなったのでこの辺で。
つまり、アレですよ。
オイラは唯憂姉妹の父親になりたい!
さすれば、姉妹がイチャイチャしているのをずっと眺めていられるから!!
―2025年追記―
※ この追記は、原作コミックス全巻(4巻)までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
うぉおおおおおお!
この話は『けいおん!』以降の方が面白い話になるぞ!
『けいおん!』(アニメは2009年~)の大ヒット以降、「メインキャラが全員女性」「男性はほとんど出てこない」アニメが覇権を取っていきます。
代表的なのが『ラブライブ!』(アニメは2013年~)シリーズで、『ラブライブ!』シリーズに登場する男性は「小学校低学年より下の男子」くらいで、父親すら後姿しか描かれません。あまりに画面に映らないせいで、本来その施設にあるはずの「男子トイレ」すら消されていたほど。
どうして『ラブライブ!』に男性が登場しないのか―――という話も掘り下げると面白いのですが、それは今回の主題から外れるので端折ります。
『ラブライブ!』シリーズでは父親が登場しない代わりに、母親はむちゃくちゃ登場します。ここは『けいおん!』とはちがうところなんですが、『けいおん!』が「大人の介入しない学生だけの空間」を描いている(さわちゃんは除く)のに対して、『ラブライブ!』は「男性がいなくても成り立つ、女子だけで何かを成り立っている世界」を描いているからなのかなぁと思います。
さて、『ラブライブ!』以降はどうかというと……
実は『ラブライブ!』フォロワーの作品も、『ラブライブ!』ほど男性禁制じゃないんですよね。父親は登場するし、もちろん母親も登場します。
『バンドリ』(アニメは2017年~)は戸山香澄の父親は何故か姿が描かれませんが、山吹沙綾の父親はアニメ1期から登場するし、ゲーム版でも蘭ちゃんのお父さんや友希那さんのお父さんは立ち絵付きで初期から登場します。
ブシロードルールでは「男キャラは、第二次性徴前の男児と、父親(くらいの年齢)ならOK」らしい。商店街のおじさんとかも(立ち絵はないけど)ゲームでは普通に出てきますもんね。
『ラブライブ!サンシャイン』の監督と脚本家のガールズバンドアニメ『ガールズバンドクライ』(2024年~)も、メインキャラは女性ばかりでしたが、主人公の父親は登場するし、「ガールズのノリ嫌いなんだよね」お兄さんやいつもひどい目に合うメガネのサラリーマンなど20~30代の男性キャラも登場します。
『けいおん!』と同じ、きらら系のアニメはどうかと言うと……
『ごちうさ』(アニメは2014年~)はチノちゃんのお父さんも、ココアちゃんのお母さんも登場するし。『ゆるキャン△』(アニメは2018年~)は、志摩リンの両親も、なでしこの両親も、どちらも登場します。
『ぼざろ』(2022年~)は、ぼっちちゃんの両親どちらも登場しますが、お父さんのみ顔(目のあたり)が絶妙に隠されて描かれません。これはちょっと『ラブライブ!』っぽい。
ということで、「全キャラの両親が出ない」『けいおん!』ってかなーーーり特殊なんですよね。特に日常系だと。他にないワケではありませんが、スタンダードにはなっていません。
何故かを考えると……両親が描かれないことで、「実在性」が薄く、「ファンタジー性」を強く感じるキャラになると思うんですね。「ファンタジー性」を重視するライトノベルとかだと両親が出ない作品も少なくなくて、「実在性」を重視するきらら系とかラブライブ系の作品では親がしっかり描かれるってことなのかなと。
そして、これ……敢えてここまで書かないようにしたのですが。
『けいおん!』の原作だと、最終盤に普通に両親が出てくるんですよね。もちろん、「今まで出てこなかった両親がついに……!」みたいな登場だったので、意図してやっていることなんですが。
両親が描かれないことで、「実在性」が薄く、「ファンタジー性」を強く感じるキャラになる―――理論で言うと。それこそ、読者&視聴者がキャラ達を「娘のように」応援できていたところ、最後に両親を描いたことで「あ……この娘は、他人の家の娘だったわ」と現実に引き戻す狙いがあったのかもと思わなくもない。
つまり、『けいおん!』原作版のラストは、実質『ドラクエ1』のエンディングだったってこと……??
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