※ この記事は2009年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です
始めに断っておきますと……
自分は桜井さんの作ったゲームをそれほどやっているワケではありません。ファミコン版『カービィ』とWiiの『スマブラX』くらいです。ファミ通のコラムも以前は読んだり読まなかったりでしたが、最近は半端なく時間がないのでファミ通自体を手にとっていません。なので、熱狂的な彼のファンということではないです。
遊んだことのある2本のソフトに対しても、「面白いけどココがちょっとなぁ…」という不満もありました。
ただ、そんな距離感の自分からしても。
"桜井さん率いるプロジェクトソラ”が今現在どんなゲームを作っていて、果たしてそれが世間に受け入れられるのかという“これからの話”には物凄く注目しています。
恐らくは、続編ソフトではない「新作ソフト」でしょうし。
桜井さん曰く「よりヘビーにゲームをする方々にも求められて、かつ新しい提案があるようなものにしたい」とのことですし。推測ですけど、「据置ゲーム機用のソフト」でしょうし。
日本国内のゲーム市場は長らく「新作ソフトが売れない」時代が続いています。
『脳トレ』『Wii Sports』『Wii Fit』のような例外はありますけど、アレは全部まとめて「任天堂のTouch!Generations」という認識をしている人も多いでしょうし。非続編ソフトな新作ソフトで50万本以上売り上げたゲームというのは随分と出ていない……と書きながら、ついこないだ『トモダチコレクション』についての記事を書いたことを思い出しました。自分の記憶力の酷さに乾杯!
まー、『トモダチコレクション』も例外とすると……例外ばっかりになってしまいそうですが(笑)。
こんな風に(?)「新作ソフトが売れない」時代に、新しい風穴を開けてくれることを期待しているのです。自分は「面白かったゲームの続編は買わない」主義なので、『スマブラ』の続編よりも完全新作ソフトを作ってくれそうな今のプロジェクトソラに期待をしています。
ということで、今日は「桜井さんのチームは今何を作っているのかな??」を予想(妄想)したいと思います!年の瀬に来年どころか再来年のことを語るのがウチのブログだぜ!
1.機種はどれになる??
今動いているプロジェクトは「任天堂が依頼した特別案件」とのことで、任天堂ハード用のソフトになるのは間違いないです。
本命はWii、可能性は少ないだろうけどDSという芽もありつつ、実は対抗馬として“DSの次の携帯ゲーム機”ということもあるのかなと思っています。自分の予想パーセンテージで言えば、80:5:15くらいかな。普通に考えれば“Wii用ソフト”になるんでしょうけどね。
プロジェクトソラの採用情報に依ると、勤務開始が2009年5月で、プロジェクト終了は2年を予定しているとのこと。ということは、2011年5月がプロジェクト終了ってことなのかな?もちろんスケジュール通りにいくかという問題もあるので目安の時期でしかないんでしょうけど。
2011年というと、まず間違いなく“DSの次”は出ている時期でしょう。
“Wiiの次”に関しても噂はされていますけど、個人的には「任天堂はもうちょいWiiで粘るんじゃないかな」と思っています。少なくとも日本国内は「Wiiだから売れていない」のではなくて「据置機だから売れていない」という問題を抱えているので、この状態で次世代機に切り替えようなんて策は自爆にしかならないだろうと。
なので、“DSの次”は出ているだろうけど、任天堂が解決しなければならない最優先事項に「Wiiソフトの充実」がある限り、桜井さんにもそれを依頼しているんじゃないかと自分は予想しているのですが……果たして。
2.ズバリ、“どんなゲーム”だと思う?
"任天堂岩田社長との対談”の中に幾つかのヒントが含まれています。
・桜井「任天堂があまりやらなそうな企画をあえて手間がかかってもやろうと。」
・岩田「それで、われわれ(※任天堂プラットフォーム)が提供できるソフトラインナップがもっと豊かになって、より幅の広い人が面白いと思ってくれたり、興味をもってくれるんじゃないかなと。」
・桜井「単純に費用対効果を考えたら、タッチジェネレーションズみたいな企画に走るんですけど、自分に求められているのはそうではない、と認識しています。」
・岩田「僕らからすれば、任天堂や任天堂に近いところから出るものと変に重なることはなく、喜んでくれるお客さんの顔が想像できたので、勝算が持てたのですけど。」
・岩田「任天堂の提案できることの幅が広がるのはすごくありがたいことだと思います。」
(※)や太字強調など、一部手を加えました。
注目すべきはこの3つかな。
○ 任天堂や任天堂に近いところ(HAL研やISなどのセカンドパーティ)が得意にはしていないもの
○ かと言って、奇をてらったものではなく「遊ぶ人」を意識しているソフト
○ 新しい提案をしつつ、ヘビーに楽しむことも出来る
桜井さんのこれまでの代表作からも予想することが出来て……
喩えば『星のカービィ』は、2D『マリオ』全盛期に様々な2Dアクションが出てきてゲームが難しくなっている時代に「誰でも遊べるアクションゲーム」を目指して作られたソフトです。「反射神経がないからマリオは出来ないけどカービィなら出来る」という女のコも結構いますよね。
喩えば『スマッシュブラザーズ』。90年代中盤辺りまでゲーム業界の花形だった格闘ゲームが、どんどん複雑になって覚えることが増えてしまって、“初心者お断り”なジャンルになりつつあった当時。格闘ゲームをベースに、アドリブ重視で大逆転も可能な“初心者でも楽しめる”「乱闘ゲーム」という道を切り開きました。
そして、『メテオス』。ゲームがムチャクチャ上手いと評判の桜井さんが「『ぷよぷよ』は苦手」というところから、落ちモノパズルへの(自分も含めた)偏見を打破しようと作られた作品だそうな。この辺は「ひそかにレポート」(※ 2025年現在確認したところ公式サイトはもうなくなってしまったみたいです)を参照。
というか、『メテオス』の「ひそかにレポート」は今のプロジェクトを予想するのに役立つ資料かも。
フリーになって最初に作ったゲームが、『カービィ』や『スマブラ』のようなゲームではなく、過去に捉われない新しい作品(『メテオス』)で良かった―――と仰っていて。まさかその1ヵ月後に元上司に脅されて『スマブラX』制作を始めなきゃならなくなるとは!と思いますけど(笑)。
その元上司に依頼されて、今度は『スマブラ』ではない新作ソフトを作ることになるんですからね……
閑話休題。
つまり。桜井さんの過去の実績を見ると、「全く新しいジャンルのゲームを作る」のではなく「既存のジャンルが抱えている問題点に注目して“誰にでも楽しめるゲーム”へと間口を広げる」のが得意な人なんだと思うのです。
桜井さんって「物凄い数のゲームをする」筋金入りのゲーム好きなのに、自分が作るゲームは「ゲームがあまり得意でない人に向けたゲーム」になるというのは……一見すると矛盾しているようなんですが、物凄く辻褄のあった話だとも思うのです。「コレ、俺は大好きだけど、人には薦めにくいなぁ」「ここを直せばみんなも楽しめるんじゃね?」という目を持っているというかね。
……これで。ヒントが揃いました。
「任天堂が得意としていないジャンルのソフト」
「ジャンル自体が問題点を抱えていてなかなかブレイクスルー出来ていないジャンル」
「喜んでくれるお客さんの顔が想像できる」
みなさんも答えが分かりましたかね?
そうです。これしかないと思います。桜井さんが現在作っているであろうソフトは、ずばり……
ギャルゲーに間違いないです。
あぁっ!石を投げないで……!
3.誰に向けたゲームなのか
まー、ギャルゲーはもちろん冗談ですけど。
個人的には、FPSとかTPSとかの3Dシューティングだったら面白そうだなと思っています。現在の日本市場でのFPSの状況って、90年代末期の格ゲーと近いものを感じるんですよ。好きな人は「ルールがシンプルで奥が深い」「人と一緒に遊べるのって楽しいじゃん!」と言うのだけど、手を出せない人は「もう自分には何が何だか…」と思ってしまっているという。
FPSに関する記事を幾つか書いた背景には、実は「桜井さんが作っているソフトってFPSなんじゃね?」と思いついたからという事情があったのんですが。
ま、その可能性はないな。と、今では考えています。
少なくとも、岩田さんが桜井さんに期待している仕事はそこではないんじゃないかな。
日本市場で売れるWiiソフトを作って欲しい―――
これは来年以降の任天堂にとって必須仮題です。
今年は『Wii Sports Resort』『Wii Fit Plus』『NewマリオWii』の三本柱があった任天堂でしたが、来年以降に発売予定のキラータイトルは実はあまりありません。キラータイトルというのは“100万本が狙えるソフト”という意味ね。
海外では売れるであろう『マリオギャラクシー2』や3D『ゼルダ』ですが、国内では恐らく100万本はムリでしょう。『ゼルダ』はまぁ、前作は本体同発だったからある程度数字は伸ばしそうですが、『マリオギャラクシー2』が前作以上に売れるとは思えませんからね。
“ジョーカー”として期待しているのが「Wiiバイタリティセンサー」でしょうし、これはまぁソフトを見てみないと何とも言えないのですが―――大ヒットしたとしても『Wii Sports』『Wii Fit』の流れでしょうし、いわゆる「ヘビーにゲームを楽しむ人」を満足させるものではないでしょう。
こういう表現はあまり好きではないんですが、イメージを捉えやすいので使います。
一方の端を『Wii Sports』『Wii Fit』「Wiiバイタリティセンサー」などがメインになる「ライトユーザー」だとして、その反対側の端が『モンスターハンター』などのサードメーカーソフトが強い「ヘビーユーザー」だとして、その中間に当たる橋渡し部分(端渡し部分)がWiiは弱いので(『NewマリオWii』くらいだろうか)(本来その役目を担うはずだった『マリオギャラクシー』が上手くいかなかったことも大きいよね)。
そこを桜井さんに埋めて欲しいと考えているんじゃないかと。
ならば海外市場よりも深刻な国内市場の方が優先順位は上で、国内では売れる算段がまだまだ見えないFPSなんか作らせている場合じゃないだろうと―――「FPSなんか」というのも失礼な話ではありますが。
4.「任天堂には出来ないこと」って何だ?
と、すると……何だろう。
「RPG」という選択肢が無難なんですが、桜井さんってあまりゲームでストーリーを語りたがる人ではないんですよね。とすると、いわゆる和製RPGよりも、MMORPGとかだったら面白いかも。Wiiに特化した、“時間をかけなくても楽しめる”MMORPGとかどうよ。
でも、それは任天堂本社が作らなきゃいけないソフトな気もしますけどね(笑)。
『どうぶつの森』と『トモダチコレクション』の延長線をMMOでやると、新しい体験が出来そうなんですけど……Wiiのオンライン接続率からすると売上げは厳しいか。いやでも、それなら尚更自社で作らないとならんのじゃないかな。
「任天堂が作れないソフト」なんてバンバン思いつきそうなのに、イザとなるとイメージし辛いですね。
アクションは言うまでもなく任天堂の十八番で(2Dも3Dも)。
レースゲームは『マリオカート』と『エキサイト』シリーズがあって。
スポーツは『Wii Sports』とマリオスポーツシリーズがあって。
シミュレーションRPGは『ファイアーエムブレム』が当然のようにあって。
パズルやアドベンチャーはセカンドパーティと協力して沢山作っていますし。
パーティ&ボードゲームは『マリオパーティ』があって。
音楽ゲームは『バンブラ』と『リズム天国』があって、Wiiには『Wii Music』があって。
コミュニケーション系は『どうぶつの森』があって。
育成は『nintendogs』があるし。
任天堂が苦手な「グロい描写」とか「エロい描写」とかは、それこそ桜井さんの得意分野ではないでしょうし。
「経営シミュレーション」とか?いや、それもどうなんだ?非アクションゲームの可能性があるのか??
「結論:よく分からん」でこの記事を締めくくったら怒られますかね?(笑)。
でもやっぱり「FPS」とか「MMO」とか、あの辺のラインが匂う気はするんだよなぁ……日本ではマニア向けの商品になってしまったジャンルというか。
「FPS」なんかは、桜井さんがガチで“初心者向け”に作ると面白くなりそうな気はするんですよ。格闘ゲームを『スマブラ』という競技にしてしまった人なので、よりライトに、よりスポーツ色を強めにして、「FPS」への心理的ハードルを打破してくれそうな気はするんですが……それでもやっぱり日本市場では厳しいのかなぁ。
本命:FPSやTPSのような3Dシューティング
対抗:MMORPG
大穴:ギャルゲー
全部「大穴」な気もする!
※ 2025年追記:
正解はこの記事の一番上に載せた動画のソフトです。しっかり答え合わせになっているのでどうぞ。
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