「DSを遊ぶのに相応しいのは外?それとも自宅?」+「据置ゲーム機のメリットって何なんだろう?」

 

※ この記事は2009年に旧ブログに書かれた2つの記事を手直しして1つにして2025年に移行した記事です

 数週間前の伊集院光さんのラジオで、DSの『マリオ&ルイージRPG3!!!』を電車内で楽しく遊んでいたら「マイクに向かって思いっきり息を吹きかけろ!」という場面が出てきて困ったという話をされていました。「ああいう仕掛けをやりたいのなら、(家で遊ぶ)Wiiで出せばいいじゃんか!」というのが伊集院さんの御意見。



 「Wiiにマイクは付いていませんよ」というツッコミはさておき。
 言わんとすることは非常によく分かります。僕は外にDSを持ち歩かないのですが、自分の部屋で『どき魔女2』をやっている際に、「俺を罵ってくれ!」などの変態発言をマイクに向かって叫ばなきゃならなくて隣の部屋で寝ている両親に聞こえるよなーと困ったことがありました。(結局、部屋を移動して叫んだ)



 そう考えると、DSというのは不思議なゲーム機ですよね。
 携帯ゲーム機ではあるのですが、タッチペンやマイクなどの入力装置は“持ち歩いて外で遊ぶ”には不向きなはず。「マイク」はもちろん、「タッチペン」だって揺れる電車内などでは正確な操作が出来ません。正確なタッチを要さなくても、タッチペンでグルグル回すような操作は人前では恥ずかしくて出来ないと言う人は多いでしょう。

 携帯ゲーム機でありながら、遊ぶ場所・遊ぶシチュエーションを限定しているのがDSというか。大ブームのきっかけとなった『脳トレ』だって、しっかりとした姿勢・状態でプレイされることを想定されたゲームでしたものね(マイクが使える環境かは訊いてくれるけど)。

 携帯ゲーム機は、携帯“も出来る”ゲーム機であって。
 「テレビがなくても遊べる」「部屋の何処ででも遊べる」「寝っころがってでも遊べる」など、自分の家で遊ぶ場合でも得られるメリットは大きくて。
 だから、DSを自宅でのみ遊んでいるという人は多いだろうし、そういう人をターゲットに考えて『マリオ&ルイージRPG3!!!』のようなゲームが作られるのも不思議ではないんですよ。伊集院さんの言わんとすることは分からなくはないですけど、それは「家でゲームを遊ぶ」環境が整っている伊集院さんだからこその発言であって。みんながみんなそうではないというか。



 「このソフトは自宅で遊ぶことを想定しています」
 「このソフトは電車内でも快適に遊べるように考えました」
 「『どき魔女』を遊んでいるところを他人に見られると犯罪者扱いされますよ」


とか、パッケージにでも書いてくれるとありがたいんですけどね。この話は「HDゲーム機とHDモニター」の時に散々議論して平行線のまま終わったんですけど。やっぱり僕は、ゲーム内容以前のところで、「作り手が想定しているプレイ環境」と「遊び手のプレイ環境」がズレてしまうことは悲劇だと思うのです。これはセーブポイントの頻度とかもそうか。


 いやでも待てよ。
 『マリオ&ルイージRPG3!!!』は思いっきしTVCMで「タッチペン」とか「マイク」を使っていた気もしますね。あのCMを流しても、「マイクを使うなんて聞いてねえよ!」と言われるのはちょっと可哀想だとも思うか………CM観ていない人にとっては「そんなん知らん!」という話ですが。

 「自宅で遊ばれることを想定しているDSソフト」が確実に存在する一方で、DSiのカメラ機能なんかは思いっきり「DSを外に持ち歩いてもらう」機能ですし。このゲーム機はどこで使うものかという認識が、ユーザーの間でもメーカーの間でもズレているのかもと思いました。



 ということで、久々に「投票フォーム」を設置してみます。
 DS(もちろんDS LiteやDSiも含みます)を主にどこでプレイしているのかをお聞かせ下さい―――「プレイ」の定義はお任せします。「主に」の範囲もお任せします。「前はDSやっていたけど今はやっていない」という人も、当時のことで宜しいのでお聞かせ下さいな。

※ アンケートはもちろん現在は終了しています
※ 結果は当時2週間後に書かれた↓の後半部分で





 2週間ほど前に「DSを遊ぶのに相応しいのは外?それとも自宅?」という記事を書き、閲覧者の方々に「DSをどこで遊んでいる?」というアンケートを募りました。ご回答下さった皆さま、本当にありがとうございます。

 2週間前に「期限は2週間」というアンケートを取ったから既に締め切られていると思いきや、どうやら今日までアンケートは受け付けているみたいですね。計算をミスりました(笑)。でも今日はこの話です。


 この記事を書いている3月16日朝の時点では、こういう結果となりました。

【DSをどこで遊んでいる(使っている)?】
・自宅のみ(21票/53.8%)
・外でも自宅でも(17票/43.6%)
・外のみ(1票/2.6%)


 もちろんこういうタイトルの記事に集まって下さった人達のご意見なので、DSユーザー全体にそのまんま反映されるワケではありませんが……過半数の人が「DSを遊ぶのは自宅でのみ」と仰っているのは、想像以上の結果でした。  「家で遊ばせたいのならWiiで出せよ!」という伊集院さんのような御意見もあるでしょうが、DSを自宅でのみ遊ぶという人が過半数ということは、家で遊ぶ用のDSソフトが出るのも理に適っているのかもなーと思いました。


 つーか、そう考えると「据置機でゲームを出すメリット」って何?
 マジメな話……どこの陣営の信者とかアンチとか、ライトゲーマー/コアゲーマーとか、言葉遊びをしている場合じゃないと思うんですけど。「据置機でゲームを遊びたい人」が急激に減っていることを、ゲーム業界全体で考えなきゃならないんじゃないかと本気で不安になります。

 最近のWiiのソフト不足に対する批判の中に、「他陣営がヒット作を連発しているのに任天堂はもう終わったよな」みたいな意見がありましたけど―――ゲハ的な煽りという目的ではなく、現実問題『メタルギアソリッド4』も『龍が如く3』も『バイオハザード5』も国内では50~60万代の売上げに落ち着きそうです。これでイイの?大丈夫なの?
 これはもちろんWiiも一緒。任天堂が掲げる「ユーザー層拡大商品」を除くと、一人用のゲームは大体この辺りに上限があります。『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』はもうちょい下のライン、『スーパーマリオギャラクシー』はもうちょい上のラインですかね。多分、今Wii用『ゼルダ』の新作出してもこのラインでしょうし、個人的には『モンハン3』もこの辺りに留まるんじゃないかと予想しています。


 現在の日本で、「一人用のゲーム」を据置機で出そうとすると……ハーフミリオン越えが何とか、ミリオン到達は厳しいというのが数値的な事実だと思うんですよ。もちろん重要なのはゲーム内容ですけど、どんなに面白いソフトであっても上限がその辺りで今後もゲーム業界大丈夫なんですかね?
 これには色んな要因があると思いますし、それを語り始めると「誰が悪い」みたいな不毛な犯人探しになりそうなので割愛しますけど―――正直、どこの陣営とかライトとかコアとか言っている場合じゃないんじゃないですかね。


 国内では据置機全滅。
 主要ソフトメーカーは海外市場を狙ったソフトで勝負→国内ではますますゲーム離れ、という悪循環が始まりそうで(始まっていそうで?)、それでイイの?と思うんですけど。



【据置ゲーム機のデメリット】
・テレビが必要
・テレビを占拠する
・配線やら置く場所やらが必要
・ソフトの開発費が高い
・なので(?)、ソフトの発売サイクルも長い


 もっと時間かければ思いつきそうですが……とりあえずこんなもんで。
 「テレビが必要」というのは当たり前だけど、なかなかに厄介な問題ですね。多分。今自宅で携帯ゲーム機を遊んでいる人の中には、「テレビを見ながらゲームもプレイしている」って人も多いと思うんですよ。据置ゲーム機の場合は、基本的にはそれは出来ないですよね(Wモニターみたいな機能も今ではありそうですが)。

 後はまぁ、テレビの解像度の話とか、Wiiの場合は部屋のスペースの話とかもありますね。
 外部入力の端子の数が決まっているので、PS2を遊ぶためにはWiiのケーブル抜かなきゃならないみたいな意見も聞いたことがあります。いやまぁ何か専用の機器とか使えば上手く出来るのかも知れませんが、一般論としてね。
 本体の電源入れるとポンと起動してくれる携帯ゲーム機の方が、複数ハードを同時期に遊ぶ人には向いているとも言えるのかも。



【据置ゲーム機のメリット】
・テレビの画面でプレイできる
・処理能力が携帯ゲーム機よりも高い(色んなゲームが作れる)
・コントローラの形状を自由に出来る
・一つの画面を複数人で共有できる
・インターネットへの常時接続を前提としたゲームが可能


 一つ目はデメリットと背中合わせではあるんですが……大画面だから面白いゲームというのは据置ゲーム機のメリットは大きいですよね。二つ目も同じような感じで。
 三つ目のコントローラは「Wiiリモコン」に適した『メトロイドプライム3』みたいな例は言うまでもなく、グリップの問題とかボタン配置の問題なんかもありますよね。以前友達に「PSPでウイイレ買ったんだけど(PS2と違って)グリップないから操作しにくい」と言われ、「PSPにPSコントローラみたいなグリップ付けるアタッチメントあったと思うよ」と答えたら、「携帯しにくくなるじゃねーか」と言われたことが(笑)。

 四つ目はジャンルに依るかー。
 喩えば『マリオカート』や『モンハン3』みたいな画面分割してのプレイって、携帯ゲーム機でそれぞれのモニターに映した方がイイという意見もあると思うんです。ただ、『ウイイレ』とか『スマブラ』とか一つの画面内で収まるゲームの場合は、ギャラリーも共有できるという意味で強みはあるかも。

 「後ろから見ていても楽しいゲーム」とかは、据置機でのメリットは大きいかもですね。
 ……で、ここで忘れちゃいけないなのは、だからといって「ストーリーメインのゲーム」はその例に当てはまらないということ。映画のDVDを借りてきたから一緒に観ようぜ、と言うのと、新しいRPG買ってきたから一緒にやろうぜ、と言うのとでは別物です。拘束時間とかプレイしている人としていない人の差がハッキリしているというか。

 携帯ゲーム機でアドベンチャーゲームが好調だったのは競合相手が文庫本とかコミックスといった紙媒体だったからで、据置ゲーム機でアドベンチャーゲームを売ろうとすると映画のDVDやテレビドラマ・テレビアニメなんかとガチで競合しなきゃならなくなるんじゃないかと……


 ということで、各社インターネットによる独自機能を掲げて今世代の据置ゲーム機は売り出されているワケですが、それが日本のユーザーにはイマイチ響いていないというか。「別にネット対戦とかしたくないし…」「金がかかるのはイヤだ」と、ネガティブな印象を持っている人は今でも多いんじゃないかと。




 『街へいこうよ どうぶつの森』が出た時、世間での評判と自分の感想にギャップがあって凄く驚いたんですよ。
 僕はDS版はあまりハマれずWii版にはそれなりにハマったんですけど……それは「服のディティール」とか「靴を変えられるようになった」とか「一部屋に置ける家具の数」とか「ボイスチャット可能」だとか、据置機だからこそ可能になった新要素が気に入ったからです。
 でも、それは全ての人に届いたワケじゃなくて、「DS版と変わらない手抜き商品」みたいなことを言う人もいました。DS版にはなかった要素に惹かれた自分からすると「全然違うじゃん!」と思うんですけど、「変わらない」と思う人も沢山いたワケです。

 自分はまだまだ据置ゲーム機の方に愛着がありますし、「据置機だからこそ可能なもの」には頑張ってもらいたいです。それはPS3のグラフィックとか、Xbox360のネットワークとか、Wiiリモコンによる新しいゲーム感覚とか、これから先出てくる“ゲームの未来”に期待している部分なんですが……


 多分、そこにはもう期待していない人が沢山いるんだろうなぁと思うのです。
 「グラフィックが良いからって何万円もかけられないよ」「お金払ってまで他人と繋がりたくないよ」「新しい操作方法なんて面倒くさいよ」と思う人が沢山いる中で、そうした人達に据置ゲーム機を売っていくのってどうしたらイイんでしょうね?


コメント