『OneShot』レビュー/その輝きは「一度きり」!ネタバレを踏む前に遊んで欲しい逸品アドベンチャー

 

<画像はSteam版『OneShot』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
戦闘の緊張感もアクションの腕も要らない、「お使い」と「謎解き」のアドベンチャーゲーム
太陽がなくなった世界で、「ニコ」を操作して世界を救う旅に出かけよう!
見たことのない演出、見たことのない謎解き、ゲームってここまで出来るんだ!?


『OneShot』
・開発:Future Cat LLC、発売:KOMODO(DEGICA GAMES)
 ※ 家庭用ゲーム機版の発売はDANGEN ENTERTAINMENTから
 Steam版:2016年12月8日発売(2017年9月7日、日本語化対応)
 Nintendo Switch版:2022年9月22日発売
 プレイステーション4版:2022年9月22日発売
 Xbox One&Xbox Series X|S版:2022年9月22日発売
・謎解きアドベンチャーゲーム
・セーブスロット1つ(常時オートセーブ)



 私がエンディング到達にかかった時間は約4.5時間でした
 追加チャプターも含めた時間は約07時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(崩壊している世界を冒険する話なので、つらい展開もある)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(ニコにモノマネさせるシーンはちょっと恥ずかしい?)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・白人酋長もの:○(外からやってきたニコが救世主として世界を救う話ではある)
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・男女の恋愛:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

※ この記事は2023年に旧ブログに書かれたものを幾つか手直しして2025年に移行した記事です

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◇ 戦闘の緊張感もアクションの腕も要らない、「お使い」と「謎解き」のアドベンチャーゲーム

<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 今年の2月にプレゼントでいただいた『OneShot』、むちゃくちゃ面白かったので紹介記事を書きます!


 ただし、このゲーム……本音を言うと、「何の情報も入れずに遊んで欲しい」と思っています。Steamのレビュー欄を見ると、みんな一様に「レビューなんて読むな!」「攻略サイトも見るな!」と書いていて、具体的なゲーム内容にまったく触れていませんからね。私もその気持ちはとても分かります。

 タイトルの元となっている「one shot」は、「一度きり」「一回限り」という意味の英熟語です。リプレイ性のない「一度きり」の物語なので、ネタバレを喰らってしまったら大きく魅力を失ってしまいます。


 でも、残念ながら……「ネタバレしたくないから何も説明しない、とにかく手に取ってくれ!」と書いただけで手に取ってくれる人なんてほとんどいないことは、長年ブログを続けて身に染みて理解しています。

 今の世の中、コンテンツが溢れすぎていて「ネタバレしたくないから何も説明しない、とにかく手に取ってくれ!」って作品も無数にあって、何も説明されていないから区別がつかないし覚えられないと思うんですね。
 かく言う私もプレイするまで、この『OneShot』も、『Inscryption』も、『There Is No Game: Wrong Dimension』も、『Out of Frame / ノベルゲームの枠組みを変えるノベルゲーム。』も、全部「プレイする前に事前情報を入れてはいけないやつ」という同じ本棚に入れてあって区別ついていなかったですもの。

 なので、この記事では第1項「戦闘の緊張感もアクションの腕も要らない、「お使い」と「謎解き」のアドベンチャーゲーム」、第2項「太陽がなくなった世界で、「ニコ」を操作して世界を救う旅に出かけよう!」、第3項「見たことのない演出、見たことのない謎解き、ゲームってここまで出来るんだ!?」と、徐々にネタバレの深度を上げて書いていきます。
 第1項が「ゲームシステム」、第2項が「キャラクター、世界観」、第3項が「謎解きやギミックの方向性」となります。

 読者の皆様は「面白そうだから買おう」とか「今はまだ買えないけどウィッシュリストに入れておこう」と興味を持ってくれた時点で、もう読むのをやめちゃって結構です。最後まで読まなくてOKです。そのつもりで書きますので。



 では、ここからが紹介記事です。
 このゲームは元々2014年に『RPGツクール2003』で作られて公開されたフリーゲームです。このフリーゲーム版は英語のみで日本語はありません。一応、このフリーゲーム版も今でも遊ぼうと思えば遊べるみたいなんですが……ネット上でダウンロードできるそれが正規のものなのか海賊版なのか、英語が読めない私には分からなかったので諦めました。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 そこから、2016年に有料ゲームとしてリメイクされてPC(Steam)で発売されたのが本作で、2017年には日本語化に対応してくれました。長らく「家庭用ゲーム機向けには移植不可能」と言われていましたが、2022年に「World Machine Edition」というバージョンで1から作り直されてNintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One&Xbox Series X|S向けに発売されました。

 個人的には、よほどのこだわりがない限りは「PCで遊ぶ」ことをオススメしたいです。


 という経緯のため、ゲームの根幹は「RPGツクールがベース」です。
 見下ろし視点で、ダッシュが出来て、人々に話しかけたり、気になるところを調べたり……ただし、戦闘はありません。アクション要素もありません。
 公式に日本語化された時期が近いのと、パッと見が似ている(そうか?)からか、『Undertale』と比較されることが多いらしいんですが……私としては「全然ちがうゲーム」だと思います。

<OneShot>
・2014年6月30日 フリーゲームとして公開
・2016年12月8日 Steamでリメイク版(本作)が発売
・2017年9月7日 Steam版が日本語化対応
・2022年9月22日 家庭用ゲーム機版が発売

<Undertale>
・2015年9月15日 海外でPCゲームとして発売
・2017年8月16日 PS4・Vita版が公式に日本語化されて発売
・2017年8月22日 英語版しかなかったSteam版も公式に日本語化対応
・2018年9月15日 Nintendo Switch版が発売
・2021年3月16日 Xbox One版が発売



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 ゲームとしては、マップ上を走り回ってアイテムを集めたり、人々の話を聞いたりしてストーリーを進めるアドベンチャーゲームです。見た目的にも、『RPGツクール』で作られたことからも、RPGのフォーマットを使ってはいますが……ゲームの構造はテキストアドベンチャー、特に様々な仕掛けを解いて突破口を開くところなんか「脱出ゲーム」に近いかなと思います。

 まぁ、『ポートピア連続殺人事件』に「戦闘」を足したのが『ドラゴンクエスト』だと考えるなら、RPGから「戦闘」を抜くとテキストアドベンチャーになるんですよね。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 私が気に入っているのは、アイテム周りのシステムです。
 手に入れたアイテムは、1回押すと「装備」になって、その状態で使いたい場所を調べると「使う」、渡したい人に話しかけると「渡す」になります。「装備」した状態で他のアイテムを押すと、その2つのアイテムを「組み合わせる」になります。

 普通に作ったら、(特に日本人の感覚だと)アイテムを選ぶと「使う、渡す、組み合わせる」といった選択肢が出てきて、それを随時選んでいく……みたいになると思うんですが、『OneShot』の「装備した状態で調べたり話しかけたりするだけでOK」なのは直感的で、かつアイテム欄を開く手間が省けてすごく好きです。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 このゲームが大好きな私でも、欠点だと思うのは「画面の暗さ」です。
 「太陽が失われた世界」が舞台だからしょうがないんですが、とにかく画面が暗くて見づらくて、特に序盤はどこが道なのかすら見づらくて、入口に気づかずに何十分も彷徨ったところがあります。スクショに撮ってもなお分からん!

 画面が暗いことでマップとマップのつながりを把握するのも難しくて、「全体マップが欲しい~~~」と何度も思いました。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 一度行った場所にワープできるファストトラベルはあるのだけど、画面が暗くてここが何の場所なのかも把握しづらいのに、文字でしか表示されないのでどこに行くのかがさっぱり分からん……「波止場?」と思ってワープしてみて、初めて「この移動できない場所は海だったのか!山だと思ってた!」と驚いたことがありました。

 「RPGツクール」のシステムだと難しいとかあるのかも知れませんが、「全体マップの表示」と「全体マップからファストトラベル先を選べる」が出来たら良かったのになぁと思いました。


 いや、そもそも「明るさ調整」ができれば問題ないのか?
 よく言われる話ですが、海外の人(白人限定?)と比べて日本人などの黄色人種は「明るさを感知しづらい」目をしているらしいんですね。なので、海外製のゲームをそのまま遊ぶと、ムチャクチャ暗くて何も見えないことが多々あります。逆に、日本人は強い日差しの中でも普通に過ごせるけど、海外の人はサングラスをかけないと眩しくてたまんないらしいんですね。海外の人にとってサングラスはカッコつけているワケではなくて、日常生活に欠かせない必需品なんです。


 最初の「不毛の地」をクリアして先に進めば大分見やすくなると思うので、もしこれから始める人は序盤で「暗くて見づらい!マトモに遊べんわ!」と投げ出さずにがんばってください……

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◇ 太陽がなくなった世界で、「ニコ」を操作して世界を救う旅に出かけよう!

<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 ここからネタバレの深度を一段階上げます。
 「キャラクター」と「世界観」についての話を書いていきます。前項で既に「遊んでみよっかな」と思ってくれたなら、ここで読むのをやめて下さっても結構です。引き返すなら今です。




<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 このゲームの舞台は、「太陽を失った世界」です。
 蛍光体(エビやホタルなど)が太陽エネルギーを蓄えていたので人々はなんとか生きてきたけど、それもいつ尽きるか分からない状況で、世界も生物も滅ぶ寸前です。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 そんな中、猫目で猫耳のような帽子を被ったこども「ニコ」が、自ら光を発する「太陽」を見つけます。預言者の言葉によると、「太陽」を見つけた「ニコ」は、救世主としてこの世界の中心にある塔に登って「太陽」を置いてこなければならないとのこと。

 このかわいいかわいい「ニコ」ですが、作中では男のコとも女のコとも明言されていません。英語版の一人称は「I」「Me」だったのを日本語訳にする際、「ぼく」や「わたし」といった言葉を使って性別を限定させないため、「ニコ」は自分のことを「ミー」と呼びます。男のコとも女のコとも思わせない力づくの手法、すごい。



 要するに、プレイヤーはこの「ニコ」となって世界を救う旅に出るんですねー


 というワケではありません。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 このゲームの主人公はアナタ自身です。
 Windowsでプレイしている場合、Windowsにログインしているユーザー名でいきなり話しかけられるため……もし、このゲームの初見プレイを実況しようものなら、本名バレの可能性があります。

 最序盤で、「それは私の名前ではない」と任意のものに変更することは可能ですが、それまではユーザー名が思いっきり出ちゃいますからね。実況しようって人は、予めユーザー名を本名から変更しておきましょう!


 「ニコ」やゲーム内に登場するキャラクターは、アナタのことを「神」と認識して、また「ニコ」のことを「神の言葉」を認識できる「救世主」として認識しています。アナタがボタンを押せば「ニコ」が動きますが、それはモニターのこちら側からアナタが「ニコ」に指示をして「ニコ」がその通りに動いているんですね。


<画像はSteam版『OneShot』より引用>


 つまり、このゲーム……「第四の壁」を突破している、メタフィクション的な作品なんです。

 「第四の壁」とは元々は演劇用語で、舞台上の「正面奥の壁」「左の壁」「右の壁」に続く、「舞台と観客の間を隔てる見えない壁」のことです。有り体に言えば、「フィクション(舞台)と現実(観客)の境界を曖昧にした作品」を「第四の壁を破っている」と表現するんですね。

 致命的なネタバレではない有名どころを例に出すと、ドラマ『古畑任三郎』の終盤「犯人を追いつめるシーンの前」に古畑任三郎が視聴者に向かって「今回の事件は~~」と語り出すところなんかがイメージしやすいですかね。


 ゲームにも「第四の壁を破った作品」は1990年代からあるし、恐らくみなさんがプレイしている作品や名前を知っている作品にも部分的に「第四の壁を破っているシーン」はあると思うのですが……どの作品にそういうシーンがあると言っちゃうのは、それはそれでネタバレですからね。
 『OneShot』に影響を与えた作品として挙げられている作品には、そういった過去の「第四の壁を破った作品」の名前があって、なるほど確かにアレやアレっぽいわと思うとともに……「ゲームの1シーン」ではなくて、ゲーム全体で「第四の壁を破る」ことを中核に置いた作品になっていたのは、この作品独自のオリジナリティだったと思います。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 「ニコ」は度々こちらにいろんな質問をしてきて、「モニターのこちらの世界」について尋ねてきます。そうすることでプレイヤーが、常に「現実」と「フィクション」の狭間である第四の壁を意識していくようになるのです。

 「キャラクターがプレイヤーに話しかけてくる」なんてことは、例えば『ときめきメモリアル』のヒロイン達だって主人公に話しかけてくるのですが……それはあくまで「ゲーム内にいる私の分身となるキャラ」に話しかけてきているのであって、「モニターのこちらにいる私」に話しかけてくるのとは一段階グレードがちがいます。


 “「モニターのこちらの世界」について尋ねられる”と、否応なしに「私の世界」と「ニコの世界」は別なんだと意識させられるの上手いと思うんですね。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 「ニコ」以外の、ゲームの世界に登場するキャラクターも、メインキャラではないただの町の住人とかであっても魅力的でした。
 序盤の「不毛の地」は人が全然いないし、画面も暗いし、どんよりとした気分でプレイしていたのですが……ストーリーが進んで、いろんなキャラが出てくるようになると楽しくなってくるので、どうかこれからプレイする人は序盤で投げ出さないで!

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◇ 見たことのない演出、見たことのない謎解き、ゲームってここまで出来るんだ!?

<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 ここからネタバレの深度を一段階上げます。
 「謎解きやギミックの方向性」についての話を書いていきます。ここまでで既に「遊んでみよっかな」と思ってくれたなら、ここで読むのをやめて下さい。引き返す最後のチャンスです。




 前項で、このゲームは「ゲームの中にいるニコ」が「モニターのこちら側にいるプレイヤー」に話しかけてくる「第四の壁を突破している」メタフィクション的な作品だと書きました。

 例えば、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』だったらプレイヤーが「主人公リンク」と一体となって冒険する“一人旅のゲーム”ですが、『OneShot』はプレイヤーと「ニコ」が会話をしながら冒険する“二人旅のゲーム”です。プレイヤーは「ニコ」を操作しますが、それはあくまでモニターのこちら側からニコに指示を出しているに過ぎないんです。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 そのため、このゲームの攻略のためには……
 「ゲームの中のニコががんばる」だけじゃなくて、「ゲームの外にいるプレイヤー自身ががんばる」必要があるんですね。ゲームの中でだけがんばっても絶対に攻略できないんです。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 例えば、この仕掛け……
 ゲームをクリアするために絶対に必要な「箱を開けるコード」はゲーム内に出てきません。この『OneShot』を起動しているPCのとある場所に現れるのです。


 長年ゲームを遊んできた身としては、「ゲームってここまで出来るんだ!?」と驚いたことはこれまでにも何度もありました。『ファイナルファンタジーV』でキャラクターが動き回る寸劇を見たときや、プレイステーション2の映像が実写にしか見えずに震えたとき、『脳トレ』で文字を書いたり言葉をしゃべったりしたことがゲーム内に自然に反映されたとき……

 しかし、『OneShot』の驚きはそれらの驚きとは一線を画しました。
 ゲームって、PC内に勝手にファイルを作ったり、ゲーム外の画面を勝手に変化させたり出来るんだ!?と。ゲームファイルはウィンドウの中で全部完結するものだと思っていたので、まずそこにビックリしてしまいました。



 さっき『脳トレ』の例を出しましたが、私は「その機種にしかない機能や特性を活かしたゲーム」が大好きなんですね。ニンテンドーDSで言えば『脳トレ』や『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』とか、Wiiで言えば『Wii Sports』や『スーパーマリオギャラクシー』とか、セガサターンで言えば時計機能を使った『ROOMMATE』とか、Nintendo Switchなら『Nintendo Labo』とか……

 ここ数年PCゲームも結構遊ぶようになった私ですが、多くのPCゲームは「PCで遊んでも、移植版を家庭用ゲーム機で遊んでも、体験としてはあまり変わらない」ものがほとんどでした。面白いPCゲームは大抵家庭用ゲーム機にも移植されますし、PCでしか遊べないゲーム体験ってそこまでないよなぁと思っていました。キーボードとかマウスとかは、今のゲーム機ならつながるし。

 そんな私にとって、『OneShot』は初めて「PCにしかない機能や特性を活かしたゲーム」だと思えた作品でした。PCゲームであることを活かした様々な仕掛けや謎解きが凄まじくて、この体験はPCでしか味わえないと思いました。




 「えっ、『OneShot』って家庭用ゲーム機でも出てるよね? どうしてるの?」と思われるかも知れませんが、家庭用ゲーム機版は『World Machine Edition』という名称にして、疑似的なデスクトップの中でプレイするという手法を取っています。
 この手間はすごいんだけど……でも、それってもうその時点でネタバレじゃないか!と思うのです。こういう画面を見せられたら、「デスクトップ上で何かをするんだな」と分かっちゃうだろうし。なので、冒頭で私は“よほどのこだわりがない限りは「PCで遊ぶ」ことをオススメしたい”と書いたのです。


 話を戻しまして……
 単に「メタフィクションなゲーム」とか「第四の壁を突破しているゲーム」なだけなら私はここまで絶賛していません。ストーリーや演出が「第四の壁を突破している」ことを活かし、謎解きも「PCでしか出来ない様々な仕掛け」を利用しているから絶賛しているのです。

 存在しないifの未来ですが、もし任天堂が2010年代に家庭用ゲーム機事業から撤退していて、PC版『ゼルダの伝説』や、PC版『メイド・イン・ワリオ』を作っていたなら……こういう仕掛けを使っていたと思うんですね。
 実際にはPC版『ゼルダの伝説』は発売されていませんが、『OneShot』がある! それくらい言いたくなる凄いゲームでした。



<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 「第四の壁」の話でもう一つ。
 Steam版が発売された直後には、ゲーム内でカウントダウンを刻んでいる時計があったそうです。そのカウントダウンが0になったタイミングで「ボーナスチャプター」が追加され、フリーゲーム版では描かれなかった話が展開されるようになったそうです。

 日本語版が発売された時点で「ボーナスチャプター」は既に実装されていて、時計も0になっていたため、リアルタイムに遊んだ人達のような「なんだこれ……?」→ 「あの数字はそういうことだったのかー!」という興奮は味わえませんでしたが、これも面白い仕掛けですよねぇ。



◆ で、結局どういう人にオススメ?

<画像はSteam版『OneShot』より引用>

 (特に2Dの)『ゼルダの伝説』の、「戦闘」ではなく「謎解き」部分が好きな人には是非是非オススメです!

 「このゲームでしか味わえない体験」を味わわせてくれる作品で、むちゃくちゃ面白かったし、何十年後か後に「PCで遊んだ面白いゲーム」として記憶に残るのはこのゲームなんだろうなと思うほどでした。


 頼むからみんな、ネタバレを踏む前に遊んでくれーーーー!

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