最初に断っておきますけど……
「違和感がある」と批判している相手は、ファミ通の読者ではないですよ。
「合計点○点以上は○○殿堂入り!」とか「40点満点を獲得したあの作品が!」とか自分で言っちゃっているファミ通に対してです。この記事はファミ通批判と受け取ってもらって結構です。
『メタルギアソリッド4』『スマブラX』『428』『ドラクエ9』『モンハン3』―――
ここ最近、ファミ通クロスレビューで40点満点の作品が続出していることに対して様々な批判がされているみたいです。言わんとすることは分からなくもないんですけど、そもそも自分は「40点満点」という捉え方自体に疑問があります。
だって、あのレビューって「10点満点」×4じゃないですか。
「40点満点」とは全然違うワケですよ。
この2つの違いがピンと来ない人のために、喩え話をします。
・アナタが友達と2人で、新しく出来たラーメン屋にラーメンを食べに行ったとします
・アナタはそこのラーメンを「すごく美味しい!」(10点)と思ったとします
・ですが、一緒に行った友達は「ちっとも美味しくない」(2点)と言っていたとします
・後日、別の友達に「あのラーメン屋どうだった?」と訊かれた際、「普通だったよ」(6点)とは答えませんよね?
・良識のある人間だったら、「俺は美味しいと思ったけど(10点)、○○は美味しくないって言っていた(2点)。好き嫌いが分かれる味らしいね」と答えるでしょう
“評価”というのは本来、合計したり平均したりしてはいけないと思うんですよ。
もちろんこの“評価”する人が何十人・何百人・何千人と増えていけば、「全体的には10点を付けた人が何%」みたいなデータに出来ますけど―――2人とか3人とか4人の評価を合計したり平均したりという行為には意味がないと思うのです。重要なのは、その中の1人1人がどう“評価”したかだろうと。
だから、……伊集院さんが『FF12』や『ドラクエ9』のレビューに対して「あれで40点満点はないだろう!」と批判しているみたいなことって、伊集院さんに限らず多数の人が仰っていますけど、自分にとっては「40点満点と考えなきゃ別に普通のことじゃない?」と思うんですよ。
この国に何千万人といるゲームプレイヤーの内の4人がたまたま「10点満点」と評価しただけで、5人目のレビュアーは「2点」を付ける可能性もあるだろうと。クロスレビューなんてそんなもんだろうと。
多分、「40点満点なんてありえない!」と批判している人達は、ファミ通のクロスレビュアーのことを“この国にいる何千万人ものゲームプレイヤー全ての人の意見を代弁できる選ばれし4人”であるみたいなことを思っているんじゃないかと思うんですけど……
当然ながら、たった4人で何千万人の意見を代弁することなんて不可能ですよね。僕は僕以外にいないし、僕は僕と同じ趣味趣向な人間なんて出会ったことがないし、そんな人間は存在しないと思っていますもの。
○ 客観的なレビューって何だろう?
実際問題、ファミ通のクロスレビューでは「10点を付ける人もいれば2点を付ける人もいる」みたいな作品は現れません。飯野さんなんかはそれを批判していましたし、それに対するファミ通側の言い分としては「客観的なレビューを心がけなきゃならないから」といった返答だったと記憶しているんですが。
そもそも「客観的なレビュー」って何?―――
“客観的”を“主観的”の対比語だとするならば、「主観的ではないレビュー」ってことですよね。つまり「“自分がどう思ったか”ではないレビュー」ってことですよね。
・俺にはタルイだけなんだけど、ムービー好きな人にとっては素晴らしいゲームなんだろうな。10点。
・何が面白いのかは分からないけど、キレイになったグラフィックを喜ぶ人は多いだろう。10点。
・よく分からんが、ストーリーが重厚っぽい。10点。
「客観的なレビュー」を心がけて評価していく限り、お金がかかっている豪華なゲームの評価が高くなるのって当然のことじゃないかなぁと思います。逆に、『Wii Sports』みたいなアイディア勝負1点突破型のゲームは、評価が高くならない―――
ファミ通のクロスレビューに対して、広告料がどうとか点数がお金で買われているんじゃないかとか噂がされますけど……
そうした事実があろうがなかろうが。「客観的なレビュー」で「点数を合計する」以上は、『FF』シリーズとか『メタルギア』シリーズとか『スマブラX』とか、豪華なゲームが最高得点になるのはシステムとして仕方がないと思うんですよ。良かった探しで点数が加点され、それが4倍がけされるワケですから。
個人的には、せっかく“クロス”レビューを名乗っているくらいなんだから、もっと主観丸出しのレビューにしてくれた方が面白いのになーとは思っています。
喩えば、レビュアー4人の好きなジャンルをそれぞれ「RPG好き」「FPS好き」「パズルゲーム好き」「2Dアクション好き」みたいに分ければ、「7・7・7・7」で現状システムでは合計点数「28点」の作品よりも、「10・5・5・5」の作品の方が「RPG好きにとっては最高のゲームなんだな」と思えるじゃないですか。
現状の「合計点数システム」よりも、よっぽど参考になると思うんですけどねー。
結局のところ、現状の「合計点数システム」って「面白いゲームは全ての人間にとって間違いなく面白いものだ」みたいな幻想に基づいているんじゃないかと思うのですよ。
でも、実際にはそうではないですよね。
アナタが面白いと思うゲームに対して、「ちっとも面白くない」と思う友達もいる。それが普通のことなんです。その差異があるから人間って面白いんじゃないですか。(だからこそ、自分に近しい感性を持った人に親近感を覚えたりも出来るワケで)
そういう視点で見てみると、「合計点数システム」なんてチャンチャラおかしいって思えますもの。
ただまー。
ここまで書いてみて思ったけれど、「ファミ通レビューは40点満点」という認識が世間一般に既になされている以上は方針転換は難しいのかも知れませんね。さっき書いた例で言えば、「7・7・7・7」の作品と「10・5・5・5」の作品のどちらを安心して買えるか読者に尋ねてみれば、恐らく前者の方が安心して買えるって人が多いんじゃないですかね。それが今の世の中な気がします。
「いっそのこと点数付けないで文章だけのレビューでイイんじゃないの?」と言っても、点数がこれだけ話題になるということは、点数が読者にとっては重要だという証なんだと思えますし。
伊集院さんが提案した「(放っておいても売れるだろう)人気シリーズのソフトはレビューをやめた方がイイんじゃないか」というのも、現実的な案だとは思いますが、「人気シリーズの定義」がまた問題になりそうですしねー。とりあえず、一度でも40点満点が付いた作品の続編やら移植やらスピンオフやらは“殿堂入り”としてレビュー対象外にするというのはどう?
Wii版が「40点満点」だった『428』のPSP版やPS3版は、どの辺りの点数だったら正解なん?
もうどっちに進んでも地獄の谷にまっ逆さまな気分というか……

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